不動産用語集②

用語の頭文字

た行

特定優良賃貸住宅(特優賃)

特定優良賃貸住宅制度」による認定を受けて、民間の事業者が建設・賃貸する賃貸住宅。公共的な支援を受けて供給される中堅所得者向けの居住環境が良好な住宅とされる。

特定優良賃貸住宅は、次のような特徴がある。

(1)居住水準
床面積は原則50〜125平方メートル、居住室は2室以上、耐火構造または準耐火構造、各戸が台所・水洗便所・収納設備・洗面設備・浴室を備えている。

(2)家賃
借主は、契約家賃(一定の基準によって定められる)から家賃減額補助金(借主の所得水準に応じて定められる)を差し引いた金額を負担する。家賃補助期間は、最長20年。補助金は、国・地方公共団体が貸主に支給する。

(3)入居者の選定・賃貸条件
入居者は、一定の条件を満たす者を公募し、抽選で選定する。敷金は3ヶ月以内で、礼金、権利金等はない。

特定優良賃貸住宅制度

「特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律」により定められた制度で、居住環境が良好な賃貸住宅を中堅所得者等に対し供給するための仕組みをいう。
 
民間の土地所有者等が賃貸住宅を建設しようとする場合に、建設計画、入居者資格、賃貸条件などを内容とする供給計画について都道府県知事による認定を受けたときには、建設費の一部および家賃減額のための費用に対して補助を受けることができるとされ、そのようにして供給されるのが特定優良賃貸住宅(特優賃)である。
認定を受けるためには、住宅の規模・構造・設備が一定の建設基準に適合するほか、入居者を公募・抽選で決定する、敷金は3ヵ月以内で礼金なし、家賃は市場家賃以下、一定の法人等が住宅を管理するなどの賃貸・管理に関する条件を満たさなければならない。
 
なお、この制度は、地方公共団体等が同様な賃貸住宅を建設・管理する場合にも同じように適用される。

特定用途制限地域

用途地域では「特別用途地区」(文教地区特別工業地区など)を設けてきめ細かな建築規制を実施できるが、そもそも用途地域が定めれていないエリアでは「特別用途地区」を設けることができないという問題があった。

そこで2000(平成12)年に都市計画法が改正され、用途地域がないエリアでは、「特別用途地区」に代わるものとして「特定用途制限地域」を設けることが可能になった(都市計画法第9条第14項)。

「特定用途制限地域」を設けることができるのは次の2つのエリアである。

1.準都市計画区域の中
2.非線引きの都市計画区域の中で、用途地域がないエリア

「特定用途制限地域」では、好ましくない業種(例えばパチンコ店)の建築を禁止するというような建築規制を実施することができる。

特定用途誘導地区

都市再生を図るため、医療施設、福祉施設、商業施設など都市機能増進施設を誘導するべく都市計画で定められる地区。地域地区の一つで、「都市再生特別措置法」に基づく制度である。

特定用途誘導地区は、立地適正化計画で定める都市機能誘導区域内に指定され、地区内の建築物の用途、容積率・高さの最高限度について、通常の用途地域とは異なる扱い(緩和措置)が定められている。

特別業務地区

特別用途地区の一つ。倉庫、トラックターミナル、工場などの集約的な立地をはかる地区である。市町村が指定する。

特別決議

分譲マンションのような区分所有建物において、管理組合集会で議案を議決する際に、特に重要な議案について特別多数の賛成により可決することを「特別決議」という。

この特別決議を必要とする議案は、区分所有法により次の8種類が規定されている。

1.管理規約の設定・変更・廃止(同法第31条)
2.管理組合法人の成立(同法第47条)
3.共用部分等の変更(同法第17条・第21条)
4.大規模滅失における建物復旧(同法第61条第5項)
5.建物の建替え(同法第62条)
6.専有部分の使用禁止の請求(同法第58条)
7.区分所有権競売の請求(同法第59条)
8.占有者に対する引渡し請求(同法第60条)

上記の8種類のうち、「建物の建替え」を除く7種類については、特別決議を行なうための議決要件は、「区分所有者数の4分の3以上」かつ「議決権の4分の3以上」の賛成である。
ただし「共用部分等の変更」についてはこの議決要件を管理規約により「区分所有者数の過半数」かつ「議決権の4分の3以上」の賛成にまで緩和することができる。

また「建物の建替え」についての決議要件は「区分所有者数の5分の4以上」かつ「議決権の5分の4以上」の賛成である。

特別工業地区

特別用途地区の一つ。
もともと地元の中小工場が多いエリアについて、地元産業を振興するために定める地区である。具体的には、工場と調和しにくい事業(例えば飲食店)の進出を規制したり、工場の建設を容易にするような建築規制が実施される。

市町村が指定する地区であり、建築規制の内容は市町村ごとの条例で定められる(建築基準法第49条)。
従って、特別工業地区の詳細を知りたい場合には、市区町村役所の建築確認担当部署に問い合わせる必要がある。

特別失踪

死亡の原因となるような災害(戦争、地震、火災、船の沈没など)に遭遇した人が、その災害が去ってから1年間にわたって生死不明であるとき、家庭裁判所は利害関係人の請求によって、失踪の宣告をなすことができる。これを「特別失踪」という(民法第30条)。

特別損失

企業の経常的な経営活動と関係せずに発生する一過性で臨時的な損失。

特別損失に該当するのは、不動産有価証券等の売却によって生じた損失、火災や地震等の災害によって被った損失などである。

発生した費用が特別損失に該当するかどうかは、発生した事情、費用の性質等に照らして判断され、たとえば、主たる業務に不動産取引が含まれている企業にあっては、取引によって生じた不動産の売却損は特別損失ではない。

なお、前期決算の修正(前期損益修正)によって生じる損失も特別損失として計上される。

特別注視区域(重要土地等の〜)

重要土地であって注視区域に指定されたもののうち、重要施設または国境離島等の機能が特に重要または阻害が容易であって機能の代替が困難である場合に指定される土地の区域。重要土地等調査規制法に基づき、内閣総理大臣が指定する。

特別注視区域内の土地および建物については、所有権またはその取得を目的とする権利の移転または設定をする契約を締結する場合には、あらかじめ、当事者の氏名、移転又は設定後における当該土地等の利用目的などを内閣総理大臣に届け出なければならない。

なお、特別注視区域内の土地および建物は注視区域内に存するので、注視区域内の土地および建物に関する措置も適用される。

特別の寄与(相続における〜)

相続人以外の被相続人の親族が被相続人の療養看護等を行なった場合には、一定の要件のもとで相続人に対して金銭を請求をすることができる制度。請求できる者を「特別寄与者」、支払われる金銭を「特別寄与料」という。

特別の寄与は、無償で療養看護等を行ない被相続人の財産の維持・増加について特に寄与した場合とされ、特別寄与料の支払いについて当事者間の協議が整わない場合には、家庭裁判所に協議に代わる処分を請求することができる。

なお、この制度は2019年7月1日から施行される。

特別目的会社

資産の流動化、証券化を目的として設立された会社をいう。

通常の会社と違って、利益を得ることを目的としない。資産の流動化に関する法律(資産流動化法)による「特定目的会社」のほか、定款で事業目的を限定した株式会社形態のものがある。特定目的会社を含むが、もっと幅広い概念である。

特別目的会社は、保有する資産を事業体から切り離して資金を確保するために活用されることが多いが、この場合に、元の資産保有者が特別目的会社に深く関与すると資産切り離しの実態を確保できず、事業体に対する監査等に支障が生じる。そのため、関与の許容範囲を定めるルールが制定されている(5%ルールはその一つ)。

特別用途地区

都市計画法第8条第1項に列挙されている地域・地区の一つ。

用途地域の内部において、用途地域よりもさらにきめ細かい建築規制を実施するために設定される地区であり、市町村が指定するものである。

かつては特別用途地区の種類は、文教地区特別工業地区厚生地区特別業務地区中高層階住居専用地区、商業専用地区、小売店舗地区、事務所地区、娯楽・レクリエーション地区観光地区、研究開発地区という11種類に限定されていたが、法改正により現在ではこれら11種類だけでなく、さまざまな特別用途地区が市町村の判断により設置することができるようになっている。

特別利益

企業会計上の概念で、企業が得る利益のうち、経常的な活動と直接には関係しない要因によって生じる臨時的な利益をいう。一方、同様の事情で生じる損失を「特別損失」という。

特別利益に該当するのは、固定資産売却益、投資証券売却益、関係会社株式売却益、償却債権取立益などであるが、経常性の有無は企業の業務実態に照らして判断される。

特別利益は、損益計算書において経常利益(損失)と分けて記載される。

特別緑地保全地区

都市計画において指定された、良好な自然環境を形成していてその保全が必要な緑地をいう。

都市緑地法による緑地保全制度の一つで、樹林地、草地、水沼地などのうち、無秩序な市街化や公害または災害を防止するもの、伝統的・文化的意義を有するもの、風致景観が優れているもの、動植物の生育地等となるものが指定される。

特別緑地保全地区内では、建築行為、宅地造成行為、木竹の伐採、水面の埋立てなどをするには原則として都道府県知事の許可が必要で、知事はその行為が緑地の保全上支障があると認めるときは許可をしてはならないとされている。

特約

特別の条件を伴った契約をすることをいう。

原則として契約条件の定め方は自由であるから、どのような条件が特別であるかについては判断の幅があるが、一般的な条件とは異なる利益を伴うものをさすと理解されている。

ただし、強行規定(法令によって当事者の合意如何にかかわらず適用される規定)に反する条件は当事者が合意しても無効である。

特優賃

「特定優良賃貸住宅」の略。
詳しくは「特定優良賃貸住宅制度」参照。

特例事業(不動産特定共同事業における〜)

不動産特定共同事業契約に基づく収益・利益の分配を専ら行なうことを目的とする法人(SPC特別目的会社)が実施するものをいう。不動産特定共同事業法に基づく制度である。

SPCが実施する特例事業については倒産隔離機能等が働き、同事業に対する投資は、通常の不動産特定共同事業に対する投資よりもリスクが小さいと考えらている。

特例事業を実施する場合には、事業実施のための許可は不要で、届出で足りる。一方で、SPCは、特例事業のための不動産取引に係る業務及び契約締結の勧誘業務について、それぞれの業務の受託に関して許可を受けた不動産特定共同事業者に委託しなければならない。この場合、不動産取引の委託先は一つに限る。不動産取引業務を受託する許可を受けた事業者を第三号事業者、契約契約の代理・媒介業務を受託する許可を受けた事業者を第四号事業者という。

特例事業者は、宅地建物取引業の営業許可を受け、あるいは宅地建物取引士を置く必要はないが、みなし宅地建物取引業者として、営業保証金供託、受領手付金額の制限などの業務規制が課せられている。

なお、特例事業者と締結した不動産特定共同事業契約に基づく権利は、通常の不動産特定共同事業契約に基づく権利と違って、金融商品取引法のみなし有価証券とされ、その取引について同法の規制が適用される。

特例容積率適用地区制度

特例容積率適用地区として都市計画で指定された区域内で、建築敷地の指定容積率の一部を複数の建築敷地間で移転することができる制度をいう。

特例容積率適用地区は都市計画で指定される地域地区の一つであり、未利用となっている建築物の容積の活用を促進して土地の高度利用を図るために定められる。

一般的に、容積率の移転は隣接する敷地の間でしか認められないが、特例容積率適用区域制度では、その区域内であれば隣接していない建築敷地の間で移転が認められる。これによって区域内での「空中権」の売買が可能となる。

特例容積率適用地区制度の指定に当たっては、原則として、特例容積率の指定基準、建物の高さの上限などが定められる。
また、容積率の移転に当たっては、特定行政庁に申請して審査を受けなければならない。

この制度の適用例として、「大手町・丸の内・有楽町地区特例容積率適用区域」(東京都千代田区、2002年指定)がある。これを活用して、JR東日本は、東京駅赤レンガ駅舎の残余容積率を周辺の複数のビルに移転し、駅舎の復元保全のための資金調達を行なっている。

床の間

座敷に設けられ、掛け軸や花を飾る上段となった空間。書院造りにおける空間構成の特徴のひとつ。床の間とその脇の壁等との境にある柱を「床柱」という。

都市ガス

市街地に配管したガス管によって広域に供給されるガス燃料。

供給されるガスは、大半がメタンを主成分とする液化天然ガス(LNG)である。発熱量等に応じて規格が定まっていて、ガス器具もそれぞれの規格に適合していなければならない。規格の種類はいくつかあるが、ほとんどの都市ガスの規格は「13A」である。

なお、液化天然ガスは無色、無臭であるが、安全のために匂い(ガス臭)がついている。また、空気よりも軽い。

都市機能誘導区域

都市再生を図るため、医療施設、福祉施設、商業施設などの都市機能増進施設の立地を誘導すべき区域として立地適正化計画で定められる区域。「都市再生特別措置法」に基づく制度である。

都市機能誘導区域を定める場合には、区域ごとに、立地を誘導すべき都市機能増進施設(誘導施設)および誘導施設の立地を図るための事業などが併せて定められる。また、区域内で民間事業者が誘導施設等を整備する事業(事業規模が、誘導施設の整備については500平方メートル、施設利用者の利便施設の整備については0.1ha以上のもの)を行なう場合には、事業計画の認定を受けて、民間都市機構の出資などの支援を得ることができる。

都市計画

土地利用、都市施設の整備、市街地開発事業に関する計画であって、都市計画の決定手続により定められた計画のこと(都市計画法第4条第1号)。
具体的には都市計画とは次の1.から11.のことである。

1.都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(都市計画法第6条の2)
2.都市再開発方針等(同法第7条の2)
3.区域区分(同法第7条)
4.地域地区(同法第8条)
5.促進区域(同法第10条の2)
6.遊休土地転換利用促進地区(同法第10条の3)
7.被災市街地復興推進地域(同法第10条の4)
8.都市施設(同法第11条)
9.市街地開発事業(同法第12条)
10.市街地開発事業等予定区域(同法第12条の2)
11.地区計画等(同法第12条の4)

注:
・上記1.から11.の都市計画は、都市計画区域で定めることとされている。ただし上記8.の都市施設については特に必要がある場合には、都市計画区域の外で定めることができる(同法第11条第1項)。
・上記4.の地域地区は「用途地域」「特別用途地区」「高度地区」「高度利用地区」「特定街区」「防火地域」「準防火地域」「美観地区」「風致地区」「特定用途制限地域」「高層住居誘導地区」などの多様な地域・地区・街区の総称である。
・上記1.から11.の都市計画は都道府県または市町村が定める(詳しくは都市計画の決定主体へ)。

都市計画基準

都市計画を定める際の基準で、都市計画法に定められている。その主な内容は次の通りである。

1)国土形成計画等の国土計画や地方計画に適合すること
2)道路、河川、鉄道、港湾、空港等に関する国の計画に適合すること
3)土地利用、都市施設の整備、市街地開発事業に関して都市の健全な発展と秩序ある整備を図るため必要な事項を、自然的環境の整備または保全に配慮して一体的かつ総合的に定めること
4)都市計画の事項ごとにその目的に応じて示す基準に従うこと

なお、都市計画制度の運用は自治事務であるが、国土交通省は、その適切な活用に資するべく「都市計画運用指針」(2008(平成20)年作成、以後順次改正)を定めている。この運用指針は、地方公共団体に対する国の技術的な助言の性格を有するとされ、実質的に、都市計画基準を補完する役割を果たしている。

都市計画基礎調査

都道府県が都市計画区域に関して5年ごとに実施する調査で、都市計画区域における人口、産業別就業人口、市街地面積、土地利用、交通量、地価など多種多様な項目が調査対象となっている(都市計画法第6条、都市計画法施行規則第5条)。

都市計画区域

原則として市または町村の中心部を含み、一体的に整備・開発・保全する必要がある区域。
原則として都道府県が指定する。

1.都市計画区域の指定の要件
都市計画区域は次の2種類のケースにおいて指定される(都市計画法第5条第1項、第2項)。
1)市または一定要件を満たす町村の中心市街地を含み、自然条件、社会的条件等を勘案して一体の都市として総合的に整備開発保全する必要がある場合
2)新たに住居都市、工業都市その他都市として開発保全する必要がある区域

1)は、すでに市町村に中心市街地が形成されている場合に、その市町村の中心市街地を含んで一体的に整備・開発・保全すべき区域を「都市計画区域」として指定するものである(※1)。なお、1)の「一定要件を満たす町村」については都市計画法施行令第2条で「原則として町村の人口が1万人以上」などの要件が定められている。
2)は、新規に住居都市・工業都市などを建設する場合を指している。
(※1)都市計画区域は、必要があるときは市町村の区域を越えて指定することができる(都市計画法第5条第1項後段)。また、都市計画区域は2以上の都府県にまたがって指定することもできる。この場合には、指定権者が国土交通大臣となる(都市計画法第5条第4項)。

2.都市計画区域の指定の方法
原則として都道府県が指定する(詳しくは都市計画区域の指定へ)。

3.都市計画区域の指定の効果
都市計画区域に指定されると、必要に応じて区域区分が行なわれ(※2)、さまざまな都市計画が決定され、都市施設の整備事業や市街地開発事業が施行される。また開発許可制度が施行されるので、自由な土地造成が制限される。
(※2)区域区分とは、都市計画区域を「市街化区域」と「市街化調整区域」に区分することである。ただし、区域区分はすべての都市計画区域で行なわれるわけではなく、区域区分がされていない都市計画区域も多数存在する。このような区域区分がされていない都市計画区域は「区域区分が定められていない都市計画区域」と呼ばれる。

4.準都市計画区域について
都市計画区域を指定すべき要件(上記1.の1)または2))を満たしていない土地の区域であっても、将来的に市街化が見込まれる場合には、市町村はその土地の区域を「準都市計画区域」に指定することができる。準都市計画区域では、必要に応じて用途地域などを定めることができ、開発許可制度が施行されるので、無秩序な開発を規制することが可能となる(詳しくは準都市計画区域へ)。

都市計画区域の指定

都市計画区域は、原則として市または町村の中心部を含み、一体的に整備・開発・保全する必要がある区域である。
この都市計画区域を指定するための手続きは次のように規定されている(都市計画法第5条)。

1.一の都道府県内で都市計画区域を指定する場合
指定の主体は都道府県である。都道府県は次の手続きを行なう。
1)都道府県は都市計画区域を指定しようとするとき、事前に関係する市町村の意見を聴き、さらに都道府県都市計画審議会の意見を聴かなければならない(都市計画法第5条第3項)。
2)次に都道府県は、国土交通大臣と協議し、国土交通大臣の同意を得なければならない(都市計画法第5条第3項)。
3)都市計画区域の指定を公告することにより、都市計画区域が指定される(都市計画法第5条第5項)。

2.二以上の都府県にわたって都市計画区域を指定する場合
指定の主体は国土交通大臣である。国土交通大臣は次の手続きを行なう。
1)国土交通大臣は都市計画区域を指定しようとするとき、事前に関係する都府県の意見を聴かなければならない(都市計画法第5条第4項)。
2)上記2.の1)において都府県が国土交通大臣に意見を述べるためには、都府県は事前に関係する市町村の意見と都道府県都市計画審議会の意見を聴いておかなければならない(都市計画法第5条第4項)。
3)都市計画区域の指定を公告することにより、都市計画区域が指定される(都市計画法第5条第5項)。

(補足)準都市計画区域については、上記1.2.とは異なる指定手続きが規定されている(詳しくは準都市計画区域の指定へ)。

都市計画区域の整備、開発及び保全の方針

都市計画区域に関して都道府県が定める基本的な方針のこと。
都道府県は、都市計画区域に関して必ずこの方針を定める(都市計画法第6条の2)こととされているので、区域区分が定められていない都市計画区域(いわゆる非線引き区域)においてもこの方針を定める必要がある。

この方針には、次の内容が定められる(都市計画法第6条の2第2項)。

1.都市計画の目標
2.区域区分の決定の有無(区域区分を定めるときはその方針)
3.主要な都市計画の決定の方針

都市計画区域の中で、都市計画決定を行なう際には、必ずこの方針に即して都市計画を決定しなければならない(都市計画法第6条の2第3項)(詳しくは都市計画の決定手続へ)。
なお、この方針を決定する主体は都道府県である(都市計画法第15条第1項第1号)。

都市計画決定

地域地区都市施設市街地開発事業などのさまざまな都市計画を正式に決定すること。

1.都市計画決定の意義
都市計画には、地域地区、都市施設、市街地開発事業などさまざまなものがあるが、そのいずれもが地域の土地利用や地域の発展に大きな影響を及ぼすので、都市計画を決定するにあたっては詳細な手続きが法定されている。
都市計画決定とは、狭い意味では、「都市計画の告示」(都市計画法第20条第1項)により、都市計画が正式に効力を発生することを指す。
また広い意味では、都市計画決定とは、「都市計画の案の作成」から「都市計画の告示」に至るまでの決定手続全体を指す。

2.都市計画決定の効果
都市計画の告示があった日において、都市計画は正式に効力を生ずることとされている(都市計画法第20条第3項)。また都市計画の告示があった日から都市計画施設の区域内の制限市街地開発事業の施行区域内の制限市街地開発事業等予定区域の区域内の制限などが適用される。

3.都市計画の決定主体
都市計画を決定する主体は「市町村」であるが、重要な都市計画については「都道府県」が決定主体となる(詳しくは都市計画の決定主体へ)。

4.都市計画の決定手続
都市計画の案の作成から都市計画の告示に至るまで、詳細な手続が法定されている。また決定主体が「市町村」である場合と「都道府県」である場合では、決定手続が多少異なる(詳しくは都市計画の決定手続へ)。

都市計画決定の告示

都市計画の効力を発生させるための告示のこと。都市計画法第20条第1項の規定に基づく告示である。「都市計画の告示」とも呼ばれる。

都市計画の告示は、詳細な都市計画の決定手続を経た後に最終的に告示されるものである。
都市計画の告示のあった日から、都市計画が効力を生ずることとされている(都市計画法第20条第3項)。

また、この都市計画の告示のあった日から、都市計画施設の区域内の制限市街地開発事業の施行区域内の制限市街地開発事業等予定区域の区域内の制限などが適用されるという効果が生ずる。

都市計画施設

都市計画法第11条に掲げられている都市施設(道路、公園、水道下水道など)に関して、その名称・位置・規模などが「都市計画」に定められたとき、その都市施設を「都市計画施設」と呼ぶ(都市計画法第4条第6項)。

都市計画施設の区域内の制限

都市計画の告示があった日から、都市計画で定められた都市施設の区域(※)において適用される建築制限のこと。
(※「都市計画で定められた都市施設の区域」は、「都市計画施設の区域」と呼ばれる(都市計画法第4条第6項)。例えば、新たに道路を作るという都市計画が告示された場合、その予定されている道路の敷地が「都市計画で定められた都市施設の区域」に該当し、「都市計画施設の区域」と呼ばれる)

1.趣旨
都市計画の告示(都市計画法第20条第1項)により都市施設の都市計画が正式に効力を生ずると、その都市施設の区域内では、近い将来において都市施設を実際に整備する工事等が実行されることとなる。
そこで、こうした将来の整備事業の実行に対して障害となる恐れのある行為(建築行為)は原則的に禁止しておくのが望ましい。このような理由により、都市計画の告示の日以降は、都市施設の区域では下記2.ら6建築制限が適用されるのである。
(なお、市街地開発事業の区域でも下記2.ら6同一の建築制限が行なわれる。「市街地開発事業の施行区域内の制限」参照)

2.建築制限のあらまし
都市計画の告示があった日以降、都市計画で定められた都市施設の区域において、建築物建築するためには知事(指定都市等では市長)の許可が必要である(都市計画法第53条第1項)。この許可について次の点が重要である。
1)建築物の建築には許可が必要。ここで建築とは「新築、増築、改築、移転」を指す(都市計画法第4条第10項)。
2)土地の形質変更(宅地造成等)は許可が不要。工作物の建設も許可が不要。
3)容易に移転除却ができる建築物や都市計画に適合した建築物については、知事(指定都市等では市長)は必ず建築を許可しなければならない(下記3.へ)。
4)軽易な行為などを行なう場合には、知事(指定都市等では市長)の許可は不要(下記4.へ)。
5)知事(指定都市等では市長)が指定した土地(これを「事業予定地」という)では、上記3)が適用されない(下記5.へ)
6)都市施設の都市計画に「施行予定者」が定められている場合には、さらに厳しい制限が課せられる(下記6.へ)

3.建築が許可される要件
都市計画で定められた都市施設の区域で適用される建築制限は、将来の都市施設の整備の事業において障害になるような建築を排除する趣旨であるので、障害にならない建築については知事(指定都市等では市長)は必ず許可をしなければならない。具体的には、次の1)または2)のどちらか一方に該当すれば必ず許可される(都市計画法第54条)。
1)都市計画に適合すること(都市施設に関する都市計画に適合しているような建築は排除する必要がないので、許可される)
2)建築しようとする建築物の主要構造部が木造・鉄骨造等で、階数が2階以下で地階を有しないものであり、かつ容易に移転しまたは除却できること(木造・鉄骨造等とは「木造、鉄骨造、コンクリートブロック造、その他これらに類する構造」を指す。すなわち移転除却が容易な構造のこと)

4.建築許可が不要とされる要件
管理行為、軽易な行為、非常災害のため応急措置として行なう行為、都市計画事業の施行として行なう行為については、建築の許可が不要である(都市計画法第53条第1項)(軽易な行為として、「木造で階数が2以下で地階を有しない建築物の改築」「木造で階数が2以下で地階を有しない建築物の移転」が定められている(都市計画法施行令第37条))。

5.事業予定地について
都市施設の区域内において、知事(指定都市等では市長)が指定した土地を「事業予定地」という(都市計画法第55条第1項)。この事業予定地では、上記3.の要件を満たす建築であっても不許可となる場合がある(詳しくは事業予定地内の制限へ)。

6.施行予定者が定められている場合について
都市施設の都市計画において「施行予定者」が定められている場合には、さらに厳しい制限が課せられる(詳しくは市街地開発事業等予定区域の区域内の制限へ)。

都市計画事業

都道府県知事等の認可・承認を受けて行なわれる、都市計画施設の整備に関する事業および市街地開発事業をいう。

都市計画施設とは、都市計画で定められた道路、公園、下水道など。市街地開発事業とは、都市計画で定められた土地区画整理事業、市街地再開発事業、住宅街区整備事業などである。その施行者は原則として市町村であるが、一定の要件のもと、国の機関等が施行することもできる。

都市計画事業として認可・承認されると、

1.事業地内での建築、土地の形質の変更等に当たって許可が必要となること、2.事業地内の土地建物等の譲渡等に当たって届出を要し、事業の施行者がその土地建物等を先買いができること(買い取る旨の通知をすれば契約が成立する形成権である)、3.事業地内の土地について施工者に対して土地の買い取りを請求できること、4.土地収用法上、事業認定を受けたとみなされる(土地収用できる事業として認められる)こと

等の効果が生まれる。

都市計画図

決定された都市計画を表示した図(計画図)をいう。

都市計画図は、縮尺2,500分の1以上の平面図(都市施設を整備する立体的な範囲を都市計画に定める場合にあっては、平面図および立面図・断面図のうち必要なもの)で、土地に関し権利を有する者が、自己の権利に係る土地が市街化区域または市街化調整区域のいずれの区域に含まれるか、地域地区等の一定の区域に含まれるかどうかを容易に判断することができるものでなければならないとされている。

また、都市計画図は、都道府県または市町村の事務所において公衆の縦覧に供されている。

都市計画制限

建築行為や開発行為の際に都市計画に適合すべく制限を受けるが、その制限をいう。 

その制限は多様であるが、主なものは次の5種類である。ただし、狭義には、次のうち3.および4.のみを指すことも多い。

1.一定規模以上の開発行為について都道府県知事の許可を受けることを義務付け、市街化区域内では、都市計画への適合、宅地造成の安全性、環境の保全、公共公益施設との調和などを審査し、市街化調整区域内では原則として行為を禁止するという仕組み(開発許可制度)。

2.用途地域等が定められた区域内の建築行為について、建築確認の際に、建築物の用途や形態等が都市計画に適合しているかどうかを審査する仕組み(地域地区内での建築行為の制限、建築基準法の集団規定)。

3.都市計画決定された都市施設の区域および市街地開発事業の施工区域内での建築行為について、許可を要する仕組み(都市計画施設等の区域内での建築制限)。

4.都市計画事業の認可・承認を受けた事業地について、その区域内での建築行為・土地の形質変更について許可を要すること、事業地内の土地建物等の譲渡の際に届出を要し、その際に施工者は当該土地建物等を先買いできること等という仕組み(都市計画事業制限)。なお、都市計画事業の認可・承認は土地収用法の事業認定とみなされる。

5.地区計画等が定められた区域の中での建築行為等について、届出を要し、その内容が地区計画の内容に適合しない場合は必要な措置を勧告できる仕組み。

都市計画税

市町村が条例で定めた区域内に存在する土地や建物の所有者に課税する地方税。
この条例で定めた区域は、原則として市街化区域の中に設定される。

この都市計画税は、都市計画事業土地区画整理事業の費用を集めるために課税される税金であるとされている。
市町村の条例で税率を設定する。

都市計画税の軽減措置(住宅用地)

都市計画税の課税において、住宅の敷地となっている土地(住宅用地)については、課税標準(税率を掛ける基礎となる金額)を3分の1または3分の2とする措置が取られ、都市計画税が大幅に軽減されている。

1.小規模住宅用地
専用住宅1戸につき面積が200平方メートルまでの住宅用地のこと。この場合の住宅には、賃貸住宅も含まれる。
小規模住宅用地の課税標準は3分の1とする。

2.その他の住宅用地
小規模住宅用地以外の住宅用地の課税標準は3分の2とする。

例えば、住宅用地の面積が1,000平方メートルで、土地評価額が1平方メートルあたり6万円、その上に戸数4戸のアパートがあるとする。このとき小規模住宅用地は200平方メートル×4戸で800平方メートルである。
この場合、この土地の課税標準は
800平方メートル×2万円+200平方メートル×4万円=2,400万円。

都市計画道路

都市計画決定された道路。事業化されていないものを含む。完成後は道路法上の道路として管理される。

都市計画道路の区域内で建築物を建築しようとする場合には、許可を要する。そして、2階建て以下で地階を有しないこと、主要構造部が木造鉄骨造、コンクリートブロツク造その他これらに類する構造であることなどの要件を満たし、かつ、容易に移転又は除却することができると認められるものでなければ建築を許可されない。

なお、同区域内の土地を有償で譲り渡そうとするときは、事前に都道府県知事または市長に届け出なければならず、地方公共団体等から買い取り希望の申し出があったときには買い取りの協議に応じなければならないとされている。

都市計画の決定主体

都市計画を決定するのは、都道府県又は市町村である。
次の都市計画については都道府県が、それ以外の都市計画については市町村が決定することとされている。

1)都市計画区域の整備、開発及び保全の方針
2)区域区分
3)都市再開発方針等
4)地域地区のうち、都市再生特別地区、重要港湾等に係る臨港地区歴史的風土特別保存地区等、一定の緑地保全地域等、流通業務地区、航空機騒音障害防止地区等
5)二以上の市町村の区域にわたり面積が10ha以上の風致地区、近郊緑地特別保全地区
6)広域の見地から決定すべき都市施設又は根幹的都市施設(国道・都道府県道、都市高速鉄道、流域下水道、産業廃棄物処理施設、一級河川・二級河川、流通業務団地など)
7)市街地開発事業土地区画整理事業市街地再開発事業住宅街区整備事業及び防災街区整備事業については、大規模で国・都道府県施行見込みのものに限る)
8)市街地開発事業等予定区域(一団地の住宅施設の予定区域を除く)

都市計画の決定手続

都市計画を決定するための手続は、詳細に法定されている。具体的には次の通り。

1.都市計画の案の作成
都市計画の決定手続の第1段階として、都市計画の案を作成する。この時点で、都市計画の決定主体(都道府県または市町村)は、必要があると認める場合には、住民意見を反映させる措置(例えば公聴会の開催)を実施するものとされている(都市計画法第16条第1項)。
(地区計画等の都市計画の案については、市町村の条例にもとづき、必ず土地所有者等の意見を求めて案を作成しなければならない。また、市町村の条例に定めが あれば、住民や利害関係人は地区計画等の都市計画の案の内容そのものを市町村に申し出ることが可能である(都市計画法第16条第2項、第3項))

2.都市計画の案に対する意見書提出
都市計画の決定主体は、都市計画の案を2週間、公衆の縦覧に供する(都市計画法第17条第1項)。この2週間の期間内に、住民および利害関係人は意見書を提出できる(都市計画法第17条第2項)。
(特定街区の案については土地所有者等の同意を要する。遊休土地転換利用促進地区の案については土地所有者等の意見を聴かなければならない(都市計画法第17条第3項、第4項))

3.都道府県の決定手続
都道府県が決定主体であるときは、都道府県は関係市町村の意見を聴き、都道府県都市計画審議会の議決を経て、都市計画を決定する。
(都道府県の都市計画が、大都市とその周辺を含むとき、国の利害に重大な関係があるときに限り、都道府県は国土交通大臣と協議し国土交通大臣の同意を得なければならない(都市計画法第18条第3項))

4.市町村の決定手続
市町村が決定主体であるときは、市町村は、市町村都市計画審議会(設置されていないときは都道府県都市計画審議会)の議決を経て、さらに知事と協議し同意を得て、都市計画を決定する。
注:市町村の都市計画は、原則的に知事との協議・同意が必要であるが、次の特例がある。
1)準都市計画区域における都市計画について:市町村は知事の意見を聴くだけでよい(知事との協議・知事の同意は不要である)(都市計画法第19条第5項)。
2)地区計画等について:市町村は「政令で定める地区施設の配置・規模等」についてのみ知事と協議し知事の同意を得ればよい(都市計画法第19条第3項))。

5.他の計画等との整合性
上記3.または4.で都市計画を決定する際に、その都市計画は、他の計画等との整合性を満たしたものでなければならない。具体的には次の通り。
1)都道府県が都市計画を決定する場合
全国総合開発計画・首都圏整備計画などの国土計画、地方計画に関する法律に基づく計画(公害防止計画を含む)、道路河川等に関する国の計画に適合することが必要である(都市計画法第13条第1項本文)。
2)市町村が都市計画を決定する場合
上記1)に加えて、都道府県の都市計画、市町村の建設に関する基本構想、市町村の都市計画に関する基本方針に適合することが必要である(都市計画法第15条第3項、第18条の2第4項)。

6.都市計画の告示
上記3.または4.で決定された都市計画を、都市計画の決定主体が正式に告示することにより、その告示の日から都市計画が効力を生ずる(都市計画法第20条第1項、第3項)。

都市計画の告示

都市計画の効力を発生させるための告示のこと。都市計画法第20条第1項の規定に基づく告示である。「都市計画決定の告示」とも呼ばれる。

都市計画の告示は、詳細な都市計画の決定手続を経た後に最終的に告示されるものである。
都市計画の告示のあった日から、都市計画が効力を生ずることとされている(都市計画法第20条第3項)。

また、この都市計画の告示のあった日から、都市計画施設の区域内の制限市街地開発事業の施行区域内の制限市街地開発事業等予定区域の区域内の制限などが適用されるという効果が生ずる。

都市計画法

都市計画に関する制度を定めた法律で、都市の健全な発展と秩序ある整備を図ることを目的として、1968(昭和43)年に制定された。

この法律は、1919(大正8)年に制定された旧都市計画法を受け継ぐもので、都市を計画的に整備するための基本的な仕組みを規定している。

主な規定として、都市計画の内容と決定方法、都市計画による規制(都市計画制限)、都市計画による都市整備事業の実施(都市計画事業)などに関する事項が定められている。

都市計画マスタープラン

都市計画に関する基本的な方針。都市計画法に基づき決定され、「都市計画区域マスタープラン」と「市町村マスタープラン」との二つの種類がある。

都市計画区域マスタープランは、都道府県知事が「都市計画区域の整備、開発、保全の方針」として決定するもので、都市計画の目標、市街化区域市街化調整区域の区分の決定の有無および区域区分を定めるときにはその方針、土地利用、都市施設の整備および市街地開発事業に関する主要な都市計画の決定の方針が定められている。

市町村マスタープランは、市町村長が「市町村の都市計画に関する基本的な方針」として決定するもので、市町村のまちづくりの基本方針、地区ごとの整備・開発・保全に関する目標、課題および方針、土地利用、公共施設の整備および市街地開発事業に関する都市計画の方針等が定められている。

それぞれのマスタープランは、まちづくりの方針を示すとともに、都市計画の総合性や一体性を確保し、市民が都市の将来像を共有するための役割を担っている。

都市洪水想定区域

都市河川において、洪水予防の目標となるべき降雨が生じた場合に洪水(破堤、溢水による外水の流入)による浸水が想定される区域をいい、「特定都市河川浸水被害対策法」に基づいて国土交通大臣または都道府県知事が指定する。

都市洪水想定区域については、市町村地域防災計画において、浸水の発生または発生の恐れに関する情報の伝達方法、避難場所など、都市洪水が生じたときの円滑かつ迅速な避難の確保を図ることとされている。

なお、同様の降雨によって都市浸水(下水道等の排水施設や公共の水域に雨水を排出できないことによる内水による浸水)が想定されるとして指定される区域を「都市浸水想定区域」という。
内水排除によって河川水位が上昇するなど、都市洪水と都市浸水とは相互に影響を及ぼす関係にあることから、都市の浸水被害対策に当たっては両者を一体的に考えなければならない。

都市再開発方針等

都市再開発法等の規定に基づき、都道府県が定める方針のこと。

具体的には、次の1.から4.の方針を「都市再開発方針等」と総称している(都市計画法第7条の2第1項)。

1.都市再開発法による「都市再開発の方針」
2.大都市地域における住宅および住宅地の供給の促進に関する特別措置法による「住宅市街地の開発整備の方針」
3.地方拠点都市地域の整備および産業業務施設の再配置の促進に関する法律による「拠点業務市街地の開発整備の方針」
4.密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律による「防災街区整備方針」

都市再開発方針等は、すべての都市計画区域で定めるものではなく、都道府県が市街化区域内において、必要に応じて定めるとされている(都市計画法第13条第1項第3号、同法第15条第1項第3号)。
なお、都市計画区域のなかで、都市計画決定を行なう際には、この都市再開発方針等に即したものとしなければならない(都市計画法第7条の2第2項)(詳しくは都市計画の決定手続へ)。

都市再生安全確保計画

大規模な地震が発生した場合に滞在者等の安全を確保するための計画。都市再生特別措置法に基づいて、都市再生緊急整備協議会が作成する。

退避経路、退避施設、備蓄倉庫等の整備、退避施設への誘導、災害情報や交通情報の提供、備蓄物資の提供、避難訓練などに関する計画が定められている。また、計画に記載された施設については、退避経路協定、退避施設協定などの施設の整備や管理に関する協定を締結することができる。

都市再生機構

都市基盤整備公団と地域振興整備公団の地方都市開発整備部門を合併・改組して、「独立行政法人都市再生機構法」にもとづき2004(平成16)年7月に設立された独立行政法人。

その主要な業務は、大都市および地域社会の中心となる都市において、

1.市街地の整備改善の支援(宅地の造成、土地区画整理事業等を自ら実施することを含む)

2.賃貸住宅の供給の支援(敷地の整備譲渡を自ら実施することを含む)

3.都市基盤整備公団から継承した賃貸住宅等の管理等

を行なうことである。また、これらの業務の実施に当っては、できる限り民間の資金、経営能力および技術的能力を活用し、民間事業者との協力および役割分担が適切に図られるよう努めなければならないとされている。

都市再生整備計画事業

地域の歴史・文化・自然環境等の特性を活かしたまちづくりのために実施される事業で、社会資本整備総合交付金の交付対象となるものをいう。市町村が作成した都市再生整備計画に基づいて実施される。

都市再生整備計画事業として実施される事業は、道路・公園・下水道・河川・多目的広場等の施設を整備する事業、土地区画整理事業市街地再開発事業等の面的整備事業、地域優良賃貸住宅・公営住宅の整備や住宅地区改良事業等、各種調査や社会実験等のソフト事業など、幅広い。

なお、都市再生整備計画においてまちづくりの目標とその達成状況を評価する指標を設定し、事業実施後に数値化された指標の達成状況を評価することとされている。

都市再生特別措置法

都市再生を図るための措置を定めた法律。2002(平成14)年に制定された。

この法律が定める主な制度は、次の通りである。

1.都市再生緊急整備地域
都市再生のために緊急・重点的に市街地の整備を推進すべき地域を政令で指定し、地域ごとに市街地の整備を推進するための方針(地域整備方針)を定める。

2.民間都市再生事業計画の認定・支援
民間事業者による都市開発事業であって、都市再生緊急整備地域における市街地の整備を緊急に推進する上で効果的であるなどの基準に適合する事業を認定し、認定事業の実施者に対して民間都市機構による金融支援等を行なう。

3.都市計画の特例
都市再生特別地区、民間事業者からの都市再生事業に係る都市計画の提案制度、都市再生事業に係る認可等の特例など、市街地を緊急・重点的に整備するための特例を創設する。

4.都市再生整備計画に基づく事業等に充てるための交付金の交付等、都市再生整備計画に基づく事業等を実施する市町村に対して、国が交付金を交付することなどを定める。

都市再生特別地区

都市計画において、用途地域等の規制の適用を除外して自由度の高い計画を定めることのできる制度、またはこの制度によって指定された区域をいう。

この制度は、都市再生を図るための措置の一つで、その対象となるのは、都市再生緊急整備地域(都市再生のために緊急・重点的に市街地の整備を推進すべき地域、政令で定める)の中で、都市の再生に貢献し、高度利用のための建築を誘導する必要がある区域として、都市計画で指定された区域である。

都市再生特別地区においては、
1.誘導すべき用途(用途規制の特例が必要な場合のみ)、容積率の最高限度(400%以上)および最低限度、建ぺい率の最高限度、壁面の位置の制限等を定める一方、
2.都市計画による用途制限、容積率制限、斜線制限高度地区による高さ制限日影規制について適用を除外することとされている。

都市施設

都市施設とは、道路、公園、上下水道など都市において必要となる公共的な施設のことである。

1.都市施設の種類
都市計画法では、都市施設として、次の11種類の施設を定めている(都市計画法第11条1項)。
1)道路、都市高速鉄道、駐車場、自動車ターミナルその他の交通施設
2)公園、緑地、広場、墓園その他の公共空地
3)水道、電気供給施設、ガス供給施設、下水道、汚物処理場、ごみ焼却場その他の供給施設または処理施設
4)河川、運河その他の水路
5)学校、図書館、研究施設その他の教育文化施設
6)病院、保育所その他の医療施設または社会福祉施設
7)市場、と畜場または火葬場
8)一団地(50戸以上)の住宅施設
9)一団地の官公庁施設
10)流通業務団地
11)電気通信事業用の施設その他(施行令第5条)

2.都市施設を定める基準
都市施設を都市計画で決定する際には、次の基準が設けられている。
1)市街化区域区域区分が定められていない都市計画区域(いわゆる非線引き区域)では、必ず、道路、公園、下水道を定めなければならない(都市計画法第13条第1項第11号)。
2)住居系の用途地域内では、必ず義務教育施設を定めなければならない(都市計画法第13条第1項第11号)。ちなみに住居系の用途地域とは、第一種低層住居専用地域第二種低層住居専用地域第一種中高層住居専用地域第二種中高層住居専用地域第一種住居地域第二種住居地域準住居地域を指す。
3)都市施設は原則として都市計画区域内で定めるが、特に必要があるときは、都市計画区域の外で定めることもできる(都市計画法第11条第1項)。

3.都市施設を定める主体
都市施設を都市計画として決定する主体は、原則として「市町村」である。ただし、広域的見地から決定すべき都市施設、根幹的都市施設については「都道府県」が決定主体となる。
具体的には、国道、都道府県道、4車線以上の道路、流域下水道、産業廃棄物処理施設等は「都道府県」が決定する(都市計画法第15条第1項第5号、同施行令第9条第2項)。

4.建築の制限
都市計画として決定された都市施設(これを「都市計画施設」という)の区域では、都市施設を実際に整備する事業が進行するので、その整備の事業の妨げになるような建物の建築は厳しく制限される(詳しくは都市計画施設の区域内の制限へ)。

5.施行予定者を定めるとき
「一団地の住宅施設(ただし面積が20ha以上のものに限る)」、「一団地の官公庁施設」、「流通業務団地」については、都市施設に関する都市計画で「施行予定者」を定めることが可能である(都市計画法第11条第5項)。
都市施設に「施行予定者」を定めた場合には、原則として2年以内に都市計画事業の認可を申請しなければならない(都市計画法第60条の2)。
また、いったん施行予定者を定めた以上は、施行予定者を定めないものへと計画を変更することは許されない(都市計画法第11条第6項)。

都市低炭素化促進法

都市における社会経済活動に伴って発生する二酸化炭素の排出抑制、吸収作用の保全・強化等を促進するための法律。正式には「都市の低炭素化の促進に関する法律」といい、2012(平成24)年に制定された。

この法律は、低炭素まちづくり計画の策定、集約都市開発事業樹木等管理協定、低炭素建築物の認定などについて定めている。

認定低炭素住宅は、この法律によって制度化されている。

都市農業振興基本計画

都市農業の多様な機能を発揮するための計画。都市農業振興基本法に基づいて策定された。

都市農業振興基本計画では、農産物供給、防災、良好な景観形成、国土・環境保全など都市農業の多様な機能を発揮するために、担い手の確保、土地の確保などの施策を展開することとしている。

土地利用に関係する施策としては、都市農地を「宅地化すべきもの」から都市に「あるべきもの」へと転換し計画的に保全することとし、ア)「逆線引き」や、都市計画等に「都市農地の保全」を位置付けることの検討、イ)課税の公平性などに配慮しつつ、市街化区域農地の保有に係る税負担、賃借される生産緑地等に係る相続税の納税猶予について検討することなどが記載されている。

都市法

都市空間の形成とその利用に関する規律を定める法律体系をいう。複数の法令の集合であって、「都市法」という法律が制定されているわけではない。また、具体的にどの法令が都市法を構成するかについてはいくつかの見方がある。

都市法は、近年発達してきた法分野であり、おおむね次のような法令群を含むと考えられている。

第一は、都市計画法建築基準法などのような、主として都市空間の形成を公共的にコントロールするための法令群である。この分野には、街路等の都市施設市街地再開発事業等の都市整備事業などに関する法令、都市景観の保全、都市の低炭素化等の都市環境に関する法令なども含まれる。

第二の分野は、都市活動を主として空間利用の視点からコントロールするための法令群である。住宅の供給・取引、建物管理、都市交通などに関する法令がこれに該当する。不動産に関する法令の多くや民法の相隣関係規定などもこの分野に含まれる。

第三の分野は、都市自治に関する法令群である。たとえば、市民参加、コミュニティ活動、安全確保などのような、都市に特有の公共性を律するための法令であり、地方自治制度と密接な関係にある。もっとも、この分野は都市空間との関係に濃淡があって、都市法に含めない考え方もある。

なお、歴史学(特に法制史)においては、「都市法」は、中世ヨーロッパの自治都市において発達した都市の特権や都市統治に関する法制度をさす用語であることに注意が必要である。

都市防災

都市が被る自然災害(火災、震災、水災害、土砂災害など)を防止・軽減するための対応策。

都市防災は、i)都市が置かれた自然条件、社会状況、空間構造などの固有性を基礎に構築・実施されること、ii)対応のレベルが建築物、地区、地域のように重層的であること、iii)各種の災害を総合的に捉えて計画的に対応することが特徴である。

都市防災のために必要な措置は、(1)災害発生原因の除去、(2)建物構造、土地利用等の適正化による安全の確保、(3)発生時における被害者救済と緊急措置の実施、(4)迅速で的確な復旧・復興であるとされる。これらの措置は、たとえば「防災都市づくり計画」のような形で体系化し、公表されていることが多い。また、都市計画に組み込まれる措置もある。

都市防災を計画的に進める場合には、被害の想定と危険度の判定、目標の設定、対応計画の策定、計画の着実な実施のような手順を経ることとなる。このとき、災害に強い都市構造の実現を目指す対応策として、土地利用の規制・誘導、密集市街地整備事業等が有効であると考えられている。

土地利用に着目した対応策としては、例えば、レッドゾーン(災害危険区域・土砂災害特別警戒区域・地すべり防止区域・急傾斜地崩壊危険区域)を指定し、住宅等の建築や開発行為等を規制する、イエローゾーン(浸水想定区域・土砂災害警戒区域・都市洪水想定区域等)を指定し、区域内の警戒避難体制の整備等を求めるなどがある。

都市防災の内容は、大災害の発生などを契機に、広範で包括的なものに変わってきている。はじめは防火・不燃化に重点を置いたものであったが、阪神・淡路大震災以降は耐震化も重要視されるようになった。そして近年は、水災害等への対応も加わって、避難や復興を含んだ総合的な政策となっている。

都市緑地法

都市における緑地の保全や緑化の推進のための仕組みを定めた法律。

1973(昭和48)年に「都市緑地保全法」として制定され、2006年にその内容が大幅に改正されて現在の名称となった。

規定されている主な制度として、緑地の保全および緑化の推進に関する基本計画、緑地保全地域緑化地域緑地協定などがある。

都心居住

都市の中心部に居住空間を確保することをいう。対意語は「郊外居住」。

都心居住の効果として、

1.職住が近接した生活の実現
2.都市中心部への都市機能の集約
3.都市中心部の未利用地の活用
4.都市コミュニティの復活

などが期待されている。

都心居住推進のためには、賃貸住宅を含めた多様な住宅の供給、居住機能の充実を図るための既成市街地の整備(遊休土地の活用、防災・安全性の向上等)や福祉等の機能確保などが必要であると考えられている。また、都心居住の推進は、コンパクトシティを実現する中心的な手法の一つでもある。

トタン屋根

トタンで葺いた屋根。荷重が小さく、比較的安価で、施工が容易である。一方で、耐久性、防音性、断熱性に難があるとされる。

「トタン」は、亜鉛メッキ鋼板の俗称で、鋼板に亜鉛を鍍金して錆びにくくした建材である。屋根材として用いるときには、通常、トタンの表面をさらに塗装する。

なお、金属で葺いた屋根を「金属屋根」といい、トタンのほか、ガルバリウム鋼板、ステンレス、銅板などが使われている。

土地開発公社

公有地の取得、造成、管理等を行なうために、地方公共団体が出資し設立した公法人。「公有地の拡大の推進に関する法律」に基づいて設立、運営される。

土地開発公社は、土地の先買いにおける買取主体としての役割を担うほか、公共事業用地の先行的取得などの業務を行なっている。また、資金調達の際に、地方公共団体の債務保証を受けることができる。

公社が取得した土地は、公共的な用途のために譲渡されるが、このとき、譲渡価額は、原則として買収価額に資金コスト等を加えた額を上回る必要がある。従って、経営上、地価変動による影響を直接に受けやすい。

土地家屋調査士

不動産の表示に関する登記の専門家。
不動産登記簿の「表題部」に登記すべき事項について登記申請を代理し、また土地の測量・家屋の調査を行なう。

具体的には、土地分筆登記、土地合筆登記地目変更登記、地積更正登記、建物を新築した際の建物表示登記などの登記申請を代理し、これらの登記の前提としての現況調査・測量・土地の境界確定の立会い等も行なう。

土地価格等縦覧帳簿

土地課税台帳等に登録され固定資産税を課することができる土地について、固定資産税に係る価格などを記載した帳簿。市町村長が、毎年3月31日までに作成する。

土地価格等縦覧帳簿に記載されるのは、土地の所在、地番地目地積および当該年度の固定資産税に係る価格である。

土地価格等縦覧帳簿は、毎年、一定の期間、当該市町村内に所在する土地に対して課する固定資産税の納税者の縦覧に供される。

土地活用

所有する土地を一定の目的で有効に利用すること。その形態は多様で、特に定まってはいない。また、未利用地に限らず、現に利用している土地についても土地活用の対象となることがある。

土地活用の方法は、土地をそのまま賃貸して地代を得る方法と、土地に建物等を建設して収益を得る方法に大別される。前者は、初期費用は不要だが一般に収益性は低く、後者は、初期費用が必要になるなど事業性を帯びる場合が多い。

例えば、集合住宅を建設して賃貸する、貸駐車場にして経営する、店舗用地として賃貸する、老人ホーム等を建設しその施設を運営業者に貸すなどは、いずれも土地活用の例である。

土地活用に当たっては、目的を明確にしたうえで、土地利用規制を確認し、立地や環境に関する調査を行ない、事業性を評価するなど、活用の可能性や有効性について十分に検討する必要がある。

土地区画整理組合

土地区画整理事業を行なう事業主体になることができるのは、個人、土地区画整理組合、都道府県、市町村、国土交通大臣、都市基盤整備公団等に限定されている(土地区画整理法第3条)。
このうち、土地区画整理組合とは、土地区画整理事業の施行される区域内の宅地所有者と借地権者が組合員となる組合であり、都道府県知事の認可によって設立される。

この土地区画整理組合を設立するには、区域内の宅地所有者と借地権者のそれぞれ3分の2以上が事業計画に同意することが必要である(土地区画整理法第18・19条)。

しかし、この土地区画整理組合がいったん設立されると、事業計画に同意した所有者・借地権者だけでなく、事業計画に反対した所有者・借地権者も強制的に組合員とされる(いわゆる強制加入方式:土地区画整理法第25条)。

このように土地区画整理組合を設立することで、区画整理を迅速に実施できる仕組みとなっている。

土地区画整理士

土地区画整理事業に関する専門的な知識・能力についての技術検定に合格することによって得る資格。土地区画整理法に基づいて定められた国家資格である。技術検定は、国土交通大臣の指定により、(一財)全国建設研修センターが実施している。

土地区画整理士は、土地区画整理事業の専門家として、事業の推進について中心的な役割を担っている。

土地区画整理事業

市街地を面的に整備するために、土地の区画形質の変更や公共施設の整備を行なう事業の一つで、土地区画整理法に従って実施されるものをいう。

この事業の実施によって、例えば、不整形な土地や袋地が解消され、道路や公園が整備されることとなる。

土地区画整理事業の特徴は、

1.権利変換による土地の交換・分合(換地)という手法を採用すること
2.新たに必要となる公共用地を土地所有者が平等に提供するという仕組み(減歩)によって生み出すこと

である。

また、事業によって宅地の評価が増価するが、その一部を事業に充てるという受益者負担の考え方が取り入れられていることも大きな特徴である。

日本においては、農地から市街地への土地利用の計画的な転換、大震災後の市街地復興、街路網の整備などの手法として多用されてきた。

土地区画整理法

土地区画整理事業を実施するために必要な事項を定めた法律で、1954(昭和29)年に制定された。この法律制定以前は、土地区画整理事業は、旧都市計画法または特別都市計画法の規定によって実施されていた(「土地区画整理事業」についての詳細は、当該用語を参照)。

土地区画整理法には、

1.個人施行者、土地区画整理組合など事業施行者の要件等
2.事業計画
3.事業に伴う権利制限、損失補償等
4.換地処分その他の権利調整等の手続き

などが規定されている。

土地再評価法

金融機関・一定の要件を満たす株式会社・上場会社について、棚卸資産を除く事業用の土地の全部(建物は対象外)を再評価し、その土地評価益(または土地評価損)を貸借対照表に計上することを可能にした法律。正式名称は「土地の再評価に関する法律」。

土地再評価法は、1998(平成10)年3月に議員立法で3年間の時限立法として成立し、2001(平成13)年3月に期限を約1年延長され、2002(平成14)年3月31日まで適用されていた。

この土地再評価法では、金融機関や会社が所有する事業用の土地を「すべて」再評価することが必要とされており、個々の土地の評価損・評価益を合計したものが、貸借対照表に計上される。

その際、全体を合計した評価益(または評価損)は、当期利益には計上されない。従って、仮に多額の評価益が発生したとしても、再評価を行なった年度については評価益にかかる実際の税負担は発生しない。

このように土地再評価法は、主に金融機関や事業会社の資本を貸借対照表上で増強することに狙いがあり、金融機関や業歴の長い上場事業会社・上場不動産会社を中心に、1,000社以上がこの法律にもとづく土地再評価を実施し、資本の増強を実現した。

この法律にもとづき、事業用土地の全体について評価益が発生した場合、貸借対照表では、資産の部では「土地」の価額を増額し、資本の部には「再評価差額金」を計上する。
また、負債の部には「繰延税金負債」が計上される。この「繰延税金負債」とは、事業用土地を将来売却した場合に発生するであろう税負担の見込み額のことであり、将来の土地売却に備えて先取りして計上するものである。

例えば、ある会社の事業用土地全部の過去の取得価額の合計が100億円、再評価した場合の事業用土地全部の評価額が150億円、評価益に対する税率(見込み)が40%であるとすると、次の項目が貸借対照表に新たに計上されることとなる。

資産の部:土地50億円(土地の再評価による評価益)
負債の部:繰延税金負債20億円(50億円×40%)
資本の部:再評価差額金30億円(50億円×60%)

このようにして再評価による評価益のうち30億円が資本に計上され、資本が増強されるのである。

土地再評価法において土地を再評価する場合には、土地の「時価」をどのように算出するかが問題となるが、再評価の方法は政令により各金融機関・会社が次のいずれかのうちから選択できるものとされていた。

1.近隣の地価公示価格に合理的な調整を行なって算定する方法
2.近隣の都道府県基準地価格に合理的な調整を行なって算定する方法
3.固定資産税評価額に合理的な調整を行なって算定する方法
4.路線価(地価税法の時価)に合理的な調整を行なって算定する方法
5.不動産鑑定士等が行なう鑑定評価による方法

なお、土地再評価を行なった金融機関・会社についても、2005年度から減損会計が適用される予定であるので、減損会計により事業用土地の評価額の切下げが必要となった場合には、再評価後の土地価額を基準として評価額の切下げが実施されることとなる(「減損会計」「投資不動産」参照)。

土地収用

公共の利益となる事業の用に供するため土地を必要とする場合において、その土地を収用(所有権などを強制的に取得すること)、または使用することをいう。

そのための要件、手続等やそれに伴う損失の補償などについて規定するのが「土地収用法」である。

土地収用の手続きは、大きく二つに分かれる。

第一は、事業の認定であり、当該事業が土地収用することのできる事業であると認められるための手続きである。事業の認定は、事業を行なおうとする者(起業者)の申請によって国土交通大臣または都道府県知事が行なうが、認定を得るには、

1.事業の内容が法律で定められた収用適格事業であること

2.起業者が事業を遂行する十分な意思と能力を有すること

3.事業計画が土地の適性かつ合理的利用に寄与すること

4.土地を収用、使用する公益上の必要があること

という要件を満たさなければならない。

第二は、収用の裁決であり、実際に収用または使用するための手続きである。原則として起業者の申請によって都道府県の収用委員会が裁決(審査して決定)する。これによって、起業者は土地を収用または使用する法的な地位を得るとともに、損失の補償額が決定される。

なお、実際には、大部分の土地取得は、起業者と土地所有者等との任意の交渉(用地交渉)によって行なわれる。

土地使用権の設定(所有者不明土地に対する〜)

所有者不明土地のうち、現に建築物がなく、業務の用その他の特別の用途に供されていない土地(特定所有者不明土地)に対して、一定期間、その土地を使用する権利を設定することをいう。

土地使用権は、地域福利増進事業を実施する者が都道府県知事の裁定を得て設定する。この場合、都道府県知事は、裁定に当たって関係市町村長の意見を聴かなければならない。裁定で定められた補償金は、供託される。

土地使用権が設定された特定所有者不明土地について、これに関するその他の権利は、設定した事業者がその土地等を使用するために必要な限度において行使が制限される。また、土地使用権の存続期間は事業実施に必要な期間で10年を超えることはできないが、裁定によって延長することができる。

土地総合情報システム

不動産の取引価格及び地価公示都道府県地価調査に関する情報を検索・閲覧できる国土交通省のWEBサイト(URL:http://www.land.mlit.go.jp/webland/)。

土地総合情報システムは、国土交通省土地・建設産業局が、安定的な不動産投資の促進、不動産市場の活性化、安心・安全な不動産取引のために、土地に関する情報を把握し提供すべく運用しているサイトである(2006年4月に運用開始、2014年8月にシステム大幅更新)。

取引価格情報は、不動産の取引当事者を対象にアンケート調査を実施し、その結果得られた回答などについて物件が容易に特定できないよう加工した上で公表されていて、土地所在地の住所、地図、航空写真から検索することができる。公表されている情報は、取引総額、面積、土地の形状、前面道路都市計画制限、取引時期等である。

取引価格情報の利用に当たっては、アンケート調査の結果であることに留意しなければならない。

また、地価公示・都道府県地価調査の情報は、公示や調査の地点が地図とリンクされ、地点を選択することによってその詳細なデータを得ることができる。

地価公示価格及び都道府県地価調査価格は、不動産鑑定評価に基づく価格である。

土地台帳付属地図

登記所に備え付けられている「公図」の正式名称。

公図は本来、明治初期に行なわれた租税徴収のための簡易な土地測量図が原型になっているといわれている。その後1892(明治25)年に「土地台帳付属地図」という名称が付けられ、それ以降、登記所が保管してきた。このような歴史から分かるように、名前は「おおやけの地図」であっても、実際には明治時代の未熟な測量技術で作成された「土地台帳付属地図」をそのまま使用しているので、土地の形状や土地同士の位置関係が誤っていることが少なくない。

そこで、政府は正しい土地の地図を作成するために、1951(昭和26)年以降、国土調査法に基づいて全国各地で「地籍調査」を実施している。この地籍調査は土地の形状や土地同士の位置関係を最新の技術で測量する調査であり、こうして作られた正確な地図は登記所に送付され、これも「公図」として一般に閲覧されている。

従って、一口に「公図」といっても、明治時代に作られた不正確なものと、1951(昭和26)年以降に作られた極めて正確なものという2種類が存在していることになる。
しかも、地籍調査は都道府県や市町村が主導して行なっているが、市街地では調査が非常に困難であるため、市街地での地積調査は現在でもほとんど進行していない。このため、市街地を管轄する登記所には、明治時代に作られた不正確な公図が備え付けられていることが非常に多いのである。

このため、土地の売買にあたっては公図のみを信頼するべきではないといわれている。
ちなみに昭和34年以降は、土地の表示登記分筆登記を申請する際に、「地積測量図」の添付が義務化されたので、もし対象となる土地に「地積測量図」がすでに存在しているのならば、この「地積測量図」を登記所で閲覧することが望ましい。

土地賃借権

土地賃貸借契約にもとづいて、土地を賃借する権利のこと。

土地賃借権と地上権はよく似ているが、次のような違いがある。

1.土地賃借権は債権だが、地上権は物権である
2.土地賃借権は、土地所有者の承諾を得なければ、他人に譲渡することができない。
3.土地賃借権は、ほとんどの場合、土地登記簿に登記されない。

土地登記簿

一筆の土地ごとに作成される登記記録のこと。

土地の区画形質の変更

都市計画法における開発許可の対象となる宅地造成等のこと。

1.趣旨
都市計画法では、無秩序な開発を規制するために開発許可の制度を設けているが、その開発許可の対象となるのが、「土地の区画形質の変更」である。
「土地の区画形質の変更」とは、宅地造成だけでなく、道路の新設などを伴う土地区画の変更、農地から宅地への変更などを含む広い概念である。ただし、建築確認をうけた建築工事に伴って掘削や基礎打ちをすることは含まれない。

2.具体的な内容
「土地の区画形質の変更」の具体的な運用は、各自治体の条例などで定められているが、一般的には「土地の区画形質の変更」には次の3種類の行為が含まれると解釈されている。
1)土地の「区画」の変更
土地の区画を形成する公共施設(道路・水路など)を新設・廃止・移動することにより、土地の「区画」を変更すること。
2)土地の「形」の変更
土地の盛土・切土により、土地の形状を変更すること。
3)土地の「質」の変更
宅地以外の土地(農地・山林など)を、宅地にすること。

単に土地登記簿上で土地を合筆もしくは分筆することは、 「土地の区画形質の変更」には含まれない。また、建築工事と一体と認められる基礎打ちおよび土地の掘削も「土地の区画形質の変更」には含まれない。

「土地の区画形質の変更」の具体的な運用は、各自治体の「開発指導要綱」で定められている場合が多い。また各自治体の条例で定める場合もある。

土地の先買い

土地が譲渡されるときに、当該土地について優先的に買取の協議を行なうしくみ。「公有地の拡大の推進に関する法律」に基づいて定められている。

土地の先買いには、2つの種類がある。

1)届出によるもの
次の土地を有償で譲渡しようとする場合に、譲渡日の3週間前までに市区町村長に届け出て、買取を希望する公共的な団体と買取の協議をする。

① 都市計画施設等および生産緑地地区の区域内の土地、道路の区域として決定された区域の土地などで、面積200平方メートル以上のもの
② 市街化区域内または「大都市地域における宅地開発および鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法」の重点地域内の土地で、面積5,000平方メートル以上のもの
③ 都市計画区域内の土地(②および市街化調整区域内の土地を除く)で、面積10,000平方メートル以上のもの

2)申出によるもの
次の土地について、市区町村長に買取希望を申し出て、公共的な団体と買取の協議をする。

① 市街化区域内の土地で、面積100平方メートル以上のもの
② 市街化区域以外の都市計画区域内の土地で、面積200平方メートル以上のもの
③ 「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律」の防災再開発促進地区内の土地で、面積50平方メートル以上のもの

届出または申出をしたときには、買い取らない旨の通知があるまで、または、買取協議の通知があった日から3週間を経過する日までは、先買い対象の土地を譲渡してはならないとされている。また、買取協議において売買契約を締結するするかどうかは任意である。

土地の先買いを行なうことのできる公共的な団体として、地方公共団体のほか、住宅供給公社、土地開発公社、都市再生機構などが定められている。

土地の試掘等の許可(土地収用法における~)

土地収用法において、事業認定申請書を提出する以前に、収用者(起業者)は、都道府県知事の許可にもとづいて、他人の占有する土地に立ち入ることができる。この都道府県知事の許可を立入の許可という。

この立入の許可を受けた起業者(またはその委任を受けた者)が、当該土地の試掘等を行なおうとする場合に、土地所有者等の同意が得ることができないときは、土地の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けて当該土地に試掘等を行なうことができる。これを「土地の試掘等の許可」という(土地収用法第11条)。

この許可によって、試掘等を行なおうとする者は、試掘等を行なおうとする日の3日前までに、所有者および占有者に通知しなければならない。

土地の保全義務

土地収用法では、収用手続が公益上必要やむを得ないものであることを大臣・知事が認定する手続を「事業認定」という(土地収用法第16条)。

この事業認定がなされた旨の告示(事業認定の告示)の日からは、事業を施行する土地(起業地)についての土地の形質の変更を行なうことが原則的にできなくなる(土地収用法第28条の3第1項)。これを「土地の保全義務」という。

この土地の保全義務により、何人といえども、事業認定の告示の日以降は、起業地について明らかに事業に支障を及ぼすような形質の変更をしてはならないとされる。

ただし、「都道府県知事の許可を受けたとき」はこの限りでない。
この知事の許可には、

1.土地の形質の変更について起業者の同意がある
2.土地の形質の変更が災害の防止その他正当な理由に基づき必要があると認められる

という要件のいずれかを満たすときに許可するものとされている(土地収用法第28条の3)。

土地利用基本計画

都道府県が定める土地利用に関する計画。

土地利用基本計画では、都市地域、農業地域、森林地域、自然公園地域、自然保全地域の5種類の地域区域が行なわれる。
土地利用基本計画は、知事が市町村長の意見を聴き、国土交通大臣の同意を得て作成するととされている(国土利用計画法第9条)。

土地利用審査会

国土利用計画法第39条に従って都道府県に設置される有識者7名からなる委員会。

規制区域の指定を事後承認すること、注視区域監視区域の指定について知事に意見を述べるという役割がある(国土利用計画法第12条・第27条の3・第27条の6)。

また、規制区域内の土地取引の許可、注視区域・監視区域での勧告について意見を述べるなどの権限も持ち、国土利用計画法による土地取引の規制において実質的に大きな権限を有している(国土利用計画法第16条・第27条の5・第27条の8)。

土地・家屋価格等縦覧帳簿の縦覧

土地価格等縦覧帳簿または家屋価格等縦覧帳簿を縦覧に供する制度。固定資産税の納税者が、納付すべき当該年度の固定資産税に係る土地・家屋について固定資産台帳に登録された価格と、当該土地・家屋が所在する市町村内の他の土地・家屋の価格とを比較することができるようにするための制度である。地方税法の規定による。

縦覧できるのは、当該市町村内に所在する土地・家屋に対して課する固定資産税の納税者である。縦覧期間は、毎年4月1~20日または当該年度の最初の納期限の日のいずれか遅い日以後の日までの間で、縦覧場所は市町村長が指定する。

トップライト

天窓ともいう。

屋根に設けられる窓のこと。天井からの採光のために作られる。
壁面の窓に比べて、3倍の採光効果があるとされている。

都道府県自然環境保全区域

都道府県は、自然環境を保全する必要性が特に必要な地域を「都道府県自然環境保全地域」に指定することができる(自然環境保全法第45条)。
「都道府県自然環境保全地域」は自然公園の区域を含まない。

「都道府県自然環境保全地域」に指定されると、建築物の建築、工作物の建築、宅地造成、海底の形状変更、土石採取、特別地区内の河川湖沼の水位・水量に影響を及ぼすような行為をする場合には、30日以上前に知事へ届出をすることが必要となる。

都道府県地価調査

都道府県地価調査は、国土利用計画法による土地取引の規制を適正に実施するため、国土利用計画法施行令第9条にもとづき、都道府県知事が毎年9月下旬に公表する土地評価である。

評価の対象となるのは全国の約2万地点の「基準地」である。都道府県地価調査では、毎年7月1日を基準日として各基準地につき1名以上の不動産鑑定士等の鑑定評価を求め、これを審査・調整し、毎年9月下旬に公報する。この公報された価格を「基準地価」という。

このように都道府県地価調査は、地価公示から半年後の地価を評価するものであるので、地価の変動を速報し、地価公示を補完する役割を担っている。

都道府県立自然公園

都道府県は、傑出した自然の風景地(海中を含む)を「都道府県立自然公園」に指定することができる(自然公園法第41条)。

「都道府県立自然公園」に指定されると、建築物の建築、工作物の建築、宅地造成、海底の形状変更、土石採取、特別地区内の河川湖沼の水位・水量に影響を及ぼすような行為をする場合には、30日以上前に知事へ届出をすることが必要となる。

届出対象区域(特定大規模災害復興における~)

異常で激甚な非常災害によって被災した地域においては、復興計画に基づき復興を図るための事業(復興整備事業)が実施されるが、その事業区域のうち一定の行為をなす場合に届出義務が課される区域をいう。「大規模災害からの復興に関する法律」に基づき被災市町村が指定し、公示される。

届け出なければならないのは、届出対象区域内における土地の区画形質の変更建築物などの工作物の新築、改築又は増築等であり、着手30日前までに届け出なければならない。この場合に、復興整備事業の実施に支障となる恐れがあるときは、届出行為に関して設計の変更などが勧告されることがある。

届出対象区域における届出義務は、宅地建物取引の営業における重要事項説明の対象とされている。

建設工事において、高所作業に携わる職人。鉄骨の組み立て、足場の組み立て、杭打ち、矢板打ちなどを担当する。また、建設作業のための仮設の設置を担当することなどから、各種作業の段取りを取りまとめる役割を担うことが多い。    

戸袋

雨戸を開けた際、収納するための造作物のこと。

徒歩所要時間の表示

不動産広告における距離の表示方法の一つで、一定の規則にもとづいて算出した主要施設から広告物件までの徒歩による所要時間をいう。

不動産の表示に関する公正競争規約では、実際のものよりも短いと誤認されるおそれのある表示を禁止しており、徒歩による所要時間は、道路距離80mにつき1分を要するものとし、1分未満は切り上げて算出すべきとされている。また、信号待ちや坂道、歩道橋等による影響は考慮しないのが通例である。

なお、主要施設としては、鉄道駅、最寄のバス停留所、学校などを用いることが多い。

トラス構造

部材を三角形を基本としてピンで結合した構造をいう。ピン結合であるため部材を曲げる力(モーメント)が発生せず、三角形を基本とするため形が安定するという特徴がある。
小屋組、トラス橋、鉄塔は、トラス構造による典型的な構築物である。また、軽量で曲げに強い構造を実現できるため、三次元構造によるドームや耐震化のための補強手法など、幅広く活用されている。

トラックバース

物流施設において、倉庫との間で荷物の積み下ろしをするためにトラックを接車するスペース。英語のtruck berth。

なお、バースは、一般に港湾内で船舶が安全に停泊できる場所を指す言葉として使われている。

トラップ

水により管路中の空気の流通を遮断することを水封というが、この水封により汚染物質の流入を阻止するための器具をトラップという。

下水や排水管などから悪臭や汚染された空気が逆流するのを防ぐため、管部をS型、P型、U型などに曲げて使う。防臭弁ともいう。

トランクルーム

分譲マンションにおいて、区分所有者が利用するために、各住戸とは別に設置された小型の倉庫のこと。

区分所有者が各住戸を購入する際に、同時にトランクルームを購入する場合もあれば、区分所有者はトランクルームを所有せず、毎月使用料を支払う場合もある。

トリクロロエチレン

揮発性有機化合物の一つ。金属や機械部品の洗浄剤として非常に多用されており、精密機械工場などでの土壌汚染の主犯となることが多い。比重が1.4と水より重いため、土壌中に漏れ出した場合は、長く土壌中に残留し、広汎な地下水汚染を起こす傾向がある。
土壌汚染対策法では、このトリクロロエチレンを特定有害物質に指定し、トリクロロエチレンによる土壌汚染を規制している。

取消し

一定の法律行為を遡って無効にすることをいう。

行為が取り消されると、その行為は初めから効果がなかったとみなされる。

取消しが認められる行為は、制限能力者未成年者成年被後見人被保佐人・被補助者)の行為や、詐欺強迫によってした意思表示であり、取り消しできる者は本人等に限定される。行為が取消されると、例えば売買契約は無効であるから、目的物の取得や代金の収受は不当利得となり、返還の義務が生じる。この場合、制限能力者については、現に利益を受ける限度で返還すればよい(すでに費消したものなど、もはや現に利益をもたらしていないものは返さなくてよい)とされる。また、取消しの効果は第三者に対抗できる。ただし、詐欺による取消しについては善意の第三者には対抗できない。

なお、取り消すことのできる行為については、追認によって行為を有効に確定することができる。取消権は、追認をすることができるときから5年間行使しないとき、または行為の時から20年を経過したときは、時効によって消滅する。

「取消し」に対して、行為のときに遡らない無効の意思表示を「撤回」と呼んで区別する。

取下(不動産登記における~)

不動産登記の申請後において、申請情報・添付情報に不備があったことが判明した場合に、登記官は、申請人に電話等で連絡して不備を直すように指示することができる。このようにして申請後に申請人が不備を直すことを「補正」という。
申請人がこの「補正」ができなかった場合には、申請人は不動産登記申請自体を撤回することができる。これを「取下」という。

申請人が取下を希望する場合、オンライン申請の場合には、取下もオンラインで行なうこととされている(窓口に出頭しても取下できない)。
書面申請の場合には、登記所の窓口に出頭して取下をすることとされている。
なお、郵送申請の場合には、取下を郵送ですることはできず、必ず登記所の窓口に出頭して取下する必要がある。

取締規定

行政上の目的から、一定の行為を禁止し、または制限する規定のこと。

例えば、営業免許を受けないタクシー営業を禁止する道路運送法の規定は取締規定である。
取締規定は本来、行政上の目的にもとづくものであるので、取締規定に違反したとしても、行政上の罰則の対象とはなるが、契約の効力までが否定されるものではない。従って、営業免許を受けないタクシー営業であっても、運賃の請求は認められる(判例)。

しかしながら、取締規定であっても、それに違反する契約の効力が否定される場合もある。これは危険物の取締のように、契約の効力を無効とすることが取締上必要とされる場合である。

取次

私法上の概念で、自己の名をもって、他人のために(経済的な効果が他人に帰属するように)法律行為をなすことを引き受ける行為をいう。商行為の一つで、問屋(物品の売買を行なう)や運送取扱人(物品の運搬を行なう)はこれに該当する。また、取次契約役務提供型契約である。

取次の法律的な性格は、代理や委任に類似するが、一定の場合には自らが取引の相手になること(介入権)が認められていること、問屋においては自ら債務を履行する義務を負うこと、運送取扱人においては運送品滅失等について損害賠償責任を負うことなどの特徴がある。

取引一任代理等

宅地建物の取引の代理媒介において、取引の判断を一任され、それにもとづき取引の代理・媒介を行なうことをいう。

宅地建物取引業者が取引を代理・媒介する場合には、原則として取引案件ごとに代理・媒介契約を締結しなければならないため、取引一任代理等をなすことはできない。

しかしながら、不動産の証券化などに伴う、投資法人や信託財産受託会社からの資産運用の受託、特定目的会社や受託信託会社からの取引代理・媒介業務の受託については、その業務の円滑実施のため、国土交通大臣から取引一任代理等の認可を受ければ、個別の媒介契約は締結しなくてもよいとされている(取引一任代理等に係る特例)。

取引士証

宅地建物取引士証」の略称。

都道府県知事の行なう宅地建物取引士資格試験に合格し、都道府県知事の登録を受けた者は、登録をしている都道府県知事に対して申請することにより、宅地建物取引士証の交付を受けることができる(宅地建物取引業法第22条の2)。

宅地建物取引士証は顔写真付のカードであり、氏名、住所、生年月日、有効期間の満了する日等が記載されている。
有効期間は5年であり、申請により更新することができる(宅地建物取引業法第22条の3)。

取引士証の交付を受ける際に、取引士証の交付を申請する日が宅地建物取引士資格試験に合格した日から1年を超えている場合には、「法定講習」を受講する義務が生じるので注意が必要である(宅地建物取引業法第22条の2第2項)。

取引時確認

マネー・ロンダリングを防止するために、犯罪収益移転防止法に基づき、特定の事業者が取引する場合に実施が義務づけられている確認行為をいう。宅地建物取引業者も、宅地建物売買契約の締結またはその代理若しくは媒介をする場合には、取引時確認を実施しなければならない。

確認事項は、顧客の区分に応じて、本人特定事項、取引を行なう目的、職業または事業の内容、実質的支配者の全部または一部であり、確認の方法についても定められている。また、マネー・ロンダリングを防止する上で特に留意すべき取引(ハイリスク取引、「マネー・ロンダリング」を参照)においては、より厳格な確認が必要である。

なお、あわせて、本人確認記録の作成・保存、取引記録の作成・保存、疑わしい取引の届出も実施しなければならないとされている。

取引所(不動産の~)

取引が、確実、公平、透明になされるための機能を備えた組織が取引所である。取引所を通じた取引を「取引所取引」といい、そうではなく当事者が直接に交渉して行なうものを「相対取引」という。

不動産の取引は、そのための取引所が存在しないためすべて相対取引によって行なわれている。しかし、不動産流通業に対する信頼を確保・向上するために、取引所に類似する機能を発揮する仕組みが必要であるとして、その実現に向けた取組みが検討されている。

取引所の中心的な役割は、売り注文と買い注文とを突き合わせて取引を成立させ、決済させること(このような行為を「市場の開設」という)である。そしてそのためには、

1.継続的で大量な取引の場の提供(取引注文を集中することによって、注文の突合せを容易に行なうことを可能にする)
2.公正な価格形成(注文を公正・公平に突き合わせることによって、取引価格を形成する)
3.取引情報の公開(取引に関する情報を集約し、取引の透明性を維持するとともに市況等を的確に社会に伝える)
4.取引の監視(取引ルールを明定し、取引の公正さ等を監視し、取引紛争について審査・判定する)

という機能を確保しなければならない。

個別性が高く、個人情報と密着した不動産取引については、銘柄取引などができないため、このような取引所の機能を実現することは難しいと考えられてきた。しかし、不動産情報システムの整備・充実によって、不動産取引についても、取引所に類似した機能(ただし限定的である)を備える組織の整備が考えられるようになってきている。

取引事例比較法

不動産鑑定評価において、多数の不動産の取引事例をベースとして、対象不動産の価格を求める手法のこと。

取引事例比較法では、まず多数の取引事例を収集して適切な事例の選択を行ない、選択した取引事例について事情補正および時点修正を行ない、さらに選択した取引事例について地域要因の比較・個別的要因の比較を行ない、こうして求められた価格を比較考量し、これによって対象不動産の試算価格を求める。このような取引事例比較法による試算価格を「比準価格」という。

取引態様

不動産広告における宅地建物取引業者の立場(取引態様)のこと。

不動産の広告を規制する「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」によれば、不動産広告を行なう際には、不動産会社の取引態様が「売主」「貸主」「媒介」 「代理」のどれに該当するかを明確に表示しなければならないとされている。

ただし、「媒介」については「仲介」という言葉でもよいこととされている(不動産の表示に関する公正競争規約第15条第1号)。

取引態様の明示

宅地建物取引業者が、取引の広告および取引の受注において、その取引態様を明示することをいう。

「取引態様」とは宅地建物の取引の形式をいい、

1.自己が契約の当事者となる(自己取引)、2.代理人として契約交渉等に当たる(代理取引)、3.媒介して契約を成立させる(媒介

の3つに分かれる。

広告および取引の受注の際にそれに明示することは、宅地建物取引業者の基本的な義務である。取引態様に応じて、宅地建物取引業者の立場は、自己取引であれば自分が売主等、代理取引であれば自分は売主等の代理人であり、媒介であれば自分は契約当事者とならない、などという重要な違いが生じるからである。

また、取引形態が変われば、速やかに明示し直さなければならない。

トルエン

溶媒として用いられる有機化合物。英語のtoluene。

トルエンは、無色透明の液体で、水には大変溶けにくいが、アルコール類、油類などには極めて溶けやすいため、ペンキ、インク、接着剤、殺菌剤などの溶媒として幅広く使われている。

常温で揮発し、引火性があるほか、人体に対して麻酔作用や中毒性があるため、取り扱いには注意が必要である。また、土壌汚染や地下水汚染の恐れもある。

トレリス

格子状の垣や柵。英語のtrellisで、「格子垣」「格子柵」ともいわれる。

木や金属の細材を組み合わせて作られ、仕切り、垣根、窓覆いなどとして用いられる。この場合、つる植物を絡めたり、植物鉢を吊ったりすることが多い。

なお、トレリスと同じ意味の用語として「ラティス(lattice)」がある。

トレーラーハウス

車輪を有する移動型住宅で、原動機を備えず牽引車により牽引されて走行できる構造のものをいう。

「トレーラーハウス」は和製英語で、このような居住形態が始まった米国では、トレーラーホーム(trailer home)、モービルホーム(mobile home)などと称されている。

トレーラーハウスは、住宅だが車両であるため、建築基準法は適用されず、不動産でもない。ただし、随時かつ任意に移動できるなど、土地の定着物とならないための条件を満たしていなければならない。例えば、給排水・ガス・電気等の配管や配線をトレーラーハウスに接続する方式が脱着式(工具を要さずに取り外すことが可能な方式)でない場合には、当該トレーラーハウスは建築基準法の建築物として取り扱われる。

独立型キッチン

他の部屋から独立して設置する調理のためのスペース。調理室。調理に伴う臭いなどが居室や食事室に波及しない一方、調理中のコミュニケーションに難があるとされる。   

独立型キッチンに対して、他の部屋と一体となった調理スペースを「オープンキッチン」という。

独立基礎

独立フーチング基礎ともいう。

主要な柱の底部に、それぞれ独立したフーチングを置いた基礎である。

土砂災害警戒区域

急傾斜地の崩壊等が発生した場合に住民等の生命または身体に危害が生ずる恐れがあると認められ、警戒避難体制を特に整備すべきとして指定される土地の区域をいう。

その指定要件、手続きなどは、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(土砂災害防止法)で定められている。

土砂災害は、急傾斜地の崩壊、土石流および地滑りによって生じるとされるが、土砂災害警戒区域については、高齢者、障害者、乳幼児等の災害時要援護者の利用する施設に対する情報伝達方法を定める、土砂災害ハザードマップを配付して周知を徹底するなど、警戒避難体制が整備される。

なお、宅地建物取引業務における重要事項説明に際しては、取引する宅地建物が土砂災害警戒区域にあるときには、その旨を説明しなければならない。

土砂災害特別警戒区域

土砂災害警戒区域のうち、急傾斜地の崩壊等が発生した場合に建築物に損壊が生じ住民等の生命または身体に著しい危害が生ずる恐れがあると認められ、開発行為の制限や建築物の構造の規制をすべきとして指定される土地の区域をいう。

その指定要件、手続きなどは、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(土砂災害防止法)で定められている。

土砂災害特別警戒区域内においては、住宅地分譲等のための開発行為(特定開発行為)について許可を要する、居室を有する建築物の建築確認について土砂災害を防止・軽減できる構造であることが必要、建築物の安全な区域への移転等の勧告・支援などの措置が講じられる。

なお、宅地建物取引業務においては、特定開発行為について許可を受けた後でなければ当該宅地の広告、売買契約の締結等をしてはならず、また、重要事項説明に際しては特定開発行為の許可に関する概要を説明しなければならない。

土壌入換え

汚染土壌について、土壌の直接摂取による健康被害の恐れがある場合における土壌汚染の除去等の措置の一つ。

土壌を掘削して地表面を低くし、法定基準に適合する状態の土壌により覆うことである。「指定区域外土壌入換え」と「指定区域内土壌入換え」という2種類の方法がある。

土壌汚染状況調査結果報告書

土壌汚染対策法に基づき土壌汚染状況調査を行なう場合には、調査の実施主体である土地所有者等は一定の期限までに都道府県知事に対して調査結果を所定の様式に基づく報告書により報告しなければならないとされている。この報告書が「土壌汚染状況調査結果報告書」である。

その内容は、使用等されていた特定有害物質の種類、調査を行なった土壌汚染調査機関の名称などである。さらにこの報告書には土壌汚染調査機関が作成した調査結果を添付する。なおこの土壌汚染状況調査結果報告書は、土壌汚染が発見されない場合でも都道府県知事に提出しなければならない。

土壌汚染状況調査結果報告書の提出期限は次のとおりである。

1.有害物質使用特定施設に係る土地の調査の場合:有害物質使用特定施設の使用廃止から120日以内
2.健康被害が生ずる恐れのある土地の調査の場合:都道府県知事が定めた期限内

土壌汚染状況調査に代わる知事の確認

土壌汚染対策法は、有害物質使用特定施設の使用が廃止されたとき、その施設を設置していた工場・事業場の敷地であった土地について、土地所有者等は土壌汚染状況調査を実施しなければならないと規定している。これを「有害物質使用特定施設に係る土地の調査」という

しかしながら、都道府県知事の確認を受けた場合には、この調査を実施しなくてよいという調査義務の免除措置が設けられている。これを「土壌汚染状況調査に代わる知事の確認」という。

この都道府県知事の確認を受けることができるのは、「当該土地について予定されている利用の方法から見て土壌の特定有害物質による汚染により人の健康に係る被害が生ずる恐れがない」場合のみである。

これは具体的にはおおよそ次のような事例を指している。

1.有害物質使用特定施設に係る土地が、有害物質使用特定施設を廃止した後においても、引き続き工場・事業場の敷地として利用され、関係者以外の者が立ち入ることができない場合
2.有害物質使用特定施設を設置していた小規模な工場・事業場において、有害物質使用特定施設を廃止した後に、当該工場・事業場の事業者が当該工場・事業場の建物に居住している場合(近接して居住している場合を含む)

これらに該当する場合には、有害物質使用特定施設において使用等されていた特定有害物質の種類や、今後予定されている土地の利用の方法などを記載した確認申請書を都道府県知事に提出し、確認を申請する必要がある。

土壌汚染状況調査の実施主体

土壌汚染対策法に基づく土壌汚染状況調査を実施しなければならない者。通常は土地の所有者であるが、土地の管理および使用収益の実態等から、土地の掘削等を行なうために必要な権原を有する者が所有者ではなく管理者または占有者である場合には、当該者が実施義務を負うことになる

調査義務を負うのは、土壌汚染対策法に基づいて調査義務が発生した時点での土地所有者等である。また、調査の実務は、環境大臣または都道府県知事の指定を受けた者が、土地の所有者等の依頼を受けて行なうこととなる。

調査義務を負った実施主体が調査を実施しない場合には、都道府県知事が行政代執行法に基づいて調査を実施し、調査費用を実施主体に負担させることとなる。また、健康被害が生ずる恐れのある土地の調査に関しては、所有権の帰属に争いがある等の調査を命令すべき者を確定することができない場合で、かつ調査を行なわないで放置することが著しく公益に反する場合には、都道府県知事がその土地所有者等に代わって調査を行ない、その土地所有者等に費用を負担させることができるとされている。

土壌汚染対策法ガイドライン

土壌汚染対策法に基づく実務を実施する際の参考となる手引きとして環境省が作成・公表している文書。

次の4つの種類がある。

第1編:土壌汚染対策法に基づく調査及び措置に関するガイドライン
第2編:汚染土壌の運搬に関するガイドライン
第3編:汚染土壌の処理業に関するガイドライン
第4編:指定調査機関に関するガイドライン

土壌汚染対策法ガイドラインは、土壌対策基本法による措置を実施する場合の考え方、手法、基準などについて記述されていて、地方公共団体の行政実務や事業者が措置を講じる場合の参考文書として広く利用されている。

土壌汚染対策法

土壌汚染の状況を把握し、その汚染による健康被害を防止するための法律。2002(平成14)年に制定された。その後、09(平成21)年にさらなる課題への対応のために、17(平成29)年に土壌汚染リスクの管理を適切に実施するために、それぞれ改正されている。

土壌汚染対策法で定められている主な内容は次のとおりである。

1)土壌汚染状況調査の実施
次の3種類の調査を定め、その実施を義務付ける。
i)使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る工場又は事業場の敷地であった土地の調査
ii)土壌汚染の恐れがある土地の形質の変更が行われる場合の調査
iii)土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがある土地の調査

2)区域の指定と措置の義務づけ
土壌の汚染状態が指定基準を超過した場合に次の2種類の区域を指定し、それぞれの区域について必要な措置を定める。
(1)要措置区域
土壌汚染の摂取経路があり健康被害が生じる恐れがあるため、汚染の除去等の措置が必要な区域。この区域に指定されると、健康被害を防止するために必要な措置を講じなければならない。また、土地の形質変更は原則禁止される。
(2)形質変更時要届出区域
土壌汚染の摂取経路がなく、健康被害が生じる恐れがないため、汚染の除去等の措置が不要な区域(摂取経路の遮断が行われた区域を含む)。この区域では、土地の形質変更時に都道府県知事に計画を届け出なければならない。

3)汚染土壌の搬出等に関する規制
i)要措置区域及び形質変更時要届出区域内の土壌の搬出における事前届出、計画の変更命令、運搬基準の遵守
ii)汚染土壌に係る管理票の交付及び保存の義務
iii)汚染土壌の処理業の許可制度

なお、土壌汚染の発生を防ぐための対策は、土壌汚染対策法のほか、水質汚濁防止法による有害物質を含む汚水等の地下浸透防止措置、廃棄物の処理および清掃に関する法律による有害物質を含む廃棄物の適正処分措置などによって対応が図られている。また、ダイオキシン類による汚染対策については、ダイオキシン類対策特別措置法によって別途の措置が定められている。

土壌汚染対策法に基づく指定調査機関及び指定支援法人に関する省令

土壌汚染対策法において土壌汚染状況調査を行なうことができる土壌汚染調査機関および汚染の除去等や調査を支援する法人について、その満たすべき基準等を定めた省令。2002(平成14)年に制定された。

土壌汚染調査機関はおおむね次の基準を満たす必要がある。

1.債務超過となっていないこと
2.土壌汚染状況調査の業務を適確かつ円滑に遂行するために必要な人員を確保する能力を有していること
3.次のいずれかに該当する土壌汚染状況調査の技術管理者を置いていること
1)土壌の汚染の状況の調査に関し3年以上の実務経験を有する者
2)地質調査業または建設コンサルタント業(地質または土質に係るものに限る)の技術上の管理を司る者
3)土壌の汚染の状況の調査に関し1)または2)と同等以上の知識および技術を有すると認められる者
4.土壌汚染状況調査が不公正になる恐れがないものとして次の基準に適合すること
1)特定の者を不当に差別的に取り扱うものでないこと
2)土壌汚染状況調査の実施を依頼する者との取引関係その他の利害関係の影響を受けないこと
3)そのほか、土壌汚染状況調査の公正な実施に支障を及ぼす恐れのないこと

また、汚染の除去等や調査を支援する法人は全国で一つ指定することとされ、
(公財)日本環境協会が指定されている。

土壌汚染状況調査

土壌について、人の健康に被害を生ずる恐れが大きいものとして指定された26種類の物質(特定有害物質)による汚染状況を把握するための調査。土壌汚染対策法に基づいて実施される。

土壌汚染状況調査には、実施が必要な場合に応じて次の3種類がある。

1)使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る工場または事業場の敷地であった土地の調査
2)土壌汚染の恐れがある土地の形質の変更が行なわれる場合の調査
3)土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがある土地の調査

土壌ガス調査土壌溶出量調査土壌含有量調査で構成されるが、その方法は、調査の目的、調査する特定有害物質の性質などに応じて基準が定められている。また、実施主体は土地所有者等で、調査の実施は指定調査機関が担当する。

土壌汚染調査機関

土壌汚染対策法に基づく土壌汚染状況調査の実施を担当する組織。環境大臣が指定する。法律上の正式名称は「指定調査機関」である。

土壌汚染調査機関として指定を受けるための要件は「土壌汚染対策法に基づく指定調査機関及び指定支援法人に関する省令」に定められている。主な要件は次のとおりである。

・経理的基礎:土壌汚染状況調査等の業務を適確かつ円滑に遂行するために必要な人員を確保する能力を有していることなど
・技術的能力:土壌汚染状況調査等に従事する他の者の監督に当たる技術管理者の人員が適切に配置されていること
・体制の整備:土壌汚染状況調査等の実施を依頼する者との取引関係その他の利害関係の影響を受けないことなど

土壌汚染の除去

汚染土壌について、地下水汚染を経由した健康被害の恐れがある場合、または土壌の直接摂取による健康被害の恐れがある場合における土壌汚染の除去等の措置の一つ。
汚染土壌の掘削による土壌汚染の除去」と「原位置での浄化による土壌汚染の除去」の2種類がある。

土壌汚染の除去等の措置

土壌汚染対策法に基づき指定された要措置区域において講じなければならない措置。特定有害物質による汚染の除去、汚染の拡散の防止その他の措置であって、汚染による人の健康に係る被害を防止するために実施する

土壌汚染の除去等の措置には、都道府県知事が指示する「指示措置」および土地所有者等が独自に実施する「指示措置と同等以上の効果を有すると認められる汚染の除去等の措置」がある。

これらの措置は、汚染物質の種類および基準適合の状況に応じてその方法を選択することとなる。「土壌汚染対策法ガイドライン」(環境省)によれば、その概要は図のとおりである。

(注)環境省「土壌汚染対策法ガイドライン」第1編412頁より

土壌汚染リスクの防止

土壌汚染によるリスクを防止する措置で、リスクには、地下水の摂取等によるものと、直接摂取によるものとがある。

土壌汚染対策法ガイドライン」(環境省)に示されているリスク防止の方法は、次のとおりである。

(1)地下水経由の観点からの土壌汚染がある場合
・地下水の摂取等によるリスクを防止する方法
ア 暴露管理(土壌汚染により汚染された地下水の摂取等を抑制)
イ 暴露経路遮断(基準不適合土壌に含まれる特定有害物質が周辺の地下水を汚染することの抑制)
ウ 土壌汚染の除去(基準不適合土壌中に含まれる特定有害物質の抽出・分解又は当該区域からの搬出)
・具体的な措置
1)地下水の水質の測定
2)原位置封じ込め
3)遮水工封じ込め
4)地下水汚染の拡大の防止(揚水施設、透過性地下水浄化壁)
5)基準不適合土壌の掘削による除去・原位置での浄化による除去
6)遮断工封じ込め
7)不溶化(原位置不溶化、不溶化埋め戻し)

(2)直接摂取の観点からの土壌汚染がある場合
・基準不適合土壌を直接摂取することによるリスクを防止する方法
ア 暴露管理(基準不適合土壌と人が接触する機会の抑制)
イ 暴露経路遮断(基準不適合土壌又は基準不適合土壌中に含まれる特定有害物質の移動の抑制)
ウ 土壌汚染の除去(基準不適合土壌中に含まれる特定有害物質の抽出若しくは分解又は当該土地からの搬出)
・具体的な措置
1)舗装
2)立入禁止
3)土壌入換え(区域外土壌入換え、区域内土壌入換え)
4)盛土
5)基準不適合土壌の掘削による除去・原位置での浄化による除去

土壌ガス調査

土壌汚染対策法に基づく土壌汚染状況調査の方法の一つ

土壌汚染状況調査では、まず調査対象地について、調査実施主体(土地所有者等)が容易に入手できる範囲内で入手した情報に基づいて、特定有害物質の過去の使用状況等を把握する。

その次に、特定有害物質の濃度を測定するために、特定有害物質の種類に応じて、土壌ガス調査・土壌溶出量調査・土壌含有量調査のいずれか(または複数)を実施することとされている。

このうち土壌ガス調査は、トリクロロエチレン等の全部で12種類の揮発性有機化合物第一種特定有害物質)が存在する可能性がある事例において、それらの物質の濃度を測定する調査である。調査は具体的にはおおよそ次の手順で実施される。
1.地表からおおむね80〜100cmの地中において土壌ガスを採取し、第一種特定有害物質の量を測定する。
2.土壌ガス中に一定濃度以上の第一種特定有害物質が検出された場合には、土壌汚染が存在する恐れが最も多いと認められる地点において、深さ10mまでの土壌をボーリングにより採取し、土壌溶出量を測定するという追加調査の実施が必要となる(同施行規則第7条)。

土壌含有量調査

土壌汚染対策法に基づく土壌汚染状況調査の方法の一つ。

土壌汚染状況調査では、まず調査対象地について、調査実施主体(土地所有者等)が容易に入手できる範囲内で入手した情報に基づいて、特定有害物質の過去の使用状況等を把握する。

その次に、特定有害物質の濃度を測定するために、特定有害物質の種類に応じて、土壌ガス調査土壌溶出量調査・土壌含有量調査のいずれか(または複数)を実施することとされている。

このうち土壌含有量調査は、鉛等の9種類の重金属等(第二種特定有害物質)が存在する可能性がある事例において、それらの物質の濃度を測定する調査である。

具体的にはおおよそ次の手順で実施される。
1.地表から5cmの土壌と地表から5〜50cmまでの土壌を採取し、2種類の土壌を混合する。
2.第二種特定有害物質の量を測定する。

土壌溶出量調査

土壌汚染対策法に基づく土壌汚染状況調査の方法の一つ。

土壌汚染状況調査では、まず調査対象地について、調査実施主体(土地所有者等)が容易に入手できる範囲内で入手した情報に基づいて、特定有害物質の過去の使用状況等を把握する。

その次に、特定有害物質の濃度を測定するために、特定有害物質の種類に応じて、土壌ガス調査・土壌溶出量調査・土壌含有量調査のいずれか(または複数)を実施することとされている。

このうち土壌溶出量調査は、特定有害物質のいずれかが存在する可能性がある事例において、それらの物質の濃度を測定する調査である。

具体的にはおおよそ次の手順で実施される。
1.地表から5cmの土壌と地表から5〜50cmまでの土壌を採取し、2種類の土壌を混合する。
2.第二種および第三種特定有害物質の量を測定する。

土石流

土石が流水と混合して、河川や渓流を流下する現象。大量の土砂が流れ下るので、水流よりも破壊力が格段に大きい。水流付近に多量の土石が堆積しているとき、短時間の豪雨をきっかけに生じる場合が多い。

土石流に対する対策には、砂防ダムや治山ダムの建設、法面補強や地すべり防止工事などの方法がある。また、都市計画や条例による開発行為の規制、土砂災害警戒区域などの指定による一定施設の建設制限等、定期的な避難訓練等が実施されている。

土台

建物の最下部で、柱の荷重を受ける水平材のこと。

柱から受けた荷重は、土台を通じて基礎へと伝えられる。

土木施工管理技士

土木工事等について、施工計画・施工図の作成および工程管理、品質管理、安全管理等の施工管理を適確に行なうために必要な技術を有する旨の検定に合格した者。建設業法に基づく国家資格である。

資格の対象となる土木工事等は、土木、とび・土工、石、塗装、鋼構造物、舗装、しゅんせつ、水道施設の各工事である。

土木施工管理技士には、検定試験の水準に応じて1級・2級の区分があり、2級土木施工管理技士には、土木、鋼構造物塗装、薬液注入の種別がある。

なお、土木施工管理技士は、土木工事業等の営業所の専任技術者および工事現場の主任技術者または監理技術者の資格を満たすとされている(2級土木施工管理技士は一般建設業に限る)。

土間

一般に屋内の玄関部分を地面のまま、あるいは粘土に漆喰を混ぜて叩き込んだ三和土(たたき)で仕上げた土足空間をいう。

コンクリートやタイル貼りした床面のケースなども土間と称するようになった。

ドライエリア

地下室がある建物において、建物の周囲の地面を深く掘り下げて作った「からぼり」のこと。

目隠しとして、また雨水の浸入を防ぐため、地上部に腰壁が設けられていることが多い。

建築基準法では、衛生上の要請から地下室にはこのドライエリア(からぼり)を設けることを原則として必要としている(建築基準法29条)。

ドライバー

ネジ回し。英語のscrew driver(スクリュー ドライバー)で、ネジのねじ込み、または抜き取りに使う工具である。先端が直線状のマイナス・ドライバーと、十字状のプラス・ドライバーとがある。

ドレッサー

鏡付きのタンス。アメリカ英語のdresserで、「鏡台」「化粧だんす」も同じ意味である。

ドレッサーは主として化粧のために使われるが、机などの用途もある。

なお、イギリスでは、dresserは、鏡付きのタンスではなく、皿類を展示収納する食器棚をさす言葉として使われている。

どろ揚地

公図の上で地番が付されていない国有地であって、水路に沿って細長い形状をしているものをいう。

これは本来、水路のどろを揚げておくための場所だったものである。
どろ揚地を含む土地を取引する場合には、どろ揚地は国有地であるから、売買取引の前に、市町村に対して国有地払い下げの手続きを申請する必要があることに留意しなければならない。

ドローン物流

ドローンを利用した荷物等の配送。山間部や離島への荷物輸送・配送、小口雑貨の短距離運搬などに利用されている。

ドローン物流を本格的に実施するためには、2つの課題がある。

1つは飛行ルールである。ドローンは、人口集中地区、150m以上の上空などでの飛行や目視外飛行等が原則として禁止され、飛行するためには事前の許可・承認が必要である。一定の資格制度など、より安全で自由な飛行を確保する仕組みが整えば、遠距離配送や都市内配送など、物流に幅広く利用できると考えられている。

もう1つは、ドローン利用のための技術である。機体の運行管理、長距離飛行の制御、運搬性能などに関する技術が向上することで、物流への利用可能性が広がると考えられている。

な行

内見

不動産物件を実地に見学・調査すること。一般に、購入または賃借を検討するために実施する。

「内覧」とはほぼ同じ意味で使われている。

内装工事

建物室内の床、壁、天井などを仕上げる工事。建物の構造体と密接に関係する工事で、室内塗装、フローリングカーペット類の敷設、壁板・壁紙・壁布類の貼り付けなどのほか、一般に、建具の設置、室内の基礎的装飾などのための工事を含む。

なお、照明器具、電気・通信設備、給排水設備、空調設備等の設置工事や家具類の配置工事は、通常、内装工事と区別され、別の工事である。

ナイトテーブル

ベッドの脇に置く小さいテーブル。収納スペースを備えたものもある。時計、メガネ、本などを置くなど、ベッドと組み合わせて使われることが多い。

なお、「ナイトテーブル」は和製英語で、英語ではnight stand(ナイト スタンド)またはbedside table(ナイト テーブル)という。

内部成長

不動産投資事業において、保有する不動産の収益性を高めること。

保有する不動産はそのままで、賃料単価の引き上げ、テナントの入れ替え、管理経費の節減などによって資産の収益力を上げ、その資産価値を高めることによって実現する。リニューアルも内部成長の手段として行なわれることがある。一般に、外部からの資金調達を伴わず、不動産管理能力に強く依存することとなる。

なお、内部成長に対して、保有する不動産の入れ替えによって収益性を高めることを「外部成長」という。

内容証明郵便

差出人が送った手紙(書面)の写しを郵便局が保存することにより、郵便局が手紙(書面)の内容を公的に証明するという制度である。

ただし、内容証明郵便はあくまで手紙の内容を証明するだけであり、その手紙が相手方に到達したことまで証明するものではない。そのため、通常は「配達証明付の速達書留内容証明郵便」として郵送するのが一般的である。

内容証明郵便を出すことができるのは、地方郵便局長が指定する郵便局に限られており、小さな郵便局では取り扱わない。

内容証明郵便を書く要領は次のとおりである。

1.紙に次の字数で文章を書く(句読点も1字として計算する)。
1)縦書きの場合:1枚につき1行20字以内、1枚26行以内(520字以内)
2)横書きの場合:1枚につき20字×26行、13字×40行、26字×20行以内(520字以内)
2.使用できる文字は原則としてひらがな、カタカナ、漢字、および数字である。アルファベットは、氏名、会社名、地名、商品名などの固有名詞だけに使うことができる。また一般的に使用されている記号は使うことができる。
3.紙の大きさや種類は自由である。B5、A4、B4、コピー用紙、ワープロ用紙などでよい。また、手書きでもワープロ打ちでもプリンターからの出力でもよい。
4.上記1.2.3.の要領で作成した手紙のコピーを普通のコピー機で2部作成する。
5.手紙が2枚以上の紙になるときは、綴目(とじめ)に契印(けいいん)を押す(2枚以上からなる手紙の1枚目と2枚目にまたがって印鑑を押すことを「契印」という。契印に使用するのは、実印や代表者印である必要はなく、認印〔会社の場合は社印〕でよい)。
6.一つの封筒に、手紙に書いた相手方の住所氏名・自分の住所氏名と同一のものを書く。

内容証明郵便を郵便局で発送する手続きは次のとおりである。

1.用意した封筒、手紙、そのコピー2部、印鑑(実印や代表者印である必要はなく、認印〔会社の場合は社印〕でよい)を郵便局に持参する。印鑑を持参するのは、契印を忘れたときや郵便局で指摘を受け訂正をするために必要になる可能性があるからである。
2.書留、配達証明付き、内容証明、速達で郵送の手続きをする。料金は、手紙の枚数および封筒の大きさ・重量に応じて異なる。
3.コピーの1部に「この郵便物は○年○月○日第○号書留内容証明郵便物として差し出したことを証明します。○○郵便局長」と押印されたものが返却される。この押印されたコピーは、手紙の差出人が保管する(残りのコピー1部は郵便局に5年間保管される。手紙そのものは相手方に郵送される)。

内覧

一般の人への公開に先立って、限定した人々に非公式に披露すること。

展覧会やイベントにおいて行なわれる場合が多いが、販売予定のマンション等を、あらかじめ登録した者などの見学に供することも内覧である。     

内見」とはほぼ同じ意味で使われている。

内覧会

限定した人々が参加する非公式な見学会。感想や意見を聴いたり、公開に先立って説明するなどのために開催される。

マンションなどの販売に当たって、あらかじめ登録した人や契約者に対して物件の見学を案内し、説明することも内覧会である。

中庭

建物に囲われたオープンスペースをいう。

坪庭アトリウムなど住宅内の屋根のない空間、建物の内側にある庭園、コートハウスの内部空地、複数の建物に囲われて共同で利用する空間など、多様な形態がある。また、その機能・利用形態も、換気採光、静穏やプライバシーの確保、庭園、社交の場などさまざまである。

マンションの居住環境を高めるために中庭を設ける場合もある。

長屋建て

1棟の建物を水平方向に区切って独立の住戸とする建て方またはその建築物をいう。「タウンハウス」ともいわれる。

各住戸の玄関がそれぞれ直接に建物外に接していること、隣の住戸と壁を共有していることなどが特徴である。古くは木造住宅であったが、近年は鉄筋コンクリート造のものも多い。

長押

柱の側面や鴨居の上部などに取り付ける化粧材のこと。

壁を装飾するための水平材で、断面は台形である。本来は、軸組を引き締める効果もあったとされている。取り付ける位置によっては天井長押、内法長押などと呼ぶ。

生ごみ処理機

生ごみなどを家庭で処理する家電製品。ごみの減量化や有機物の腐敗臭除去のために用いられる。バイオ式と乾燥式とに大別される。

バイオ式生ごみ処理機は、微生物によって生ごみ等の有機物を酸化分解して、減量化や脱臭を図る。副産物として堆肥が生産される。稼働のためのエネルギーが少ない一方、微生物の生育環境を保つために稼働を調節する必要がある。

乾燥式生ごみ処理機は、温風等による加熱によって生ごみ中の水分を蒸発させ、減量化や腐敗防止を図る。稼働のための手間がかからない一方、乾燥のために相当量のエネルギーが必要となる。

生放流

下水道が完備されている区域を「下水道の処理区域」という。

下水道の処理区域では、汚水を各住戸の浄化槽で浄化する必要がなく、汚水をそのまま公共の下水道管(汚水管)へと放流することができる。このことを不動産業界では、汚水を生のまま放流できるという意味で「生放流」と呼んでいる。

ただし、不動産販売のパンフレット等では「下水:公共下水道へ直接放流」のように表記するほうが一般に理解しやすいと思われる。

縄縮み

土地登記簿に記載された土地面積よりも、実際の土地の面積が小さいことをいう。

縄伸び

土地登記簿に記載された土地面積よりも、実際の土地の面積が大きいことをいう。

納戸

もともとは屋内に設けた衣類などを収納する部屋という意味であるが、不動産広告では採光のための窓がない(または窓が小さい)部屋のことを「納戸」と表示する。

建築基準法によれば、住宅の居室には、採光のための窓などを居室の床面積の7分の1以上の大きさで設けなければならない(建築基準法28条1項)。

従って、住宅の構造上、採光のための窓を設けにくい部屋は、建築基準法上の「居室」となることができない。そこで、住宅の販売広告等ではこうした部屋を「納戸」と表示することにしているのである。

また最近は「サービスルーム」、さらにはその頭文字を取って「S」と表示されることも多い。

なお、不動産広告を規制する「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」では、建築基準法の採光等の規定をクリアしていないために「居室」となることができない部屋は「納戸」等と表示することと定めている。

NAR

NATIONAL ASSOCIATION OF REALTORSの略。「全米リアルター協会」と訳される。アメリカで最大の不動産業者界団体。

設立は1908年(設立時の名称はNational Association of Real Estate Exchanges)であり、独自の倫理規定を制定し、会員の専門能力を研鑽・認定し、会員が共同で取引する仕組みを確立・運営するなどによって、アメリカの不動産業の発展に寄与している。また、情報通信技術を活用した共同仲介のシステム構築を先導してきた。

その会員は、REALTORと称することができ、その名称は登録されている会員以外は使うことができない。

二戸一

独立した複数の住宅が、一つの建物として水平に連続している住宅の形態をいう。

連続建ての住宅を一般に「長屋」というが、それよりも各戸の独立性が高く、隣接する住戸と壁を共有しない例も多い。しかしながら、建築確認等においては、一つの建物として取り扱われる。

2項道路

建築基準法第42条第2項の規定により、道路であるものと「みなす」ことにされた道のこと。
みなし道路」とも呼ばれる。

建築基準法第43条では、建築物敷地は「建築基準法上の道路」に2m以上の長さで接していなければならないと定めている。

ここでいう「建築基準法上の道路」は原則として幅が4m以上あることが必要とされている(建築基準法第42条第1項)。

しかしながら、わが国の現況では、幅が4m未満の道が多数存在しているため、次の1.~3.の条件を満たせば、その道を「建築基準法上の道路とみなす」という救済措置が設けられている(建築基準法第42条第2項)。

1.幅が4m未満の道であること
2.建築基準法が適用された際にその道に現に建築物が立ち並んでいたこと
3.特定行政庁(知事や市長)の指定を受けたことでの救済措置による道路のこと

これらを、その条文名をとって「2項道路」と呼んでいるのである。

こうした2項道路に面している土地については、道路中心線から2m以内には建築ができないという制限(セットバック)があるので特に注意したい。

二重価格表示

自己の販売価格とともに、比較対照のため他の販売価格を併記して表示すること。自己の販売価格が安いことなどを示すために用いられるが、適正に表示しないと不当な表示とされ、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)による処分の対象となる。

例えば、同一ではない商品の価格や実際と異なる価格を比較対照価格として用いること、あいまいに二重価格を表示することなどは、不当な表示とされる。

二重サッシ

2つの窓を重ねた形式の窓をいう。外窓と内窓で構成されている。「二重窓」も同じ意味である。寒冷地で普及している形式である。

断熱効果や防音性能に優れているが、設置費用が嵩む。

なお、ペアガラスは、ガラスが二重となっているのであって、二重サッシではない。

二重譲渡

同一物を複数の者に譲渡することをいう。

例えば、AがBに不動産を譲渡した後、Aが同じ不動産を第三者たるCに譲渡する場合はこれに該当する。

不動産の譲渡は、登記によって対抗要件を備えるため、Bの所有権が登記される前にCに譲渡することは可能とされる(登記完了までは、譲渡は完全には終了しない)。そして、最終的な譲受人となるのは、先に登記した者である。しかし、CがAB間の譲渡を知っていて(悪意)、信義則に反する動機等があるときには、登記がなくともBはCに対抗できるとされている。

なお、登記が遅れて不動産の引渡しを受けることができない被譲渡人は、Aに対して損害賠償などを請求することができる。また、動産についても二重譲渡はあり得るが、動産の対抗要件占有である。

二重床工法

防振・遮音・断熱(防寒)を目的として床板を二重に張り、床板の間に空間をつくるもの。

スラブの上に根太、支柱を配置した「置き床工法」、床板を弾力性のある防振材で支持し、主要構造体と絶縁することによって音の伝搬を遮断する「浮床工法(単に浮き工法ともいう)」がある。

24時間換気システム

給気又は排気を、常時、機械によって行なう仕組み。新築住宅を建築する場合に設置が義務付けられている。

機械によって吸気・排気する換気効果が高い方法(第1種換気、難点は運転のためのコストが高いこと)、機械で吸気し自然に排気するクリーンルームなどで採用されている方法(第2種換気、難点は結露などの恐れがあること)、自然に吸気し機械で排気する住宅に多く使われている方法(第3種換気、難点は部屋ごとに吸気口を設置しなければならないこと)がある。

二世帯住宅

親世帯と子世帯が一緒に住まう住宅で、その状況を考慮された造りのものをいう。

少子化に伴う親子関係の密着度の増加、限られた土地の有効活用等が一緒に住まう理由の一つとして挙げられる。形状的にはいくつかのパターンがあり、それぞれのライフスタイルに合うものとする。いずれも税金や公的融資上の優遇措置がある。

二地域居住

都会に暮らす人が、週末などを定期的に、あるいは、年間の一定期間(1ヵ月以上とされる)を農山漁村で過ごす生活様式をいう。

団塊の世代の退職後の生活スタイルとして提唱されている。

日影規制

建築物に対する斜線制限の一つで、日影の量を一定以下にするよう建築物の高さを制限することをいう。

日影の量は、冬至日において建築物が8時から16時(道の区域内においては9時から15時)までの間に発生する時間で規制され、敷地境界から5m・10mの測定ラインを設定して(ラインは地盤から一定の高さに設定する)、そのラインを越えて一定時間以上の日影を生じさせないようにしなければならないとしている。

具体的な規制基準(規制対象となる建築物、日影を生じてはならない時間数、測定すべき地盤からの高さ)は条例で定めるとされているが、用途地域の種類や建物の階層等によって異なる。日影規制に適合するには、建築物の高さが一定の斜線内に収まるようにしなければならない。

(右図は、日影規制の考え方を示す平面図である。5mラインでは4時間以上、10mラインでは2.5時間以上、日影を生じてはならないという規制がある場合に、この建築物の高さはその基準を満たしている。なお、図中の「日影線」は、冬至日にそれぞれの時間以上の間、日影を生じる境界を示す)

ニッチ

廊下やホールなどの壁を凹状にえぐった部分のこと。

西洋建築によく見られる。草花や彫像等を収めるためのスペースで、飾り棚として使用されることが多い。

200年住宅

長期優良住宅」と同じ。詳しくは「長期優良住宅」参照。

二方道路

正面と裏面に路線(道路)がある土地のこと。

日本住宅性能表示基準

住宅の品質確保の促進等に関する法律品確法)にもとづき、国土交通大臣が定めた住宅性能の表示に関する基準のこと。

登録住宅性能評価機関はこの基準に従って、住宅性能評価書に住宅性能の評価の結果を表示しなければならない(品確法第3条、第5条)。
この日本住宅性能表示基準は、国土交通大臣が必要に応じて公聴会を開催し、社会資本整備審議会の議決を経て、告示したものである(同法第3条)。

具体的には、2000(平成12)年7月19日の告示により、この日本住宅性能表示基準が定められた。その後、住宅性能評価の対象として既存住宅(建設工事完了後1年以上が経過した住宅や、建設工事完了後1年以内に人が住んだことがある住宅のこと)が追加されたことにより、日本住宅性能表示基準は2002(平成14)年8月20日に大幅に改訂されている。

この日本住宅性能表示基準の内容は次の1.2.のとおりである。

1.新築住宅に関する表示基準
日本住宅性能基準では、新築住宅に関する住宅性能評価書に表示すべき事項を下記の9分野(29項目)と定めている(同基準別表第1)。
1)構造の安定に関すること
2)火災時の安全に関すること
3)劣化の軽減に関すること
4)維持管理への配慮に関すること
5)温熱環境に関すること
6)空気環境に関すること
7)光・視環境に関すること
8)音環境に関すること
9)高齢者等への配慮に関すること

新築住宅に関する住宅性能評価書には「設計住宅性能評価書」と「新築住宅の建設住宅性能評価書」という2種類が存在するが、どちらの評価書においても表示すべき事項の範囲と表示方法はまったく同一である(ただし上記6)のうち「室内空気中の化学物質の濃度等」に関しては「建設住宅性能評価書」だけで表示すべき事項とされている)。

新築住宅に関する住宅性能評価書には、原則として上記1)から9)のすべての事項を記載するべきである。ただし、依頼者の要望により上記8)のうちの「重量床衝撃音対策」「軽量床衝撃音対策」「透過損失等級(界壁)」「透過損失等級(外壁開口部)」と、上記6)のうちの「室内空気中の化学物質の濃度等」に関しては、性能評価を実施しないことができる(同法施行規則第3条第2項および国土交通省告示「住宅性能評価を受けなければならない性能表示事項を定める件」より)。

2.既存住宅に関する表示基準
既存住宅に関する住宅性能評価書は「既存住宅の建設住宅性能評価書」である。この既存住宅の建設住宅性能評価書に表示すべき事項は、次の1)および2)である(同基準別表2-1より)。
1)現況検査により認められる劣化等の状況
2)個別性能に関すること
このうち2)の個別性能については「構造の安定」「火災時の安全」「維持管理への配慮」「空気環境」「光・視環境」「高齢者等への配慮」という6分野(21項目)の表示事項が定められているが、どの分野について評価を行なうかは依頼者の自由意思に委ねられている。

また、新築住宅に関する表示事項のうち「劣化の軽減」「温熱環境」「音環境」という3分野については、既存住宅の表示事項からそもそも除外されている。
このため、既存住宅の建設住宅性能評価書においては「劣化の軽減」「温熱環境」「音環境」という3分野に関する表示を行なうことができない。ただし、登録住宅性能評価機関が法律外の独自のサービスとしてこれら3分野の査定を実施することは可能である。

日本庭園

日本でかたちづくられた庭園様式またはその様式で造られた庭園。宮殿、寺院、大規模な屋敷などに設置されている。また、公園として設置されているものもある。

一般に、池、庭石、築山、草木を配し、「見立て」を活用してデザインされていることが多い。また、季節の移り変わりを示すことや、建築と自然を総合化する空間構成も特徴とされる。

Japanese Garden(ジャパニーズ ガーデン)として世界に紹介され、日本の美意識を表す場所として、文化交流や観光においても役割を担っている。

入居審査

住宅を賃貸するときに、賃借人としての適否を判断することをいう。貸し主またはその代理人が賃貸契約の締結に先立って行なう作業である。

入居審査に当たっては、賃借料の支払い能力、住宅利用の適切さなどを確認するのが一般的であるが、定まった基準はない。契約は双方の自由意志によるから、貸し主として自由に判断してよいが、不当な差別や人権侵害となることは避けなければならない。

また、宅地建物取引業者は、
ア)賃貸住宅の申込みに際して「本籍」欄や「国籍」欄のある申込書は使用しないこと
イ)入居審査のために得た情報について、目的外に使用しない、第三者に提供しない、安全に管理すること
などが求められる。

ニュータウン

新たに計画的に建設された大規模な市街地。周囲から独立したかたちのものが多い。都市計画に基づき、新住宅市街地開発事業土地区画整理事業などによって形成される。英語でNew town。

ニュータウンの最初の考え方は、E. ハワード(Ebenezer Howard、英国人)が1898年に『明日の田園都市』(初版の題名は『明日-真の改革にいたる平和な道』)で主張したもので、① 周囲を田園に囲まれた適正規模の市街地を新たに計画的に建設する、② 都市と農村の魅力を兼ね備えた職住近接の生活を可能とする、③ 土地所有を一元化して自立した都市経営を確保することによって、居住環境の悪化や貧困に直面していた当時のロンドンの都市問題を解決できるとする提案である。この考え方が受け入れられ、イギリスだけでなく世界各地でニュータウンの建設が進められた。

もっとも、実現したニュータウンの多くは、ハワードの提案のうち①を採用したもので、住宅供給を主目的としたもの(②を満たさない)が多いほか、③を取り入れたものは数少ない。

日本のニュータウンとしては、千里ニュータウン、多摩ニュータウン、筑波研究学園都市などがある。また、地域振興のために地方都市でもニュータウンが建設されている。

任意規定

法律の規定であって、当事者の意思によって適用しないことができるような規定のことを「任意規定」という。

また同じ意味で「任意法規」ということもある。

この反対に、当事者の意思に左右されずに強制的に適用される規定は「強行規定」と呼ばれる。

任意後見契約

精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害など)によって判断能力が不十分になった場合に、自分の生活、療養看護、財産管理に関する事務を委託し、代理権を付与する旨をあらかじめ定めた契約。「任意後見契約に関する法律」に基づく制度である。

任意後見契約は委任契約であって、委任を受ける者(任意後見受任者)は、未成年者、委任者に対して訴訟をした者など一定の者であってはならない。契約は、公正証書によって締結しなければならず、契約が効力を生じるのは、家庭裁判所が任意後見監督人を選任したときである。

任意後見契約が発効すると(つまり、家庭裁判所が任意後見監督人を選任すると)、任意後見受任者は「任意後見人」として、契約に定められた行為を受任し、代理することになる。また、任意後見人は、その事務について任意後見監督人の監督を受ける。

任意代理

本人と代理人との間の代理権授与行為授権行為ともいう)によって発生する代理権のこと。
これに対して、本人・代理人の意思に関係なく、法律によって発生する代理権は法定代理と呼ばれる。

任意売却

住宅ローンの返済が困難になった場合に、抵当権が設定された住宅を法的手続き(競売)によらないで売却し、その代金によって残債務を解消する方法をいう。

住宅を売却するときには抵当権を抹消しなければならないが、任意売却はそれを債権者との協議によって行なうことができる。この場合、債権者の承諾が必要であるほか、売却を仲介する者の選任を求められるのが通例である。

任意売却は競売を回避する手法であるとともに、残債務の返済スケジュール等について交渉する余地を残した債務処理の方法である。例えば、転居費用の確保、引き渡し時期の調整、任意売却による返済金が債権額に満たない場合の対応などについて協議できる可能性がある。

認可地縁団体

地縁に基づいて形成された自治会、町内会等の団体であって、地域的な共同活動のために法人格を認められたもの。認可地縁団体は、不動産の保有、登記、取引などを団体の名で行なうことができる。

認可地縁団体となるためには、「地方自治法」に基づいて市町村長の認可を受けなければならない。認可に当たっては、良好な地域社会の維持形成に資する地域的な共同活動を行なっていること、区域が明確であること、区域内に住所がある個人はすべて加入でき、現に相当数が加入していること、規約が定められていることが要件とされる。

なお、認可地縁団体については、法人税の課税において公益法人等とみなされるなどの特例が定められている。

認定死亡

死亡の可能性が非常に高い場合に、特別失踪による失踪宣告を待たずに、直ちに死亡とする制度のことを「認定死亡」という(戸籍法89条)。

具体的には、水難・火災・爆発などに遭遇し、死亡したことが確実であるが、死体が確認できない場合には、これを取り扱った官公署(警察署・海上保安庁など)からの死亡報告により、死亡地の市町村長が本人戸籍簿に「死亡」の記載をする。

この場合、死亡とされた日において本人は死亡したこととなるので、直ちに相続が開始し、婚姻が消滅する。

認定長期優良住宅

長期にわたって良好な状態で使用するための措置が講じられているとして、行政庁が認定した住宅をいう。「長期優良住宅の普及の促進に関する法律(長期優良住宅普及促進法)」に基づく制度である。

長期優良住宅として認定されるためには、次の基準を満たさなければならない。
1)長期使用構造等に関する基準
 i)劣化対策:構造躯体が少なくとも100年程度の間継続して使用できること
 ii)耐震性:大規模地震力に対する変形を一定以下に抑制すること
 iii)可変性:ライフスタイルの変化等に応じて構造・設備の変更を容易にすること
 iv)維持管理・更新の容易性:内装・設備の維持管理を容易に実施できること
 v)省エネルギー性:断熱性能等の省エネルギー性能が確保されていること
 vi)バリアフリー性:バリアフリー改修に対応するためのスペースが確保されていること(共同住宅について)
2)地区計画、景観計画、建築協定等と調和していること
3) 自然災害による被害の発生の防止または軽減に配慮されたものであること
4)良好な居住水準を確保するために必要な住戸面積が確保されていること
5)維持保全計画を策定し、構造耐力上の主要部、雨水の浸入を防止する部分、給水・排水設備について、少なくとも10年ごとに点検すること

認定長期優良住宅の新築等に対しては、税制上の優遇措置(住宅ローン減税の上乗せ、性能強化費用の一部についての所得税額の特別控除、登録免許税等の軽減)や容積率の特例が適用される。

認定低炭素住宅

二酸化炭素の排出の抑制に資する建築物であるとして行政庁が認定した住宅をいう。「都市の低炭素化の促進に関する法律」に基づく制度である。

低炭素住宅は、市街化区域等の区域内に建築される住宅であって、次の基準を満たす場合に認定される。
1)外皮の断熱性能が省エネルギー法に基づく省エネルギー誘導基準と同等以上であり、かつ、一次エネルギー消費量が省エネルギー基準に比べて一定割合少ないこと
2)低炭素化に資する一定の措置(節水対策、エネルギーマネジメント、ヒートアンランド対策、躯体の低炭素化、再生可能エネルギーの導入に関する事項のうち一定のもの)が講じられていること

認定低炭素住宅の新築等に対しては、税制上の優遇措置(住宅ローン減税の上乗せ、性能強化費用の一部についての所得税額の特別控除、登録免許税等の軽減)や容積率の特例が適用される。

認定特定非営利活動法人

特定非営利活動法人のうち、所得税・法人税相続税の課税上、それに対する寄付金が損金算入(控除)の対象となるものをいう。

認定特定非営利活動法人となるためには、「寄附金が総収入の3分の1以上であること」などの一定の要件を満たしたうえで、国税庁長官の認定を受けなければならない。

NISA

一定額の個人投資に係る収益について非課税とする仕組み(小額投資非課税制度)をいう。2014年1月から2023年末までの間適用される。Nippon Individual Savings Accountの略語。

20歳以上の個人が特別の口座を開設して投資する場合に、毎年100万円までの新規投資(投資総額は最大500万円まで)に係る配当金や売買益等について最長5年間非課税にする制度である。2014年から特定口座に係る分離課税の税率特例が廃止されることなどに伴って創設された。

NISAを利用する場合には、損益通算・損失繰越ができないこと、非課税枠の再利用(投資対象の入れ替え)ができないことなどに注意しなければならない。

壁面において、柱同士を水平方向につなぐ材のこと。
伝統的な日本家屋の真壁では、貫を利用して壁の下地を設けていた。

抜き行為

ある依頼者(売主・買主・貸主・借主)が、ある宅地建物取引業者との間で媒介契約または代理契約を締結しているにもかかわらず、他の宅地建物取引業者がその依頼者を誘引して媒介契約または代理契約を締結することを「抜き行為」という。

依頼者の側から見た場合、先行する宅地建物取引業者と後行する宅地建物取引業者との間で二重に媒介契約または代理契約を締結することになる場合もあれば、先行する宅地建物取引業者との媒介契約または代理契約を解除して、後行する宅地建物取引業者との間でのみ媒介契約または代理契約を締結する場合もある。

いずれにしても、先行する宅地建物取引業者からすれば、依頼者を「抜かれた」ものと捉えることができるため、トラブルを招きやすい行為である。

なお、依頼者と先行する宅地建物取引業者との間で締結されていた媒介契約が「専任媒介契約」や「専属専任媒介契約」である場合には、依頼者は当該媒介契約に従って違約金を支払うこととなる可能性があるので、注意が必要である。

また、依頼者と先行する宅地建物取引業者との間で締結されていた媒介契約が「一般媒介契約(明示型・非明示型)」である場合には、依頼者は明示義務や通知義務を怠れば、当該媒介契約に従って違約金を支払うこととなる可能性がある。

ヌック

住宅の片隅にあるこじんまりとした居心地の良い場所。英語のnook。

建築設計によって設置するというよりは、ライフスタイルによって自然に生まれるような空間である。

ヌックとなる場所は、キッチンの奥、リビングとキッチンの間、廊下の隅、階段下などの小さなスペースで、居心地がよく寛げることが重要な条件となっている。

布基礎

連続フーチング基礎ともいう。

建物土台に沿って、切れ目なくフーチングを築造した形状の基礎である。
建物の土台と布基礎は金物で緊結されている。
なお、布基礎は通常は鉄筋コンクリート造である。

ぬれ縁

屋根や壁などがなく、建物の外側に設けられる雨ざらしの縁側のこと。

木口を見せる、すなわち縁と直角方向に縁板を張ることが多く、長手方向に張る普通の縁側(内部)の場合とは異なる。「雨縁」、「縁」ともいう。

根切り

地盤を掘削することをいう。

建築のために深さ1.5m以上の根切りを行なう場合など一定の根切り工事に関しては、建築基準法に基づき、施工図の作成、山留め(崩落を防ぐための壁)の設置など、施工に伴う危害を防止するために必要な措置を講じなければならないとされている。また、条例の定めによって、根切り工事の着工前に、工事計画を届け出なければならない場合もある。

ネット銀行

インターネットを介した取引のみに特化した銀行。「インターネット専業銀行」の略語である。

現金や預金証書等の受け渡しをする実店舗を設置せず、インターネットを介したオンラインでの情報のやり取り(ネットバンキング)で取引する。この場合、現金の出入金は、提携している銀行、コンビニエンスストアのATMなどを利用することとなる。

ネット銀行での取引は、時間的空間的な制約がない点が特徴。また、一般の銀行に比べて人件費や店舗の運用費用を抑えることができるため、取引手数料が安いとされる。一方で、利用に当たっては、インターネット取引に特有のリスクに注意し、セキュリティ対策を講じなければならない。たとえば、フィッシング詐欺やコンピュータウイルス感染によって個人識別用IDやパスワードが流出し、不正送金などに利用される被害が起きている。

なお、一般の銀行の中には、オンラインだけで取引する「インターネット支店」を開設しているところもある。また、通常の取引のほかネットバンキングのサービス(「◯◯ダイレクト」のようなサービス)を付加している銀行も増えている。しかしこれらを行なう 銀行はインターネット取引に特化しているわけではなく、従ってネット銀行ではない。

ネットゼロエネルギーハウス

ZEH」を参照。

熱効率

投入した熱エネルギーが仕事や有用なエネルギー(電力など)に変換される割合をいう。

この割合を高めることでエネルギー消費がより合理化できると考えられており、給湯機器や空調機器の性能を評価する指標とされる。

なお、熱効率は、1を超えることはできず、また、熱エネルギーを取り出すときに使用する熱源の温度によって決まる次の効率(カルノーサイクルの理論的熱効率)を超えることもない。

カルノーサイクルの理論熱効率=1-(低熱源の絶対温度/高熱源の絶対温度)

内燃機関の正味熱効率は30%程度、火力発電所の平均熱効率は40%程度とされている。

今後、建物建築設備等について環境負荷の削減が要求されるようになるが、熱効率は、その場合の評価指標の一つとして使われることになる。

熱伝導率

伝導による熱の移動のしやすさを表す単位。物質面に垂直に1ケルビン/メートルの温度勾配があるときに、その面の1平方メートルの面積を通して1秒間に流れる熱量(W/m K)で表す。一般に、固体の熱伝導率は大きく、気体は小さい。

主な物質の熱伝導率は、空気(0℃)0.0241、水(0℃)0.561、鉄(0℃)83.5、銅(0℃)403、ガラス(常温)0.55~0.75、コンクリート(常温)1、綿(常温)0.03である(「理科年表」(自然科学研究機構国立天文台編)による)。

根抵当

継続的な取引によって生じる不特定の債権を担保するための仕組みをいう。

契約によって極度額を定め、増減し変動する多数の債権について、極度額の範囲内で担保することができる。これらの債権は将来確定するものであるが、債権が消滅しても、根抵当権は極度額の範囲で存続することとなる。

根抵当が認められるためには、担保する債権の範囲および債務者をあらかじめ定めておかなければならず、根抵当権の対象となる債権は、

1.指定した特定の継続的取引契約または取引の種類から生じる債権

2.特定の原因によって継続する債権

3.手形・小切手債権

に限られる。例えば、金融機関との信用取引や商社等との継続的な購入契約により生じる債権がこれに該当する。しかし、一切の債権を一括して担保するような抵当権(包括根抵当権)は認められていない。

なお、根抵当の対象となっている債権が譲渡されたときには、根抵当権はこれをカバーしない(随伴しない)が、あらかじめ定めた期日の到来や取引の終了等によって元本(担保の対象となる債権)が特定されると(元本の確定)、通常の抵当権と同様、債権の移転とともに抵当権も移転することになる。

根抵当権

継続的取引などによって生じる不特定の債権について、定めた限度額を限度として担保する抵当権をいう。担保する債権が特定されないことに特徴がある。民法の規定に基づく権利である。

根抵当権を設定するには、限度額の他、担保する債権の範囲及び債務者を定めなければならない。

通常の抵当権と違って、個々の債権に対する附従性(主たる権利と運命を共にする性質)や随伴性(主たる権利の移転に従って移転する性質)がない。ただし、根抵当権が担保すべき元本が生じない状態になったとき(根抵当権の確定時)以降は、通常の抵当権と同様に附従性や随伴性を帯びることとなる。

なお、根抵当権は、根抵当権設定者の承諾を得れば、譲渡、分割、一部譲渡(共有化)することができる。この場合、譲渡された根抵当権は、譲渡人の債権ではなく、譲受人の債権をその担保すべき債権の範囲で担保することとなる。

根保証

将来発生する不特定の債務を保証すること。賃貸借、売買取引、貸金などの関係が継続する場合に、それによって生じるすべての債務を保証する契約である。

根保証は、保証の上限額(極度額)を定めなければならない。また、保証期間は一般に任意であるが、貸金等債務については3年間(最長5年)が限度である。保証は、破産・死亡などの事情があれば打ち切りとなる(貸金等債務以外の債務については、主債務者の破産等を除く)。

年金

定期的に一定の金銭を給付する制度。給付される金銭をいうこともある。一般に、労働年齢のあいだに拠出し、高齢期に受給する形となっていて、給付期間は、有期の場合と終身の場合とがある。

政府が運営する年金には、「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」がある。これらは、公的年金とされ、該当者は必ず加入しなければならない。

国民年金は、日本に住んでいる20歳から60歳未満のすべての人が加入する年金で、本人が定額の年金保険料を納付し、原則として65歳から終身で年金が支給される。厚生年金は、一定の被雇用者がすべて加入する年金で、被雇用者および雇用者が、加入者の給与額の一定割合を年金保険料として折半で拠出し、原則として65歳から終身で年金が支給される。

公的年金以外の年金は、私的に運営する年金(私的年金)である。私的年金への加入は任意であり、運営形態もさまざまである。主なものとして、国民年金基金、確定給付型企業年金、確定拠出年金がある。

なお、年金受給権を相続または遺贈により取得した場合には、相続税または贈与税が課税される。

年末調整

所得税は、毎月の給料や賞与からあらかじめ概算の税額を差し引いておく仕組みになっており、この概算の税額を「源泉徴収税額」という。

この源泉徴収税額はあくまで概算なので、1年の終了時点では、所得税の払い過ぎ(または不足)が発生するのが普通である。
この払い過ぎの部分を、翌年1月の給料において、勤労者に戻すこと(または不足の部分を追加徴収すること)を「年末調整」と呼んでいる。

燃料電池

電気化学反応によって発電する装置であるが、特に、水素と酸素を化学反応させ、このとき発生する電気エネルギーを取り出すものをいう。

乾電池等と違って、原料として水素と酸素を供給しなければならないが、供給が続く限り発電が持続する。

二酸化炭素が発生しない、エネルギー変換において熱が介在しない(効率を高くできる)、比較的小規模な装置で発電できるなどの特徴があるとされる。また、発電に伴って熱が発生することから、併せてそれを利用することができる。

燃料電池において化学反応を媒介する役割を果たす物質を「電解質」というが、電解質の違いによって燃料電池にはいくつかのタイプがある。
主なものは、次の通りである(分類は、日本ガス協会資料による)。

1.固体高分子形:イオン交換膜を用い、常温~90度で作動する
2.リン酸形:リン酸を用い、150~200度で作動する
3.溶融炭酸形:溶融した炭酸塩を用い、600~700度で作動する
4.固体酸化物形:イオン伝導性セラミックス(安定化ジルコニア)を用い、750~1,000度で作動する

従って、用途に応じて、これらのタイプを選択することができる。

燃料電池は、住宅の電力源の一つとしても活用できると考えられている。

農業委員会

市町村に設置される独立の行政委員会で、農業者の代表機能を持つ合議体組織。公選された委員と推薦された委員とで構成される。

農地の権利移動許可、転用許可などに関して専属的な行政権限を持つ他、耕作放棄地の解消などの実施機能も担っている。
また、市街化区域内の農地転用に際しては、農業委員会に届け出ることが必要である。

農業振興地域

農振法(農業振興地域の整備に関する法律)により、知事が指定する地域のこと。

農業振興地域は、相当規模の農地があり、農業経営が近代化しやすいような条件の整っている広い地域について指定される。

農業振興地域に指定されると、市町村は「農業振興地域整備計画」を作成しなければならず、この計画により農業関係の公共投資が大規模に行なわれることとなる。

農業生産法人

農業経営を行なうために農地の取得が認められる法人をいい、株式会社等の会社法人と農事組合法人の2つの形がある。

法人による農業経営は、経営管理能力や取引信用力の向上、雇用労働関係の明確化、労働者の福祉の増進、新規就農者の確保などが期待できるとされる一方、耕作者が農地を所有することで維持されてきた農地・農村秩序との調整が必要であるともされる。

なお、会社法人である農業生産法人については、役員の一定割合が農業に常時従業することなど、その構成員等について一定の要件を満たさなければならない。

農振法

総合的に農業の振興を図るべき地域の整備に関し、必要な施策を計画的に推進するための措置を定めた法律である「農業振興地域の整備に関する法律」の 略称。1969(昭和44)年に制定された。

この法律では、農用地の確保や農業経営の近代化等を図るべき地域を農業振 興地域に指定し、その地域に関して、農用地区域等の指定、農業基盤の整備、農業上の土地利用の調整などを内容 とする農業振興地域整備計画を定めることとしている。

さらには、その計画を達成するため、土地の交換分合、農用地区域内における開発行為の制限などの措置を規定する。

 

納税証明書

税金を納めたことを証明する書類。税金の種類や証明内容に応じていくつかの種類があり、納税を担当する部署に申請して交付を受ける。

たとえば、所得税法人税の納税証明書は税務署が交付するが、(1)納付すべき税額、納付した税額及び未納税額等の証明、(2)所得金額の証明(個人は申告所得税または申告所得税及び復興特別所得税に係る所得金額、法人は法人税に係る所得金額)、(3)未納の税額がないことの証明、(4)証明を受けようとする期間に滞納処分を受けたことがないことの証明の4種類がある。

なお、税金の賦課に関する証明書には、納税証明書のほか、課税証明書(住民税の課税額の証明)や公課証明書(固定資産税等の課税証明)がある。

農地

一般的には「耕作の目的に供されている土地」を「農地」と呼ぶ(農地法第2条第1項)。

実際には、ある土地が「農地」であるかどうかをめぐって争いがあることが少なくない。ちなみ、過去の裁判例では次の1.2.のような基準が設けられている。

1.「農地」であるかどうかは、登記簿上の地目とは関係がない。たとえ地目が「原野」であっても、現状が「耕作目的の土地」であれば「農地」となる。
2.「農地」とは継続的に耕作する目的の土地である。住宅を建てるまでの間、一時的に野菜を栽培しているような家庭菜園などは「農地」ではない。その反面、たとえ休耕地であっても将来にわたって耕作する目的のものは「農地」である。

実務的には、宅地であるのか農地であるのか判断が分かれるような土地について取引を行なう場合には、市町村の農業委員会において確認を受けることが最も安全である。

農地の転用制限(農地転用許可基準・農地法)

農地を農地以外の目的に利用する(これを、「農地の転用」と呼ぶ)場合に課せられる制限をいう。

農地法では、土地利用の調整と優良農地確保のために、農地転用に当たっては、原則として農林水産大臣または都道府県知事の許可を要すると規定しているが、これが農地の転用制限である。

農地の所有者が自分自身で転用する場合(自己転用)および転用を目的として農地の売買等をしようとする場合(転用目的の権利移動)には、面積の多少にかかわらずいずれも許可が必要である(農地法の根拠条文に即して、自己転用の許可を「4条許可」、転用目的の権利移動の許可を「5条許可」と呼ぶことがある)。ただし、重要な例外として、市街化区域内の農地の転用に関しては、農業委員会に届出すれば、許可は必要がないとされている。

市街化区域内農地以外の農地転用の許可に当たっては、

1.農用地区域内の農地、土地改良事業の対象となった農地等は原則的に不許可、市街化が見込まれる区域内の農地等は原則的に許可というような、農地の属性に応じた基準

2.周辺農地の営農に支障を生ずる恐れがない、当該農地に代えて周辺の他の土地を供することにより当該申請に係る事業の目的を達成することができないなどの条件を満たすかどうかという、転用の目的等に基づく基準(1.および2.の基準を合わせて「農地転用許可基準」と呼ぶ)

に照らして判断される。農地転用許可基準は、転用の状況に応じて詳細に規定されているので、宅地建物の取引等に当たっては十分な注意が必要である。

なお、農地法においては、自己転用や転用目的の権利移動のほか、農地を農地のままで売買等することについても、原則として許可が必要である(これを「3条許可」と呼ぶ)。また、許可を要するにもかかわらず許可を得ないでした売買契約等は、無効である。

農地の売買・賃貸借等

農地市街化区域内の農地を含む)を農地として売買、賃貸借等をする場合には、原則として、農業委員会(権利取得者が当該農地の所在市町村外に居住している場合は都道府県知事)の許可が必要である。

許可の要件は、権利取得者が、

1.農地のすべてを効率的に利用すること
2.個人の場合は農作業に常時従事すること
3.法人の場合は農業生産法人であること
そして、権利移動によって、
4.周辺地域における農地の効率的、総合的な利用の確保に支障がないこと

である。

ただし、農地の賃貸借については、継続的、安定的な農業経営が見込まれるなどの条件を満たせば、2.3.の要件は課せられない。従って、一般の会社やNPO等も、農地を賃借して農業経営に参加できる。
また、遺産の分割により、相続人等が農地を取得する場合には許可は不要である。

なお、必要な許可を得ないで農地の売買、賃貸借等を行なった場合には、その契約は無効となる(法律的な効果が生じない)。

農地法

農地の権利移動や転用の制限、利用関係の調整、遊休農地に関する措置などを定めた法律。1952(昭和27)年に制定された。
耕作者の地位の安定と農業生産の増大を図り、食料の安定供給の確保に資することを目的としている。

2009(平成21)年の法改正によって、農地の賃貸借に関して大幅に制限が緩和され、農業生産法人だけでなく、一般の法人NPO等が、農地を借りて営農できるようになった。
一方、農地について所有権賃借権等を有する者は、その適正で効率的な利用を確保する責務を負う旨の規定も追加された。

農用地区域

農振法(農業振興地域の整備に関する法律)により知事が指定した「農業振興地域」の中で指定される区域である。

農業振興地域の中において農業基盤の整備を進める区域であり、農業関係の公共投資が重点的に投入される区域である。そのため、農地法では、農用地区域内の農地について、宅地転用や宅地転用目的の売却を、厳しく禁止している。

農用地利用計画

農振法(農業振興地域の整備に関する法律)に基づいて指定される農用地区域においては、農業上の11種類の用途区分を定めなければならない。この用途区分を定めた計画を「農用地利用計画」という。

農林水産省

中央省庁の一つで、食料の安定供給の確保、農林水産業の発展、農山漁村及び中山間地域等の振興、森林や水産資源の保全など任務とする行政機関。林野庁および水産庁も農林水産省に属する組織である。

農林水産省の業務のうち不動産と関係の深いものとしては、たとえば、農地の転用、農住組合、農業振興地域整備計画、木材など林産物の生産、流通、消費に関する業務がある。

軒先

屋根の外壁から突き出た部分が「軒(のき)」で、その先端部分をさす。「軒端(のきば)」も同じ意味である。

軒先には装飾的な加工が施される場合があるほか、雨樋(軒樋)が取り付けられていることが多い。

なお、「軒先」は、家屋の外壁付近をさす言葉として使われることもある。

延べ面積

建築物の各階の「床面積」の合計のこと。

なお、容積率を算出する際には、次の部分の床面積は延べ面積から「除外」できる扱いとなっているので、注意する必要がある。

1.自動車車庫・自転車置場に供する部分の床面積(床面積の合計の5分の1まで)
2.建築物の地階(その天井が地盤面からの高さ1m以下にあるものに限る)の住宅の用途に供する部分の床面積(住宅の用途に供する床面積の合計の3分の1まで)
3.共同住宅については、共同住宅の共用廊下・共用階段・エントランスの部分の床面積(限度なし)

延床面積

建築物の各階の「床面積」の合計のこと。

なお、容積率を算出する際には、次の部分の床面積は延べ面積から「除外」できる扱いとなっているので、注意する必要がある。

1.自動車車庫・自転車置場に供する部分の床面積(床面積の合計の5分の1まで)
2.建築物の地階(その天井が地盤面からの高さ1m以下にあるものに限る)の住宅の用途に供する部分の床面積(住宅の用途に供する床面積の合計の3分の1まで)
3.共同住宅については、共同住宅の共用廊下・共用階段・エントランスの部分の床面積(限度なし)

のみ(鑿)

木材や石材の加工に使う工具。刃先で材料を削り取ることによって加工する。

木材用の鑿(のみ)は、刃と柄で構成され、柄の頭を槌で打ったり(叩き鑿)、柄を手で押したり(押し鑿)して使う。刃先の形や用途によって細かく分類され、大工が必須とする工具である。

また、石材用の鑿は、断面が円形の先が尖った鋼鉄製の工具で、ハンマーで叩いて用いる。石工のほか、石材彫刻のためにも必須の工具である。

法地

宅地として使用できない斜面部分のことをいう。

自然にできたもの、切り土盛り土の際に人工的につくられたものの両方を含む。また、敷地補強等のための擁壁設置に伴う斜面も法地である。「法面」と呼ぶこともある。

不動産広告において表示される宅地面積は、法地を含む平面投影面積であるが、一般的には法地面積が別途表示されることはない。ただし、

1.傾斜地を含む土地であって、傾斜地の割合が土地面積のおおむね30%以上を占める場合(マンションおよび別荘地等を除く)または傾斜地を含むことにより土地の有効な利用が著しく阻害される場合(マンションを除く)は、その旨およびその面積

2.土地の有効な利用が阻害される著しい不整形画地および区画の地盤面が2段以上に分かれているなどの著しく特異な地勢の土地についてはその旨

3.土地が擁壁によっておおわれない崖の上または崖の下にあるときはその旨

を、それぞれ明示すべきとされる(不動産の表示に関する公正競争規約による)。

法面

宅地としては利用できない切り土盛り土における傾斜面のこと。「法(のり)」ともいう。

暖簾

部屋の仕切りとして吊り下げる布。もともとは、日差し、風塵、人目などを遮るためのものであるが、インテリアとして用いられる場合も多い。

また、商家や飲食店が、目印のために屋号などを染めて軒先に垂らす布も暖簾である。

なお、企業会計において、企業結合・企業買収の際に買収会社の投資額が被買収会社の受入純資産の額を上回った場合には、その差額を「のれん」と呼び、無形固定資産として計上され償却の対象となる。

ノンスリップ

すべり止めのための部材。階段踏板の先端部分などに取り付けられ、摩擦力を増す役割を担う。

金属や合成樹脂を素材に加工されているが、その形式はさまざまである。

ノンバンク

預貯金業務をせず、貸出業務(信用供与)のみを行なう金融機関をいう。英語のnon-bank financial institution。

消費者ローン、信販、クレジットカード、リース、ベンチャー・キャピタルなどの事業形態がある。

営業する場合には、一般に、金銭の貸付け又は金銭の貸借の媒介を行なう事業として「貸金業法」に基づく登録を必要とする。また、同法によって、利息制限法の上限金利(元本10万円未満の場合は年利20%、10万円〜100万円の場合は年利18%、100万円以上の場合は年利15%)を超える利息(礼金、割引金、手数料、調査料その他の名目を問わない)を受け取ってはならないとされている。そのほか、貸金営業について、業務に関して取得した資金需要者等に関する情報を適正に取扱うこと、貸金業務取扱主任者の設置、重要な事項を告げない行為の禁止、不確実な事項について確実であると誤認させる恐れのあることを告げる行為の禁止などの業務規制が課せられている。

ノンリコースローン(Non Recourse Loan)

借入人が保有する特定の資産(責任財産)から生ずるキャッシュフローのみを原資に債務履行がなされる融資をいう。

「ノンリコース」とは、その資産以外に債権の取立てが及ばない(非遡及である)という意味である。不動産の証券化などにおいて利用されることが多い。ノンリコースローンにおいては、高度なリスク判断が必要とされ、日本の金融機関は、最近になって手がけるようになった。

これに対して、資産等を担保にするほか、個人保証などにより当該資産等の範囲を超えた債権取立てがなされる(遡及する)融資を「リコースローン」という。いわゆる「担保融資」は、通常、リコースローンである。

なお、不動産の証券化等においては、ノンリコースローンを受けるのは、一般的に特別目的会社や信託受託者であって、責任財産の当初保有者(オリジネーター)ではない。

ノーマライゼーション

障害者が一般の人と同様の日常生活を送ることのできる環境を整備し、その人権を保障する考え方。英語のNormalization。

ノーマライゼーションは、1950年代ごろにヨーロッパで提起され、1981年の国際障害者年をきっかけに広く認知された。最近は、障害者だけでなく、社会的なマイノリティや高齢者を含めた幅広い社会的弱者を対象とする考え方に拡大され、福祉の基本理念とされるようになっている。

ノーマライゼーションが目指すのは、社会的弱者が普通(ノーマル)に暮らせるように社会環境を整備し、誰もが人として当たり前の日常生活を営むことであって、自立を支援することではない。

は行

ハイカロリーバーナー

標準的なガスバーナーの2倍以上の火力を持つガスバーナーを「ハイカロリーバーナー」という。

また、ハイカロリーバーナーを組み込んだ2口以上のバーナーを持つガスコンロ(ガステーブル)のことを「ハイカロリーバーナー」と呼ぶこともある。

標準的なガスバーナーは、強火の場合で1時間当たり約2,000キロカロリーの熱量を発生させる。この熱量とは、20度の2Lの水を約5分で100度に沸騰させるという熱量のことであるが、実際には外部に逃げる熱量が50%以上あるため、10分近くかかる。

これに対して、ハイカロリーバーナーは1時間当たり4,000キロカロリー以上の熱量を発生させることができ、調理時間を大幅に短縮するだけでなく、中華料理のような強い火力を必要とする調理も家庭でできるようにしたものである。

またハイカロリーバーナーでは、火力が外部に逃げることを防ぎ、かつ鍋の取っ手が加熱されることを防止するために、炎が上向きに立ち上がるようにしたタイプや炎を内向きにしたタイプなど、熱効率を大幅に高めた機種が開発されている。

また、高火力による油の飛び散りへの対策として、ガスコンロ(ガステーブル)の表面をフッ素樹脂加工や結晶ガラスとし、調理後の掃除を簡単にしたタイプも発売されている。

廃業等の届出

宅地建物取引業者において死亡・破産・解散・廃業などの事情が発生した場合に、一定の者が行なうべき届出のこと(宅地建物取引業法第11条第1項)。この届出を行なうのは、次の5つの場合である。

1.宅地建物取引業者(個人)が死亡したとき(法第11条第1項第1号)
宅地建物取引業者の相続人は、死亡の事実を知った日から30日以内に、免許権者(その免許を与えた知事または大臣のこと)に対して、廃業等届出書(施行規則第5条の5、施行規則様式第3号の5)を提出する義務を負う(死亡の場合、廃業等届出書の提出期間は「死亡の日から30日以内」ではなく「死亡の事実を知った日から30日以内」であることに注意。また、宅地建物取引業者が死亡した時点で、免許は自動的に失効する。廃業等届出書を提出した時点で免許が失効するのではないことに注意)。

2.宅地建物取引業者(法人)が合併により消滅した場合(法第11条第1項第2号)
その法人を代表する役員であった者は、法人が合併により消滅した日から30日以内に、免許権者に廃業等届出書を提出する義務を負う(合併により法人が消滅した場合、法人が消滅した時点で免許は自動的に失効する。廃業等届出書を提出した時点で免許が失効するのではないことに注意。また、合併による消滅、合併および破産以外の理由による解散、廃業については、免許取消し処分をまぬがれるための不当なものであるときは、免許の欠格事由となる。詳しくは免許の基準(廃業等)へ)。

合併による消滅には、吸収合併と新設合併がある。
吸収合併については、例えば甲法人が解散して乙法人に吸収されるのならば、解散する甲法人の代表者が廃業等届出書を提出する義務を負う。
新設合併については、例えばA法人(宅地建物取引業の免許あり)とB法人(宅地建物取引業の免許なし)が解散して、新会社であるC法人を新規に設立するのならば、A法人の代表者が廃業等届出書を提出する義務を負う。

3.宅地建物取引業者(個人または法人)が破産した場合(法第11条第1項第3号)
破産管財人は、破産した日から30日以内に、免許権者に対して、廃業等届出書を提出する義務を負う(破産、合併および破産以外の理由による解散、廃業については、廃業等届出書を提出した時点で、免許が失効する(法第11条第2項)。また、廃業等届出書が提出されない場合であっても、免許権者においてこれらの事実が判明したならば、免許権者は免許を必ず取り消さなくてはならない(法第66条第1項第7号))。

4.宅地建物取引業者(法人)が、合併および破産以外の理由により解散した場合(法第11条第1項第4号)
その法人の清算人は、合併および破産以外の理由で解散した日から30日以内に、免許権者に対して、廃業等届出書を提出する義務を負う。
(破産、合併および破産以外の理由による解散、廃業については、廃業等届出書を提出した時点で、免許が失効する(法第11条第2項)。また、廃業等届出書が提出されない場合であっても、免許権者においてこれらの事実が判明したならば、免許権者は免許を必ず取消さなくてはならない(法第66条第1項第7号)。さらに合併による消滅、合併および破産以外の理由による解散、廃業)については、免許取消し処分をまぬがれるための不当なものであるときは、免許の欠格事由となる。詳しくは免許の基準(廃業等)へ)

5.宅地建物取引業者(個人または法人)が、宅地建物取引業を廃止した場合(法第11条第1項第5号)
宅地建物取引業を廃止した場合とは、上記1.から4.に該当しない場合であって、宅地建物取引業を業として営むことをやめる場合を指す。一般的には「廃業」と呼ばれる。
この場合には、宅地建物取引業者であった個人または宅地建物取引業者であった法人を代表する役員は、廃業した日から30日以内に、免許権者に対して、廃業等届出書を提出する義務を負う。
(破産、合併および破産以外の理由による解散、廃業については、廃業等届出書を提出した時点で、免許が失効する(法第11条第2項)。また、破産、合併および破産以外の理由による解散、廃業については、廃業等届出書が提出されない場合であっても、免許権者においてこれらの事実が判明したならば、免許権者は免許を必ず取消さなくてはならない(法第66条第1項第7号)。さらに合併による消滅、合併および破産以外の理由による解散、廃業については、免許取消し処分をまぬがれるための不当なものであるときは、免許の欠格事由となる。詳しくは免許の基準(廃業等)へ)。

配偶者居住権

配偶者が相続開始時に居住していた被相続人の所有建物について、配偶者にその使用または収益を認める権利。民法に基づく権利である。

遺産分割における選択肢の一つとして配偶者が取得することができるほか、被相続人が遺贈等によって配偶者に配偶者居住権を取得させることもできる。また、その設定について登記しなければならない。

配偶者居住権によって居住できる期間は、原則として終身であるが、遺産分割協議等で定める期間とする場合もある。

なお、この制度は2020年4月1日から施行された。

配偶者控除

所得税の課税において、一定の要件を満たす配偶者がいる場合に受けることのできる所得控除をいう。


配偶者控除の対象となる配偶者の要件は、民法上の配偶者であること、納税者と生計を一つにしていること、配偶者の年間所得が38万円以下であること、事業専従者として収入がないこと、控除を受ける者(納税者本人)の年間所得が1.000万円以下であることとされている。また、控除額は、納税者本人の年間所得額及び控除対象配偶者の年齢により異なる。

例えば、納税者本人の年間所得額が900万円以下の場合には、控除対象配偶者の年齢が70歳未満であれば38万円、70歳以上であれば(老人向上対象配偶者)48万円である。

なお、配偶者が障害者の場合には、配偶者控除に加えて障害者控除を受けることができる。

配偶者短期居住権

配偶者が相続開始の時に被相続人所有の建物に無償で居住していた場合に、一定の期間引き続き無償でその建物を使用できる権利。民法に基づく権利である。

使用できる期間は、居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合には、遺産分割によりその建物の帰属が確定するまでの間または相続開始の時から6ヵ月を経過する日のいずれか遅い日までである。

また、遺贈などにより配偶者以外の第三者が居住建物の所有権を取得した場合、配偶者が相続放棄をした場合などは、所有権を取得した者は配偶者短期居住権の消滅を申し入れることができるが、配偶者は、申入れを受けた日から6ヵ月を経過するまでの間は引き続き無償で使用できる。

なお、この制度は2020年4月1日から施行された。

配偶者特別控除

配偶者控除の適用がないときに、配偶者の所得金額に応じて一定の金額の所得控除を受けられる制度。配偶者控除は配偶者の年間所得が38万円を超えると適用されないが、それを超える所得がある場合の負担を緩和する措置として定められている。

配偶者特別控除を受けることができるのは、控除を受ける者(納税者本人)の年間所得が1,000万円以下であること、配偶者の年間所得が38万円を超え123万円未満であることなどの条件を満たす場合に適用される。

控除額は、たとえば、納税者本人の年間所得が900万円以下で、配偶者の年間所得が38万円を超え85万円未満のときには38万円である。そして、配偶者の年間所得または納税者の年間所得が増加するに従って控除額が減少する。

ハイサッシ

高さが床面から天井まである背の高いサッシ。

ハイサッシは開口部を広く取ることができ、リビングに設けられることが多い。マンションでハイサッシを設けることができるかどうかはの位置に左右されるが、窓上部に梁が張り出さない工法であれば設置可能である。

排出権ビジネス

排出水(水質汚濁防止法の~)

水質汚濁防止法で指定された「特定施設」を設置する工場・事業場等(特定事業場)から、河川・湖沼・沿岸等の公共用水域に排出される汚水

排出水については、それに含まれることが許容される有害物質等の濃度に関する基準が定められ、事業者は、汚染状態を測定して結果を保存する義務を負っている。

なお、特定事業場から公共下水道に放出される汚水は「排出水」ではないとされている。

排出水および特定地下浸透水の汚染状態の測定

水質汚濁防止法で指定された「特定施設」を設置している工場・事業場等(特定事業場)の事業者に課せられている測定義務。測定しなければならないのは、排出水および特定地下浸透水の汚染状態で、測定結果は保存しておかなければならない

汚染状態の測定の方法は次のとおりである。

1.排出水の汚染状態の測定は、排水基準に定められた事項について、当該排水基準の検定方法により行なうこと。
2.特定地下浸透水の汚染状態の測定は、有害物質の種類ごとに環境大臣が定める方法により行なうこと。
3.測定の結果は、水質汚濁防止法施行規則で定める水質測定記録表により記録し、その記録を3年間保存すること。

排出抑制等指針(温室効果ガスの~)

事業者に課せられた温室効果ガスの排出を抑制する等の努力義務を果たす上での指針をいう。

京都議定書を達成するために制定された地球温暖化対策の推進に関する法律に基づき、2008(平成20)年12月に公表された。

排出抑制等指針は、次の事項について定めている。

1.事業活動に伴う排出抑制等
排出量、設備の設置・運転等の情況把握などの効果的な実施に係る取り組みおよびエネルギー消費効率の高い熱源機への更新などの排出の抑制等に係る措置

2.日常生活における排出抑制への寄与に係る措置
エネルギー消費効率が高い製品等の製造など

この指針は、マンションやビルの賃貸事業や事業の用に供する店舗、事務所等に対しても適用される。

排出量取引(温室効果ガスの~)

割り当てられた温室効果ガス(二酸化炭素など)の排出量を取引することをいう。

地球温暖化への対応のために2005年2月に発効した京都議定書では、先進国の温室効果ガスの排出量の削減目標を定めるとともに、その達成のため、温室効果ガスの排出量を割り当てた上で、その排出量を取引する制度(京都メカニズム)が創設された。
議定書では、排出量の取引方式として次の3種類を認めている。

1.国際排出量取引:先進各国に割り当てられた排出枠を売買する方式
2.クリーン開発メカニズム(CDM):先進国が途上国の排出削減プロジェクトを支援し、その削減量に応じて排出枠を得る方式
3.共同実施(JI):先進国間で排出削減プロジェクトを行ない、削減量に見合う枠を相互に融通する方式

これらの取引によって、経済的なインセンティブを活かした排出量の削減が可能となるとされる。

排出量の取引に際しては、取引当事者間での専門的な交渉等が必要である他、排出削減プロジェクトの立案、審査、実施や削減量の検証などの業務を伴う。また、排出量取引を仲介するなどの取引に対するサービスも拡大し、取引所機能も実現している。これら排出量取引に関するさまざまな業務を一括して「排出権ビジネス」ということがある。

排水基準

排出水に含まれることが許容される有害物質等の濃度に関する基準。水質汚濁防止法に基づき命令(排水基準を定める省令)で定められている。

排水基準を満たしているかどうかを監視するため、水質汚濁防止法は、有害物質や生活環境に被害を生ずる恐れがあるような汚水等を排出する施設を「特定施設」として指定し、これを設置する事業者について、次の義務を課している。

1.特定施設を設置する際に、事業者が事前に都道府県知事に特定施設設置等の届出を行なうことを義務付け、その届出において報告する事項により、排水基準を満たす構造等を備えていることを確認する。
2.特定施設を設置する事業者に対して、排出水および特定地下浸透水の汚染状態の測定を義務付け、排水基準を遵守していることを記録させる。

ハイツ

高台に立地する住宅。英語のheights。

もとは丘など高い場所をさす英語だが、建物の立地特性を示す不動産用語としても使われるようになった。

配当落ち

株式の配当を受ける権利の確定日が過ぎたため、理論株価が下落することをいう。

株式を発行している会社は、株主に対して基準日(通常は決算日)に剰余金を配当するが、理論株価は、一般的にその翌日には配当額分だけ下落する。業績に関係なく変化するこの現象が「配当落ち」である。

配当の基準日には株式の受渡しが行なわれないため、配当を受けるには配当の基準日を含めて一定営業日前までに株式購入の注文が成立していなければならない。
 
REITも金融商品としては株式と同じ性質をもっており、配当落ちと同様の現象が起きる。

配当利回り

株価に対する年間配当金の割合をいう。

通常、配当金は利益と正比例関係にあるが、利益のうちどの程度を配当に当てるか(配当性向)などにも左右される。一方、株価が下落すると配当利回りは上昇する。インカムゲインを重視する投資家にとっては、投資先を評価するうえで重要な指標である。

REITについても同様の指標を算出できるが(株価に当たるのがREIT価格、配当金に当たるのが収益分配金)、REITは株式とは異なりその収益のすべてが分配されるので、利回りが配当性向などに左右されることはない。一方で、内部留保金がないため、利益の動きが直接に配当に反映されることになる。

ハウスクリーニング

住宅の清掃サービス。特に、換気扇壁紙、浴室、トイレなど、技能が必要な箇所を掃除する場合に活用されている。また、賃貸住宅の退去に当たって清掃が必要な場合に、それを代行するサービスもハウスクリーニングである。

なお、ハウスクリーニングは和製英語である。

ハウスダスト

室内の細かい塵・ほこり。英語ではhouse dust。綿ぼこり、花粉、土、スス、ダニ、菌類などの混合物で、肉眼では見えにくい。

軽いため、空気中に舞い上がり漂いやすい。また、アレルギー性の疾患を引き起こす抗原(アレルゲン)となっている。その除去のためには、こまめな掃除、空気清浄機の使用、防ダニ対策などが有効であるとされる。

ハウスメーカー

住宅の生産を工業システム化し、住宅建設事業を広域に展開している建設会社を指す言葉であるが、明確な定義はない。

住宅建設は発注者の注文に従って工事を進めるため、用いる材料や工事方法は区々であるが、ハウスメーカーは、建築資材や工法を規格化して、住宅生産を工業生産システムに似たかたちで実施する体制を整えている。その結果、生産効率を高め、大量生産、品質確保、工期短縮、コスト低減を図ることができるとされる。一方で、建物の設計は規格化された生産システムや資材・工法に従わなければならず、注文者の幅広いニーズへの対応、立地条件との調整、周辺環境との調和の確保など、個別の事情に応えることについては限界があるとされる。

ハウスメーカーが建設する住宅はほとんどが一戸建て住宅である。また、ハウスメーカーの特徴は生産を規格化・システム化することであって、実際の工事のほとんどは、工務店や大工が下請負として施工している。

なお、住宅建設会社には、ハウスメーカーのほか、ハウスビルダー、工務店、大工店などがある。それぞれの定義は明確ではないが、事業展開の範囲、工法、工事体制などに違いがある。

掃き出し窓

床面まで開いている窓。窓の下枠位置が床より低く、室内の塵埃をそのまま屋外に排出できる。

白紙委任状

ある人に一定の行為を委任することを記載した書面を委任状という。

委任状は、登記申請手続き等で必要な書面である。
この委任状には、委任者の氏名、受任者の氏名、委任事項の詳細などを記載するが、これらの記載の一部(例えば委任事項)が空欄となっているものを白紙委任状という。白紙委任状を交付された受任者が、空欄を濫用した場合については、代理権授与表示による表見代理が成立する場合がある。

ハザードマップ

自然災害による被害予測および避難情報を表示した地図をいう。

災害の種類に応じて、洪水、津波、火山、土砂災害などのハザードマップが作成・公表されている。

ハザードマップには、災害発生時に予測される被害の範囲・程度などの他、避難経路や避難場所が示されている。

災害を防ぐには、その発生を防止するだけでなく、発生後の被害を軽減すること(減災)も有効であり、そのために活用される。また、地域のリスクを管理する上での情報基盤としての役割も果たす。

柱間

建物の柱と柱のあいだの空間を指す用語。伝統的な日本建築において用いられる用語で、柱間の数によって建物の大きさを示す。例えば、正面が8本の柱でできている建物は、柱間は7つで、「七間堂」となる。


また、柱と柱の距離を指す場合もある。この場合の柱間は、一般に、尺貫法の「(けん)」(6尺、1.8182m)とは一致せず、より長い距離となっている。

旗竿地

袋地から延びる細い敷地道路(公道)に接するような土地をいう。

その形が竿のついた旗に似ていることから旗竿地と称される。

建築基準法では、建物の敷地について、道路に接する間口が2m以上なければならないとされているが、旗竿地は、その基準を最低限度で満たす土地である。公道からのアクセスの不便さ、周囲すべてを隣地に囲まれているという敷地環境、比較的低い地価水準などが特徴とされる。

ハッチ

船の甲板、建物の床や屋根に設けた昇降のための開口部。または、間仕切り棚などに設けて両側から使用する開口部。英語のhatch。

発泡ウレタン

ポリウレタン(polyurethane)に発泡剤(炭酸ガス等)を加え発泡・固化させた材料。発泡スチロールのような軟質のものと、硬質ウレタンフォームのような硬いものとがある。いずれも、断熱効果、防湿性、気密性に優れるとされている。

硬質ウレタンフォームは建材として使用されて、主な用途は、断熱材や充填剤である。その使用方法には、工場で生産した板状の発泡ウレタンフォームを貼り付ける方法と、工事現場で薬剤を混ぜ、施工箇所に吹き付けて化学反応によってポリウレタンを発泡・硬化させる方法(吹きつけ型発泡ウレタン)とがある。

幅木

壁の最下部で床に接する所に水平に設けられた化粧材のこと。

壁の最下部を物がぶつかる等の損傷や汚染から保護し、床の納まりを良くする。木材、石、タイル、金属板、プラスッチック等が用いられる。

破風

屋根の妻(山形に合わさった屋根の端にできる面)となる三角形の壁面に取り付けられた厚い装飾板またはその三角形部分。城郭、社寺などの建築物においては、短い屋根と三角形の部分を独立した構造体として組み込む場合があるが、これも「破風」といわれる。

切妻屋根の切妻破風、入母屋屋根の妻上方の入母屋破風、屋根の平斜面(流れ)に取り付ける千鳥破風、丸く盛り上がる曲線形の唐破風など、形や取り付け方によっていくつかに分類される。

なお、破風の頂点から垂れ下がる彫刻物を「懸魚(けぎょ)」という。

はめ殺し窓

開閉できない、枠に直接ガラスなどが固定された窓。「はめ殺し」ともいう。

小屋組床組の荷重を二点支持により水平や斜めの状態で支える横材のこと。

柱などと連結して、上方からの荷重を鉛直方向に流し、地面に力を伝える重要な構造部材である。

ハロゲンヒーター

ハロゲンランプ(石英管内にタングステンフィラメントを内蔵し、ハロゲンガスを封入したもの)を熱源とする調理用ヒーターのこと。
ハロゲンランプが放射する光の80%以上が熱(赤外線)であることに着目し、この放射熱を調理に応用したものである。

ハロゲンヒーターの特徴として、熱効率がガスバーナー(ガスコンロ)に比べて高いこと、火力が強いことが挙げられる。また、熱源であるハロゲンランプの寿命は5,000時間から1万時間程度である。

ただしハロゲンヒーターでは、土鍋、ガラス鍋、ホーロー鍋などは使用することができない(超耐熱ガラス鍋・耐熱ホーロー鍋は使用できる)。

なお最近は、ハロゲンランプを使用した暖房器具も発売されており、この暖房器具もハロゲンヒーターと呼ばれている。

犯罪による収益の移転防止に関する法律

マネー・ローンダリング(money laundering、資金洗浄[犯罪による収益を隠蔽・移転する行為])を防止するための法律で、金融機関等の本人確認、取引記録保存、疑わしい取引の届出等の義務などを定めている。

2007(平成19)年に公布、翌年全面的に施行されたが、従来のマネー・ローンダリング対策を強化すべく、本人確認等を義務付ける「特定事業者」の対象を、金融機関のほか、非金融業者(不動産・貴金属・宝石等取扱業者等)、職業的専門家(法律家・会計士等)に拡大するなどの措置が定められた。

この法律によって、宅地建物取引業者も同法の特定事業者とされ、一定の取引について本人確認等の義務を負うこととなった。

搬出

引越しなどに当たって荷物を運び出すこと。

引越し荷物を搬出するときには、運搬の都合だけでなく、すぐに使うものを分別すること、物品を種類に分けて梱包することなど、引越し先での搬入の利便を考えて荷造りすることが重要である(「搬入」を参照)。

搬入

建物に大きな荷物を運び込むこと。例えば、引越しに当たっては、一般に、家具、寝具、衣類、リネン類、食器類などの生活用品を搬入する。

なお、引っ越し荷物を円滑に搬入するためには、すぐに使うものを分別すること、物品を種類に分けて梱包することなど、搬入後の利便を考えて荷造りすることが重要である。また、個々の荷物について、どの部屋や場所に搬入するかを明確に示すことも大事である。

販売価格(不動産の〜)

不動産を販売するときの売出価格。

不動産の販売価格は、土地取得、宅地造成、建築などに要した費用(コスト)を基礎に、近傍不動産の取引価格や当該不動産の特性を考慮して決定される。

不動産は、個別性が極めて高いこと、消費財ではなく高額な資産であること、価格動向が金融情勢と深く関係することなどの特性がある。また、浸水等のリスク、土地利用や建物構造に関する規制など、利用に当たって留意すべき事項が多い。不動産の販売価格にはこれらの要素が反映しているのである。

なお、取引される価格は、通常、市場競争のもとで交渉によって決まるため、販売価格がそのまま取引価格になるとは限らない。

販売受託

売主から委託を受けて、不動産の販売業務を行なうことをいう。

その業務範囲は、販売企画、広告、売買の代理・媒介、登記支援、金融の斡旋などである。不動産開発事業において、事業の初期段階からマーケティングをなどの業務を担い、売主と共同で事業を推進することもある。

販売の受託費用は、一般に、販売する不動産の価格に組み込まれている。

販売用不動産の評価減

不動産会社・建設会社が商品在庫として保有する販売用不動産について、その時価が取得価額よりも下落したときに、評価額を減じて決算することをいう。

通常の販売目的で保有する棚卸資産については、取得原価をもって貸借対照表価額とし、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、収益性が低下しているものとみて下落価額を損失計上し、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額とすることとされている。販売用不動産についても、同様の考え方を適用し、正味売却価額により評価しなければならない。

評価額は、開発の可能性に応じて次の算式によって算定する。
i)開発の見込みがないとき
販売用不動産の正味売却価額 = 販売見込額ー販売経費等見込額
ii)開発が見込まれるとき
開発事業等支出金の正味売却価額 = 完成後販売見込額ー(造成・建築工事原価今後発生見込額+販売経費等見込額)

なお、販売用不動産については、時価が取得価額より50%以上の下落を示したときには強制的に評価を減じる措置(棚卸資産の強制評価減)が定められていたが、2009(平成21)年にこの措置は廃止された。しかし、評価減を損失として処理する考え方に変わりはない。

販売用不動産の評価に関するガイドライン

日本公認会計士協会が、建設業界・不動産業界の企業監査を実施するために2000年7月6日に設けたガイドラインのこと。正式名称は「販売用不動産等の評価に関する監査上の取り扱い」である。

販売用不動産は、通常の販売目的で保有する棚卸資産と同様に、取得原価をもって貸借対照表価額とし、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、収益性が低下しているものとみて、下落価額を損失計上し、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額とすることとされている。

販売用不動産の評価に関するガイドラインは、この場合の正味売却価額の算定などについての判断指針等を定めている。基本的な算定式は、開発の可能性に応じて次のとおりである。

i)開発の見込みがないとき
販売用不動産の正味売却価額 = 販売見込額ー販売経費等見込額
ii)開発が見込まれるとき
開発事業等支出金の正味売却価額 = 完成後販売見込額ー(造成・建築工事原価今後発生見込額+販売経費等見込額)

この場合、開発の見込みの有無は、次の基準に基づいて判断する。そしてこの基準によって「計画の実現可能性がない」と判断された不動産については、「販売用不動産の正味売却価額」として算定しなければならない。

1)開発計画に明らかに合理性がないと認められる場合には、その時点で開発計画の実現可能性はないものと判断する。

2)開発工事が一定期間延期または中断され、次のような状況にある場合には、原則として実現可能性はないものと判断される。
a)開発用の土地等の買収が完了しないため、開発工事の着工予定時からおおむね5年を経過している。
b)開発用の土地等は買収済みであるが、買収後おおむね5年を経過しても開発工事に着工していない。
c)開発工事に着工したが、途中で工事を中断し、その後おおむね2年を経過している。

媒介

私法上の概念で、他人間の契約法律行為の成立に向けて行う事実行為をいう。代理取次と違って、法律行為ではないとされる。

不動産取引における宅地建物取引業者の立場(取引態様)の一つでもあり、不動産の売買・交換・賃貸借について、売主と買主(または貸主と借主)との間に立って取引成立に向けてなす活動がこれに該当する。

なお、「仲介」は「媒介」と同じ意味である。

媒介契約

不動産の売買・交換・賃貸借の取引に関して、宅地建物取引業者が取引当事者の間に立ってその成立に向けて活動するという旨の契約をいい、売主または買主(賃貸借取引の場合には、貸主または借主)と宅地建物取引業者との間で締結される。

宅地建物取引業法は、媒介契約について、契約内容を記した書面の交付義務、媒介報酬の制限などを規定しているほか、媒介契約に従って行なう活動の方法等についてそのルールを定めている。

媒介契約書

宅地建物取引業者は、媒介契約を締結したときは、遅滞なく、一定の事項を記載した書面を作成し、宅地建物取引業者がその書面に記名押印し、依頼者(売主・買主・貸主・借主)にその書面を交付しなければならない。
このとき交付される書面のことを「媒介契約書」と呼んでいる(宅地建物取引業法第34条の2第1項)。

また、媒介契約書に記載されるべき事項は詳細に法定されている。

媒介報酬(仲介報酬)

宅地建物取引業者媒介により、売買・交換・貸借が成立した場合に、宅地建物取引業者が媒介契約に基づき、依頼者から受け取ることができる報酬のこと。

この報酬の額は、媒介契約または代理契約に基づき、依頼者と宅地建物取引業者の間で約定されるものである。
またこの報酬の額の上限は、宅地建物取引業法により国土交通大臣が告示で定めるものとされており、宅地建物取引業者はその告示の規定を超えて、報酬を受けてはならないという制限がある。

このような宅地建物取引業法の規定を受けて建設省告示「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額を定める件」(いわゆる報酬告示)が定められている。

報酬額の制限の概要は次の通りである。

1.報酬が発生する場合
宅地建物取引業者の媒介または代理により、売買・交換・貸借が成立した場合に、宅地建物取引業者は依頼者に報酬を請求することができる。しかし、宅地建物取引業者自らが売主または貸主として売買・交換・貸借が成立した場合には、その売主または貸主である宅地建物取引業者は取引当事者の立場にあるので、買主または借主に報酬を請求することはできない。
また、この報酬は成功報酬と解釈されており、原則として売買・交換・貸借が媒介または代理により成立した場合にのみ報酬請求権が発生するとされている(標準媒介契約約款の規定等による)。

2.売買の媒介における報酬額の上限
売買の媒介の場合に、宅地建物取引業者が依頼者の一方から受けることができる報酬額の上限は、報酬に係る消費税相当額を含めた総額で、次の通りである(報酬告示第二)。

1)売買に係る代金の価額(ただし建物に係る消費税額を除外する)のうち200万円以下の部分について…5%+これに対する消費税額
2)200万円を超え400万円以下の部分について…4%+これに対する消費税額
3)400万円を超える部分について…3%+これに対する消費税額

例えば、売買に係る代金の価額(建物に係る消費税額を除外)が1,000万円の場合には、200万円の5%、200万円の4%、600万円の3%に、それぞれに対する消費税額を加えた額が依頼者の一方から受ける報酬額の上限となる(ただし、この額には報酬に係る消費税相当額を含む)。

3.交換の媒介における報酬額の上限
交換の媒介の場合には、交換する宅地建物の価額に差があるときは、いずれか高い方を「交換に係る宅地建物の価額(ただし、建物に係る消費税額を除外する)」とする(報酬告示第二)。

例えば、A社がX氏と媒介契約を結んでX氏所有の800万円(消費税額を除外後)の宅地建物を媒介し、B社がY氏と媒介契約を結んでY氏所有の1,000万円(消費税額を除外後)の宅地建物を媒介して交換が成立したとすれば、A社の報酬額の上限は800万円でなく、1,000万円をもとに計算する。(ただし、この額には報酬に係る消費税相当額を含む)。

4.貸借の媒介の場合
宅地または建物の貸借の媒介において、宅地建物取引業者が依頼者双方から受けることのできる報酬の上限は、合計で借賃(借賃に係る消費税額を除外する)の1月分+これに対する消費税額である(この額には報酬に係る消費税相当額を含む)。ただし、居住の用に供する建物の賃貸借については、依頼者の一方から受け取ることのできる報酬は、媒介依頼の際に当該依頼者の承諾を得ている場合を除いて、借賃の1月分の0.5倍+これに対する消費税額以内でなければならない(報酬告示第四)。

なお、宅地または非居住用の建物(店舗・事務所など)の賃貸借において、権利金が授受されるときは、その権利金の額を上記2.の「売買に係る代金の額」とみなして、売買の媒介の場合と同様に報酬額の上限を算出することが可能である(報酬告示第六)。

5.代理の場合
売買・交換・貸借の代理において、宅地建物取引業者が依頼者の一方から受けることのできる報酬額の上限は、上記2.3.の2倍である(報酬告示第三)。また、賃借の代理においては、一方から受け取ることのできる報酬額の上限は借賃の1月分+これに対する消費税額であり、取引の他方からも媒介等の報酬を得る場合には、両者からの報酬の合計額はこの額を超えてはならない(報酬告示第五)。

なお、双方代理は、民法で原則として禁止されていることに注意が必要である。

6.複数の宅地建物取引業者の関与
複数の宅地建物取引業者が一個の売買等の媒介・代理に関与する場合には、報酬額の上限の規定は、それらの業者の受ける報酬額の合計額について適用する。

7.特別の依頼に係る広告費用
依頼者が特別に依頼した広告の料金に相当する額は、上記の1.~6.のほかに、宅地建物取引業者が依頼者から受けることができる(報酬告示第七)。

売買一方の予約

売買一方の予約とは、将来において売買契約を締結することを事前に合意しておくことを指す(民法第556条)。

「予約」とは、将来において契約を締結するということを、事前に当事者同士で合意することを指す。「予約」においては、当事者の一方が予約完結権を持つのが一般的である。「売買一方の予約」もこのような「予約」の一つである。
(詳しくは予約へ)

「売買一方の予約」では、通常、将来の売買契約で買主となる者が予約完結権を持つ。「売買一方の予約」は、社会的には債権(金銭貸借)を担保する機能を営んでいる。

例えば、AがBに1,000万円を融資したとする。
この融資実行の際に、AとBの間で「AとBは、B所有の土地をAが購入するという売買契約を将来締結することを合意する。予約完結権を行使するのはAである。Aは、融資を返済すべき時期に融資が返済されないときは、その予約完結権を行使することができる」という予約を結んだとしよう。そうすると、仮にBが融資を返済しなかったならば、Aは予約完結権を行使することにより自動的にB所有土地を取得することができる。

このように「売買一方の予約」を結んでおけば、融資が返ってこなくても、債権が保全されるということになるのである。なお、「売買一方の予約」における予約完結権は仮登記をすることができる。

売買契約

当事者の一方が、ある財産権を相手方に移転する意思を表示し、相手方がその代金を支払う意思を表示し、双方の意思が合致することで成立する契約のこと(民法第555条)。

売買契約は諾成契約とされている。つまり、当事者の双方が意思を表示し、意思が合致するだけで成立する(財産が引き渡されたときに成立するのではない)。
また、売買契約は不要式契約なので、書面による必要はなく口頭でも成立する。
さらに、売買契約は財産権を移転する契約であるが、その対価として交付されるのは金銭でなければならない(金銭以外の物を対価として交付すると「交換契約」となってしまう)。

当事者の双方の意思の合致により売買契約が成立したとき、売主には「財産権移転義務」が発生し、買主には「代金支払義務」が発生する。両方の義務の履行は「同時履行の関係」に立つとされる。

売買予約

私法上の概念で、将来において売買契約を成立させることを約束する契約をいう。

予約により将来において成立する契約を本契約、予約によって本契約を成立させる権利を予約完結権といい、予約完結権は形成権とされる。売買予約には、当事者の一方のみが予約完結権を持つもの(売買一方の予約)と、当事者の双方が予約完結権を持つものとがあるが、当事者が予約完結権を行使する旨の意思表示を行なうと、本契約が当然に成立する。

なお、不動産の売買予約については、所有権移転請求権を仮登記することによって第三者に対抗できる。

また、予約完結権の行使について催告し、確答がないときには予約の効力をなくすることができる。

バイヤーズエージェント

不動産取引において、もっぱら買い手の立場に立って必要なサービスを提供する人または企業をいう。

その業務内容は、市場調査、物件選定、物件評価、取引支援など幅広いが、その相当部分は宅地建物取引の代理または仲介業務に該当するため、宅地建物取引業として営まれるのが一般的である。

バスタブ

浴槽。英語のbathtub。もともと独立した家具であったが、最近はユニットバスに組み入れられている。

バランスがま

浴室内に設置される風呂がまのこと。浴槽の脇に設置するタイプの風呂がまである。浴槽と風呂がまが接しているため、エネルギーの損失が少なく経済的という利点がある。

バランスがまは、浴槽に溜めた水を沸かす機能だけでなく、追いだき機能・沸かし直しの機能を持つ。またシャワー機能を持つ機種もある。ただし台所・洗面台への給湯機能は持たない。

バランスがまを設置する場合には、給排気を安全に行なうために、浴室内から戸外へと通じる排気筒を浴室内に設置する必要がある。また換気を確保するために浴室に換気窓を設けるケースが多い。

バリアフリー

高齢者や身体障害者など、体の不自由な人々の行動を妨げる物的・心理的障害を取り除くという意味。

バリアフリーデザインはその障害となる物を除去し、生活しやすいよう設計されたものである。段差をできる限りつくらずにスロープ等を用いることも一つの手法である。

バリアフリー改修促進税制(住宅の~)

家屋に対してバリアフリー改修工事を行なった場合に課税を軽減する特例。特例は、所得税および固定資産税について適用される。


1 所得税の特例

自己が居住している家屋(貸家住宅を除く)に対して、
1)50才以上の者、要介護の認定を受けているなど一定の者が、
2)通路の拡幅、手すりの取付け、段差の解消などの一定のバリアフリー改修工事を行なった場合(工事費50万円超に限る)
には、そのための借入金残高の一定割合(バリアフリー改修工事費については2%、合わせて行なったそれ以外の部分の改修費については1%、それぞれ限度額あり)について、5年間にわたって税額が控除される。



この制度は、一般の住宅リフォーム減税との間で選択的に適用される。



さらにバリアフリー改修工事に要した費用の10%を工事実施年度の所得税額から控除するという特別措置が適用されている(居住年に応じて工事額および控除額に限度がある)。

2 固定資産税の特例 
所得税の特例の場合と同様の者が、同様のバリアフリー改修工事を行なった場合に、その家屋(貸家住宅を除く)に対する翌年度の固定資産税額(100平方メートル相当分までに限る)を、3分の1減額する。



対象となる家屋は、床面積が280平方メートル以下、築後10年以上経過した住宅である。

ただし、これらの特例の適用については期限が定められているので、具体的な期限について確認が必要である。

バリアフリー・リフォーム

住宅をバリアフリー化するための改修工事。和製英語である。例えば、床の段差解消、手すりの設置、車椅子対応のための廊下拡幅などの工事は、いずれもバリアフリー・リフォームである。

なお、一定のバリアフリー・リフォームに対しては、バリアフリー改修促進税制によって、所得税固定資産税の課税について軽減措置が適用される。

バルコニー

建物の上階の壁面から突き出した床の部分。英語のbalcony。通常、屋根がない。「露台」も同義。

マンションの場合、共用部分とみなされるので、各住戸の専有面積に算入されない。またマンションの各住戸の所有者は、バルコニーに物を置いて火災時の避難に支障をきたしてはならないとされている。

なお、建築基準において、バルコニーの外端からの距離が1mを超える内側部分は、建築面積に算入される。

PS

上下水道管(さらにはガス湯沸器など)を収納したスペースのこと。住戸の外部(玄関脇など)に設置されているのが一般的である。

このパイプスペースの中に電気・ガス・水道のメーターを納めているときは、「MBPS」と表示されることがある。

なお、このPSやMBPSは、住戸の外部にあるときは住戸の使用面積(専有面積、賃貸面積)には一般的に算入されない。

パイン材

松を素材とする建材。家具材として使われる場合が多い。パイン(pine)は、英語で松を意味する。

松の樹種は多いが、パイン材となる特定の樹種は定まっていない。パイン材は、一般に、温かみがあり、柔らかく加工しやすく、美しい木目がある。また、独特の香りを発すること、時間とともに色合いが変わることなどが特徴とされる。

パタン・ランゲージ

良好な環境を設計し建設するための計画原理の集合。英語のpattern languageで、クリストファー・アレグザンダー(Christopher Alexander:オーストラリア)が提案した設計・建設のために使う共通用語である。

253の「パタン」という計画原理で構成される。パタンは、地域のかたち、場所の性質、空間の状態、建物や部屋の有様、設備の状態などに関する命題で示され、これらのパタンを選択的に使って設計・建設することで、良好な環境に備わっている「有機的秩序」(全体と部分とが相互に関連し合うような秩序)を生み出すことができるとする。また、パタンは理解しやすいため、誰もがデザインのプロセスに参加することができると考えられている。

例えば次のように示されている(カッコ内の数字はパタンの番号)。(クリストファー・アレグザンダー『パタン・ランゲージ―環境設計の手引』(平田翰那訳)鹿島出版会 1984年)

・複合建物(95)
けっして一枚岩的な大きい建物をつくらないこと。できれば、建物の各部分が現実の生活実態を表明する複合建物になるよう、つねに自分の計画を修正すること。低密度地区では、アーケード、歩行路、連絡橋、共有庭、さかい壁などでつながる小さい建物の集合体になるであろう。

・造りつけの腰掛(202) 
腰掛けを設ける前に、古い肘掛椅子か長椅子を用いて、腰掛けを設けようと思う位置に置いてみること。本当に気に入る位置が見つかるまで動かすこと。2、3日の間そのままにし、そこに座るのが楽しいかどうか確認すること。さもなければまた動かすこと。お気に入りの場所が見つかり、たびたびそこに座るようになれば、そこが正しい位置である。

・自分を語る小物(253) 
近代装飾はしゃれてないとだめだとか、サイケ調にすべきだとか、「ナチュラル」な感じがよいとか、「モダンアート」風が好ましいとか、「プラント」を置くべきだといった、今時の流行仕掛人たちの言にごまかされないこと。自分の生活がそのままにじみ出ているもの(自分の大切にしている物や自分を物語るもの)が、いちばん美しい。

パッシブ換気

建物内外の温度差を利用して、機械動力に頼らず換気する方法。パッシブは英語のpassive(受動的)である。

家屋の床下から取り入れた空気を暖め、暖気が上昇し、冷気が下降する性質を動力にして室内を循環させることによって換気する。このとき、排気は、暖気の一部を煙突などを利用して屋外に逃すことによって行なう。

なお、機械動力に頼らない別の換気方法として「自然換気」があるが、これは換気口を設けるだけである。

パティオ

スペインやラテンアメリカなどの住宅に見られる中庭。

一般的には、多彩なタイル張りの床、噴水、植木などで構成された中庭。スペインやラテンアメリカなどの住宅に見られる。

パブリックアート

広場、公園、街路などの公共の場所に彫刻などの美術作品を置くこと。英語のpublic art。

点景として彫刻等を置くだけでなく、公共空間に美術作品を多数配置し、その場所を活性化するデザイン手法として活用されている。公共の場に美術を展開することによって、その場所が美術品の制作者の美的感性を刺激し、自由な創造性が広範に発信されるからである。

パブリックアートを積極的に活用した早期の例として、「ファーレ立川」(1994、東京都)や「新宿アイランド」(1995、東京都)がある。

パラジクロロベンゼン

衣服等の防虫剤やトイレ等の消臭剤として利用されている化学物質。昇華して強い臭気を発する白色の固体である。化学構造は、ベンゼンの二塩化物で、化学的な名称は1,4-ジクロロベンゼン、化学式はC6H4Cl2である。高濃度のパラジクロロベンゼンは、健康に害を及ぼす恐れがあるとされ、使用に当たって注意が必要である。

パラペット

次の2つの意味がある。

1.陸屋根(水平な屋根)の周囲を取り囲むように設置された低い壁
2.店舗の屋上や、店舗の正面の上方に取り付ける壁

1.の意味のパラペットは、落下防止や雨水の浸入を防止するために設置されるものであり、2.の意味のパラペットは主に看板を取り付けるために設置されるものである。

パラボラアンテナ

衛星からさまざまな情報を受信するためのお椀型のアンテナのこと。一般的には、衛星放送受信用のアンテナ(BSアンテナ)のことを指す。

最近のマンションでは、各住戸でそれぞれ設置する必要がないよう、あらかじめ共用のパラボラアンテナを設置し、各住戸への配線によって衛星放送が見られるようにしたものも多い。

パラボラとは放物線のことで、アンテナの内部が放物線の用に半円を描いているところから、この名前がついた。放物線の焦点は光が集まる点としての性質を持っており、この原理を生かし、アンテナに届いた電波は、中央部に設置された受信機に集められる。

パラボラアンテナは電波指向性が高いため、アンテナを電波のくる方向へある程度正確に向ける必要がある。

パンチングメタル

金属板に多数の穴を打ち抜いて加工した製品。パンチングメタルは和製英語で、英語ではperforated metal(パーフォレイテッド メタル)という。金型をプレスして打ち抜く。穴の形には丸孔、角孔、長孔等があり、その配置パターンはさまざまである。また、打ち抜く金属板も、鉄、ステンレス、アルミニウム等幅広い。

パンチングメタルは、用途に応じて、素材、板の形や厚み、穴の形や配置パターン、開口率などを幅広く選ぶことができる。堅牢に加工でき、通気性やデザイン性を確保できるため、建物の外装・内装用のパネル、床材、通気口、家電製品のカバー、ストレーナー(濾過装置)などとして広範に利用されている。

パントリー

食料品や食器を入れておく小室、または配膳室のこと。

厨房に隣接して配置する場合と、食事をとる部屋に近付ける場合があり、配膳における一連の動作がスムーズに進むように設計すると良い。

パーキング

駐車場。不特定多数に対する短期的な貸付け営業の用に供するものを指すことが多い。英語のparking lotの略。

パーキングは、永続的な設備として設置されるほか、空き地の活用や建築予定地の一時的な利用のために設置される場合がある。

公共の用に供するパーキングであって、駐車の用に供する部分の面積が五百平方メートル以上であるものの構造および設備は、建築基準法のほか、駐車場法で定める基準によらなければならない。また、都市計画区域内にこれを設置するときには、設置者は、あらかじめ、規模、構造等を都道府県知事等に届け出なければならない。

パーゴラ

イタリア語で葡萄棚という意で、蔦・藤などのつる性植物を絡ますように造ったトンネル状の棚のこと。

開放的であると同時に、植物による日除けのスペースであり、庭園における景観的美しさも兼ね備えている。

パース

透視図法、すなわちある点から放射状に線を引いて投影した図のこと。

物を立体的に表現し、平・立面図に比べてイメージを把握しやすい。従って、建築物の完成予想図としてよく用いられる。描く部分によって外観透視図・室内透視図がある。「パースペクティブ」とも。

パーティールーム

イベントや会合に利用するための部屋で、マンションの共用施設として設置されている。和製英語である。

用途や使用方法はマンションの管理規約等に定められていて、それに従って利用することになる。

なお、貸しスペースとして営業されるパーティールームもある。

パーテーション

間仕切り壁」を参照。

非課税取引

消費税の性格や社会政策的配慮により、消費税が課税されない取引のことを「非課税取引」という。
詳しくは「課税取引」を参照のこと。

光ファイバー

ガラスやプラスチックの細い繊維を芯として光を通す通信ケーブルのこと。通信データを光の信号でやり取りするため、高速・大容量の情報通信が可能になる利点がある。

ADSLの通信速度が2Mbps~数十Mbps(bpsは1秒間に1ビットのデータを送信できるという単位)であるのに対して、光ファイバーでは計算上は100Mbpsの通信速度が出るとされている(ただし、現時点では設備上の問題から100Mbpsは実現しないことが多い)。このため光ファイバーは、映画などの動画を配信できる次世代の情報通信技術として注目されている。

なお、光ファイバーを各家庭へ引き込むことを「FTTH」(Fiber To The Home)というが、ここから転じて、家庭用の光ファイバー通信サービスのことを「FTTH」と呼ぶ場合がある。

引き戸

戸板を溝やレールで導き、横に滑せて開閉する戸。開閉の方式には、一枚の戸板を滑らす「片引き」、二枚の戸板を一筋の溝・レールによって滑らす「両引き」、二筋以上の溝・レールでそれぞれ戸板を滑らす「引き違い」などがある。

引渡し

物を支配する権能(占有権)を相手に移転すること。売買や賃貸借によって生じる民法上の概念である。現実に占有状態を実現することだけでなく、占有を移転する旨の意思表示も引渡しとされる。

引渡しを受けることは、動産に関する物権譲渡の対抗要件とされている。一方、不動産に関する物権譲渡の対抗要件は登記であって引き渡されることではないが、引渡しを受けることは、譲渡された事実を確定する上で重要な行為である。

建物の引渡しは、通常、鍵を渡すことによって行なわれる。

土地の引渡しは、建物付きであるか更地であるかによって費用の負担や手続きが異なる。たとえば、建物付きの土地を更地で引渡す場合には、引渡し前に、建物を解体し、埋蔵物を確認し、建物の滅失を登記するなどの作業が必要となる。一方、現況での引渡しであればこれらの手続きは不要である。いずれの場合も、引渡しを受けたら占有の事実を示す標識等を設置することが望ましい。

被災市街地における建築制限

市街地に災害があったときに、区域を指定して、一定期間、建築を制限・禁止する制度をいう。

被災後の都市計画等の必要に応えるために、建築基準法で定められた制度である。


区域を指定するのは特定行政庁で、建築が制限される期間は被災日から1ヵ月以内(さらに1ヵ月以内の範囲で延長できる)である。また、東日本大震災における被災市街地については、制限期間は6ヵ月以内とし、さらに2ヵ月以内の範囲で延長できる特例が定められた。

なお、大規模な火災、震災等が発生した場合には、被災市街地復興のため被災市街地復興推進地域に関する都市計画が定められることがあるが、計画で定める期間(2年以内の範囲で定める)内は、被災市街地復興推進地域内における土地の区画形質の変更および建築について、都道府県知事の許可を得なければならないとされている(被災市街地復興特別措置法)。

被災市街地復興推進地域

大規模な災害により被害を受けた市街地の復興を推進するために定められる地域。
平成7年に制定された被災市街地復興特別措置法に基づいて市町村が指定する地域である。

被災市街地復興推進地域は、次の要件に該当する市街地の区域について、市町村の都市計画で指定される(被災市街地復興特別措置法第5条、都市計画法第10条の4、都市計画法第15条)。

1.大規模な火災、震災等により相当数の建築物が滅失したこと
2.公共施設の整備状況、土地利用の動向から見て不良な街区の環境が形成される恐れがあること
3.緊急かつ健全な復興のため、土地区画整理事業、公共施設の整備事業等を実施する必要があること

このような要件を満たす区域について、被災市街地復興推進地域が指定された場合には、地域内の土地において、建築行為等が厳しく制限され、土地の造成・建築物の建築等には知事(または市長)の許可が必要となる(被災市街地復興特別措置法第7条)。

また、この知事(または市長)の許可が得られないために土地所有者に著しい支障が生ずる場合には、都道府県・市町村等は当該土地を時価で買い取るべきものとされている(被災市街地復興特別措置法第8条)。

家屋開口部の上に取り付けられた片屋根をいう。

あるいは、和風建築において、建物主要部(母屋)の外側に付加された空間をさす場合もある。「庇を貸して母屋を取られる」ということわざでの「庇」はこの意味である。

非財務情報の開示

企業価値を把握するために、財務情報以外の情報を開示すること。

従来、企業価値は財務情報に基づいて把握されてきたが、近年、企業活動による環境や社会への影響について関心が高まっている。それらの影響のあり方が、企業価値を評価する要素となってきたからである。非財務情報とは、そのような影響に関する情報で、財務情報のように定型化されているわけではない。

非財務情報への関心は、投資家だけでなく、取引先や消費者などにおいても高まっている。特に、企業活動が環境や社会に与える影響を、企業の持続性(サステイナビリティ)の視点から評価できる情報が求められている。そこで、その関心に応えるべく、国際的に共通の形式で非財務情報を開示するための取り組みが進んでいる。

例えば、企業報告の国際的な標準化を進めている5団体(CDP・CDSB・GRI・IIRC・SASB)は、開示する非財務情報を(1)企業が環境、人、経済に対して大きく影響を及ぼす事項等を表明する「サステナビリティ報告」、(2)サステナビリティに関する課題が企業価値の創出や棄損にどのようにつながるかを説明する「サステナビリティ関連財務情報の報告」、(3)財務数値に直接関連するサステナビリティ課題を説明する「財務会計とその報告」に分類し、それらを包括する報告フレームが必要であるとしている。

非財務情報には、不動産の利用などが環境や社会に与える影響の説明も含まれる。開示される非財務情報は、不動産開発、不動産投資等に当たって、不動産を財産価値以外の視点から評価するためにも活用されることとなる。

非常用電気等供給施設協定

大規模な地震が発生した場合に安全を確保するために必要な、非常用の電気または熱の供給施設を整備・管理することを定めた協定。都市再生特別措置法に基づく協定である。

非常用電気等供給施設協定は、都市再生緊急整備地域において作成される「都市再生安全確保計画」に即して、土地所有者等の全員の合意によって締結される。協定で定めるのは、施設の位置、構造基準、制御および作動状態の監視、整備・管理、協定に違反した場合の措置等である。

非常用電気等供給施設協定は、締結に当たって市町村長の認可を受けなければならず、認可の公告によって協定は土地等の権利を承継した者に対しても効力を有する(承継効)。

宅地建物取引業者は、重要事項説明において、非常用電気等供給施設協定についても説明しなければならないとされている。

非線引き区域

市街化区域市街化調整区域とに区分されていない都市計画区域のこと。
法律上の名称は「区域区分が定められていない都市計画区域」である。

一つの都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域とに区分することを「区域区分」(または「線引き」)と呼ぶが、この「区域区分」がされていない都市計画区域が「区域区分が定められていない都市計画区域」である。

「区域区分が定められていない都市計画区域」は一般に「非線引き区域」とも呼ばれている(かつては「未線引き区域」とも呼ばれていたが2000(平成12)年の都市計画法の改正によりこの呼称は廃止された)。

1.趣旨
都市計画法第7条では、指定都市等では「区域区分」を必ず定めるよう規定しているので、「区域区分が定められていない都市計画区域」は指定都市等以外に存在している(詳しくは「区域区分」へ)。
「区域区分が定められていない都市計画区域」は市街化の圧力が弱い地域であるので、土地利用に関する規制が市街化区域より緩やかであり、開発許可の規制も緩やかである。

2.土地利用の規制について
「区域区分が定められていない都市計画区域」では、用途地域を定めることができるが、必ず用途地域を定めるわけではない。「区域区分が定められていない都市計画区域」の内部において用途地域が定められていない部分は「非線引き白地地域」と呼ばれることがある。なお、この「非線引き白地地域」では用途制限を課す目的で「特定用途制限地域」を設けることができる。

3.都市施設等について
「区域区分が定められていない都市計画区域」では、都市施設のうち少なくとも「道路、公園、下水道」を定めなければならない(都市計画法第13条第1項第11号)。
また市街地開発事業促進区域を定めることも可能である(都市計画法第13条第1項第13号・第8号)。

4.開発許可について
「区域区分が定められていない都市計画区域」では開発許可制度が適用される。ただし、開発許可を受けるべき開発の面積は「3,000平方メートル以上」とされている。ちなみに、市街化区域では開発許可を受けるべき開発の面積は「1,000平方メートル以上」である。

ただし、市街化区域・区域区分が定められていない都市計画区域ともに、都道府県・指定都市等の規則により、開発許可を受けるべき開発の面積を「300平方メートル以上」にまで引き下げることが可能である(都市計画法施行令第19条)。
また、開発許可の基準については、市街化区域・区域区分が定められていない都市計画区域ともに都市計画法第33条の基準(技術的基準)だけを満たせば、開発許可が与えられる。つまり、区域区分が定められていない都市計画区域に対しては、都市計画法第34条の基準(市街化調整区域の開発許可の基準)は適用されない。

卑属

親族関係のうち、ある人を基準にして後の世代にある血族をいう。血族とは血縁者のことであるが、民法では養子縁組によって生まれる親族も血族として扱う。たとえば、子・孫など(直系卑属)やおい・めいなど(傍系卑属)が卑属である。

なお、先の世代の血族を尊属といい、同世代の血族は尊属・卑属のどちらでもない。

引越し

居住する場所を移転すること。「転居」「家うつり」などともいう。

住民票の住所変更が必要で、他の市区町村に引っ越す場合には「転出届」「転入届」を、同一市区町村内に引っ越すときには「転居届」を提出する。届出は、転出については転出14日前以降に、転入・転居については転入・転居後14日以内に提出しなければならない。

また、引越しの際には、電気・ガス・水道・固定電話などの契約変更や、銀行口座、郵送先、火災保険、運転免許証などの住所変更も必要となる。

筆界特定制度

登記されている土地の区画線(筆界)を現地において特定するための制度をいう。

不動産登記法で定められている。

筆界は登記によって確定しているが、その現地における位置が明確に特定されているとは限らない。その場合に、登記上の所有者等の申請によって、筆界特定登記官が、筆界調査委員による調査およびその意見を踏まえてその位置を特定することができるとされる。これが筆界特定制度である。

なお、筆界は土地の所有者等の合意などによっては変更できない他、筆界と所有権の境界とが必ず一致しているとは限らないことに注意が必要である。

人の死の告知に関するガイドライン

不動産の取引や取引の代理仲介に当たって、取引対象の居住用不動産において、過去に人の死が生じた場合における宅地建物取引業者がとるべき対応に関する指針。2021年に国土交通省が公表したもので、正式名は「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(国土交通省不動産・建設経済局不動産業課)である。

人の死の告知に関するガイドラインは、宅地建物取引業者が取引や取引の代理・仲介の相手に告げるべき場合および容について次のように示している。

(1)次の場合は告げなくても良い。ただし、事件性、周知性、社会に与えた影響等が特に高い事案は告げる必要がある。

i.自然死又は日常生活の中での不慮の死が発生した場合(過去に人が死亡し長期間にわたって放置されたこと等に伴い、特殊清掃、大規模リフォーム等が行われた場合で、取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合を除く)

ii. 賃貸借取引の対象不動産について、i以外の死の発生またはiの死で特殊清掃等を伴うものの発覚後、概ね3年が経過した場合

iii. 隣接住戸や日常生活で通常使用しない集合住宅の共用部分において、i以外の死が発生した場合またはiの死が発生して特殊清掃等が行われた場合

(2)(1)i〜iii以外の場合は、取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられるときには告知しなければならない。なお、買主・借主から事案の有無について問われた場合、社会的影響の大きさから買主・借主が把握しておくべき特段の事情があると認識した場合等は、取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼす場合に該当する。

(3)告知する内容は、事案の発生時期(特殊清掃等が行われた場合には発覚時期)、場所、死因(不明である場合にはその旨)、特殊清掃等が行われたときにはその旨である。一方、氏名、年齢、住所、家族構成、具体的な死の態様、発見状況等を告げる必要はない。また、調査を通じて判明したことを告知すれば足りる。

(4)告知は、書面の交付等によることが望ましい。

なお、人の死の告知に関するガイドラインは、トラブルの未然防止の観点から一般的に妥当と考えられるものを示すのであって、ガイドラインに従って対応しても契約不適合責任が完全になくなるとは限らない。

また、取引対象の不動産において人の死が生じた場合は心理的瑕疵となり得るが、心理的瑕疵は、人の死のほか、近くに墓地や嫌悪・迷惑施設が立地していること、近隣に指定暴力団構成員等が居住していることなどを含む広い概念である。人の死の告知に関するガイドラインは、心理的瑕疵のすべてについての告知指針ではない。何が心理的瑕疵に当たるかについての明確な基準はないのである。

ひな壇

桃の節句で雛人形を飾る段々状のステージが原意。

宅地を開発する際、平坦に整地できない場合、自然の起伏を活かすか、段々状に土を削ったり(切り土)、盛ったり(盛り土)する。どちらが良いかは一概に言えないが、ひな壇造成された土地の場合、一般に盛土部分の地耐力は切土部分より弱い。またひな壇の上部のほうが、湿気が少ないとされている。

避難危険度

地震時に避難する場合の危険性をいう。

東京都が公表しているもので、定期的に町丁目ごとに避難危険度を測定している(2003年分まで)。

避難危険度は、避難場所に到達するまでに要する時間と、避難する人の数を組み合わせて評価され、避難場所までの距離が長く、避難道路沿いに避難の障害となる要因が存在し、避難する人の数が多いほど高くなり、危険度の高い地域においては、避難場所や避難路の確保が重要となる。評価結果は、町丁目ごとに段階5でランク分けして公表されている。また、耐火建築物が連なっている地区では、広域的な避難の必要はなく「地区内残留地区」として指定される。

避難指示解除準備区域

原子力発電所の事故によって被災して避難指示のもとにある区域のうち、年間積算線量が20ミリシーベルト以下となることが確実であると確認された地域をいう。原子力災害対策特別措置法に基づき、原子力災害対策本部長(内閣総理大臣)の指示によって指定される。

この区域では、復旧・復興のための支援策を迅速に実施して、住民が帰還できるための環境整備を目指すとされている。ただし、避難指示は継続していて、原則として宿泊ができないなどの制限が課せられている。

なお、この区域の不動産について価格調査等を行うに当たっては、原発事故等格差修正を適用するなどの注意が必要とされている。

避難路沿道建築物

震災時に避難、救急・消火活動、緊急物資輸送などのために通行を確保する必要があるとして指定された道路の沿道にあって、倒壊した場合にその道路を塞ぐ恐れのある建物。原則として、倒壊時に前面道路幅員の半分以上を占めることとなる建物をいう。

避難路沿道建築物の所有者は、耐震診断を実施し、地方公共団体が定める期日までにその結果を地方公共団体に報告しなければならない。また、診断結果は公表されるとともに、所有者は必要な耐震改修などに努めなければならないとされている。

非農地証明

各市町村に設置された農業委員会が発行する証明書の一つである。

「非農地証明」が発行されるのは次のいずれか一つに該当する場合である。

1.農地法が適用された日以前から非農地であった土地
2.自然災害による災害地で農地への復旧が困難であると認められる土地
3.農業振興地域の整備に関する法律で定める「農用地区域」の外の土地で、原則として20年以上耕作放棄され将来的にも農地として使用するのが困難であり、農地行政上も特に支障がないと認められる土地

なお「非農地証明」を取得するには、上記の一つに該当することを客観的に証明する証拠が必要である。

例えば、上記3.の「20年以上の耕作放棄」を証明するためには、非農地となった時期が証明できる公的証拠(航空写真・家屋登記簿謄本・課税証明等)が必要である。

被保佐人

精神上の障害があるために、保佐人を付けられた者のこと。
保佐とは「たすける」という意味である。

精神上の障害により物事を判断する能力が著しく不十分である者について、家庭裁判所は、本人・配偶者・親族などの請求に基づいて審判を行ない、「保佐開始」の決定をし、「保佐人」を職権で選任する(民法第11条、第876条の2)。
こうした手続きにより保佐人を付けられた者のことを「被保佐人」と呼ぶ。

この「被保佐人」の制度は、2000(平成12)年の民法改正によって創設されたもので、それ以前は「準禁治産者」という名称であった。

被保佐人は、財産に関わる重要な法律行為不動産売買や不動産賃貸借など)を自分だけでは有効に行なうことができない。
こうした重要な法律行為を行なうには保佐人の同意が必要であり、もし保佐人の同意を得ないで重要な法律行為を行なった場合には、後でその法律行為を取り消すことが可能である。
ただし重要でない法律行為や、日用品の購入などは有効に自分だけで行なうことができる(民法第12条)。

従って、被保佐人との契約を行なうには、その保佐人の同意を必ず取得するべきである。

被補助人

精神上の障害があるために、補助人を付けられた者のこと。

精神上の障害により物事を判断する能力が不十分である者について、家庭裁判所は、本人・配偶者・親族などの請求に基づいて審判を行ない、「補助開始」の決定をし、「補助人」を職権で選任する(民法第14条、第876条の7)。
こうした手続きにより補助人を付けられた者のことを「被補助人」と呼ぶ。

この「被補助人」の制度は、精神上の障害の程度が軽微な人について、法律行為を円滑に行なうことができるように、2000(平成12)年の民法改正によって創設された制度である。

被補助人は、精神上の障害の程度が軽微であるので、重要な法律行為であっても基本的には単独で有効に行なうことができるが、家庭裁判所が必要と判断した場合には、特定の重要な法律行為について、補助人の同意が必要とされたり、補助人が法律行為を代理する場合がある(民法第16条、第876条の9)。

どのような法律行為について「同意」や「代理」を必要とするかは、本人、配偶者、親族などの請求によって家庭裁判所が審判する(民法第16条、第876条の9)。

従って、被補助人との契約を行なうには、その補助人と事前に協議するべきである。

評価方法基準

住宅の品質確保の促進等に関する法律品確法)にもとづき、国土交通大臣が定めた住宅性能の評価の方法に関する基準のこと。
登録住宅性能評価機関は、日本住宅性能表示基準に従って住宅性能の評価の結果を表示しなければならないが、この評価に当たっては必ず評価方法基準に準拠する必要がある(品確法第3条、第5条)。

この評価方法基準は、国土交通大臣が必要に応じて公聴会を開催し、社会資本整備審議会の議決を経て、告示したものである(住宅品質確保法第3条)。
具体的には、2000(平成12)年7月19日の告示により、この評価方法基準が定められた。
その後、住宅性能評価の対象に既存住宅(建設工事完了後1年以上が経過した住宅や、建設工事完了後1年以内に人が住んだことがある住宅のこと)が追加されたことにより、評価方法示基準は2002(平成14)年8月20日に大幅に改訂されている。

表見代理

代理権のない者(無権代理人)と本人との特殊な関係によって無権代理人を真実の代理人であると誤信させ、代理権の存在を信じて取引した善意無過失の相手方を保護するための制度である。表見代理においては、その代理行為を代理権のある行為として扱い、本人に対して効力を生じさせる(取引の効果を本人に帰属させる)こととなる。

表見代理には、代理権授与表示による表見代理代理権消滅後の表見代理権限外の行為の表見代理の3種類がある。

取引の安全のために、本人の利益を犠牲にして相手方を保護する考え方を基礎にしたもので、過失のない相手方の信頼を保護すべく、本人に過失がないときにも代理行為の効果を本人に帰属させる仕組みである。

標識の掲示

免許証番号などを記載した「標識」を、宅地建物取引業者の事務所その他の一定の場所に掲示することを「標識の掲示」という。

1.趣旨
無免許営業を防止すること、責任の所在を明確にすること等の目的で、宅地建物取引業者に義務付けられたものである(宅建業法第50条第1項)。

2.標識に記載すべき事項
標識に掲示すべき事項は、免許証番号、免許有効期間、商号、代表者氏名、主たる事務所の所在地など(施行規則第19条第2項)。

3.標識を掲示すべき場所
標識を掲示すべき場所としては、次の1)から3)の3種類の場所が法定されている。
1)事務所(法第3条第1項)
2)事務所以外で専任の宅地建物取引士を置くべき場所(施行規則第15条の5の2)
3)1)および2)以外の場所であって標識を掲示すべき場所(法第50条第1項、施行規則第19条第1項)

4.標識を掲示すべき場所についての説明
上記の1)と2)については、別項目の「事務所」「事務所以外で専任の宅地建物取引士を置くべき場所」に詳しい説明があるのでそちらを参照のこと。
上記の3)の場所は、施行規則第19条第1項において法定されている。具体的には上記の3)の場所とは、次のa)からe)の場所のことである。
a)継続的に業務を行なうことができる施設を有する場所で事務所以外のもの
b)宅地建物取引業者が一団の宅地建物の分譲をする場合における当該宅地または建物の所在する場所(ここで「一団」とは「10戸以上または10区画以上」を指す。次のc)とd)でも同じ(施行規則第15条の5の2による))
c)一団地の宅地建物の分譲を案内所を設置して行なう場合には、その案内所
d)他の宅地建物取引業者が行なう一団の宅地建物の分譲の代理または媒介を案内所を設置して行なう場合には、その案内所
e)宅地建物取引業者が業務に関し展示会その他これに類する催しを実施する場合には、これらの催しを実施する場所

5.標識を掲示すべき場所についての説明の補足
上述の3.の2)の場所と3)の場所は、要件が非常によく似ているので区別がつきにくい。
区別するための判断基準は、2)の場所では、契約の締結または契約の申込みを受けるという業務を行なうことが要件になっているのに対して、3)の場所ではそうした契約に関する要件がないという点である。

例えば、ある10区画の宅地の分譲の案内所について、その案内所で契約の締結を行なうかまたは契約の申込みを受けるのであれば、その案内所は2)の場所となり、専任の宅地建物取引士を1名以上設置するとともに、標識を掲示しなければならない。
しかし、その案内所において、契約の締結を行なうことも契約の申込みを受けることもしないのであれば、その案内所は3)の場所となるので、専任の宅地建物取引士を設置する義務はないが、標識は必ず掲示しなければならない、ということである。

また上述の4.の場所のうちb)の場所(すなわち一団の宅地建物の分譲をする場合における当該宅地または建物の所在する場所)については、専任の宅地建物取引士を設置する場所になることはあり得ないが、標識は必ず掲示しなければならないことに注意したい。

表示規約

不動産の広告に関する不動産業界の約束事であり、政府(公正取引委員会)が正式に認定したものを「不動産の表示に関する公正競争規約」という。

不動産業界では一般的に「表示規約」または「広告規約」と呼んでいる。


この表示規約が最初に作られたのは1963(昭和38)年のことであり、その後、10回以上も改正されて、不動産の広告に関する最も詳細な規制として、不動産会社に広く遵守されている。

この表示規約の改正作業や、表示規約に違反した不動産会社への警告などを行なっているのは、全国各地に設立されている「不動産公正取引協議会」である。

表示行為

内心的効果意思(具体的にある法律効果を意欲する意思)を外部に表示する行為のこと(詳しくは意思表示へ)。

表示登記

土地・建物に関する物理的状況を表示した登記のこと。

一筆の土地または一個の建物ごとに作成される登記記録のうち、表題部に記載される。

表示登記に記載される事項は、土地の登記記録については「所在の市区郡町村および字」「地番」「地目」「地積」「表題部所有者」等とされている。
また、建物の登記記録については「所在の市区郡町村および字」「建物所在の地番」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」「付属建物」「表題部所有者」等とされている。

区分建物(分譲マンションなど)については、一棟の建物全体についての表題部と個々の区分所有建物についてのものと、両方の表題部が存在する(詳細は「区分建物の登記記録」参照)。

なお一筆の土地または一個の建物について、最初に行なわれる表示登記のことを特に「表題登記」と呼ぶ(不動産登記法第2条第20号)。
新たに土地が生じた場合(埋立・分筆など)や、建物を新築した場合などには1月以内に表題登記を申請しなければならない。

表示の登記

登記記録表題部になされる登記のこと。不動産の物理的状況・外形的状況などが記載される。「表示登記」ともいう。

標準媒介契約約款

国土交通省が定めた標準的な媒介契約の契約条項のことである。
媒介契約に関しては、宅地建物取引業法第34条の2で具体的な規制が行なわれているが、さらに消費者保護の観点から標準的な契約条項を普及させることが必要と考えられたので、建設省(現国土交通省)は、住宅宅地審議会の答申を踏まえて、「標準媒介契約約款」を作成し、告示したものである(昭和57年5月7日建設告示第1110号(最終改正平成9年1月17日))。

宅地建物取引業者媒介契約書を作成する場合においては、宅地建物取引業法施行規則第15条の7第4号により、「標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別」を契約書に記載しなければならない。
従って法律上は、宅地建物取引業者が媒介契約書を作成する場合に「標準媒介契約約款」を使用しないことも可能とされている。

ただし「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(国土交通省のガイドライン)では、「媒介契約制度の的確な運用を図るため、宅地建物取引業者間の大量取引における販売提携、販売受託等の特殊な事情のあるものを除き、標準媒介契約約款を使用することとする」と明言されている。

従って、国土交通省は「標準媒介契約約款」を使用するよう指導しているということができる。

表題登記

一筆の土地または一個の建物に関して、最初になされる表示登記のこと。
新築された建物などの場合、登記記録そのものが存在していないので、登記記録そのものを新規に作成する手続きが必要になる。
この場合、新規に登記記録を作成するには手順として、まず表題部を作成する必要があり、このような登記を「表題登記」と呼んでいる。

建物の新築の場合、表題登記は建築後1ヵ月以内に申請しなければならない。1ヵ月以内に申請しない場合は過料に処せられる(ただし、1ヵ月経過後も表題登記の申請はでき、申請義務がある)。

なお「表題登記」という用語は、従来は使用されていなかったが、不動産登記法の全面改正(2005(平成17)年3月7日施行)により新たに導入されたもの。

表題部(不動産登記簿における)

一筆の土地または一個の建物ごとに作成される登記記録のうち、土地・建物に関する物理的状況を表示した表示登記が記載されている部分のこと。

それ以外の権利に関する状況が記載されている部分は、権利部という。権利部はさらに甲区乙区に分かれる。

土地に関する登記記録の場合、「表題部」には「所在」「地番」「地目」「地積」「原因」「所有者」が記載されている。
また建物に関する登記記録の場合、「表題部」には主たる建物の「所在」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」「原因」「所有者」が記載され、さらに付属建物についても同様の内容が記載される。

なお区分所有建物の登記記録の表題部には、上記の他に敷地権を表示する欄が設けられている。
このうち「原因」とは、その土地や建物が生じた理由などを書く欄であり、「○○番から分筆」「○年○月○日新築」のように記載される。
また「所有者」とは、その土地・建物の登記記録を初めて作成した時点での所有者を書く欄である。ただし、後に所有権の保存の登記をすれば、この表題部に記載された所有者は抹消される。

表題部所有者

一筆の土地または一個の建物ごとに作成される登記記録において、まだ所有権の保存の登記がされていない時点で、表題部に所有者として表示されている者のこと。

表面利回り(不動産投資における〜)

不動産投資の収益性を示す指標のひとつで、投資対象物件の価格に対する年間家賃収入の割合をいう。物件を維持するための費用等を考慮しない利回りである。

これに対して、総家賃収入から物件を維持するための諸経費を控除した金額を、物件価格と取得時に負担した諸経費の合計額で除した割合を「実質利回り」という。

表面利回りには維持費用が反映されないことに注意が必要である。既存物件については表面利回りと実質利回りとの違いが大きいとされ、また、実質利回りは物件の状態に応じて変化する。

平入り

二つの屋根面が山の形に合わさった側(「妻」という)と直角をなす側(「平」という)に出入り口がある建物構造。これに対して、妻に出入り口がある構造を「妻入り」という。

平屋(フラットハウス)

地上階層が1階だけの建物。フラットハウスは和製英語で、英語ではone-storied building(ワン ストーリード ビルディング)、one-story house(ワン ストーリー ハウス)などという。

品確法

住宅の品質確保の促進等に関する法律」の略称。住宅の性能の表示基準を定めるとともに、住宅新築工事の請負人及び新築住宅の売り主に10年間の瑕疵担保責任を義務付けるなどを規定している。「住宅の品質確保の促進等に関する法律」を参照。

ヒートアイランド現象

都市部の高温化現象のこと。

この現象を防止するには、日中のコンクリートの熱吸収を抑制するとともに、蒸発する水分量を増やして熱の放散を促進することが必要である。
建築物の屋上に設けた緑地(屋上緑化)は、その両面で大きな効果を発揮する。

ヒートショック

室温の急激な変化によって生じる健康上の障害。室温が急激に変化すると体表面の温度変化に応じて血圧が大きく変動し、その結果、血圧の急上昇によって心筋梗塞、不整脈、脳卒中が、急低下によってめまい、失神が起きやすくなるからである。

高齢者に起きやすい。また、室温が変化しやすい場所は、冬季の脱衣場、浴室、トイレなどである。

ヒートポンプ

熱媒体(冷媒・熱媒)を圧縮・膨張させることによって熱を移動させる装置。英語のheat pump。

熱は放置すれば必ず高温部から低温部に移動するが(熱力学第二法則)、熱媒体を圧縮・膨張しながら循環させることによって、熱を低温部から高温部に移動させることができる。ヒートポンプは、この原理を用いた装置である。

一般的なヒートポンプは、熱媒体を圧縮して放熱させる装置(圧縮機・凝縮器)、熱媒体を膨張させて吸熱させる装置(膨張弁・蒸発器)、装置を作動させる動力および熱媒体が循環するための配管で構成されている。たとえばエアコンの冷房は、熱媒体を圧縮して発生する熱を外気に放出し、室内に循環したその熱媒体を膨張させて室内の熱を吸収する仕組みによって作動する。また、この循環を逆転すれば暖房となる。

ヒートポンプを用いると、大気、地中熱、地下水、排熱等の熱エネルギーを利用することができるため、熱媒体を圧縮・循環させるために必要なエネルギー(投入エネルギー)の約3〜6倍のエネルギーを利用することができる。エコキュートなどが省エネルギー製品とされているのは、このような仕組みを用いているからである。

ビアジェ

フランスにおける高齢者の所有不動産に関する特殊な売買契約のこと。
高齢者が住宅を買い主に売却し、その対価として、買い主から高齢者に対して高齢者が生存する期間に限り毎月一定額の金銭が支払われ、しかも高齢者はその住宅に終生住み続けることができるという契約である。

高齢者から見れば、長生きをするほど買い主からの受取金額が増えていき、しかも家賃を支払うことなく住み続けることができるので、長生きが有利である。しかし買い主から見れば、高齢者が長生きをするほど不利となる。このように、ビアジェは買い主にとって危険性の高い契約であるが、その反面、住宅を通常よりも低額で取得できる可能性があるというメリットがある。

フランスではすでにローマ時代からこのビアジェという売買契約が行なわれていたという。現在ではフランスでは年間4,000件以上といわれるビアジェの成約件数があり、不動産取引の約2%を占めているとされている。

このように、ビアジェがフランスで普及している理由としては、

1.フランス民法典にビアジェが明文化されていること、2.フランスの法制度では、不動産売買契約が官吏である公証人によって必ず確定・認証されるため、複雑な不動産売買契約が法律上安全に締結できること

などが考えられる。

BTS型・マルチテナント型(物流施設の〜)

物流施設の種類は、その性格によって、大きくBTS型とマルチテナント型に分けることができる。
(1)BTS型
特定のテナントの要望に応じてオーダーメイドで建設され、賃貸される物流施設。BTSは、英語のBuild To Suitの略語である。
(2)マルチテナント型
複数のテナントに対して賃貸する物流施設で、建設後にテナントを募集する場合が多く、テナントの入れ替えにも対応できるように、汎用性のある施設として建設される。

ビオトープ

野生生物の棲息できる最小空間を表すドイツ語。都市から失われる自然を回復するための対策として、自然環境を積極的に整備・育成するため、緑地帯や人工池、河川をつくったりする工夫が施されている。

近年では特定の生物種に限定せず、多様な野生生物が棲息できる生態系としての湖沼、湿地、草地、雑木林などをビオトープと呼ぶようになっている。残った自然を保全する保全型ビオトープや、壊された自然を復元する復元型ビオトープなどが全国各地で実践されている。

美観地区

都市計画で定める地域地区のひとつで、「市街地の美観を維持するために定める地区」であるが、景観法の制定(2004年)によって廃止された。

その役割は、景観地区に引継がれている。景観地区を参照。

ビットコイン

インターネット上で発行、取引される仮想通貨の一つ。英語でBitcoin。通貨単位はBitcoin (BTC)で、2010年から取引が始まっている。

ビットコインの信用を支えているのは政府などの組織ではなく、取引する人々相互の信頼関係である。そのしくみは、帳簿などを集中的に管理することなく、各端末間で直接に情報を交換する技術(Peer to Peer技術)と暗号技術を組み合わせて、取引などをネットワークによって分散的に処理する方法による。また、発行には膨大な労力が必要で、発行者には報酬が与えられるが、発行量は一定量に制限されている。このしくみは、取引の改ざんなどを防ぐことができ、安全性が高いと考えられている一方、大きな先行者利益、コストの外部転嫁(取引当事者以外もコストを負担する)などの問題が指摘されている。

ビットコインは、個人間での送金や決済手段として使われているほか、その時価(法定通貨との交換価値)が変動することから、投資用資産としても売買されている。

なお、ビットコインなどの仮想通貨を売買・交換する業務については、資金決済法に基づき業者登録義務が課せられるなどの規制がある。

BIM

建築物に関する情報を統合的に活用するための業務システム。英語のBuilding Information Modeling(ビルディング インフォメーション モデリング)の略語である。

建築物の設計・施工・維持管理のための情報をデータベース化して、これらの業務を効率よく、円滑に実施するためのシステムである。その特徴は、建築物を3次元のモデルとして構築し、そのモデルにさまざまなデータを付加することである。建築物のモデルを基盤にしてデータベースが構築されるため、多用途に利用できる使いやすい道具となっている。

ビル経営管理士

賃貸ビルの経営管理を行なう専門家に対して与えられる資格をいう。

(一財)日本ビルヂング経営センターが国土交通大臣の認定を受けて試験を実施し、合格者のうちで一定の実務経験(5階建て以上で延床面積が1,000平方メートル以上の賃貸オフィスビルの経営管理の業務に一定年数以上従事することなど)がある者が、ビル経営管理士として登録される。
1991年に創設され、不動産特定共同事業法等において不動産管理業務の専門家として認められている。

ビル経営管理士の業務は、大きく、

1.ビル事業の企画・収支・更新などに関すること(企画・立案業務)

2.テナントの募集・契約・賃料等の管理などに関すること(賃貸営業業務)

3.建物の維持・保全などに関すること(管理・運営業務)

の3つに分かれているが、オフィスビルの経営を支援するだけでなく、その収益を管理すること(プロパティマネジメント)についても一定の役割を果たしている。

ビルトイン

あらかじめ壁面などに組み込んで用いられる方式、すなわち造り付けのこと。

ビルトインエアコン、ビルトインクローゼットなどがよく見られる。室内における出っ張りを減らし、すっきりと美しく納めることができる。

ビルトインガレージ

建物の内部に設置した駐車スペース。

車を屋内に収納することとなるため、風雨、風雪からの保護、盗難防止、乗降車の利便などに優れている。一方、建物の1階部分の居住面積が狭くなることや、排気対策が必要となることに留意しなければならない。

ビルトイン浄水器

流し台の下にカートリッジ(浄水フィルター設備)を設置する方式の浄水器。設備が露出しないほか、大きなカートリッジを設置できる。

なお、浄水のための設備を露出しない方法として、ビルトイン浄水器のほか、蛇口部分にカートリッジを組み入れる「浄水器一体型」がある。

ヴィンテージマンション

建築後長年にわたって高い価値を保ち続けているマンション。和製英語。

立地、構造、外観、管理水準などが優れていると考えられている。

BID

エリアマネジメント活動(地域における良好な環境や地域の価値を維持・向上させるための、住民・事業主・地権者等による主体的な取り組み)を支援するため、地区を指定して不動産所有者等に資金の負担を求め、その資金をエリアマネジメント活動を実施する団体等に配分するしくみをいう。英語のBusiness Improvement Districtの略。

BIDは法令で定められた制度ではなく、地方公共団体などがそれぞれ工夫しながら導入している。

BIDの枠組みで重要となるのが活動資金の負担である。現在の法令では地区を特定して課税することは難しく、受益者負担を求めるなどの工夫が必要となる。また、エリアマネジメント活動の内容や方法、活動に当たる団体の資格や選定方法などについてもバリエーションがある。

BEI(省エネルギー性能指標)

非住宅建築物の省エネルギー性能を評価する指標の考え方。Building Energy-efficiency Indexの略。既存建築物への適用、省エネルギー基準との整合性などに配慮され、標準的な評価指標として利用されるべく提案されている。

評価は、設計一次エネルギー消費量/基準一次エネルギー消費量、に基づいて行ない、図面が残っていない場合のデフォルト仕様の選択、旧省エネ基準等からの読み替えが可能となっている。

BS

企業の一時点の財産の状態を表す書類で、財務諸表のひとつである。BSは、英語のbalance sheet(バランスシート)の略。

左右に分かれていて、左側(借方)には資産が、右側(貸方)には負債と純資産とが計上されている。そして、資産の額は、負債額と純資産額の和と等しい関係にある。

BSの資産の部に計上されるのは、
ア)流動資産(現金・預金、売掛金、商品・製品、貸倒引当金等)
イ)固定資産(土地・建物、備品、投資有価証券等)
ウ)繰延資産(開業費、新株発行費、社債発行費、開発費、試験研究費等)
の額である。

また、負債の部に計上されるのは、
ア)流動負債(買掛金、未払金、未払費用、短期借入金等)
イ)固定負債(長期借入金、社債、長期前受収益等)
の額である。

純資産の部に計上されるのは資産と負債の差額であるが、これは、
ア)資本金
イ)剰余金(資本準備金、利益準備金、その他の剰余金に区分)
に区別される。

これらの額は、複式簿記の記録をもとに分類・計算され記載されている。

BSの作成方法は、企業会計原則によって定められている。また、株式会社は、BSを含む財務諸表を公告しなければならない。

いわば、企業の状態を財産のストックで捉えた書類といえる。一方、財務諸表のもう一つの構成要素であるPL(損益計算書)は、企業活動の状態を財務上のフローで捉えた書類で、両者が相まって企業の活動状態を定量的に示すこととなる。

BS(BS放送)

静止衛星を利用した放送サービス。BSは英語のBroadcasting Satellitesの略語。

BS放送は、衛星から直接に電波を受信するため、テレビ塔などから受信する地上波放送に比べて、電波が建物や地形の影響で乱れることがないとされているほか、大容量の情報を伝達できるためチャンネル数が多い。

受信のためにはパラボラアンテナが必要であるが、パラボラアンテナで受信した信号を、光ファイバー、ケーブル、インターネットなどで配信するサービスを利用することもできる。

なお、衛星放送には、BS放送のほか、CS(Communication Satellites)放送がある。BS放送は放送専用の衛星を利用しているが、CS放送は通信事業用の衛星を利用するという違いがある。放送のしくみはほぼ同じである。

ビークル(Vehicle)

資産の証券化などに際して、資産と投資家とを結ぶ機能を担う組織体をいう。

資産から生じる利益を投資家に運ぶことから、乗り物や媒体を意味するVehicleと呼ばれる。あるいは、実物資産ではなく資産の価値を保有することに着目して、「器(うつわ)」と呼ばれることもある。

ビークルの形は、特定目的会社等の会社組織、特定目的信託等の信託、匿名組合等の組合組織など、多様である。その主要な機能は、リスクを資産の範囲に限定すること(倒産隔離機能)、および、生じる利益に対する二重課税を回避すること(パススルー機能、導管体機能などと呼ばれる)である。

法的な形式を備えることが重要で、通常、資産管理、証券発行などの実務は、そのほぼすべてが外部に委託される。

ピクチャーレール

額縁などを吊り下げるために壁面に設置されたレール。英語のpicture rail。額長押ともいう。レールにはフックが付いていて、そのフックに吊り紐を掛ける。

ピッキング

錠前を、鍵を使わず器具を用いて開錠すること。英語ではlock picking(ロックピッキング)という。

ピッキングによる犯罪に対処するために高性能シリンダー錠などが開発されているが、これは通常のシリンダー錠に比べて防犯効果が相当に高いとされている。

なお、鍵を使わない開錠方法には、ピッキングのほか、錠を破壊して開ける破錠、室内側のサムターンを外側から回す手法(サムターン回し)などがある。

ピロティ

本来はフランス語で「杭(くい)」のこと。そこから派生して、建築物を柱だけで支え、1階部分が自由に通り抜けできるようになった建築スタイルのことを「ピロティ」と称するようになった。

現在の建築用語では、1階部分の一部にあり、2階の重みを柱だけで支えた空間のことを「ピロティ」と呼んでいる。

このピロティは駐車スペースや作業場に使用しやすいので、オフィスビルやマンションで多用されている。

また一戸建て住宅でも、2階部分を1階部分より大きくすることで、1階にピロティを設け、駐車スペースとすることがある。

ピロティの面積

ピロティの面積は、建築基準法では次のように扱われる。

1.床面積の計算
主に通行専用の用途であれば、建築基準法上の「床面積」に含まない。
しかし、自動車車庫として使用する場合には「床面積」に含めなくてはならない。

2.建築面積(いわゆる建坪)の計算
ピロティは建築面積に含める必要がある。

PRE

Public Real Estateの略で、「公的不動産」をいう。

地方公共団体等が保有する各種の不動産に着目して、その管理・活用を合理的なものにすべきという認識を背景にしてつくられた用語である。
地方財政を運営する視点から、遊休・未利用の不動産の活用、非効率な不動産利用の見直しなどの取組みがなされているが、そのような取組みを「PRE戦略」ということもある。

しかしながら、地方公共団体等が保有する不動産は、企業不動産(CRE)とは違い、公共・公益目的のために利用しなければならないと考えられることから、その活用についてはより慎重で幅広い検討が必要である。

PER

Price Earnings Ratioの略称で、株価を1株当たりの純利益で除して算出した指標をいう(PER=株価/純利益(1株当たりの))。

「株価収益率」と訳される。

投資に当たって、その価値を判断する目安としてよく活用される代表的な指標の一つであり、一般に同業他社や過去の水準と比べて、PERが小さいほど投資先として有利(株価が相対的に低い)と考えられている。しかしながら、その水準は投資先の業績だけでなく、金融情勢、制度的要因、投資先業界の動向など多面的な影響を受けるため、比較に当たって留意しなければならない。

REITについても同様の指標を算出できるが、PERは比較することが重要で、比較するに足る十分なデータ数が必要である。

PFI

Private Finance Initiativeの略。民間資金によって公共施設等を整備する手法をいう。

民間の事業者が公共施設等の整備、運営を行ない、国や地方公共団体はそのサービス提供に対して対価を支払う。

その特徴は、

1.政府はサービスを調達するという考え方が採用されること

2.事業内容は政府と民間事業者との交渉によって決定されること

3.事業資金は金融市場で事業内容の信用力によって調達されること(プロジェクトファイナンス)

である。

なお、PFIの推進を図るため、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(PFI法)」(1999年7月公布)が制定され、そのなかで事業のための手続きが定められているが、その適用がない事業であってもPFIであると認めてもよいケースがある。

PM2.5

直径2.5μm(1μm=0.001mm) 以下の小さな粒子。大気汚染物質の一つで、「微小粒子状物質」とも言われる。PMは、英語のparticulate matter(パティキュレイト マター)の略。 

PM2.5は、物の燃焼で発生するほか、ガス状大気汚染物質が化学反応等で粒子化したものもある。通常の浮遊粒子状物質(Suspended Particulate Matter(サスペンデッド パーティキュレイト マター))と比べて肺の奥深くまで入りやすく、健康への影響が懸念されているが、現象が十分に解明されているわけではない。

PM2.5の環境基準は、「1年平均で15μg/㎥以下、かつ1日平均で35μg/㎥以下」と定められている。また、外出等に対する注意喚起のためにPM2.5暫定指針も定められている。

PL

企業の一定期間の収益・費用の状態を表す書類で、財務諸表のひとつである。英語のprofit and loss statement(プロフィット アンド ロス ステイトメント)の略語。 

一定の期間(年間、半年間または四半期間)の企業活動によって生じた収益(売上高、営業外収益、特別利益)および費用(売上原価、販売費・一般管理費、営業外費用、特別損失法人税額・住民税額等)が、複式簿記の記録をもとに分類・計算され記載されている。さらに、特定の収益と損失とを差し引き計算して、営業損益、経常損益、純損益が示されている。

PLの作成方法は、企業会計原則によって定められている。また、株式会社は、PLを含む財務諸表を公告しなければならない。

いわば、企業活動の状態を財務上のフローで捉えた書類といえる。一方、財務諸表のもう一つの構成要素であるBS(損益計算書)は、企業の状態を財産のストックで捉えた書類で、両者が相まって企業の活動状態を定量的に示すこととなる。

PC造

プレキャストコンクリートを使用した建築構造のこと。

鉄骨の骨組にプレキャストコンクリートをはめ込むことによって造られる建築構造である。

この建築構造は工事期間とコストが少なくて済むため、賃貸マンションなどに多用されている。

Pタイル

プラスチック系床材であって、タイル状に成型されているものを「プラスチックタイル」または「Pタイル」という。

Pタイルには、その材料によって、塩化ビニル系タイル、アスファルト系タイル、ゴム系タイルなどの種類がある。

ただし、一般的に「Pタイル」という場合には、塩化ビニル系タイルのうち硬質のもので、大きさが30cm×30cmのものを指していることが多い。

この一般的な意味でのPタイルは、硬質で耐久性・耐磨耗性に優れており、学校、オフィス、商業施設で多用されている。

PPP(官民パートナーシップ)

公共的な施設の整備・運営や公共サービスの提供に当たって、民間事業者の資金やノウハウを幅広く活用する手法をいう。Public Private Partnershipの略語。

PFI(Public Financial Initiative)は PPPの代表的な例であるが、それ以外にも、指定管理者制度や事業の民営化などもその例である。

PPPは、政府業務において市場機能を活用して、行政サービスの供給を最適化すべきという考え方(New Public Management)に基づいて推進されている。その主な特徴は、専門家による行政組織の実践的な経営を目指すこと、業績の評価基準を明示すること、権限の委譲を図ること、競争を強化することなどである。

PPP(原因者負担原則)

環境汚染などに関して、行為によって発生した費用はその発生原因者が負担すべきであるとする規範原則で、Polluter Pays Principleの略である。

この原則は、環境問題に対応するための基本的な考え方の一つであり、1972年にOECD(経済協力開発機構)が提案し、幅広く受け入れられた。

PPPを適用することによって、次のような機能を確保することができるとされる。また、PPPは、環境税導入の理論的な根拠の一つとされている。

1.公害など社会的な費用を内部化して、環境資源を効率的に配分すること
2.コストを明確にして国際的な取引の歪みを回避し、公正な競争を確保すること
3.汚染者責任を明確化して、公害対策の正義・公正を確保すること(そのため、汚染防止費用だけでなく、被害者救済費用や環境復元費用の負担を求める)(ただし、この機能は日本で確立したもので、OECDの提案には含まれていない) 

この考え方は、環境汚染に関してだけでなく拡大的に適用される場合もあり、例えば、製品のリサイクル責任を製造事業者等が負う制度は、PPPの拡大的な適用の例である。

なお、「汚染者負担原則」ともいわれる。

PP分離

住宅の間取りの方法のひとつで、居間など家族以外も利用する空間(パブリック空間)と、寝室や浴室など家族のみが利用する空間(プライベート空間)とを切り離して配置することをいう。

ファイナンシャルプランナー

生活設計における資金計画などに関して、顧客に助言する者。英語のFinancial Planner。

ファイナンシャルプランナーが助言するのは、将来の居住、教育、老後生活などに関する資金計画で、たとえば住宅資金や不動産相続に関する助言も含まれる。助言に当たっては、金融だけでなく、不動産、保険、年金、税制、相続制度などに関する幅広い知識が必要とされる。従って、ファイナンシャルプランナーは、それぞれの分野の専門家と連携して業務を進めることが多い。

ファイナンシャル・プランナーの資格には、技能検定による法定のファイナンシャル・プランニング技能士(1級・2級・3級)と、日本FP協会によって認定されるCFP(サーティファイド・ファイナンシャル・プランナー)資格及びAFP(アフィリエイテッド・ファイナンシャル・プランナー)資格がある。

5G通信

第5世代移動通信システム。5Gは、5th Generationの略。国際電気通信連合が2020年に向けて勧告した無線インタフェースの標準規格(IMT-2020)を満たす無線通信システムである。

「超高速」、「多数同時接続」、「超低遅延(通信の往復時間が極めて短い)」を特徴とする高水準の通信システムで、IoTVR、AI、自動運転などを幅広く活用するための基盤になると期待されている。一方で、電波の特性から、無線通信の安定性や信頼性には限界があるという考えもある。

ファサード

建物(主に店舗)を正面から見た場合の外観のこと。
パラペットの看板と店頭部分の両方をまとめて「ファサード」と呼ぶ。

ファシリティマネジャー

保有する不動産などを適切に運営・管理する能力があると認められた者。特に企業経営において、不動産を有効に維持活用する必要に応える役割を担う。

任意の資格として「認定ファシリティマネージャー」があり、知識・能力を認定するための試験が実施されている。

ファミリークローゼット

家族の衣類をまとめて収納する空間やタンス類をいう。ファミリークローゼットは和製英語である。

ファミリークローゼットを設ける場合には、一般に、部屋ごとのクローゼットは設置しない。

ファミリークローゼット

家族の衣類をまとめて収納する空間やタンス類をいう。ファミリークローゼットは和製英語である。

ファミリークローゼットを設ける場合には、一般に、部屋ごとのクローゼットは設置しない。

ファンコンベクター

室外から温水を導入して空気を暖め、ファンで室内に送風する暖房器具。英語のfan-convectorで、convectorとは、対流式の暖房器具のことである。

利用する温水は、室外の熱源機で加熱され、配管によって室内の温水コンセントまで導かれたのち、コンセント接続でファンコンベクターに流入する。そして、空気を暖めたのち、再びコンセントを通じて室外機に還流する。

熱源はガスによる場合が多いが、室外で燃焼するため換気の必要性が低い。
また、ファンコンベクターは移動できるが、接続のために温水コンセントを設置しなければならない。

なお、循環する熱媒体として、温水ではなく不凍液を使うものもある。

ファンドマネジャー(Fund Manager)

金融資産を継続的に運用する専門家をいう。

運用対象は、株式、債券不動産、為替、商品相場等々、ファンドの性格に応じて多様である。投資顧問業として業務に携わることもある。

通常、運用実績を評価するための基準(ベンチマーク)が設定されていて、それを上回る成果を上げなければならない。一般的には、日経平均やTOPIXをベンチマークとすることが多い。

ファンド・オブ・ファンズ(Fund of Funds)

複数の投資信託を組み合わせて一つの投資信託にまとめたものをいう。

投資信託はもともと分散投資によって運用されているが、投資方針の異なる投資信託を組み合わせることにより、リスクのいっそうの分散や商品の多様化を図ろうというものである。REITが組み込まれたものも現れてきている。

例えば、確定拠出年金の運用において、時間の経過とともにリスクの取り方を変えて、若年期・中年期・老年期と順次リスクを下げていくというようなことに活用されるなど、その利用が拡大している。一方で、投資先が細分化され、商品構成が複雑で運用実態が見えにくくなるなど、投資家がリスクを把握することが困難となる恐れもある。

また、ファンドの運用が二重となるので、運用手数料も二重に必要となる。

FIX窓

はめ殺し窓」を参照。

フィンテック(Fin Tech)

情報通信技術を大幅に活用して展開される金融サービスのこと。「金融(Financial)」と「技術(Technology)」を組み合わせた造語で、アメリカで発達したビジネスである。

現在展開されているフィンテックには、
ア)ローンのマッチング、クラウドファンディング、保険などの投資・資金調達サービス

イ)カードに代わる決済手段、海外送金、ビットコインなどの決済・為替サービス

ウ)投資顧問、クラウド会計ソフト、フィナンシャルプランニングなどの資金管理サービス
等がある。

不動産の開発・取引・管理において、フィンテックがどのように活用されるかは未知であるが、不動産金融にも影響が及ぶ可能性がある。

風除室

玄関の外側に設置された小さな部屋。「玄関フード」ともいわれる。

外気の流入や風の吹きつけを緩和し、室内の温度を保つ効果がある。北海道などで、冬季に風雪や冷気が流入するのを防ぐために設置されることが多い。また、冷暖房の効率を高めるために、ビルディングの入口に設置されることもある。

風致地区

風致地区は「都市の風致を維持するために定める地区」である(都市計画法第9条)。

風致地区は、都市の内部にありながら公園・庭園・寺院・神社などを中心として緑豊かな環境が残っているエリアについて、環境の保護のために指定されることが多い。

風致地区では、地方公共団体の条例によって、建築物の高さ、建ぺい率などが厳しく規制され、緑豊かでゆとりのある環境が維持されている(都市計画法第58条)。

フェンス

柵囲い。英語のfence。支柱を並べ、横木を通す構造になっていて、支柱や横木の素材には、木材や竹のほか、金属が使われることもある。

と比べて開放感があるとされ、エクステリアの設備として用いられることも多い。

不快指数

蒸し暑さを感じる程度を示す指数。気温と湿度を組み合わせて算定される。

不快指数が70を超えると不快を感じる人が出始め、75を超えると半数以上の人が不快を感じるとされている。住宅などの室内の空気調整に当たって、その目安として利用されることもある。

しかしながら、蒸し暑さの体感は、気温、湿度のほか、日射や風速によっても変わるので、不快指数を用いるときには注意が必要である。

付加一体物

抵当権の効力は「不動産に付加してこれと一体を成したる物」に及ぶとしており、これを通常「付加一体物」と呼んでいる(民法第370条)。
この付加一体物とは、具体的には、土地の附合物、建物の附合物、建物の従物、土地の従物である。

1.附合物
附合物とは不動産に附合した動産をいう(民法第242条)。

具体的には、分離できない造作は建物の附合物であり、取外しの困難な庭石は土地の附合物である。従って、附合物は「構成部分」といい換えることもできる。
なお、権原のある者が附合させた物は、附合物であっても、抵当権の効力は及ばない。

2.従物
主物に附属せしめられた物のことを「従物」という(民法第87条第1項)。

例えば、建物に対する・建具、宅地に対する石灯籠・取外し可能な庭石などが従物である。
従物は、本来、付加一体物に含まれないと考えられていたが、不動産の与信能力を高めようとする社会的要請から、次第に従物も付加一体物に含めるとする解釈が主流となり、現在に至っている。
なお、抵当権設定後に付加された従物については、かつて判例は抵当権の効力が及ばないとしていたが、最近では抵当権の効力が及ぶとする判例も見られるようになっている。

3.従たる権利
借地上の建物に対する土地賃借権のように、主物に附属せしめられた権利を「従たる権利」と呼んでいる(詳しくは従たる権利へ)。判例は、抵当権の効力は当然にこの従たる権利にも及ぶとする。

不完全履行

債務不履行の一つ。債務の履行がなされたが、債務者の故意または過失により、その履行が完全なものでないことをいう。

吹抜け

2つ以上の層にまたがって設けられる室やスペースのこと。

階段室は言うまでもなく吹抜けだ。風や熱の吹抜けが容易で、また遮蔽するものがないために、開放的で快適な空間を生み出す。冷暖房効果を高めるために、天井扇を付けることが望まれる。

吹き抜け

上階の床がなく、上下階を一続きにした建築様式またはこの様式の建物内空間。玄関階段などで用いられることが多く、開放感がある空間になる。英語でopen ceilingという。

なお、「吹き抜け」は、柱の間に壁がなく外に開かれた建築様式(吹き放ち)を指す場合もある。

復元(建築物の)

建物等の欠損している部分を補って元の構造やデザインを取り戻すこと。この場合、どのような状態が元の構造やデザインであるのか、どの程度手を加えるのが適切かなどが問題となるのは、絵画など芸術作品の保存・修復における困難な問題(保存、予防、保護、補修、復元等の選択問題)と同様である。

用語上議論があるものの、「復元」は元のかたちに戻すのを目的とするのに対して、現状を維持するのが「保存」、新たなものの付加を伴う場合が「修復」である。

福祉住環境コーディネーター

高齢者や障がい者の住環境について、提案・助言する人。資格制度はないが、民間でその能力を認定する試験が実施されている。

福祉住環境コーディネーターには、福祉・建築に関する知識や福祉・介助用具の取り扱い能力が必要とされる。たとえば、住宅のバリアフリー改修などにおいて、関係者の間を調整する役割を担う場合もある。

福祉のまちづくり条例

建築物のバリアフリー化を促進するために、地方公共団体が独自に制定した条例。建築物の利用や移動に関する基準を定めるほか、基準の遵守や基準への誘導を図る措置などが定められている。

建築物のバリアフリー化を促進するためにバリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)が制定されている。同法においては、建築物特定施設の基準を条例(付加条例)によって付加できるとされているが、福祉のまちづくり条例は、同法や付加条例ではカバーできない事項を定めたもので、(1)バリアフリー化の対象とする建物の用途や規模、(2)出入口・階段・傾斜路・便所等の整備基準などについて、バリアフリー法・付加条例の規定の拡張・強化が図られている。

福祉のまちづくり条例の内容は地方公共団体によって異なる。また、バリアフリー法が定める手続きとは異なる手続きを必要とする場合もある。

複層ガラス

ペアガラスを参照。

復代理

代理人がその代理権限の範囲内で、さらに代理人を選任することを「復代理」という。この場合に選任された代理人は「復代理人」という(民法第104条から第107条)。

1.任意代理の場合
任意代理では、代理人が復代理人を選任するには、本人の許諾またはやむを得ない事情があることが必要である。代理人は、復代理人の選任・監督について責任を負う。

2.法定代理の場合
法定代理では、代理人はいつでも復代理人を選任できるが、その反面、代理人は原則として復代理人の行為のすべてについて責任を負う(ただし、やむをえない事情あったときは選任・監督の責任のみを負う)。

3.復代理人と本人の関係
復代理人は代理人と同様に、復代理権の範囲内において、直接本人を代理する。

復代理人

代理人は、本人から与えられた権限内の行為の全部または一部を、他の者を選任して行なわせることができる。
このとき、代理人から選任された他の者を「復代理人」という。

1.復代理人の代理権の範囲
復代理人の権限は、本来の代理人(原代理人という)から与えられた範囲に限定される。このため、原代理人が与えた権限の範囲を復代理人が逸脱した場合には、復代理人の行為は無権代理となる。また、原代理人の代理権が消滅すれば、復代理人の代理権も消滅するものと解されている。

2.復代理人の代理行為の効果
復代理人の代理行為については、その法律効果は、直接、本人に帰属することとされている。つまり復代理人は、原代理人を代理するのではなくて、本人を直接的に代理するものとされている(民法第107条第1項)。

3.復代理人がいるときの原代理人の地位
復代理人を選任した後においても、原代理人が本人を代理することには何ら変化がない。原代理人の代理権は従来のとおり存続する。

4.原代理人(任意代理人)による復代理人の選任と監督責任
本人と原代理人の関係が「任意代理」である場合は、本人は原代理人を特別に信任しているため、原代理人が復代理人を選任することは原則的に許されない。選任できるのは「本人の許諾があるとき」と「やむを得ない事情があるとき」に限られる(民法第104条)。
こうして復代理人を選任した場合には、原代理人は選任したことの反面として、復代理人の非行(例えば義務違反)に対して、原代理人が責任を負わなければならない(民法105条第1項)。ただし「本人の許諾があるとき」は、原代理人の責任は軽減されている(民法第105条第2項)。

5.原代理人(法定代理人)による復代理人の選任と監督責任
本人と原代理人の関係が「法定代理」である場合は、原代理人は法律上当然に代理人となったのであり、その代理権の範囲も広範・多岐にわたる。そのため、原代理人が復代理人を選任することは自由とされている(民法第106条)。
こうして復代理人を選任した場合には、原代理人は選任したことの反面として、復代理人の非行(例えば義務違反)に対して、原代理人が責任を負わなければならない(民法105条第1項・第106条)。なお、原代理人の責任を軽減する民法第105条第2項の規定は、法定代理人である原代理人には適用されない(民法第106条)。

袋地

ある土地が他の土地に囲まれているために、公道に出るには他の土地を必ず通行しなければならない場合には、この囲まれている土地のことを「袋地」という。

附合物

不動産(または動産)に附合した動産のことを「附合物」という(民法第242条)。
具体的には、分離できない造作建物の附合物であり、取り外しの困難な庭石は土地の附合物である。従って附合物は「構成部分」と言い換えることもできる。

附合物は不動産の構成部分であるから、不動産を売買すれば当然に附合物を売買したことになり、また不動産に抵当権を設定すれば、当然に抵当権の効力は附合物に及ぶことになる(詳しくは付加一体物へ)。

なお、権原のある者が附合させた物は、附合物であっても、抵当権の効力は及ばないとされている(民法第242条但書)。

不在者の財産管理

不在者とは、住所または居所を去って、容易に帰ってくる見込みがない者をいう。

不在者は失踪宣告を受けた者を含み、失踪宣告を受けた者よりも広い概念である(詳しくは失踪宣告へ)。

このような不在者に対しては、その財産を保護する必要があることから、国家が財産管理制度を設置している(民法第25条から第29条)。なお本人に法定代理人があるときは、法定代理人が財産を管理することとなり、下記1.2.は適用されないことに注意。

1.本人の生死が不明でない場合
本人の生死が不明でない(生存していることが確実である)ときは、本人が委任した財産管理人がいない場合には、家庭裁判所は利害関係人または検察官の請求により、財産管理人を選任し、財産目録の作成や財産の保存に必要な行為を財産管理人に行なわせることとなる(民法第25条1項前段、第27条、第28条前段)。
また、不在者が置いた財産管理人の権限が消滅した(例えば管理契約が終了した)場合も、上記と同様である(民法第25条1項後段、第27条、第28条前段)。

2.本人の生死が不明の場合
この場合には、本人の財産を保護する必要性が高いので、家庭裁判所は不在者が置いた財産管理人が権限を有している場合であっても、利害関係人または検察官の請求により、財産管理人を改任し、適切な財産管理人を新たに選任することができる。
また家庭裁判所は、利害関係人または検察官の請求により、既存の財産管理人(不在者が委任した財産管理人)に対して、財産目録の作成や財産の保存に必要な行為を行なわせることができる(民法第26条、第27条、第28条後段)。

不実告知

取引の勧誘などにおいて客観的事実と異なる説明をすること。

消費者契約(宅地建物の販売・賃貸契約もこれに当たる、ただし事業のためのものは除く)においては、重要事項について不実告知がなされて消費者が誤認した場合には、契約を取り消すことができる。

また、宅地建物取引業法は、宅地建物取引業者が重要事項等の説明において不実告知をした場合には、国土交通大臣又は都道府県知事は業務停止等を命令できるとしている。

木の骨組みの表裏に紙や布を張った引き戸で、和室の間仕切りとして使われる建具の一つである。通常、骨組みの枠となる縁と開け閉めのための引手が付けられている。「襖障子」「唐紙」も同じ意味である。

表面に文様や図案を描いて、部屋を装飾する役割も担っている。たとえば、襖絵はその一例である。

不正競争防止法

事業者間の公正な競争を確保するため、不正競争の防止、不正競争に係る損害賠償に関する措置等を定めた法律。1993年に、旧不正競争防止法(34年制定)の全面改正によって制定された。

不正競争とされるのは、

(1)周知表示混同惹起行為:他人の商品等の表示として広く認識されているものと同一又は類似の表示を使用して商品等と混同を生じさせる行為

(2)営業秘密の侵害:窃取等の不正の手段によって営業秘密(秘密として管理され、有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの)を取得し、自ら使用し、第三者に開示する行為等

(3)誤認惹起行為:商品等の広告等に、その原産地、品質・質、内容等について誤認させるような表示をする等の行為

(4)信用毀損行為:競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為

などである。

不正競争に対しては、民事上の差止請求権、損害賠償請求権、信用回復措置請求権などが法定されているほか、一定の不正競争行為に対しては刑事罰が課される。

付属建物

建物に付属した建物のこと。主たる建物に付属した小屋・勉強部屋・作業部屋・物置・便所などであり、建物登記簿上は表題部に「付属建物」として登記される(未登記の場合も多い)。

付属建物は、通常は建物の従物であると考えられるので、建物が売買されれば附属建物も同時に売買されることになる(ただし、当事者で異なる合意をすることは可能)。

また、付属建物は、通常は建物の従物であると考えられるので、建物が登記されれば、附属建物が未登記であっても、登記の対抗力は附属建物に及ぶとされるし、建物に抵当権を設定した場合には、付属建物にも抵当権の効力が及ぶとされる。
(詳しくは付加一体物へ)

負担水準

土地の固定資産税課税標準額を決定する際に用いられる数値をいい、その土地の課税標準額が固定資産税評価額との比較から見てどの程度の水準にあるかを示す指標である。

具体的には、次の算式によって算出される。

「負担水準=前年度の固定資産税課税標準額 ÷ (今年度の固定資産税評価額×課税標準の特例率)×100」

負担水準が低い場合には、固定資産税額が急激に増加しないように一定の調整がなされる(「固定資産税額の据え置き」を参照)。

負担調整率

地価上昇による負担の急増を調整するために土地の固定資産税課税標準額を前年度の課税標準額に一定の率を乗じて決定する方法を採用する場合の、当該率をいう。

負担水準に応じて、負担水準が低いほど負担調整率が大きくなるように定められている(「固定資産税額の据え置き」を参照)。

負担付贈与

受贈者が一定の給付をなすべきことを特約した贈与のこと(民法第553条)。

贈与は無償契約であるが、負担付贈与は負担(受贈者がなすべき給付のこと)の範囲内では有償契約に近いということができる。
そのため負担付贈与では、贈与者は、その負担の限度において、売主担保責任と同じ責任を負わなければならない(民法第551条)。

復旧(区分所有法における~)

区分所有建物が、地震・火災・爆発などにより損害を受けた場合に、その損害を受けた部分を元の建物の状態に戻すことをいう。

専有部分の損害については、区分所有法および民法によれば、各区分所有者が専有部分を単独で所有しているので、原則的には区分所有者が単独で(集会の決議等を経ないで)専有部分の復旧を行なうことができるのであるが、実際には管理規約の定めにより、専有部分を復旧するには理事長の承認等の手続きを必要としているケースがほとんどである。なお専有部分の復旧工事にかかる費用は、その専有部分の区分所有者の自己負担となる。

次に、共用部分の損害については、「小規模滅失」と「大規模滅失」により取扱いが異なる。

1.小規模滅失の場合
損害を受けて効用を失った建物の部分(専有部分と共用部分の両方)の価格が、建物全体の価格の2分の1以下に相当する場合を「小規模滅失」という。
この小規模滅失の場合には、区分所有法の規定によれば、それぞれの区分所有者が単独で(集会の決議等を経ないで)、損害を受けた共用部分を復旧することができる(区分所有法第61条第1項)。しかし実際には、管理組合の集会の普通決議を経ることがほとんどである(区分所有法第61条第3項・第4項)。
共用部分の復旧工事にかかる費用は、共用部分の持分割合に応じて区分所有者全員が費用を分担する(区分所有法第61条第2項)。

2.大規模滅失の場合
損害を受けて効用を失った建物の部分(専有部分と共用部分の両方)の価格が、建物全体の価格の2分の1を超える場合を「大規模滅失」という。
この場合には、復旧を行なうためには、区分所有者の集会の特別決議区分所有者数の4分の3以上および議決権の各4分の3以上の賛成)により可決した場合にのみ、共用部分の復旧を行なうことができる(区分所有法第61条第5項)。
このように大規模滅失については、復旧にかかる費用が巨額であること、建物自体の建て替えも検討する必要があること等により、特別多数の賛成が要件とされている。

なお、大規模滅失における復旧決議に賛成しなかった区分所有者は、復旧決議に賛成した区分所有者に対して、自己の所有する建物および敷地に関する権利を、時価で買い取るように請求することができる(区分所有法第61条第5項・第8項)。
これは復旧に参加する意思のない区分所有者が、速やかに区分所有建物の権利関係から離脱できるように配慮した規定である。

なお、上記の「小規模滅失」および「大規模滅失」のどちらについても、集会における区分所有者数の5分の4以上および議決権の5分の4以上の賛成により、区分所有建物の「建替え決議」を可決して、建物全部を建て替えることも可能である(区分所有法第62条)。

復興特別区域

東日本大震災で被災した区域であって、東日本大震災復興特別区域法に基づき、震災復興を円滑迅速に推進するために作成される計画の対象とされている区域をいう。「復興特区」と略称されることもある。

復興特別区域を定めて復興を図る計画には、復興推進計画、復興整備計画、復興交付金事業計画の3つがある。

1)復興推進計画
産業の集積・活性化、居住の確保、社会福祉等の課題解決等による復興の促進を図るための計画。この計画で定めた事業については、建築基準法農地法、工場立地法などによる各種規制の特例、所得税、法人税、地方税等に関する課税の特例、利子補給金の支給などが適用・措置される。
2)復興整備計画
市街地の整備、農業基盤の整備等による土地利用の再編を推進するための計画。この計画で定めた事業については、都市計画農用地利用計画等の土地利用に関する計画の変更等の特例、都市計画法、農地法等による土地利用に係る許認可等の特例、環境影響評価法の特例などが適用・措置される。
3)復興交付金事業計画
地域の特性に即して、創意工夫を発揮して自主的かつ主体的に復興を進めるための計画で、この計画で定めた各種の事業に対しては、弾力的な運用が可能な復興交付金が交付される。

実際の復興は、これら3つの計画が重なり合い、複合的に推進されている。従って、計画の対象区域もおおむね重なっている。

なお、東日本大震災時に発生した原子力発電所事故によって被災した区域については、別途の措置が定められている。 

フットライト

足元を照らす照明器具。夜間に廊下、階段などを使用する際に点灯し、安全を確保するために設置される。

もともと舞台照明器具として使われていたが、住宅に設置されるようになった。

普通決議

分譲マンションのような区分所有建物において、管理組合集会で議案を議決する際に、通常の議案について過半数の賛成により可決することを「普通決議」という。

この反対に、特に重要な議案について4分の3以上の賛成などの特別多数の賛成により可決することは「特別決議」と呼ばれる。

区分所有法では、「集会での議案の議決は、原則として区分所有者数の過半数および議決権の過半数の賛成で可決する」という旨を定めている(区分所有法第39条第1項)。
従って、通常の議案については、区分所有者数の過半数と議決権の過半数の賛成があれば可決できることになり、こうした決議方法を「普通決議」と呼んでいる。

ただし実際には、管理組合の集会において、区分所有者の出席が少なく(かつ書面による権利行使や代理人の選任も行なわれず)、上記のような過半数の決議要件を満たすことが困難なケースもある。こうした場合に備えて、管理組合が管理規約において、普通決議の要件を「過半数」よりもあらかじめ緩和しておくことも可能とされている(区分所有法第39条第1項)。

普通失踪

人が居所を去った後、その生死が7年間にわたって不明である場合には、家庭裁判所は利害関係人の請求によって、失踪の宣告をなすことができる。これを「普通失踪」という(民法第30条)。

普通借地権

借地借家に関する法制度は、かつては借地法・借家法の二本立てであったが、1992(平成4)年8月1日に借地借家法が施行されたことにより、一本化された。

この新借地借家法(1992(平成4)年8月1日施行)にもとづく借地権であって、定期借地権ではない借地権のことを「普通借地権」と呼ぶ。

これに対して、旧借地法にもとづく通常の借地権のことを「旧法上の借地権」と呼ぶことがある。

普通借地権と旧法上の借地権の間には、次のような違いがある。

1.旧法上の借地権は、あらかじめ存続期間を定めなかった場合には、非堅固な建物(木造を指す)については存続期間を30年とし、堅固な建物については存続期間を60年としていた。
しかし、普通借地権では建物の堅固・非堅固による区別がなく、あらかじめ存続期間を定めなかった場合には存続期間を30年とした。
2.旧法上の借地権は、建物が老朽化し、朽廃した場合には、借地権が自動的に消滅することとされていた(旧借地法第2条、第5条)。しかし、普通借地権にはこうした朽廃による消滅の規定がない。

このようにいくつかの相違点があり、しかも現在でも、旧法上の借地権による借地と普通借地権による借地が並存しているため、不動産広告等では両者の違いを明記することが多い。

普通借家契約

賃貸借期間を更新できる借家契約(建物賃貸借契約)。借地借家法に基づき、更新しない旨を通知した場合などを除いて、従前の契約と同一の条件で契約が更新される。この場合、賃貸人が契約を更新しない旨を通知するためには、正当の事由が必要である。

なお、借家契約には、普通借家契約のほか、公正証書等によって契約の更新がない旨を定めて契約する「定期借家契約(定期建物賃貸借契約)」がある。

不動産

不動産とは「土地及びその定着物」のことである(民法第86条第1項)。
定着物とは、土地の上に定着した物であり、具体的には、建物、樹木、移動困難な庭石などである。また土砂は土地そのものである。

不動産ID

不動産を識別・特定するための番号。不動産データを効率的に活用するためのもので、個々の不動産に対して、共通のルールに基づいて付与される。IDは英語のidentificationの略語である。

不動産IDの付与方法やその取り扱いについては、「不動産IDルールガイドライン」(国土交通省不動産・建設経済局、2022年3月)によってルールが示されている。

不動産IDは、不動産登記簿に付された不動産番号(13桁)に基づき付与することとされている。また、取引の単位であるが不動産番号がない不動産(商業用建物等の各階、賃貸共同住宅の各部屋、区分所有建物の建物全体等)については、不動産番号に識別番号(4桁)を付加して特定できるようにする。

不動産IDの利用については、 例えば、売買や賃貸の仲介等における物件情報、不動産の性能や管理に関する情報、都市計画ハザードマップ等での表示情報などと結び付けて活用できるとされている。一方で、不動産に関する情報は、プライバシーに属するもの(個人情報)を含む場合が多いことから、個人情報や内部情報が許諾なく流出しないように注意しなければならない。

不動産買付証明書

不動産の購入希望者が、当該不動産を購入する意思がある旨示す書面。売主または取引仲介者に対して交付する。

不動産買付証明書は意思を一方的に表明するものであって、いつでも撤回できる。また、不動産買付証明書の交付を受けて売主が買主に「売渡承諾書」を交付した場合であっても、それは売買交渉を円滑にするためのプロセスであって、一般に、直ちに契約が成立したとは認め難いと考えられている。

不動産買取

不動産の売買を支援する方法のひとつで、不動産業者が売却希望の不動産を一旦買取り、買取りを希望する者に売却することをいう。仲介との違いは、不動産事業者自らが取引の当事者となることである。

不動産買取による取引支援は、売却者が売却のリスクを転嫁できること、買取り者(不動産事業者)が売却者と直接交渉できることなどの特徴がある一方、不動産事業者が取引の当事者となることによって自己利益を図る恐れがある。自己勘定取引(ディーリング)と媒介取引(ブローカリング)の隔離によって、利益相反を回避する必要がある。

不動産価格指数

不動産価格の動向を示すべく指数化した統計データ。国土交通省が2012年8月から公表している。

これは、金融・経済危機を背景に、IMF等からG20諸国に対して国際的に共通の指針に基づいて不動産価格の動向を迅速、的確に把握・公表すべきとの勧告がなされ、それを受けて作成・公表されるものである。

不動産価格指数は、同勧告によって作成された国際指針(Residential Property Price Indices Handbook)に従って、実際の取引価格情報をもとに、物件の立地や特性による影響を除去するなどの統計的な操作を加えて作成されている。公表されるのは、住宅に関する、更地・建物付土地・マンション別、全国・ブロック・都市圏別の毎月の指数である(速報値)。また、現地調査の結果を加味した確報値も公表されている。

地価公示は地点単位での土地の正常な価格水準を把握するのに対して、不動産価格指数は広域的な不動産取引の趨勢(時間的変化)を把握するという違いがある。

なお、作成・公表されているのは住宅に関する指数であるが、商業用不動産に関する指数についても開発が進められている。

不動産鑑定

不動産の鑑定評価に関する法律(昭和38年法律第152号)に基づき、不動産鑑定士または不動産鑑定士補が不動産の経済価値を判定することをいう。

不動産の経済価値を判定する方法としては、金融機関による担保評価や、不動産会社による簡易査定などがあるが、不動産鑑定は公式かつ最も信頼性の高い方法であるといえる。

地価公示における標準地の評価や、都道府県地価調査における基準地の評価は、不動産鑑定によって行なわれる。

また民事裁判において、相続された不動産の評価や、金融機関が担保とする不動産の評価が問題になるケースでは、不動産鑑定士または不動産鑑定士補に依頼し、不動産鑑定を行なうのが一般的である。

不動産鑑定士

国土交通省が毎年実施する不動産鑑定士試験のすべてに合格し、国土交通大臣への登録を受けた者を不動産鑑定士という。

不動産鑑定士の登録を受けるには、不動産鑑定士試験に合格し、実務講習を受けることが必要である。

不動産鑑定士は職務上高度な倫理が求められるので、法律(不動産の鑑定評価に関する法律)の規定により、故意に不当な鑑定評価をした場合には、登録抹消などの厳しい懲戒処分が行なわれる。

また不当な鑑定評価をした疑いが生じた場合には、誰でも知事または国土交通大臣に対して調査等を行なうように要求することができる(不動産の鑑定評価に関する法律第42条)。

不動産鑑定士補

国土交通省が毎年実施する不動産鑑定士試験の一部に合格し、国土交通大臣への登録を受けた者を不動産鑑定士補という。

不動産鑑定士補の登録を受けるには、不動産鑑定士試験の2次試験に合格し、2年以上の実務経験があることが必要である。

不動産鑑定士補は職務上高度な倫理が求められるので、法律(不動産の鑑定評価に関する法律)の規定により、故意に不当な鑑定評価をした場合には、登録抹消などの厳しい懲戒処分が行なわれる。

また不当な鑑定評価をした疑いが生じた場合には、誰でも知事または国土交通大臣に対して調査等を行なうように要求することができる(不動産の鑑定評価に関する法律第42条)。

平成16年法改正で同資格は廃止した。

不動産鑑定事務所

不動産鑑定を専門とする事務所のこと。法律(不動産の鑑定評価に関する法律)上の名称は「不動産鑑定業者」である。

不動産鑑定事務所は、少なくとも1名以上の不動産鑑定士を雇用しなければならない。ただし不動産鑑定事務所の代表者は不動産鑑定士でなくともよい。
不動産鑑定事務所は知事または国土交通大臣への登録を受けなければならず、毎年1回、事業の実績を知事または国土交通大臣へ報告する義務がある。

法律(不動産の鑑定評価に関する法律第31条)の規定により、この事業実績の報告書は、都道府県庁または国土交通省で一般人が閲覧することができる。

不動産鑑定評価基準

不動産鑑定士不動産鑑定評価するときに常に準拠すべき規範。国土交通省が制定している。1964年に初めて制定された。現行の評価基準は、2002年に全部改正されたもので、その後も一部改正が加えられている。

不動産鑑定評価基準は、評価の実質的かつ統一的な規範とされており、これに準拠しない鑑定は不適切である。また、準拠しない鑑定を行なった不動産鑑定士は、懲戒処分に処せられることがある。

不動産鑑定評価全般にわたる実務指針である「総論」と不動産の種別及び類型に応じた評価手法等の具体的な指針である「各論」で構成されている。

総論では、例えば、不動産の鑑定評価とは「現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格」を的確に把握する作業であるとし、その作業の手順を次のように示している。
(1)鑑定評価の対象となる不動産を的確に認識する
(2)必要とする関連資料を十分に収集・整理する
(3)不動産の価格を形成する要因及び不動産の価格に関する諸原則について十分に理解する
(4)鑑定評価の手法を駆使する
(5)収集・整理した関連諸資料を具体的に分析し、対象不動産に及ぼす自然的、社会的、経済的及び行政的な要因の影響を判断する
(6)対象不動産の経済価値に関する最終判断に到達し、これを貨幣額をもって表示する

また各論では、価格、賃料、証券化対照不動産の価格に分けて、それぞれの評価手法を示している。

不動産会社

土地・建物の取引・開発・賃貸・管理を主な業務とする会社。宅地建物取引業を主な業務とする会社はすべて不動産会社であるが、建物を賃貸・管理する会社など、宅地建物取引業者ではない不動産会社もある。

不動産会社の業務は、i)不動産の取引、ii)不動産の開発、iii)不動産の賃貸、iv)不動産の管理に大別される。不動産管理業務は、さらに、iv-1)マンション等の住宅管理、iv-2)業務用建物等のビル管理に分かれている。このうち、不動産取引および不動産開発(売買・賃貸を伴うもの)の業務を行なうためには、宅地建物取引業の営業許可(宅建免許)が必要である。また、一定の賃貸住宅管理業務を行うときには、登録が必要である。

なお、日本標準産業分類では、不動産業は物品賃貸業とともに「大分類 K」とされ、中分類として、「不動産取引業」(建物売買業、土地売買業、不動産代理業・仲介業)および「不動産賃貸業・管理業」(貸事務所業、土地賃貸業、貸家業、貸間業、不動産管理業)が定められている。

不動産公正取引協議会

不動産広告の適正化を目的として、全国9ブロックで設立されている不動産会社の団体のこと。例えば、首都圏ブロックでは「公益社団法人首都圏不動産公正取引協議 会」が設立されている。

不動産公正取引協議会には、そのブロックのほとんどすべての不動産会社が加盟しており、加盟する不動産会社が広告規約に違反した広告を行なった等の場合に は、不動産公正取引協議会が警告を行ない、さらには最大で500万円以下の違約金を徴収することができるとされている。

不動産小口化商品

不動産所有権を多数の持分権に分割(小口化)した金融商品をいう。

不動産の流動化手法の一つとして活用されている。

小口化の方法として最も単純なのは、

1.不動産を多数者の共有とし、不動産賃料等をそれぞれの共有者に帰属させる(その共有持分権が取引される)手法

である。さらにその発展として、

2.特定の不動産を信託し、その受益権を分割する手法(小口化された受益権が取引される)

3.出資を受けた一定の者が不動産の取引を行ないその利益を分配する手法(出資口が取引される)

が開発された。

このうち、3.の手法は、「不動産特定共同事業法」によって仕組みが法定され、現在販売されている不動産小口化商品の大多数は、不動産特定共同事業によって生み出されたものである。

なお、不動産小口化商品は一般的に金融商品と類似した性格を持っていて、その取引に当たっては、金融商品の取引と同様のルールに従って行なうべきであるとされているが、一方で、不動産としての性格を帯びることもあり、この場合には、不動産の取引ルールと同じような配慮も必要である。

不動産質

不動産質権を設定することを不動産質という。

不動産質権を取得した債権者(=不動産質権者という)は、不動産を使用収益して利益を上げることができるが、その反面、債権の利息を債務者に請求することができないという特徴がある。ただし、当事者がこれと異なる特約をした場合には特約が優先する(民法第356条から第359条)。

また、不動産質権の存続期間は10年以内とされており、存続期間終了時には10年以内の期間で更新することができる(民法第360条)。

不動産収入

不動産収入とは、家賃収入、管理費収入、共益費収入、礼金収入、駐車場使用料収入などのことである。

不動産の貸付けから発生する収入は、所得税法においては、事業収入ではなく、不動産収入に分類されることとなっている。

従って、個人が賃貸住宅や駐車場を経営している場合には、不動産収入が発生し、不動産所得を得ていることになる。

ただし、退去の際に全部または一部を返還するような金銭(敷金・保証金)については、返還しない部分だけが不動産収入に加算される。

不動産取得税

不動産を有償または無償で取得した場合や改築等により不動産の価値を高めた場合に、その取得者等に課税される地方税のことである。
不動産の所在地の都道府県が課税の主体となるので、実際の徴収事務は都道府県が行なうこととされている。

不動産取得税の税率は原則的に「不動産の固定資産税評価額の4%」とされている。

ただし「住宅の建物部分」に係る不動産取得税については「建物部分の固定資産税評価額の3%」とされている(地方税法附則第11条の2)。
ちなみにここでいう「住宅」には別荘を含まない。ただし、週末を過ごすため郊外に購入した2つめの住宅や、勤務地の近くに購入した2つ目の住宅といったいわゆる「セカンドハウス」はここでいう「住宅」に含まれる。

なお、一定の要件を満たす「住宅の建物部分」や一定の要件を満たす「住宅用土地」については、不動産取得税の税額そのものの大幅な軽減措置が設けられている。

不動産取得税は原則的には、不動産を取得した者に対して、不動産の取得の日において課税される(地方税法第73条の2第1項)。
ただし、新築によって建物を取得した場合には「最初に使用された日」または「譲渡された日」が「取得の日」とみなされて、その日における所有者が納税義務を負うケースがある(地方税法第73条の2第2項)。具体的には次の通りである。

1.「最初に使用された日」が「取得の日」となるケース
賃貸業を行なう個人が、建築業者に賃貸建物を新築させた場合には、新築の日ではなく、最初に借家人が使用した日が「取得の日」となる。
また、一般の個人が建築業者に自己の居住用の建物を新築させた場合には、新築の日ではなく、最初にその個人が入居した日が「取得の日」となる。

2.「譲渡された日」が「取得の日」となるケース
建売分譲業を行なう会社が、建築業者に建売住宅を新築させた場合には、新築の日ではなく、建売住宅が販売された日に課税される。このとき納税義務者は建売住宅の購入者となる。

なお、上記1.2.の場合において、新築の日から6ヵ月を経過しても、最初の使用や譲渡が発生しない場合には、その6ヵ月を経過した日が「取得の日」とみなされる。

不動産取得税の軽減措置(住宅の建物部分)

住宅の取得に当たって、住宅の建物部分に係る不動産取得税を軽減する措置。
1)軽減措置の対象となるのは、次の要件を満たす場合である。

・取得した個人の自己所有

・住宅の床面積が50平方メートル(共同貸家住宅の場合は40平方メートル)以上240平方メートル以下

・既存住宅の場合は、1982年1月1日以後に新築され、耐火建築物は築後25年以内
・木造等建築物は築後20年以内であり、一定の耐震基準を満たしていること
2)課税の軽減は、課税標準の控除及び税率の特例の二つである。

(1)課税標準の控除

新築住宅の場合: 1,200万円を住宅価格(評価額)から控除

・既存住宅の場合:建築年に応じて一定額(建築年が新しいほど大きい)を住宅価格(評価額)から控除

(b)税率の特例

・3%に軽減(本則は4%)


ただし、この特例の適用については期限が定められているので、具体的な期限について確認が必要である。

なお、認定長期優良住宅および認定低炭素住宅に対する不動産取得税の課税については、別途の軽減措置がある。

不動産取得税の軽減措置(住宅用地)

住宅用地の取得に対する不動産取得税の課税を軽減する措置。軽減措置は次のとおりである。

(1)軽減税率の適用税率を3.0%に軽減する(本則は4.0%)。(2)課税標準を2分の1に減額する。
(3)税額から次のいずれか多いほうの額を控除する(一定の要件を満たす土地に限る)。
 ア)150万円 ×税率
 イ)床面積の2倍(200平方メートルが限度)の土地価格×税率 

ただし、(1)及び(2)の特例の適用については期限が定められているので、具体的な期限について確認が必要である。

不動産所得

不動産の貸し付けによる不動産収入がある場合において、次の計算式で求めた金額のことを「不動産所得」と呼ぶ。

「 不動産収入-不動産所得の必要経費=不動産所得 」

このような不動産所得がある場合には、必ず確定申告を行なう必要がある。

なお不動産所得で赤字が生じた場合には、その赤字の全部または一部は、給与所得の黒字と相殺することができる(詳しくは「損益通算の特例」)。

不動産所得の必要経費

不動産の貸し付けによる収入がある人が、不動産所得を計算する際に、不動産収入から差し引くことができる金額のことを「不動産所得の必要経費」という。

具体的には、実際に支出した管理費、共益費、修繕費、固定資産税都市計画税、損害保険料、借入金の利息、建物の減価償却費などが「不動産所得の必要経費」である。

なお、青色申告を行なう場合には、家族従業員の給与を必要経費とすることができるなどのメリットがある。

不動産担保ローン

不動産を担保にした融資。不動産の保有者に対し、保有している不動産を担保に資金を融資する仕組みで、原則として資金の使途は問わない。

不動産担保ローンは、事業資金の調達のために広く活用されている。また、リバースモーゲージも不動産担保ローンである。

なお、住宅ローンも広い意味では不動産担保ローンに含まれるが、資金の使途は住宅の建設・改修に限られ、担保にするのは融資した資金を用いて建設・改修する住宅である。不動産担保ローンと住宅ローンは、異なる仕組みとして理解しなければならない。

不動産適正取引推進機構

不動産の取引をめぐる紛争の防止を図り、特定の紛争を処理することなどを目的に1984(昭和59)年に設立された財団法人(現在は一般財団法人)。紛争事例の収集・分析、特定紛争の処理等のほか、宅地建物取引士資格試験を実施する機関でもある。

特定紛争処理とは、不動産の取引をめぐる苦情・紛争のうち、都道府県や事業者団体等の窓口(第一次処理機関)において解決のつかない紛争で、宅地建物取引業者が関与するトラブルについて、専門の紛争処理委員が公平かつ迅速な解決を図る仕組みである。
特定紛争処理は第一次処理機関の申請によって開始されるが、申請にあたっては紛争当事者の同意が必要である。紛争処理は当事者の主張の聴取、証人の証言、鑑定などを経て行なわれ、調整案が提示されるが、和解が成立する場合のほか、仲裁に移行する場合、不調で調整を打ち切る場合がある。

なお、特定紛争処理のように裁判所の外で行なわれる紛争処理を、裁判外紛争処理(ADR、Alternative Dispute Resolution)といい、迅速で低コストな紛争処理方法としてその活用が広がっているが、不動産適正取引推進機構の行なう特定紛争処理は、早い時期に開始されたADRの一つである。

不動産テック

情報通信技術を大幅に活用した不動産サービスをいう。「不動産」と「技術(Technology)」を組み合わせた造語で、英語のReal Estateと組み合わせて「ReTech」とも言われる。

不動産テックで活用されるであろう主な技術は、分散型情報ネットワークの構築・運営、大量データの蓄積・解析、コンピュータによる知的情報処理(AI)などであるが、その具体的なビジネス展開はこれからである。

なお、情報通信技術を大幅に活用したビジネス展開が注目されている分野の代表は金融(FinTech)であるが、その動きは、不動産分野だけでなく、教育(EdTech)、医療(HealthTech)など多方面に広がっている。

不動産登記制度

不動産に関する所有権等の権利の取得・消滅を、第三者に対して公示するために、登記記録を作成し、登記記録を登記所に備え付けて一般に公開する制度のこと。

この制度により不動産の物的状況・権利関係が一般に公示され、不動産の取引を安全に行なうことが可能となっている。

不動産登記法

不動産の表示及び不動産に関する権利の公示のための登記制度を定めた法律。不動産登記制度は、1889(明治32)年に制定された旧不動産登記法によって創設されたが、2004(平成16)年にこれが全面改正され、05(平成17)年3月7日から現行の不動産登記法が施行されている。

不動産登記法は、登記できる権利等、登記順位、登記所登記記録、登記手続、登記事項の証明、筆界確定などについて定めている。たとえば、登記できる事項は、不動産(土地または建物)の表示のほか、不動産に係る所有権地上権抵当権賃借権など一定の権利についての保存、設定、移転、変更、処分の制限、消滅についてである。

不動産登記簿

不動産の物的状況や権利関係を公示するために、登記所法務局、地方法務局、出張所など)に備え付けられた書類をいう。

不動産登記簿には、土地登記簿建物登記簿の2種類があり、どちらもその不動産を管轄する登記所に保管されている。

それぞれの登記簿は、表題部甲区乙区に区分されていて、表題部には土地または建物の所在地番、面積などが、甲区には所有権に関する事項が、乙区には所有権以外の権利(抵当権地上権賃借権等)に関する事項が記載されている。登記簿は、従前は書類の形でバインダーに綴られていたが、1988年から電磁的に記録されることとなった(コンピュータ化という)。

不動産登記簿に記録されている事項は、何人も自由にその記録内容を証明した書面(登記事項証明書)の交付を受けることができる。なお、登記情報は、インターネットを利用して取得することもできる。

不動産投資

資金を不動産(土地・建物)の購入・賃貸に充てて運用し、収益を得ることをいう。運用益は、不動産価格の上昇益(キャピタルゲイン)または賃貸料収入(インカムゲイン)として得ることになる。

不動産投資は、自らが不動産を購入・賃貸する方法によるほか、不動産投資信託REIT)のように投資の判断・運用を専門家に委ねる方法もある。

専門家が投資を判断・運用する方法による場合には、投資家は、あたかも株式を売買するように、不動産を証券化した金融商品を売買するかたちで投資するのが一般的である。

投資は一般に、高利回りの投資は大きなリスクを伴い(ハイリスク・ハイリターン)、リスクが小さい投資は利回りが低い(ローリスク・ローリターン)とされている。

不動産投資インデックス

不動産の収益性を一般的に示すための指標をいう。

個別の不動産についての収益性ではなく、不動産市場全体の動向を収益性の視点から把握できる指標でなければならないとされる。

不動産の収益性は、大きく、

1.期間中に得られる純収益(賃料等と管理費用等の差、インカムゲイン)

2.期間中の資産価値の増減(キャピタルゲイン

に分かれるが、不動産投資インデックスは、両者を総合化したもののほか、それぞれを独立させて指標化する場合もある。

また、不動産の特徴から、地域性や不動産の種類に応じた収益性の把握が可能でなければならないほか、他の投資商品と比較可能であること、十分な頻度と継続性が確保されていること、豊富なデータによる信頼性の高い算出方法であることなどが要求される。特に、不動産取引データの多くは非公開であるため、不動産投資インデックスの作成には困難が伴うとされている。現実にもいくつかの試みはあるものの、現在のところ標準的な不動産投資インデックスは存在しない。

なお、地価の動向など不動産市場の一般的な動向を、収益性に限定せずに把握する指標を「不動産インデックス」とよぶことがある。

不動産投資顧問業

不動産投資について委託を受け、投資の助言、投資の判断、取引の代理などを行なう者をいう。

その業務は大きく、

1.不動産投資の判断に対する助言等の業務(投資助言)

2.投資判断とともにそれにもとづく取引を委任される業務(投資一任)

に分かれ、2.の業務を行なうには、宅地建物取引業の免許が必要である。

不動産投資顧問業者は国土交通省の登録簿に登録することができるが、その登録には、1.の業務のみを行なう「一般不動産投資顧問業」と、1.および2.の業務を行なう「総合不動産投資顧問業」の別がある。

不動産投資信託

投資信託のうち、不動産を運用の対象とするものをいう。

アメリカではREIT(Real Estate Investment Trust)、日本ではその日本版という意味でJREITと称される。

不動産投資信託は、不動産の証券化手法の一つであり、その仕組みとして、

1.資金を信託したうえでその資金を不動産投資として運用する方法(契約型)

2.投資家が特定の法人を設立して不動産投資を行なう方法(会社型)

とがある。実際に日本で行なわれている不動産投資信託の大部分は会社型であり、その担い手を投資法人と呼ぶ。

投資信託によって得る利益の原資は、投資対象となる不動産の賃料等から得られる収益である。また、不動産の証券化に当たっては、倒産隔離導管体機能などを確保することが必要となるが、投資信託は、制度的にこれらの要請を満たしている。

不動産投資信託は、日本では2000(平成12)年に解禁された。また、会社型の不動産投資信託は証券取引所に上場することができるとされ(銘柄は投資法人、上場して取引されるのは投資口である)、初めて上場したのは2001(平成13)年9月10日である。

不動産特定共同事業法

出資等を受けて不動産取引を行ない、その収益を分配する事業の仕組みを定めた法律で、そのような事業を「不動産特定共同事業」という。1994(平成6)年に制定された。

不動産特定共同事業は、宅地建物取引業の特別な形態で、倒産隔離できない1号事業と、倒産隔離されたSPC方式(特定目的法人を設立する方式)による特例事業とがある。

不動産特定共同事業を営むには、原則として国土交通大臣等の許可が必要で、宅地建物取引業の免許を受けていること、法人であること、一定額以上の資本金を有していることなどの要件を満たさなければならないとされる。ただし、出資総額及び一人当たりの出資額が小さい小規模不動産特定共同事業については、登録によって営業することができる。

また業務に関しては、不動産の適正かつ合理的な利用の確保に努め、投機的取引の抑制を図るよう配慮すること、広告・勧誘等についての一定の規制・制限を遵守すること、契約に当たって一定の説明を書面で行なうことなどが定められている。

この法律の制定により、組合方式等による不動産の証券化を円滑に進めるためのルールが明確となり、投資家の資金を活用した不動産の流動化が促進されることとなった。

なお、特例事業の不動産共同事業契約に基づく権利は金融商品取引法の「みなし証券」として同法が適用されるほか、不動産特定共同事業法の対象となる商品のすべてについて、金融商品取引法に定める損失補塡等の禁止及び適合性の原則の規定が準用によって適用される。

不動産特定番号(不動産登記における~)

土地、建物に付与されている番号をいう。

この番号は、すべての土地建物に付与されている。

不動産の証券化

不動産を流動化するための典型的な手法であり、不動産から価値を切り離したうえで、その価値を細分化し、証券の形で流通させることをいう。

その仕組みは、大まかには3つの段階によって構成される。

1.流動化の対象となる不動産をSPC等や信託受託者が譲渡を受ける。これによって元の資産保有者(オリジネーター)から不動産が切り離され、不動産そのものの価値(収益力・リスク等)が明確になる。

2.SPC等や信託受託者は、不動産から得られるであろう収益(インカムゲインとキャピタルゲイン)を裏づけとして証券(出資口・信託受益権等)を発行する。これによって、不動産の価値が細分化される。

3.証券を流通させる。

これによって、不動産が金融商品の形で取引されることになる。

このとき、それぞれの段階で仕組みを工夫し、元の不動産の価値を加工して、多様な不動産証券化商品を作り出すことができる。例えば、1.の段階では、異なる複数の不動産をプールしてリスクを分散すること、2.の段階では、収益の配分を優先・劣後の関係に構造化してリスクとリターンの異なる証券を発行することなどが行なわれている。また、3.の段階では、金融市場における不動産証券化商品の特性を明確にして、投資家による適正な判断を可能とするサービスなどが提供されている。さらに通常は、収益性を確保するために、不動産の運用は専門の運用者に委託される。

不動産の証券化において鍵となるのは、不動産からの収益を最適化するような不動産経営能力、および、不動産市場の動向を的確に把握するための市場情報である。しかしながら、その向上・充実を図るための仕組みは、現在、発展途上にある。

不動産の時価評価

会計において、不動産価格を現在時点で評価することをいう。

従来日本では、会計上、保有する不動産を取得時の価額で計上する方法(取得原価主義による取得簿価会計)が一般的であった。しかし、資産価値の変化を会計に適切に反映できないという弊害があり、また、国際会計基準では、資産を時価で評価して会計に反映させる考え方(時価主義)が標準とされていることから、2000年から販売用不動産について時価での評価が義務付けられるなど、時価評価の適用が拡大されてきた。そして、05年度からは、企業会計原則において、全面的に不動産の時価評価が導入された。

時価評価の方法としては、一般的に、

1.資産から得られるであろう収益を算定する方法(この方法によって算定した価額が帳簿価額を下回る場合に、その損失を帳簿価額に反映する手続きが減損会計である)

2.現時点での取引価格で算定する方法(この方法で算定した結果生じる資産価額減を、損失として計上する手続きが時価会計である)

の2つがある。企業が保有する不動産については、原則として1.の方法で評価し、減損会計が適用される。

時価評価を実施することにより、不動産の含み益や含み損が開示されて企業の財務等の透明化が進むとされるが、一方で、企業経営が不動産価格の変動に大きく左右されやすくなるという問題も指摘されている。保有する不動産を証券化などによって会計上切り離して(ノンリコース化)、価格変動のリスクを避けようとする動きがあるのはそのためである。

不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)

不動産の広告に関する不動産業界の約束事であり、政府(公正取引委員会)が正式に認定したものを「不動産の表示に関する公正競争規約」という。

不動産業界では一般的に「表示規約」または「広告規約」と呼んでいる。

この表示規約が最初に作られたのは1963(昭和38)年のことであり、その後、10回以上も改正されて、不動産の広告に関する最も詳細な規制として、不動産会社に広く遵守されている。

この表示規約の改正作業や、表示規約に違反した不動産会社への警告などを行なっているのは、全国各地に設立されている「不動産公正取引協議会」である。

不動産の付合

不動産に従として付合したモノの所有権は、不動産の所有者が取得するという定め。民法の規定である。

「付合」とは、分離すると経済上不適当な程度に結合して一個のものと認められることで、不動産に動産が付合した場合には、この規定によって、原則として不動産の所有者がその動産の所有者となる。

不動産の流動化

不動産の取引が容易になるように工夫する手法の一つで、

1.不動産の価値を物理的なモノから分離独立させること、2.取引の単位を細分化すること

を特徴とする。

その有力な方法が不動産の証券化(不動産の価値を有価証券に転嫁すること)であるが、それにとどまらず幅広い手法が工夫されている。それらの手法を類型化すれば、次の表のようになる。

不動産ファンダメンタルズ

不動産の市場価値を形成し、または影響を与える基礎的な要因をいう。

不動産市場の分析に当たっては、経済や金融の状況、地域の特性、需要の動向などについて検討すべきとされているが、これらが不動産ファンダメンタルズである。

不動産鑑定評価基準は、不動産価格を形成する要因として、一般的要因(一般経済社会における不動産のあり方およびその価格の水準に影響を与える要因)、地域要因(各地域の特性を形成し、その地域に属する不動産の価格の形成に全般的な影響を与える要因)、個別的要因(不動産に個別性を生じさせ、その価格を個別的に形成する要因)をあげているが、不動産ファンダメンタルズは、おおむね一般的要因および地域要因と一致すると考えられる。

不動産ファンド

投資家から資金を集めて運用し、その収益を出資額に応じて配分する仕組みのなかで、不動産投資を主とするものをいう。

投資に係るリスクとリターンはすべて投資家に帰属する。「不動産投資信託」と呼ばれることもある。

狭い範囲の投資家を対象に資金を集めるもの(私募ファンド)、不動産特定共同事業として実施するもの、信託制度を活用するものなど、形は多様である。運用の対象については、株式投資などと組み合わせる場合、特定の種類の不動産のみを対象とする場合などさまざまであり、運用に関しても、インカムゲインを重視するかキャピタルゲインを期待するかという違いがある。しかしどのようなものであれ、投資によって生じた損失は、投資家が一身に引き受けることはファンドに共通する性質である。

不動産保存の先取特権

「不動産保存の先取特権」は民法第326条に定められた権利である。
不動産に関する権利の保存費用を負担した人がいる場合に、その人がその旨を登記すれば、先取特権が発生し、不動産を競売して保存費用を取り戻せるという権利である。

実際には、建物新築を請け負う建設会社が、棟上げを終えると同時に、この「不動産保存の先取特権」を登記し、棟上時から完成時までの間の建築費を「不動産保存費」として確保することが多い。

この「不動産保存の先取特権」を登記すると、それ以前に登記された抵当権よりも優先するとされている(民法第339条)。

そのため、建設会社が金融機関に対抗する有力な法的手段として多用されている。

不動産流通推進センター

不動産業の近代化を推進するための組織で、1980(昭和55)年に設立された公益財団法人

その主要な業務は、

1.不動産流通市場の整備・近代化に対する支援(レインズの開発、価格査定マニュアル等の策定・普及、調査研究など)

2.協業化のための借入れに対する債務保証

3.不動産業に従事する人材の育成(宅建試験合格者のための登録実務講習、不動産コンサルティング技能試験・登録、初任従業者研修などの実施)

である。

また、不動産流通4団体((公社)全国宅地建物取引業協会連合会、(一社)不動産流通経営協会、(公社)全日本不動産協会、(一社)日本住宅建設産業協会が参加する不動産物件の検索サイト「不動産ジャパン」の運営も担当している。

不同沈下

建物荷重や外力の作用によって、場所によりむらがある沈み方で地盤下に沈下する現象。

傾斜や地盤の状況、基礎の形状等が原因となり、地震時に軟化現象等を引き起こすことによって起きる。建築物の構造に障害を引き起こす可能性のある場合は、地盤改良、基礎形状の見直し等有効な対策を講じる必要がある。

不燃化特区(不燃化推進特定整備地区)

東京都の制度で、木造密集地域のうち不燃化のために特別の支援を行なうべく指定された地区をいう。特別区の申請に基づいて東京都が指定する。

区域の指定は、強化された防火規制が適用されている地域であって、地域危険度または不燃領域率に照らして必要性が高い区域を対象に、町丁目または延焼遮断帯形成のため必要な沿道について行なわれる。

不燃化特区においては、不燃化のための更地化や建替えについての固定資産税都市計画税の減免、老朽建築物の戸建建替えや除却のための費用の助成などを受けることができる。

不法行為

私法上の概念で、他人の権利・利益を侵害し、それによって生じる損害を賠償する責任(債務)が生まれる行為をいい、民法に規定されている。

不法行為責任が生じるのは、1)故意・過失を伴うこと(特定の行為については無過失でも責任が生じる)、2)保護すべき他人の権利を侵害したこと、3)損害が発生したこと(発生の恐れがある場合に行為の差し止めを命ぜられることがある)、4)行為と損害との間に因果関係があること、5)責任能力があること(責任無能力者の行為における監督責任などを含む)という要件を満たす場合であるとされている。一方、これらの要件を満たしていても、正当防衛、緊急避難等一定の場合には、責任を負う必要はないとされる。

不法行為があった場合には、被害者は加害者に対して損害賠償請求権を得る。賠償の対象となる損害には、財産的損害だけでなく精神的な損害も含まれ、また、賠償は、金銭支払によるのが原則であるが、名誉毀損においてはその回復措置としての謝罪広告による賠償も認められている。

なお、使用者責任、工作物責任、製造物責任など、不法行為の成立について特別の扱いが適用される場合がある。

踏面

階段の水平部分。一方、階段の一段当たりの高さを「蹴上げ」という。

その寸法については、階段の用途などに応じて基準が定められている(建築基準法施行令)。

不溶化埋め戻し

汚染土壌について、地下水汚染を経由した健康被害の恐れがある場合における土壌汚染の除去等の措置の一つ。
当該土地から掘削した汚染土壌を特定有害物質が水に溶出しないように性状を変更し、当該土地に埋め戻すことである。

不溶化埋め戻しは、汚染土壌がその場所にある状態で不溶化により法定基準以下の土壌とするものであるが、法定基準に適合する状態となっただけであって特定有害物質が除去されているわけではない。従って「汚染土壌の掘削による土壌汚染の除去」には該当しない。

また、シートによる覆い、覆土、舗装等、地表面からの飛散等の防止のため何らかの措置が必要となる。

なお、不溶化埋め戻しを行なう際には、掘削した汚染土壌を一旦指定区域(土壌汚染対策法の~)の近傍の土地に仮置きし、仮置きした場所で不溶化を施してそれを埋め戻すこととなる(環境省の「土壌汚染対策法ガイドライン」を参考とした)。

扶養控除

所得税の課税に当たって、配偶者以外に扶養親族(子や親、配偶者の親など)がいる場合に所得から一定額を控除することをいう。

扶養控除の額は、子供手当の創設、高校の実質無償化に伴い、2011(平成23)年分以降は次の通りである。

1.16歳未満     控除なし
2.16歳以上19歳未満 38万円
3.19歳以上23歳未満 63万円
4.23歳以上70歳未満 38万円
5.70歳以上     48万円(同居老親等については58万円)

なお、扶養親族に収入がある場合には、扶養控除の額が減額されることがある。

また、地方税についても同様の制度があるが、控除額は異なる。

フラット35

住宅ローンのひとつで、民間金融機関と(独)住宅金融支援機構が連携して提供する長期固定金利のものをいう。民間金融機関が住宅資金を融資したうえでその債権を住宅金融支援機構に譲渡し、機構はその債権を証券化して資金を調達するというしくみによって運営される。

フラット35の融資期間は最長35年でその間の金利は固定されている。また、融資の対象となる住宅は、住宅金融支援機構の定める技術基準に適合していなければならない。住宅を建築する場合のほか、新築住宅の購入、中古住宅の購入、借り換えの場合にも利用できる。

フラット35S

フラット35の利用において、省エネルギー性能や耐震性・バリアフリー性などに優れた住宅の取得については借入れ金利を一定期間引き下げる制度をいう。

省エネルギー性能等に優れた住宅を取得する場合の「フラット35Sエコ」と、耐震性・バリアフリー性等に優れた住宅を取得する場合の「フラット35Sベーシック」の二つの種類がある。なお、優良性の基準は複数あり、それに応じて、金利の引下げ期間、金利引下げ幅、融資率が異なる。

不利益事実の告知

取引の勧誘などにおいて相手の不利益となるであろう客観的事実を説明すること。

消費者契約(宅地建物の販売・賃貸契約もこれに当たる、ただし事業のためのものは除く)においては、重要事項について利益となることを告げ、かつ、その重要事項について不利益事実を故意に告知しなかったことによって消費者が誤認した場合には、契約を取り消すことができる。

また、宅地建物取引業法は、宅地建物取引業者が重要事項等の説明において故意に事実を告げなかった場合には業務停止等を命令できるとしている。

フリーアドレス

席を固定せずに仕事をする働き方。和製英語である。

高度なモバイル機能によって支えられている。異なる人と接する機会が増えること、自立的な働き方ができること、オフィスレイアウトに縛られず柔軟な組織運営ができることなどの効果が期待できるとされている。一方で、働き方の変化に対応するべく、業務・組織の運営管理の方法を見直さなければならない。

フリープラン

宅地分譲の際に一定期間内に住宅を建設することを条件とする方法(建築条件付宅地分譲)の一つで、その建築する住宅の設計が自由な形の販売をいう。

宅地の購入者が建築主となって、設計・発注するが、工事の請負業者はあらかじめ決められていることが多い。

このような方法によって宅地を購入する場合には、工法等まで自由なのか、いくつかの住宅プランから選択しなければならないのかなど、どの程度の自由度があるのかを十分に確認しておく必要がある。

フリーレント

建物等の賃貸契約において、一定期間賃料を無料とすることをいう。

賃料相場等への影響を避けながら実質的に賃料を割安にする手法であり、販売促進の方法の一つである。

主として事務所ビルの賃貸に際して採用されることがあるが、住宅賃貸においても採用する例が現れている。

古家付き土地

古い家屋が建っている状態の土地。

古家付き土地の取引においては、取引するのは土地であって、家屋の価値は評価されない。一方、土地付き既存住宅の取引においては、家屋も評価され取引の対象となる。

古家付き土地を買った場合には、建っている家屋の撤去等を行なうのは買主である。また、買主が古屋を再利用するのも自由である。

建っている家屋に価値を認めるか否かの明確な基準はないが、老朽化の程度、居住性能、利用の可能性などによって判断されることが多い。

フレキシブルオフィス

利用形態を幅広く選択できる事務所。和製英語である。賃貸して利用するが、その賃貸借の期間、利用方法、付帯サービスなどについて選択の幅が広く、業務の状況に応じて柔軟に変更できる。また、業務設備や支援サービスが提供されることも多い。

フレックスウォール

建築物の内部空間を区画するために設けられる開閉可能な間仕切りのこと。可動間仕切りとも呼ばれる。

フレックスウォールは、一つの部屋を必要に応じて2つに仕切ることができる。
フレックスウォールには、アコーディオン式(折り戸式)のものや、引き戸式のものなどさまざまなな種類がある。

また小窓のついた家具調のものや、床から天井まで隙間なく覆う壁のようなものなど、形状もさまざまである。

風呂がま

浴槽に溜めた水をガスで瞬間的に加熱し、風呂を沸かす機器のこと。「ガス風呂がま」ともいう。

風呂がまは、ガス給湯器の一種ではあるが、台所・洗面台への給湯機能は持たず、風呂の湯沸し機能・追いだき機能・沸かし直し機能だけを持つ。また、シャワー機能を備えている機種とそうでない機種がある。

風呂がまは設置場所により次の3タイプに分かれる。

1.浴室内設置タイプ(これを特に「バランスがま」という)
2.浴室外屋外設置タイプ(浴室に隣接した戸外に設置するタイプのこと)
3.浴室外屋内設置タイプ(浴室に隣接した室に設置するタイプのこと)

浴室内設置タイプは、浴室内の浴槽の脇に設置する風呂がまであり、排気筒を浴室から戸外へ通じるように設ける必要がある。

浴室外屋外設置タイプは、浴室に隣接した戸外に設置し、排気筒を設けないものである。
浴室外屋外設置タイプは、浴室に隣接して風呂がま用の小さなスペースを屋内に設けて、そのスペースに設置するものであり、排気筒を戸外へ通じるように設ける必要がある。

なお近年では、台所・風呂等への給湯と、風呂の追いだき・沸かし直しを1台で行なうことができる「ガスふろ給湯器」が普及しつつある。

フローリング

木板や木質材料による床板のことを一般に「フローリング」という。

フローリングには、単層フローリング(無垢材(一枚の厚い天然木単板)を多数敷き詰めたもの)と、複合フローリング(単板を重ねて表面に天然木単板を接着した板材を多数敷き詰めたもの)の2種類がある。

近年では、コストが安く、変形・伸縮が少ない複合フローリングが主流となっている。

フローリングには下階に床衝撃音が響くという短所がある。これを克服するには、フローリングとクッション材を複合した商品(複層フローリング)を使用することが有効である。

フーチング

基礎の底部を幅広くした構造のこと。
断面は「T」の字を逆さまにしたような形状となる。

このフーチングを地盤面の下に埋め込むことにより、基礎全体を水平方向に安定させると同時に、地盤の支持力を高めている。

VR

情報技術を活用して、人工的に現実感を作り出すこと。英語のVirtual Reality(バーチャル・リアリティ)の略語で、「仮想現実」「人工現実感」などと翻訳されている。

高度なシミュレーションの大部分はVRである。あるいは、実際に現地に行かずに建物や都市の中を歩き回る体験や、遺跡の元の姿を復元して現実に存在するかのように示すことなどは、いずれもVRの利用である。

なお、VRは現実感を人工的に生み出すのに対して、AR(Augmented Reality)は現実をベースに人工的な情報を重ねて現実感を広げるという違いがある。   

VOC

常温で揮発する有機化合物(揮発性有機化合物)。英語のVolatile Organic Compoundsの略語。その種類は100種類以上あるが、代表的なVOCは、ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、メタノール、ジクロロメタンなどである。塗料、印刷インキ、接着剤、洗浄剤などに使用されていて、「有機溶剤」の多くはVOCである。

NOXとともに光化学大気汚染をもたらす主要な原因物質であり、発がん性など人体に有害な影響を及ぼすものやシックハウス症候群の原因となるものもある。また、ごく微量であっても臭気、目・鼻・喉への刺激、めまい、頭痛などを引き起こすことがあり、化学物質過敏症の原因になるとも考えられている。

VOCのうちベンゼン、トリクロロエチレンテトラクロロエチレン、ジクロロメタンについては環境基準が定められている。また、大気汚染防止法に基づきVOC(排出口から大気中に排出され、また飛散したときに気体である有機化合物、ただし、メタンなど光化学反応性が極微の8種類の物質を除く)について、施設の類型(塗装、接着、洗浄など)ごとに排出基準値が定められ、排出できる濃度が規制されている。

物権

物を直接に支配する権利をいう。

その典型は所有権である。

そもそも財産を支配する権利には、「物権」と「債権」の2つの類型がある。物権は、すべての人に対して権利を主張できる絶対的な財産支配権であるのに対して、債権は、特定の人にある要求をする権利であって第三者には権利を主張できない相対的な請求権である。このように、物権の基本的な性格は、その絶対的排他性にある。

絶対的排他性を確保するため、物権には、

1.後に成立した物権や内容が抵触する債権に優先する効力(優先的効力、ただし借地借家の賃借権(債権である)などの例外がある)

2.物権の内容の円満な実現が妨げられ、または妨げられる恐れがある場合に、妨害を除去・予防するため必要な行為を請求する権利(物権的請求権または物上請求権と呼ばれる。具体的には、返還、妨害排除、妨害予防の請求権)

が与えられている。また、排他性の帰結として、同一物に対して同一内容の物権は一つしか成立しない(一物一権主義、だからこそ、土地を筆に分けて各筆をそれぞれに一物とするのである)。

また、すべての人に対する権利であることから、物権の変動は公示しないと第三者に対抗できないとされる(公示の原則)。対抗要件は、不動産に関する権利変動については「登記」、動産に関する物権譲渡については「引渡し」である。

さらには、物権は、法律で定められた以外のものを新たに創設することはできないとされている(物権法定主義)。民法で定められているのは、所有権のほか、地上権(他人の土地を借りて使用できる権利)、地役権(他人の土地を自己の土地のために供し得る権利)、抵当権(優先的に弁済を受ける権利)、占有権(物に対する事実上の支配により認められる権利)などである。また、慣習法上の物権も判例により認められており、温泉権や流水利用権はこれに当たる。

物権関係

人が物を支配するという関係を「物権関係」という。

この物権関係に適用される最も基本的な法律が、民法第二編「物権」(民法第175条から第398条122まで)であり、一般的に物権法と呼ばれている。

物件の収用

収用では、収用の対象になるのは原則として土地だけである。土地上に物件が存在する場合は、その物件を他所へ移転させなければならない。このとき、物件の移転料を起業者が支払う必要がある。この損失補償を「移転料の補償」という(土地収用法第77条)。

しかしながら、物件の移転自体が著しく困難であるときは、その物件の所有者は、その物件の収用を請求できるとされている(土地収用法第78条)。

また、物件を移転することにより、従来の物件の使用目的を継続することが著しく困難になる場合も、同様に物件の収用を請求できる(土地収用法第78条)。

また物件の移転料が、物件そのものの価格を超えるときは、移転料が多額であることを理由として、起業者の側から、物件の収用を請求することができる(土地収用法第79条)。

物上代位

私法上の概念で、担保物権の効力が、その目的物に代わる物や金銭に及ぶことをいう。

担保物権の目的物が売却、賃貸、滅失、破損等により金銭債権等に転化した場合に、それに対しても優先弁済の効力を及ぼすことによって目的物の価値の減少を防ぐという意味がある。

先取特権質権抵当権について認められているが、留置権については認められない。

例えば、抵当権を設定した建物が火災で滅失した場合には、建物所有者に支払われる火災保険金に対して抵当権の効力が及ぶ。これが物上代位である。

物上保証

ある人(A)が他の人(B)に対して債権を有している場合に、Aがその債権を担保する手段の一つとして、「第三者(C)の財産に対してAが抵当権をつける」ことがある。
これは第三者Cが、Cの財産をBのために差し出すということであり、このような方法による債権の担保を「物上保証」という。

物上保証人

ある人(A)が他の人(B)に対して債権を有している場合に、Aが債権を保全する手段の一つとして、「第三者(C)の財産に対してAが抵当権を付ける」ことがある。
これは第三者Cが、Cの財産をBのために差し出すということであり、このような方法による債権の担保を「物上保証」という。また、このときのCを「物上保証人」という。

物納

税金を金銭以外のもので納入する方法をいう。

税金は金銭で納付することが大原則であるが、相続税についてのみ例外的に相続財産による物納が認められる。その際には、延納(納税の延期)によって金銭で納付することが困難である事由と、税務署長の許可が必要である。

物納できる財産として、

1.国債・地方債、2.不動産・船舶、3.社債・株式・証券投資信託または貸付信託の受益証券、4.動産

の順序が認められているが、管理・処分に不適当な財産は除外される。その評価額は、相続税課税の際の評価によるとされ、納められた財産は、通常、競売に付され換金される。

なお、税の滞納などの際に財産が差し押さえられることがあるが、これは物納とはまったく違う手続き・方法である。

物流施設

貨物の保管・仕分けなどのための施設。物流センター、倉庫などであるが、保管機能だけでなく流通加工の機能を備えたものもある。

必要な設備は貨物の性質や施設の用途によってさまざまで、その立地は、輸送方法や用途に応じて選定される。倉庫事業者が施設を建設し、賃貸する方法で運営されている場合が多い

歩留まり

製品を加工する場合の、原材料に対する出来高の割合。例えば、材木から柱を加工する場合、鋼材から金属製品を加工する場合などの加工効率を示す。

また、多数の製品を製造する場合の、製造数に対する検査合格製品数の割合(品質検査合格率)を意味することもある。

さらに意味を広げて、例えば、アンケート調査の歩留まり(回収率)、ダイレクトメールの歩留まり(返信率)、広告の歩留まり(問い合わせ率)などのように使われることも多い。

ブナ

日本の温帯林を代表する落葉広葉樹。ブナ科ブナ属の高木で、北海道西南部から本州、四国、九州の温帯に広く分布している。

ブナ材は、重く、粘りがあるが、腐りやすく、乾燥による狂いが大きい。古くは主に漆器木地や薪炭材として使われていたが、加工技術の発達によって、現在は、フローリング材、家具材、合板用材、器具材、パルプ材などとして広く使われている。

ブラインド

窓を覆い外光の入射を調整する設備。英語でBlind。横に細長い板を垂直方向に連ね、それぞれの角度を調整する方法が一般的である。

また、遮光のための設備を包括して「ブラインド」を言うこともある。

ブラウンフィールド

工業的な用途が廃止されたまま放置され、用途転換が進まない地区。その地区内の土地をいうこともある。

産業構造の変化とともにブラウンフィールドは今後増加していくと考えられているが、このような旧工業地区の遊休地を再利用することは、都市空間の質を維持する上で取り組むべき課題の一つである。特に、市街地内やその縁辺部に出現するブラウンフィールドは、放置すれば都市空間の健全性を損う恐れがある一方、都市再生などにおいて再開発の可能性がある地区でもある。

なお、アメリカにおいては、土壌汚染などによって遊休化し利用が困難となっている土地をブラウンフィールドと称している。

ブラケット

壁面に取り付ける照明器具。英語のbracket。補助照明として使われることが多い。

なお、ブラケットには、持ち送り(水平に突出した面を支える横木)という意味もあり、建築用語ではその意味で使われている。

ブレーカー

過剰な電流が流れたとき、自動的に作動して電気回路を遮断する装置。英語のbreaker。ヒューズは回路に組み込んだ合金が溶けて電流を遮断するのに対して、ブレーカーは回路に設置した遮断スイッチを作動させて遮断する。

ブレーカーの作動方法には、発熱によってバイメタルが作動する熱動式、コイルの電磁力を用いる電磁式、両者を組み合わせた熱動・電磁式がある。

ブレーカーは住戸の分電盤に設置されているが、役割に応じて、漏電事故を防ぐ漏電ブレーカー、分電先ごとの過電流やショートに対応する安全ブレーカー、契約量を超えたときに電流を遮断するサービスブレーカー(アンペアブレーカー)の種類がある。

ブレース構造

鉄骨構造のうち、柱、のほかに「筋かい」を使ったものをいう。ブレースは英語のbraceで、「筋交い」のことである。

なお、鉄鋼構造の種類には、ブレース構造のほか、柱と梁のみで構成するラーメン構造、多数の三角形を組み合わせたトラス構造がある。

ブログ(blog)

日々更新される日記的なWebサイトをいい、「weblog」の略称。

一般に、記事の時系列化、他の記事への参照(トラックバック)、コメント記入などの機能を備えており、あるテーマに関して複数の人々と議論を展開できるところが単なる日記とは異なる。また、Webサイトを本格的に運営する場合に比べて、技術的に手軽で、情報更新も容易であるなどの利点がある。

不動産業においても、営業活動の手段としてブログを活用する例が見られる。

ブロックチェーン

情報技術の一つで、取引記録を一定の単位(ブロック)にまとめた上で、その正当性を証する情報とともに取引の履歴に付け加え(チェーン化)、それをネットワーク内で合意・共有して検証可能にする分散的な情報管理手法をいう。ビットコインが成り立つための核心となっている技術である。英語でBlock chain。

ブロックチェーンは、公開性のある改ざんしにくいデータ管理のしくみで、ビットコインのような仮想通貨だけでなく、金融商品の取引などにおいても活用できると考えられている。

ブロック塀

直方体の建材(ブロック)を積み上げて造った塀。ブロックの素材として、石材、煉瓦、コンクリートが使われる。狭義には、コンクリートブロックを使った塀を指すこともある。

地震時の倒壊の恐れなど、その安全性について点検する必要がある。国土交通省は、ブロック塀の外観を点検するチェックポイントとして、1)高さが地盤から2.2m以下であること、2)厚さが10cm以上(高さが2m超2.2m以下の場合は15cm以上)であること、3)控え壁があること(塀の高さが1.2mを超えるときに、塀の長さ3.4m以下ごとに塀の高さの1/5以上突出した控え壁)、4)コンクリートの基礎があること、5)傾き・ひび割れがないこと、の5つを示し、ひとつでも不適合があるときには専門家に相談することを推奨している。

ブローカー(Broker)

売買の仲介人をいう。

一般に、株式や不動産の取引を仲介する者をさす。

仲介とは、取引当事者の間に立って、両当事者の取引について、その成立のために斡旋・助言等の活動をすることであり、自らが取引当事者の立場に立つことはない。いったん物件を買って他者に転売する活動(自己売買)をする者は、「ディーラー(Dealer)」と呼ばれて区別される。

仲介人が、その仲介活動の過程で取引当事者になる(自分が買主または売主になる)ことは、取引の公正を阻害する恐れがあり、金融商品取引法はそのような行為を禁止している(向かい呑みの禁止)。不動産取引については、法令の明文で禁止されているわけではないが、信義則(信義誠実の原則)に照らせば同様に避けるべき行為である。

ブロードバンド

高速・大容量のデータ通信に使われる回線網。英語のbroadband。厳密な定義はないが、たとえば、有線通信では、光ファイバー回線、ADSLCATVなど、無線通信では無線LAN、WiMAXなどがブロードバンドである。

ブロードバンドを利用することによって、インターネットの常時接続、細密な映像の配信などが可能となった。また、4Gや5Gのような国際規格に準拠した移動通信システムは、ブロードバンドを利用した通信方法である。

文化財保護法

文化財を保存・活用することを目的とし、従来の「国宝保存法」「史跡名勝天然記念物保存法」などを統合して1950(昭和25)年に制定された法律。

文化財保護法は、文化財を「有形文化財」「無形文化財」「民俗文化財」「記念物」「文化的景観」「伝統的建造物群」の6種類に分けて定義している。
そして、文化財のうち重要なものを、「国宝」「重要文化財」「重要無形文化財」「重要有形民俗文化財」「重要無形民俗文化財」「史跡」「名勝」「天然記念物」等として国が指定し、特に保護することとしている。
そのほか、主に明治以降の建造物を「登録有形文化財」として登録し保護する、市町村が決定した「伝統的建造物群保存地区」について特に重要なものを国が「重要伝統的建造物群保存地区」に選定する、などの制度を定めている。

土地に埋蔵されている文化財(埋蔵文化財)については、周知の埋蔵文化財包蔵地を土木工事等の目的で発掘しようとする場合には、着手する日の60日前までに文化庁長官へ届け出なければならない、と定めてその保護を図っている(文化財保護法第93条)。そして各市町村では、その周知の徹底を図るため、「遺跡地図」「遺跡台帳」の整備などに努めている。

さらに、埋蔵文化財に関連して、土地の所有者・占有者は、出土品の出土等により貝塚・古墳・住居跡などの遺跡を発見した場合には、その現状を変更することなく、遅滞なく文化庁長官に対して届け出なければならない、とされている(同法第96条)。

なお、地方公共団体は、条例を制定して、区域内に存する文化財のうち重要なものを指定して、その保存および活用のため必要な措置を講じている(同法第182条)。

分割登記

一個の建物を数個の建物に分ける登記のこと。

建物に付属建物(離れなど)がある場合、分割登記により別々の建物として登記記録を作ることができる。

文教地区

特別用途地区の一つ。
教育施設の周囲や通学路において、教育上好ましくない業種(例えばパチンコ店や風俗店など)の進出を規制するという地区である。

市町村が指定する地区であり、建築規制の内容は市町村ごとの条例で定められる(建築基準法第49条)。

従って、文教地区の詳細を知りたい場合には、市区町村役所の建築確認担当部署に問い合わせる必要がある。

分譲

土地や建物を分割して譲渡すること。たとえば、「宅地分譲」は広い土地の一部を宅地として売り渡すこと、「分譲マンション」は一棟の建物及びその敷地を複数に区分して売り渡された住戸(区分所有している建物)である。

通常、分割した土地や建物の所有権売買契約によって移転する方法で行なわれる。

分譲賃貸

分譲用の住戸を賃貸すること。もっとも、建築設計上は、分譲用住戸と賃貸用住戸との違いはない。

分電盤

配電盤より配電された幹線を、分岐する箇所に設置する装置。分岐配線するという役目だけではなく、保守点検を行ないやすくするという利点も兼ね備えている。

分配金

不動産投資信託投資法人において、利益の分配として投資家に対して支払われる金銭のこと。通常の株式会社でいえば「配当金」に類似する。

分配金は、投資法人の会計期間の終了後に支払われる。不動産投資信託の投資法人の会計期間は通常6ヵ月に設定されているので、不動産投資信託の購入者(すなわち投資主)は、通常、年2回「分配金」を受け取ることができる。

分配金の原資となるのは原則として、投資法人の「当期純利益」である。当期純利益とは、その会計期間中の所得(税引前当期利益)から、法人税等を差し引いた後に残る、最終的な利益を指している。

また分配金の原資に関しては、出資総額(通常の会社でいえば資本金・資本準備金に相当)を原資に充てることも法律上は可能である。これは「出資の払い戻し」と呼ばれる。ただし現在のところ、上場されている不動産投資信託では出資の払い戻しは行なわれていない。

ところで、投資法人には投資法人の課税の特例(租税特別措置法第67条の15)により、法人税が事実上ほぼ免除されるという特長がある。
すなわち投資法人では、税引前当期利益(税法上の所得)の90%超に相当する額を、投資主へ分配金として支払うならば、その分配金に相当する額を法人税法上の「経費」として計上することができる。

具体的には、例えばある投資法人の1会計期間(6ヵ月)の税引前当期利益(税法上の所得)が100億円、分配金が99億円、法人税等の税率が40%であったとしよう。
この場合、分配金を損金(経費)扱いできるので、投資法人が支払うべき法人税等は(100億円-99億円)×40%=4,000万円となる。その結果、当期純利益は100億円から4,000万円を差し引いた残額、すなわち99億6,000万円となる。

このような「投資法人の課税の特例」により、法人税等が事実上ほぼ免除されるので、投資法人では「税引前当期利益」、「分配金」、「当期純利益」がほぼ等しいという現象が起きる。上記の設例でいえば、税引前当期利益は100億円、分配金は99億円、当期純利益は99億6,000万円である。

実際に、上場されている不動産投資信託では、税引前当期利益(税法上の所得)の100%近くを分配金に充てていることが多い。

なお、分配金の金額は、会計期間終了後2ヵ月以内に投資法人の役員会で正式に決定される。
上場された不動産投資信託の過去の実績を見ると、投資口価格(いわゆる株価に相当)に対して3~5%に相当する金額が、(投資口1口当たりの)分配金の1年間の合計として支払われている。

分筆

土地登記簿上で一筆の土地を、数筆の土地へと分割すること。

分筆登記

一筆の土地を分割して数個の土地にするという登記のこと。

分離課税

他の所得と合算しないで課税することをいう。

源泉分離課税(源泉徴収によって納税が完了)と申告分離課税確定申告において分離して税額を計算)とがある。

所得税についてみれば、それぞれ次のような所得が分離課税の対象とされている。

1.源泉分離課税
退職所得、利子所得(総合課税の対象となるものを除く)、特定目的信託のうち社債的受益権の収益の分配に係る配当、私募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る配当、懸賞金付預貯金等の懸賞金等、一定の金融類似商品の補てん金等、一定の割引債の償還差益

2.申告分離課税
山林所得、土地建物等の譲渡による譲渡所得、株式等の譲渡所得等および一定の先物取引による雑所得等、上場株式等の配当所得(申告分離課税を選択した場合)

プライベートファンド

私募ファンドのこと。

投資家から資金を募って運用する事業のなかで、資金を募る対象者が狭く限定されているものをいう。

通常、募集対象が50人未満のものを指すが、特に対象を適格機関投資家に限った「プロ私募」による事業も私募ファンドの一つである。また、募集対象者を選別するような私募ファンドもある。

一般的に、ハイリスク・ハイリターンの運用をめざすことが多く、通常、不動産投資が組み込まれる。オポチュニティファンドと似た性格を帯び、運用者の裁量の範囲が大きい。

プライベートリビング

私的な利用に限定した居間をさす言葉として使われることがあるが、一般的な用例ではなく、意味も曖昧である。また、欧米でもそのような用例はなく、和製英語である。

プラスター

鉱物性の粉末と水その他の材料を練り合わせ液体状の材料で、時間の経過とともに硬化するもの。左官材料などに用いられる。
英語では「plaster」と表記する。

プラスターボード

石膏ボードのこと。

石膏を心材とし、両面をボード用原紙で被覆した板のこと。
施工が簡単で、温度・湿度による変化が非常に少ないことから、壁材、天井材(あるいは壁・天井の下地材)として多用されている。

プラトー(情報モデルの〜)

立体的に描いた都市空間にさまざまなデータを結びつけた情報モデル。その構築を目指すプロジェクト名でもある。コンピュータグラフィックを基盤として構築されたデータベースのひとつで、国土交通省が主導して構築・公開されている。

プラトーの基本的な構造は、1)航空測量などをもとに都市空間を土地や建物、街路等の地物を単位として3次元で表現し、2)空間を構成する個々の土地、建物、街路等をベースに、都市計画基礎調査などで得られた情報(土地利用、建物、都市施設、交通、地価、自然的環境、災害、景観等に関するデータ)を結びつける方法で組み立てられている。このモデルは、立体地図ではなくオープンデータソースであって、データの加工、シミュレーション操作、VR化等が可能で、まちづくりなどのために幅広く活用できるとされる。

なお、この情報モデルの名前「プラトー」は、フランス語/英語のplateaux/plateauで、高原・台地という意味であるが、哲学書『千のプラトー Mille Plateaux』(ジル・ドゥルーズ&フェリックス・ガタリ著、1980年)にちなんで命名したと説明されている。

プラネタリー・バウンダリー

地球生物圏の安定状態を維持するために重要な限界点。英語のplanetary boundaries。

地球の恒常性は生物物理学的プロセスによって保たれているが、そのプロセスが変化し、一定の限界点に達すると恒常性に危険が生じる。プラネタリー・バウンダリー(地球の境界)はこの限界点であって、これを超えると、地球環境が、大規模に、不可逆的に変化するリスクが急激に高まるとされる。

プラネタリー・バウンダリーは、次の9の限界点で構成され、3分類されている。

i)明確に定義できる限界:気候変動、成層圏オゾン層の破壊、海洋酸性化

ii)穏やかに変化する限界:土地利用の変化、淡水利用、生物多様性の喪失、生物地球化学的循環(窒素とリンの循環)の不全

iii)人類が作り出した危険:大気エアロゾルの環境に負荷を与える化学物質、重金属や有機化学物質による生物圏の汚染

このうち、生物多様性の喪失と生物地球化学的循環の不全については、限界点を超えている可能性が、土地利用の変化と気候変動については、限界点に近い可能性があると考えられている。

ただし、これらの限界点の定量的な把握については、議論の途上にある。

プレイロット

おおまかには、都市における幼児対象の幼児公園のこと。

砂場やブランコ、滑り台などの静的な遊具を設けて、幼児のための遊び場とする。特に、団地やマンション等の敷地内における、乳児用を対象とした簡単な遊び場のことをいう。

プレキャストコンクリート

英語表記は「Precast Concrete」。
工場であらかじめ製作された鉄筋コンクリートパネルのことである。

現場で鉄筋コンクリートの壁等を製作するには時間と費用がかかるが、プレキャストコンクリートを使用することによって建築に要する時間とコストを大幅に削減することが可能となった。

プレハブ住宅

現場での施工の前に、あらかじめ工場で部材の加工、組立てを行ない、それを現場で組み立てる住宅。

生産性の向上、質の均一性、精度の向上を目的とし、現場作業を軽減させることから工期も短縮できる。また、工場生産により価格が抑えられることなどの特徴がある。

プロパティマネジメント(Property Management)

委託を受けて不動産の管理・運用を行なう業務をいうが、特に収益性の確保・向上をめざした業務をさすことが多い。

その業務は、大きく、運用計画の立案、賃料の設定、テナントの募集・契約などの運用業務と、不動産や設備の維持・保全、予算・収支の管理などの管理業務に分けられるが、両者を総合化して、当該不動産から得られる収益を最適化することが最も重要であるとされる。不動産の証券化などにおいて、その能力が問われる業務でもある。

プロパンガス

プロパンやブタンを主成分とするガス燃料。プロパンやブタンは液化石油ガス(LPG)である。高圧で液化してボンベに充填し、ボンベを配送する方法で供給される。家庭用燃料として供給されるプロパンガスの成分規格は、添加物の違いはあるものの基本的にひとつだけで、家庭用プロパンガス器具はこの規格に適合するよう製造されている。

無色、無臭であるが、安全のために匂いがついている。また、空気よりも重い。

なお、都市ガスに比べて単位容量あたりの発熱量が大きいが、ガス器具の構造によって燃焼量が調整されているため、使用に当たっての火力は都市ガスとほとんど同じで、安全性も同等である。

プロムナード

遊歩道、散歩道のこと。タイル舗装したり、洒落たストリートファニチャーを設置したり、植裁を施したりして、商店街の活性化を図り、またビルの間道をやすらぎ空間として利用する事例が増えてきている。

敷地の境界などに設置された連続した壁。材料によって、築地塀、土塀、練り塀、板塀、煉瓦塀、ブロック塀などの種類がある。

地震などで倒壊しないように設置しなければならないほか、街区景観との調和などが求められる。また、組積造及び補強コンクリートブロック造の塀については、高さ、厚さ、構造などに関して建築基準が定められている。

閉鎖登記簿

一筆の土地または一個の建物登記記録が閉鎖された場合に、その閉鎖された登記記録が保存される帳簿(または磁気ディスク)のこと。
一筆の土地または一個の建物に登記記録が閉鎖されるのは、土地が合筆される場合、建物が滅失した場合などがある。

また、登記所がコンピュータ化し、従来の紙の登記簿が磁気ディスクの登記簿へ置き換えられるのに伴い、従来の紙の登記簿そのものが閉鎖される。これも「閉鎖登記簿」という。

こうした閉鎖登記簿は、土地登記簿で50年間、建物登記簿で30年間保存されている。希望すれば、閉鎖登記簿の閲覧や、閉鎖登記簿の謄本(閉鎖謄本)の交付を受けることもできる。

閉鎖謄本(不動産登記における~)

閉鎖登記簿の写し(謄本)のこと。

現在、全ての登記所はコンピュータ化され、従来の紙の登記簿は、磁気ディスクの登記簿へ置き換えられている。
しかし従来の紙の登記簿は、従来どおり登記所に閉鎖登記簿として保管されており、希望すれば閲覧したり、写し(謄本)の交付を受けたりすることができる。
閉鎖謄本の交付を受けるには、登記事項証明書登記簿謄本抄本交付申請書の中に、「閉鎖登記簿」というチェック欄があるので、その欄をチェックし、必要事項を記入して提出する。

平面図

建築物の各階について、一定の高さで水平に切断し、その形状を水平面に投影した図。部屋の配置、出入口・窓等の位置、設備等の設置場所などが表示される。建築物の仕様を示す基本的な図面の一つである。

なお、建物の仕様を示す基本的な図面には、平面図のほか、立面図、配置図がある。

併用住宅

居住の用に供する建物空間(居住部分)と、店舗、事務所など業務の用に供する建物空間(業務部分)とが合わさって、一つの建物となっている住宅。それぞれの部分は区分され、それぞれ独立して利用される。

住宅に関する各種の制度を併用住宅に対して適用する場合には、居住部分の床面積が全体床面積の半分以上を占めなければならないとされていることが多い。

なお、併用住宅に対して、全部が居住の用に供される建物を「専用住宅」という。

壁心

建物床面積を測定する際に、壁の厚みの中心線を想定し、この中心線に囲まれた面積を「床面積」とする考え方のこと。「壁芯」と書くこともある。

この「壁心」の考え方で計算すると、壁の厚みの分が床面積に加算されるので、実際に使用可能な部分の床面積よりもやや大きな床面積となる。

建築基準法では、建物の床面積とは「壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の面積」であると規定しているので、建築基準法は壁心の考え方を採用しているということができる(建築基準法施行令2条1項3号)。

なおこの「壁心」と異なる床面積の測定方法として「内法(うちのり)」がある。

壁面収納

部屋の壁面全体を収納に利用すること。そのための収納家具をさす場合もある。

部屋の広さを大きく妨げることなく大容量の収納場所を確保できるとされている。壁面加工の要否、収納スペースの形、収納部材の材質などに応じて、その様態はさまざまである。

壁面線

道路境界から後退して建物の壁等を建築しなければならないとして指定された線をいう。

街区内における建築物の位置を整えその環境の向上を図るための規制であるが、その指定に当たっては、意見聴取などの手続きが必要である。

主として地区計画建築協定の際に活用されている制度であり、壁面線が指定された街区については、容積率建ぺい率が緩和されることがある。

HEMS

住宅のエネルギーを管理するシステムをいい、Home Energy Management Systemの略。

住宅で使用されている家電や冷暖房などのエネルギー消費の状況を把握・表示し、それを最適化すべく制御するシステムである。さらにこれに、太陽光発電や熱供給などを組み込んで、より効率性の高い制御を実現する試みもある。

なお、同様の考え方によって業務用ビルディングのエネルギーを管理するシステムを、BEMS(Building and Energy Management System)という。

変更登記

不動産登記において、登記がなされた後に、登記と実体とにずれが生じた場合に、訂正するための登記のこと。登記名義人の住所変更の登記、登記名義人の氏名変更の登記などがある。

変更の登録(宅地建物取引士の~)

宅地建物取引士の登録を受けた者は、宅地建物取引士資格登録簿に登載された事項に変更があったときは、変更登録申請書を遅滞なく提出しなければならない。これを変更の登録という。
(詳しくは宅地建物取引士資格登録簿へ)

変更の届出

宅地建物取引業者に関する一定の事項を登載した名簿(宅地建物取引業者名簿)の登載事項について変更が生じた場合に、宅地建物取引業者が行なうべき届出のこと(宅地建物取引業法第9条)。

都道府県知事または国土交通大臣は一定の事項を登載した宅地建物取引業者名簿を作成するが、この名簿の登載事項のうち一部の登載事項について変更があったときは、宅地建物取引業者は30日以内に変更の届出を行なう義務を負う。具体的には次のとおり。

1.変更の届出を行なうべき事項
次の1)から5)の事項に変更が生じたとき、宅地建物取引業者は変更の届出を行なう必要がある(法第9条)(※参照)。
1)商号または名称(法第8条第2項第2号)
2)事務所の名称と所在地(法第8条第2項第5号)
3)宅地建物取引業者が法人である場合には、その法人の役員の氏名および事務所の代表者の氏名(法第8条第2項第3号)
4)宅地建物取引業者が個人である場合には、その者の氏名および事務所の代表者の氏名(法第8条第2項第4号)
5)事務所に置かれる専任の宅地建物取引士の氏名(法第8条第2項第6号)
※●宅地建物取引業以外の事業を営んでいるとき、その兼業している事業の種類(施行規則第5条第2号)については、変更の届出を行なう義務がない。
●役員・事務所の代表者・専任の宅地建物取引士の氏名の変更があったときは届出の必要があるが、住所の変更があったときは届出の必要がない。
●事務所の新設・移転・廃止は、「事務所の名称、所在地」の変更(法第8条第2項第5号)に該当するので、新設・移転・廃止を行なってから30日以内に届出が必要である。
●法人の場合、資本金の額や定款は、そもそも宅地建物取引業者名簿の登載事項ではない。従って資本金の額の変更や定款変更は、届出が不要である。

2.届出期間・届出の相手方
変更が生じてから30日以内に、免許権者(知事免許ならばその知事、大臣免許ならば国土交通大臣)に対して、宅地建物取引業者名簿登載事項変更届出書(施行規則様式第3号)を提出しなければならない(施行規則第5条の3第1項)。
この際に、役員・事務所の代表者・専任の宅地建物取引士の増員・交代については、成年被後見人および被保佐人に該当しない旨の登記事項証明書を提出するなど、さまざまな添付書類が必要となる場合がある(施行規則第5条の3第2項)。

返済額軽減型(住宅ローン繰り上げ返済の〜)

住宅ローンを繰り上げ返済する方法のひとつで、返済期間を変えずに毎月の返済額を減らす方法をいう。

繰り上げ返済する金銭は元金の返済に充てるが、減額された元金を返済期間を変えずに元利均等で返済すると、毎月の返済が繰上げ返済前に比べて少なくなる。この方法による繰上げ返済が「返済額軽減型」である。毎月の返済額が少なくなるので負担感が減る一方、負担しなければならない期間は変わらない。

なお、繰り上げ返済の方法には、返済額軽減型のほか、毎月の返済額を変えずに返済期間を短くする期間短縮型がある。

返済能力調査

貸金業において借り手の返済能力を調査することをいい、貸金業者の義務とされる(2010(平成22)年6月から法的に義務化、それまでは業界の自主規制による義務)。

この場合、個人が借り手の場合には、指定信用情報機関の信用情報を使用しなければならない。また、自社からの借入残高が50万円超となる貸付け、総借入残高が100万円超となる貸付けについては、年収等の資料を取得しなければならない。

調査の結果、総借入残高が年収の3分の1を超えるなど、返済能力を超える貸付けとなる場合には、貸付けは禁止される。

返済負担率

住宅ローンの年間返済額が年収に占める割合。

返済負担率は、融資審査における重要な指標とされ、通常、基準が定められている。また、借り手が返済可能性を判断するために必ず確認すべき指標でもある。

例えば、代表的な長期固定型住宅ローン「フラット35」の借入限度額は、年収400万円以上の場合は返済負担率35%以下、400万円未満の場合は30%以下となる金額とされている(この場合の返済負担率は、住宅ローンのほか、自動車ローン、教育ローン、カードローンなどを含めた借入金の総額について算定される)。その他の住宅ローンでも、ほとんどの場合、返済負担率の限度が定められている。

なお、年収の変動、家族構成の変化などによって負担可能な返済負担率も変化するが、負担が過大にならないよう注意が必要である。

変動金利型

住宅ローンのうちで、借入れ期間中に借入れ金利が変動するものをいう。
変動する場合の金利は、長期プライムレート等に一定率を上乗せしたもの(住宅ローンプライムレート)を基準として決定され、原則として年2回見直しされる。返済金額は金利が変動するごとに変わるが、返済金額の増減を一定期間反映させない(つまりその期間中は返済金額が一定である)という方法が取られることもある。

変動金利型に対して、借入れ期間の金利が固定されている住宅ローンもあり、これを「固定金利型」という。一定の条件の下で、固定金利と変動金利を選択できる「固定金利選択型住宅ローン」もある。

ベイウィンドウ

出窓(張出し窓)のこと。

もともとはサンフランシスコで湾の景色を見るために設けられたベイビューウィンドウのことであったが、現在は出窓の総称として使われる。
長方形、多角形、弓形等がある。

べた基礎

基礎の底部が隙間なく連続し、基礎の底部が一枚の板状になっている基礎のこと。

別荘

本拠とする住宅以外に設ける別の住宅。避暑地や避寒地に立地し休暇などで利用されることが多い。

別荘地

別荘を構えるのに適した地域。避暑地や避寒地として土地開発されたところを指すことが多い。

別荘地として古くから著名なのは、軽井沢、伊勢志摩などである。

別邸

本拠とは別の住宅をいう。

別荘は休養のために避暑地や避寒地に立地するのが一般的であるが、別邸の目的や立地はもっと多様である。

ベッド

寝台。英語のbed。マットレス、ボトム(底板)、台枠(脚が付いている)で構成される。ヘッドボード(前板)やフットボード(止め板)が付いていることが多い。

大きさによって、シングルベッド、セミダブルベッド、ダブルベッドに分類される。また、ソファに変換できるソファベッドもある。

ベランダ

建物の壁面から突き出した床の部分。英語のveranda。通常、屋根がついている。和室の「縁側」もほぼ同義である。

マンションの場合、共用部分とみなされるので、各住戸の専有面積に算入されない。またマンションの各住戸の所有者は、ベランダに物を置いて火災時の避難に支障をきたしてはならないとされている。

なお、建築基準において、ベランダの外端からの距離が1mを超える内側部分は、建築面積に算入される。

BELS

建築物のエネルギー消費の状態を第三者が一定の方法で評価し、当該建築物の省エネルギー性能を表示する制度をいう。Building-Housing Energy-efficiency Labeling System(建築物省エネルギー性能表示制度)の略語。

BELSの評価に用いる指標および手法は、「建築物エネルギー消費性能基準等を定める省令」によって、住宅、非住宅に分けて定められているが、基本的には、建築設備(冷暖房・照明等の設備で家電・OA機器等を除く)によって生じるエネルギー量および建物外皮における熱収支を測定し、基準と比較する方法による。また、省エネルギー性能の表示は、一般に、性能水準に応じて星印による5段階のマークで示される。

「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」は、建築物の販売・賃貸事業者に対して省エネ性能を表示する努力義務を課しているが、BELSによって表示すれば、これを満たすことになる。

弁済業務保証金準備金

宅地建物取引業保証協会が積み立てる金銭等で、還付充当金の納付がなかったときに弁済業務保証金の供託に充てるためのものをいう。

宅地建物取引業保証協会は、その社員と取引した者が有する債権に関して一定の範囲で弁済業務保証金を還付する義務を負っているが、それが実行されたときには、還付された額に相当する弁済業務保証金を供託しなければならない。この場合、供託に要する金銭等はその還付に係る社員が協会に納付する還付充当金を充てることとなるが、その納付がなかったときにはこの弁済業務保証金準備金を充当することとなる。

なお、弁済業務保証金から生じる利息または配当金は、準備金に繰り入れなければならないとされている。

弁済業務保証金分担金

宅地建物取引業者がその取引により生じた債務に関して当該業者に代わって弁済する業務を行なう団体(宅地建物取引業保証協会)に対して、その加入者が負担する金銭をいう。     

宅地建物取引業者は、原則として営業保証金を供託しなければならないが、宅地建物取引業保証協会に加入して弁済業務保証金分担金を納入すればその必要はない。

協会が弁済する価額の限度は営業保証金によって弁済される価額の限度と同じであるが、業者が負担する分担金額は営業保証金よりも少ない額に設定されている。また、協会は、納付された分担金に相当する金銭を供託しなければならない。

ペアガラス

複層ガラスともいう。

遮音性・断熱性を高めるため、ガラスを二重にしたサッシのこと。結露を防ぐ性能を持つタイプもある。

ペアローン

住宅資金を借りるときに、必要な借入額を2つに分割し、2人(例えば夫婦)がそれぞれの額を独自に借り入れる方法。この場合、お互いの債務について、相互に連帯保証人になる。pair-loanは和製英語。

ペアローンでの融資審査は各自が受け、各自がそれぞれの借入額の債務者となる。あたかも、住宅を共有物とし、その共有持分に対してそれぞれ融資するかたちであるが、本来同一である給付を無理に分割するなど、変則的な融資方法である。

ペアローンは、必要資金の全部ではなく分割した借入金のみの債務者となることが「連帯債務」と、債務を保証するのではなく債務者となることが「連帯保証」と、それぞれ異なる。

ペット共生住宅(ペット共生物件)

ペットの飼育が認められている住宅。原則として管理規約(賃貸住宅については賃貸借契約)で飼育を認める旨が定められているほか、使用細則等において、動物等の種類や数等の限定、管理組合への届出等による飼育動物の把握、専有部分における飼育方法、共用部分の利用方法、ふん尿の処理等の飼育者の守るべき事項、飼育に起因する被害等に対する責任、違反者に対する措置などが規定されていることが多い。

また、ペットの飼育に資するべく、足洗い場、専用トビラなどが設置されていることもある。

なお、賃貸住宅でペットを飼育する場合については、「ペット相談可(賃貸住宅における~)」も参照。

ペット相談可(賃貸住宅における〜)

ペットの飼育について、貸し主または賃貸管理会社に相談して了承を得る必要がある賃貸住宅。賃貸借契約において取り扱いが明示され、ペットの種類、数、飼育方法などに応じて飼育の可否が判断される。

賃貸住宅では、一般にペットの飼育は認められていないが、ペット相談可とされている場合には、相談することによって一定の条件のもとで飼育することができる。

なお、賃貸住宅でペットを飼育し、ペットによる柱やクロスなどのキズ、臭いの付着などが生じた場合には、退去時に、キズや臭いを原状に回復のための費用を請求されることがある。

ペデストリアンデッキ

高架で設置された歩行者専用通路をいう。

通常、建物の入り口まで続く構造となっていて、横断歩道橋と区別される。市街地再開発事業街区の一体的な開発において設置されることが多い。

ペンション

家族などによって専業で経営される洋風の宿泊施設。旅館よりも低料金で、自然が豊かな観光地に立地していることが多く、食事が提供される。和製英語である。

ペンションの多くは、旅館業法上はホテル営業として許可を受け、一般に1泊2食付きの料金体系を採用している。

「民宿」と違って専業で経営されていて食事が提供され、「B&B(Bed & Breakfast)」と異なり1泊2食付きの料金体系である。

ペンダントライト

吊り下げ形式の照明。英語のpendent lump。ペンダントライトに対して、天井に固定する形式の照明を「シーリングライト」という。

ペンダントライトは、一般に照明範囲が局所的になるが、シャンデリアのように広い範囲を照らすものもある。また、その形状は、シンプルな一点照明灯から複数のランプを組み合わせた装飾性の高いものまで多様である。

ペントハウス

次の2つの意味がある。

1.建物の最上階に設けられた非常に高級な部屋
2.建物の屋上に造られた階段室・昇降機塔などのこと
わが国では、主に2.の意味で用いられる。

なお、わが国の建築基準法では、建築面積の8分の1までの広さのペントハウス(2.の意味)は、建築物の高さおよび階数に原則的に算入しないという特例がある(建築基準法施行令第2条)。

保安林

農林水産大臣等の指定により伐採・開発行為等が規制される森林をいう。

保安林の指定の目的は、水源のかん養、土砂の流出・崩壊防備、風水害防備などであるが、保安林においては、立木の伐採、土地の形質の変更等について許可・届出が必要となる。

日本全国の森林の4割弱が保安林に指定されている。また、指定目的が消滅したときや公益上の理由が生じたときには指定が解除される。

包括承継人

他人の権利義務を一括して継承する者をいい、例えば相続人や合併会社がこれに当たる。ただし、一身専属権は継承されない。
包括継承は一般継承ともいわれる。これに対して、個別の権利を承継する者を特定承継人という。

包括継承人は、被継承人が有していた債権債務関係も継承し、これに拘束される。従って、相続に当たっては、必要に応じて相続放棄や限定承認の意思を表明することができる。

放棄宅地

所有者の所有・利用意欲が失われ、相続登記などの管理がなされないまま放置されている宅地をいう。所有者の所在の把握が難しい場合も多い。

放棄宅地の増大は、土地利用上の問題を生じる恐れがある。そこで、その実態を把握するほか、放棄宅地の管理の方法や帰属のあり方、災害リスクが高いなどのため利用困難な土地の管理のしくみなどについて検討しなければならないと考えられている。

方形屋根

四角錐の形をした屋根寄棟屋根切妻屋根は、屋根の頂上部が直線になるが(主棟がある)、方形屋根の頂上部は隅棟が四方から集まって点状になっている。

方形屋根の建物は、平面が正方形で長短がない。

報告義務(媒介契約依頼者に対する)

宅地建物取引業者が不動産取引の媒介を依頼されたときに、依頼した者に対してその業務の処理状況を報告しなければならないとされる義務。宅地建物取引業法に基づく義務である。

報告義務を負うのは、専属専任媒介契約または専任媒介契約によって業務を行なう場合で、専属専任媒介契約においては1週間(休業日を含む)に1回以上、専任媒介契約においては2週間(休業日を含む)に1回以上報告しなければならない。

報酬額の制限

宅地建物取引業者が受け取ることのできる報酬額について限度が定められていることをいう。

宅地建物取引業者による媒介または代理によって、宅地建物の売買・交換・貸借が成立した場合に、宅地建物取引業者は、媒介契約または代理契約に基づき、依頼者から所定の報酬を受け取ることができ、その報酬の額は、媒介契約または代理契約において、依頼者と宅地建物取引業者の間で約定される。

この場合に、宅地建物取引業法は、報酬の額の上限を国土交通大臣が告示で定めるものとし、宅地建物取引業者はその告示の規定を超えて、報酬を受けてはならないという制限を課している。これに基づいて定められているのが、国土交通省告示「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」である。

定められている報酬額の制限の概要は次のとおりである。

1 報酬が発生する場合
宅地建物取引業者の媒介または代理により、売買・交換・貸借が成立した場合に、宅地建物取引業者は依頼者に報酬を請求することができる。しかし、宅地建物取引業者自らが売主または貸主として売買・交換・貸借が成立した場合には、その売主または貸主である宅地建物取引業者は取引当事者の立場にあるので、買主または借主に報酬を請求することはできない。
また、この報酬は成功報酬と解釈されており、原則として売買・交換・貸借が媒介または代理により成立した場合にのみ報酬請求権が発生するとされている(標準媒介契約約款の規定等による)。

2 売買の媒介における報酬額の上限
売買の媒介の場合に、宅地建物取引業者が依頼者の一方から受けることができる報酬額の上限は、報酬に係る消費税相当額を含めた総額で、次のとおりである。(報酬告示第二)

1)売買に係る代金の価額(ただし建物に係る消費税額を除外する)のうち200万円以下の部分について…価額の5%+これに対する消費税額
2)200万円を超え400万円以下の部分について…価額の4%+これに対する消費税額
3)400万円を超える部分について…価額の3%+これに対する消費税額

例えば、売買に係る代金の価額(建物に係る消費税額を除外)が1,000万円の場合には、200万円の5%、200万円の4%、600万円の3%に、それぞれに対する消費税額を加えた額が依頼者の一方から受ける報酬額の上限となる(この額には報酬に係る消費税相当額を含む)。

3 交換の媒介における報酬額の上限
交換の媒介の場合には、交換する宅地建物の価額に差があるときは、いずれか高いほうを「交換に係る宅地建物の価額(ただし、建物に係る消費税額を除外する)」とする。(報酬告示第二)
例えば、A社がX氏と媒介契約を結んでX氏所有の800万円(消費税額を除外後)の宅地建物を媒介し、B社がY氏と媒介契約を結んでY氏所有の1,000万円(消費税額を除外後)の宅地建物を媒介して交換が成立したとすれば、A社の報酬額の上限は800万円でなく、1,000万円をもとに計算する。(この額には報酬に係る消費税相当額を含む)。

4 貸借の媒介の場合
宅地または建物の貸借の媒介において、宅地建物取引業者が依頼者双方から受けることのできる報酬額の上限は、合計で借賃(借賃に係る消費税額を除外する)の1月分+これに対する消費税額である(この額には報酬に係る消費税相当額を含む)。ただし、居住の用に供する建物の賃貸借については、依頼者の一方から受け取ることのできる報酬は、媒介依頼の際に当該依頼者の承諾を得ている場合を除いて、借賃の1月分の0.5倍+これに対する消費税額以内でなければならない。(報酬告示第四)

なお、宅地または非居住用の建物(店舗・事務所など)の賃貸借において、権利金が授受されるときは、その権利金の額を上記2の「売買に係る代金の額」とみなして、売買の媒介の場合と同様に報酬額の上限を算出することが可能である。(報酬告示第六)

5 代理の場合
売買・交換・貸借の代理において、宅地建物取引業者が依頼者の一方から受けることのできる報酬額の上限は、上記2または3の2倍の額である。ただし、売買・交換の相手方からも報酬を受ける場合には、報酬の合計額は2または3によって算出した額の2倍を超えてはならない。(報酬告示第三)

また、賃借の代理においては、一方から受け取ることのできる報酬額の上限は借賃の1月分+これに対する消費税額である。ただし、取引の他方からも媒介等の報酬を得る場合には、両者からの報酬の合計額はこの額を超えてはならない。(報酬告示第五)

なお、双方代理は、民法で原則として禁止されていることに注意が必要である。

6 低廉な空家等の売買・交換に関する特例
代金の額が400万円以下の宅地建物であって、通常の媒介・代理と比較して現地調査等の費用を要するもの(低廉な空家等)の取引の媒介・代理に当たっては、依頼者たる売主または交換を行う者から受ける報酬について、当該現地調査等に要する費用を加えることができる。ただし、現地調査等に要する費用を加えた合計報酬額は、18万円+これに対する消費税額を超えてはならない。(報酬告示第七・第八)

7 複数の宅地建物取引業者の関与
複数の宅地建物取引業者が一個の売買等の媒介・代理に関与する場合には、報酬額の上限の規定は、それらの業者の受ける報酬額の合計額について適用する。

8 特別の依頼に係る広告費用
宅地建物の売買・交換・貸借の媒介・代理に関しては、上記の1〜7によるほか報酬を受け取ってはならないが、依頼者が特別に依頼した広告の料金に相当する額については、この限りではない。(報酬告示第九)

報酬減額請求

請負契約の履行において、引き渡された仕事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合に、注文者が請負人に対して、報酬の減額を請求すること。

報酬の減額を請求する権利は、契約不適合を原因とする債務不履行に対する請求権のひとつである。

報酬減額請求は、まずは履行の追完を催告し、追完されないときに行なうことができる。もっとも、催告しても追完を受ける見込みがない場合などは、催告なしに減額請求することができるとされる。

報酬減額請求をするためには、原則として、不適合を知った時から1年以内に不適合である旨を通知しなければならない。また、注文者は、与えた指図等によって生じた不適合を理由に報酬減額請求することはできない。

このルールは、民法(債権関係)改正(施行は2020年4月1日から)によって明確化された。

法人

私法上の概念で、自然人以外で、法律上の権利・義務の主体となることを認められた団体・財産をいう。

法人の設立は、法律の規定によらなければならないとされている。

例えば、一般社団法人一般財団法人、株式会社、学校法人、宗教法人、管理組合法人などはすべて法人である。

法人格

法人権利能力のことを法人格という。

法人は権利能力を有している(換言すれば法人格を有している)ので、権利義務の主体となることができる。
例えば、法人が法人名義で財産を取得したり、財産を法人名義で登記したり、契約を法人として締結することが可能である。

法人税

国税の一つで、法人の所得金額などを課税標準として課される税金をいう。

納税義務を負うのは、すべての国内法人(ただし、公益法人等や人格のない社団等については、収益事業を営む場合などに限る)および国内源泉所得がある外国法人である。

課税の対象となるのは、原則として各事業年度の法人の所得であり、益金と損金の差を一定の規則に従って算出して求めることとされている。その算出のための経理が税務会計であるが、連結の扱い、圧縮記帳などの特例、各種特別控除等々、税技術的な詳細な規定に従わなければならない。

また、税率は原則として一律(23.2%)であるが、一部特例がある。

法人の権利能力・行為能力

民法は、「法人は法令の規定に従い、定款又は寄附行為に定められた目的の範囲内において、権利を有し義務を負う」と規定している。
この規定は、法人の権利能力の範囲を制限し、それと同時に法人の行為能力の範囲をも定めた規定であると解されている(判例、通説)。

すなわち、定款または寄附行為に記載された目的を超えた行為を法人の代表者(理事など)が行なった場合には、その代表者の行為は、法人の権利能力(および行為能力)の範囲を超えるので、その代表者の行為は法人に帰属しないという趣旨である。

しかしながら、実際には代表者が一見「目的の範囲」を超える行為を行なうことは多く見られるので、これをどのように解釈すべきかが問題となる。

1.目的の範囲を一見超えていると見られる代表者の行為
定款には記載のない種類の行為を代表者が行なった場合について、判例では「目的の範囲」を極力拡大して解釈することにより、代表者の行為を法人の行為として法人に帰属させている(例えば、会社の政治献金を「目的の範囲内」と解釈する)。

2.代表者の不法行為
代表者が「職務を行うについて」第三者に損害を与えた場合には、法人がその不法行為について損害賠償責任を負う。この場合にも、判例は、代表者の職務を広く解釈し、法人の損害賠償責任の範囲を広くしている(詳しくは法人の不法行為責任へ)。

法人の不法行為責任

一般社団法人および一般財団法人に関する法律は、「法人は、代表理事その他の代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う」と規定している。

この規定について、法人実在説の立場からは、法人が社会的実在である以上、法人自身が不法行為を行なうことは当然にあり得るので、目的の範囲内で法人は損害賠償責任を負うのが当然であると解釈されている(ただし、法人擬制説・法人否認説では代表者の不法行為について、法人に責任を負わせた特例的な規定であると解釈されている)。

法人の不法責任については、「その職務を行うについて」という部分の解釈が重要である。もし代表者の職務執行の範囲を厳格に解釈するならば、職務執行に「不法行為」が含まれることは稀であるから、判例では、理事の職務執行の範囲が広く解釈されている。たとえば判例は、「外形上、理事の職務行為と認められるもの、および社会通念上その職務行為に関連するもの」を理事の職務執行とし(これを外形理論という)、法人と取引をする相手方を保護している。

なお、法人が不法行為責任を負う場合でも、理事個人も個人として不法行為責任を負うものとされている(判例)。

法第31条の3第1項の国土交通省令で定める場所

宅地建物取引業法では、その第31条の3第1項で、一定の場所には、成年で専任の宅地建物取引士を置かなければならないと定めている。
この専任の宅地建物取引士を置くべき場所のことを、宅地建物取引業法では「事務所等」と表現している。

「事務所等」とは具体的には次の2種類の場所を指す言葉である。

1.「事務所
原則的には本店・支店を「事務所」と呼ぶ。ただし、本店・支店以外であっても、継続的に業務を行なうことができる施設に宅地建物取引業に係る支店長や支配人を置いていれば、その施設は「事務所」に含まれることになる(宅地建物取引業法施行令第1条の2)。

2.「事務所以外で専任の宅地建物取引士を置くべき場所」
これは上記1.の事務所以外であって、専任の宅地建物取引士を置かなければならない場所のことである。この場所は宅地建物取引業法施行規則第15条の5の2において具体的に規定されている。
この規則第15条の5の2の内容は複雑なので、概略だけをまとめれば「事務所以外で継続的に業務を行なう施設を有する場所」「10区画以上または10戸以上の一団地の宅地建物を分譲する場合の案内所」「他の宅地建物取引業者が分譲する10区画以上または10戸以上の一団地の宅地建物の代理または媒介をする場合の案内所」「宅地建物取引業者が展示会その他の催しをする場所」という4種類の場所であって、契約の締結または契約の申込みの受付をする場所が、この規則第15条の5の2の場所である。

なお「事務所等」という言葉は、上記のとおり宅地建物取引業法第31条第3項で定義されている。しかし、宅地建物取引業法第37条の2(クーリングオフ)においてもやはり「事務所等」という言葉が使用されている。両者は異なる内容を指しているので注意したい。

法定共用部分

区分所有建物において、区分所有法の規定に基づき共用部分としなければならない建物部分をいう。壁・支柱・基礎・屋根など建物の主要構造部分、共同で使う配管・配線、廊下・階段室・玄関など構造上共用とされる部分がこれに当たる。

なお、法定共用部分ではないが、管理規約によって共用に供する建物部分を「規約共用部分」という。

法定講習

宅地建物取引士資格試験に合格し、都道府県知事の登録を受けた者が、宅地建物取引士証の交付を申請する際に、取引士証の交付を申請する日が宅地建物取引士資格試験に合格した日から1年を超えている場合には、都道府県知事の定める「講習」を受講する義務が生じる(宅地建物取引業法第22条 の2第2項)。
この宅地建物取引業法第22条の2にもとづく講習を「法定講習」と呼ぶ。

また、宅地建物取引士証の有効期間の更新を希望する場合にも、この「法定講習」を有効期間満了の前に受講することが義務付けられている。

「法定講習」を実施するのは都道府県知事であるが、実際には知事が指定した実施機関が講習を実施している。
どのような機関が実施機関となるかは各都道府県により異なっているので、法定講習を受講する際には、各都道府県の宅地建物取引業法を所管する課や、宅地建物取引業の業界団体へ問い合わせる必要がある。

法定更新

借家契約において、借地借家法の定めに基づいて自動的に契約期間が更新されることをいう。

借家契約においては、契約当事者が、一定期間前に、契約を更新しない旨または条件を変更しなければ契約更新しない旨の通知をしない場合には、従前の契約と同一の条件で契約を更新したとみなされるが、これが法定更新である。このとき、更新後の契約期間は定めがないものとされる。

また、家主がする契約を更新しない等の通知は、正当な事由がなければすることができないとされている。さらに、期間の定めがない借家契約については、家主は一定の猶予期間をもって解約の申入れができるが、この場合にも正当事由が必要である。

法定更新は強行規定であるため、それについて借家人に不利となるような特約を定めても無効となる。

なお、同様に、借地契約についても法定更新が適用されることがある。すなわち、借地契約において、契約期間終了時に建物が残っている場合には、借地人が契約更新を請求すれば、従前の契約と同一の条件で契約を更新したとみなされる。この場合、更新後の契約期間は、最初の更新時が20年、以後の更新時が10年である。

また、地主は契約更新の請求に異議を述べることができるが、正当な事由がなければすることができないとされている。さらに、法定更新に関して借地人が不利となるような特約を結んでも無効であることは、借家契約と同様である。

法定敷地

区分所有建物が必ず必要とする敷地をいう。

区分所有建物を所有するためにはその敷地に対して権利(所有権借地権など)を必要とするが、その権利の対象となる敷地が法定敷地である。

区分所有建物の専有部分を所有するための土地に対する権利を敷地利用権(専有部分の所有者が共有する権利とされる)という。このとき、必ず敷地利用権が必要となる土地が法定敷地である。
一方、法定敷地以外の土地で、管理組合の規約によって区分所有建物の敷地であると定めたものを「規約敷地」という。

法定代理

本人・代理人の意思に関係なく、法律の規定にもとづいて発生する代理権のこと。

具体的には、子に対する親権者の権限、成年被後見人に対する成年後見人の権限などが法定代理である(詳しくは法定代理人へ)。

法定代理人

「法定代理人」とは、法律の規定によって定められた代理人という意味である。
これに対して、当事者同士の合意によって定められた代理人は「任意代理人」と呼ばれる。

具体的には、民法にもとづく法定代理人には次の3種類がある。

1.親権者
2.未成年後見人
3.成年後見人

1.および2.は、未成年者の法定代理人である。
また3.は、成年被後見人の法定代理人である。

このような法定代理人には、未成年者・成年被後見人の財産を管理し、法律行為を代理するという大きな権限が与えられている(民法824条、859条)。

法定地上権

土地とその上の建物を同じ所有者が所有している場合に、競売等により土地と建物が別々の所有者に帰属することとなった際に、民法などの規定により建物のために地上権が自動的に発生することとされている。このように土地建物が強制的に分離処分される際に、法律の規定により建物のために発生する地上権を「法定地上権」と呼ぶ。

民法第388条では、抵当権の実行(いわゆる任意競売)により、土地と建物が別々の所有者に帰属することとなった際に、建物のために法定地上権が発生すると規定する。また民事執行法第81条では、競売(いわゆる強制競売)の際にも、建物のために法定地上権が発生すると規定する。また、租税徴収法では租税滞納による物件売却(いわゆる公売)の際にも、建物のために法定地上権が発生すると規定している。

このように、各法律で法定地上権を規定している理由は、競売等により土地と建物が別々の所有者に帰属することとなった際には、建物が敷地を利用する権利がいったん消滅することとなり、建物を土地から撤去しなければならないという不都合が生じるので、そうした不都合を回避するために、建物に地上権(法定地上権)を付与するという趣旨である。

法22条区域(建築基準法22条指定区域)

建物の屋根を不燃材料で造り、または葺かなければならない区域。延焼防止のために、特定行政庁が、防火地域準防火地域以外の市街地について指定する。「屋根不燃化区域」ともいう。建築基準法に基づく制限である。

不燃材料は、加熱開始後20分以上のあいだ、燃焼しない、防火上有害な変型・溶融・き裂その他の損傷を生じない、避難上有害な煙・ガスを発生しないという要件を満たす材料で、コンクリート、繊維強化セメント板、金属板などである。

なお、防火地域・準防火地域についても、別途の規定に基づき、法22条区域と同様の制限が適用される。また、法22条区域のほか、木造建築物等の外壁で延焼のおそれのある部分を準防火性能(周囲で発生する火災の延焼抑制に一定の効果を発揮するために必要とされる外壁性能)を備えた構造としなければならない区域(法23条区域)があるが、一般に、法22条区域と法23条区域は同一の区域が指定されている。

法務局

法務省の地方支分部局の一つで、登記、公証、人権などに関する事務を担当する。

法務局は全国に8ヵ所設置されている。また、その他の県庁所在地等には地方法務局(全国で42ヵ所)が置かれている。さらに、法務局、地方法務局は、所管する地域内にその支局および出張所を置いていて、全体では全国で約500ヵ所の事務所が存在する。

事務所の種類等によってその扱う事務の範囲が異なるが、不動産登記および供託に関する事務は、すべての事務所で取り扱われるため、事務所を一般的に「登記所」と呼ぶ(商業登記は、原則的に法務局または地方法務局のみで扱う)。

なお、法務局以外の事務所を含めて、登記を扱う事務所を単に「法務局」と呼ぶ習慣もあるので注意が必要である。

訪問介護

日常生活を支援するサービスで、自宅等の住み慣れたところで自立して生活する人に対して提供されるものをいう。狭義には、介護保険によって訪問介護員(ホームヘルパー)が提供するサービスをいう。住生活サービスのひとつと考えてよい。

訪問介護は、ア)入浴、排泄、外出介助などの身体介護サービス、イ)洗濯、掃除、調理、買い物などの生活援助サービスに大別できる。

法律行為

法律関係を変動させようとする意思にもとづく行為のこと。

具体的には、契約単独行為合同行為が法律行為である。
なお、意思表示は法律行為の主要な要素であるとされている。

保管口座(マンション管理における~)

マンション管理業者管理組合等から受領した管理費用等を分別して管理するための口座の種類をいう。管理の目的に応じて収納口座、保管口座の二つに分類される。

保管口座は、受領した修繕積立金及び収納口座から移し換えられた費用を預貯金として管理するための口座で、名義人は管理組合等である。マンション管理業者は、保管口座に係る管理組合等の印鑑や預貯金の引出用のカードなどを管理してはならないとされている。

保管振替制度

株券等の有価証券を保管振替機関が集中的に保管し、株券等の売買や配当金の受取りなどを口座の記載・記録によって行なう制度をいう。

しかし、株券電子化によってこの制度は発展的に廃止され、2009(平成21)年1月5日からはすべての株券等は口座によって管理され、振替機関による口座間の振替えによって売買されることとなった(「株券電子化」を参照)。

保管振替制度は、顧客が株券等を証券会社等に預託し(保護預り)、証券会社等は、顧客の承諾を得て預託された株券等をさらに保管振替機関に預託するという仕組みによって運営されていた。保管振替機関は、唯一、証券保管振替機構ほふり)のみが指定されていたが、株券等電子化後の振替機関も証券保管振替機構のみ指定を受けている。

保管振替制度のもとでは、各顧客は顧客口座簿によって管理され、

1.株券等の売買は口座簿の記載内容の変更によって
2.配当、議決権などの権利行使は口座簿に従って顧客名が株式会社等に通知されること(実質株主等の通知)によって

なされていた。株券電子化は、このような制度の活用が大幅に進展した結果実現したのである(08年3月末には、全株券の84%が証券保管振替機構によって管理されている)。

なお、この制度の対象となる有価証券は、金融商品取引所に上場されている株式、新株予約権、新株予約権付社債、投資口優先出資、投資信託受益権およびそれらに準ずるものであって、発行者の同意を得たものとされている。

歩行器

歩行を補助するための機器のひとつで、体の前面に置いてつかまり立ちできるものをいう。

体重を預けて足腰の負担を軽くし、姿勢を安定にすることができる。リハビリテーションや介護のために使われている。

一般に4本の脚があるが、キャスターなしで手で持ち上げて前へ進むタイプのほか、キャスター(ストップ機能付き)が前の2脚に付いているタイプ、4脚すべてにキャスターが付いたタイプがある。

なお、歩行を補助する手押車や、体を中に入れブレーキで操作して歩く歩行車は、歩行器とは区別される。

歩行者利便増進施設

歩行者の利便の増進に資するとして、特別に道路占用が認められる施設。

歩行者利便増進施設とされるのは、食事施設、購買施設などで歩行者の利便の増進に資するもの、展示会等のため設けられる露店、商品置場などで歩行者の利便の増進に資するもの等である。 

歩行者利便増進施設は、歩行者利便増進道路のうち定められた区域(利便増進誘導区域)内に設けることとされ、その道路占用は、道路管理者が定める公募占用指針に基づき、公募によって、占用に関する計画(歩行者利便増進計画)の認定を得たうえで決定される。占用期間は最長20年である。道路法に基づく制度で、これによって、街路を活用した市街地の活性化を促進できるとされている。 

なお、歩行者利便増進計画の認定を得た地位(歩行者利便増進施設を道路占用によって設置できる地位)は、道路管理者の承認を受けて、一般承継人および歩行者利便増進施設の所有権等を取得した者が承継できる。

歩行者利便増進道路

歩行者の滞留確保や利便の増進が特に必要であるとして指定された道路。道路法に基づき、道路管理者が区間を定めて指定する。

歩行者利便増進道路については、区域を定めて、歩行者の利便の増進に資する一定の施設(歩行者利便増進施設)等の道路占用が認められる。この場合、道路占用は、公募によって決定される。これによって、街路を活用した市街地の活性化が促進されるとされている。

保護預り契約

証券会社等が顧客の株券等を預り管理する契約のことであるが、株券電子化によって、このような契約は不要となった。

会社法上、株券は「株券の所持人」が「適法な所持人」とみなされるなど、株券等の保管には十分な注意が必要であったため、証券会社等は、取引口座を開いている顧客からその株券等を預って管理するのが一般的であった。そのための契約が保護預り契約である。しかし、株券電子化によって株券が無効となり、すべての株式が口座で管理されることとなったため、保護預りの必要はなくなったのである。

保佐人

被保佐人に対して、保佐開始の審判のときに、家庭裁判所が職権で選任する保佐人のことである(民法876の2条)。

保佐とは「たすける」という意味である。
保佐人は、重要な財産行為について同意する権限を持つ(民法12条)。

保証会社審査

家賃等の保証契約を締結する際になされる審査をいう。連帯保証人なしで住宅を賃借する場合に必要となることが多い。

保証契約は、家賃滞納等があった場合に、保証会社が賃借人に代わって賃貸人へ代位弁済を行ない、弁済金を賃借人へ請求する旨を約するもので、賃貸人、賃借人、保証会社の三者が締結する。この契約に当たって、保証会社は、賃借人について、家賃を負担する能力があるか、賃借した住宅を適切に利用するか、迷惑行為などをなさないかなどを審査するが、これが「保証会社審査」である。

保証会社審査をパスしないと賃貸契約を締結することができないから、この審査が実質的に入居審査の役割を果たす場合が多い。

なお、保証会社は、賃貸借の保証人ではなく、賃貸借契約には関与しない。

補償基準(用地補償における~)

公共事業に必要な土地等を取得・使用することに伴って生じる損失に対して補償する場合の基準をいう。「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱」(1962(昭和37)年6月29日閣議決定)として明文化されている。
その基本的な原則は、補償の対象は財産権の損失に限定する、補償は損失を被る者に対して個別に行なう、金銭で補償する(代替地提供などの現物補償は原則的として行なわない)の3つである。

補償基準では、土地を取得する場合は正常な取引価格によって補償することとし、その価格は、近傍類地の取引価格を基準として価格形成上の諸要素を比較考量して算定するとされる。そのほか、移転料等、立木補償、営業補償、農業補償、漁業権等の補償、残地補償など各種の損失補償について、その算定基準を規定している。

この基準はすべての公共事業について適用される。また、補償基準によって補償額を算定するのは、用地交渉によって契約で土地等を取得・使用する場合であるが、土地収用法による収用裁決で土地等を取得・使用する場合の損失補償に当たっても、補償基準とほぼ同様の考え方が採用されている。

補償基準は、公的な土地取引などに当たっての価格算定基準等として機能しているが、私的な不動産取引においても参考となるほか、補償額の算定手法などにおいて不動産鑑定基準と共通するところが多い。

保証金(賃貸の〜)

建物の賃貸借契約時に、借主が貸主に支払う一時的な金銭。その法的な意味は一様ではないので、内容を十分に確認する必要がある。

保証金には、敷金と同じように借主に対する賃料債務等を担保するものであって債務がなければ退去時に返還されるものと、権利金礼金と同じように一時的な対価として支払われ退去時に返還されないものとがある。

また、保証金の一部として「敷引」が定められている場合には、礼金と同じようにその金額は返還されない。

なお、敷金によって担保される債務には、退去時の原状回復義務が含まれるが、その対象となる損傷は、通常の使用による損耗や経年変化を除くとされ、これらの回復は賃借人の義務ではない。

補償金の支払請求

事業認定の告示があったときに、土地所有者や土地に関する関係人が、補償金の前払いを請求できるという制度のこと。

土地所有者または土地に関して権利を有する関係人(先取特権質権抵当権差押債権仮差押債権の権利者を除く)は、事業認定の告示の日以後に、補償金の支払請求をすることができる(土地収用法第46条の2)。

ただし、収用者(起業者)が収用の裁決の申請をしていない場合には、収用の裁決の申請の請求(土地収用法第39条第2項)と一緒に、補償金の支払請求しなければならない(土地収用法第46条の2)。

起業者は、補償金の支払請求を受けたとき、2ヵ月以内に、自己の見積りによる補償金を支払わなければならない(土地収用法第46条の4)。なお、このときの支払額と、収用の裁決による補償金額のずれについては、権利取得裁決で清算されることになっている。

権利取得裁決では、補償金の支払請求がされた土地の算定方法は、事業認定の告示を基準とした相当な価格に、補償金の支払請求の支払期限(土地収用法第46条の4)までの物価変動率を乗じたものとされている。

保証金の保管替え

宅地建物取引業の主たる事務所を移転した場合に、移転前の事務所最寄りの供託所に供託していた営業保証金を、移転先事務所最寄りの供託所に移管することをいう。

金銭のみで供託していた場合に限って認められ、移管の請求は移転前の供託所に対して行なう。

なお、有価証券を含む供託の場合は、移転先最寄りの供託所に新たに営業保証金を供託した後、移転前の供託所から供託金の返還を受ける必要がある。

保証債務

主たる債務者の債務を、別の者が保証したとき、この保証人の債務を「保証債務」という。

例えばAがBから借金をし、Aの友人であるCがその借金の保証人になったとしよう。このときAは主債務者、Bは債権者、Cは保証人、AB間の債務は「主債務(しゅさいむ)」、BC間の債務は「保証債務」と呼ばれる。

保証債務とは、正確には「主債務者Aが債務を履行しない場合に、保証人CがAの代わりに債務を履行するという保証人Cの債務」である(民法446条)。従って保証人Cは、主債務者Aが借金を返済しない場合にのみ借金返済の義務を負うことになる。

つまり、債務履行の責任はまず主債務者にあり、保証人は補充的に債務を履行するだけである。このような保証債務の性質を「補充性」と呼んでいる(ただし連帯保証には補充性がない)。保証債務の主な特徴は次のとおりである。

1.附従性にもとづく抗弁権
保証債務は主債務を保証するものであるので、主債務自体が消滅すれば、保証債務もまた消滅する。このように主債務と保証債務が連動することを「附従性(ふじゅうせい)」という(民法第448条)。
こうした保証債務の附従性により、保証人は主債務の消滅などの理由を債権者に主張することができる。例えば、主債務者Aの主債務が当初1,000万円であったが、主債務者が200万円を弁済したことにより主債務が800万円にまで縮減したとする。このとき、債権者Bが保証人Cに対して1,000万円を返済するように請求したとしても、保証人Cは債務が800万円であることを債権者Bに対して主張することができる。これを附従性にもとづく抗弁権という。
(なお債権消滅時効と保証の関係については時効の援用時効利益の放棄参照)

2.補充性にもとづく抗弁権
前述のように保証債務は補充性を有するので、保証人は債権者に対し、先に主債務者から弁済を受けるように主張することができる。具体的には催告の抗弁権(民法452条)、検索の抗弁権(民法第453条)が保証人に与えられている。

3.保証人の求償権
保証人は主債務者に代わって債務を弁済した場合には、その弁済した金額を保証人が主債務者に請求することができる(民法第459条)とされており、これを保証人の求償権という。
ただし、保証人が主債務者に代わって債務を弁済する際には、弁済の前と弁済の後に主債務者に通知をするべきである。これは、保証人が弁済した後で主債務者が弁済すること(二重弁済)などを避けるためである(民法第463条、第443条)。

なお、保証の特殊な形態として、保証人の責任を大幅に強化した「連帯保証」があり、実際の契約ではこの連帯保証が用いられることが多い(詳細は「連帯保証」へ)。

保証書(不動産登記における)

所有権移転登記を申請しようとする売主が、登記済証を紛失している場合に、登記済証の代わりに作成する書類のこと。通常はこの保証書の作成は、不動産の売主が司法書士に依頼する。

保証書は、不動産の売主がその不動産の真正な所有者であるということを2名の保証人が保証するという内容の書面である。
2名の保証人は、いずれかの登記所(問題となっている不動産を管轄する登記所でなくてもよい)で登記を受けている成年者であることが必要である。

なお、保証された者が実は真正な所有者でなかった場合には、保証人は損害を受けた者に対して民事上の賠償責任を負うことになるので注意が必要である。

保証人

債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う者をいう。保証人は、法的な行為能力があり、かつ、弁済する資力がなければならない。

債権の回収を確実にするための方法は、財産への請求権を確保する方法(物的担保)と、債務者以外の人への請求権を確保する方法(人的担保)があり、保証人は人的担保のしくみである。

保証人の責任は、保証人が債権者と書面で保証契約を結ぶことによって効力が生じる。保証契約によって負担する債務が「保証債務」である。

保証する債務は、特約のない限り、主たる債務(債務者が元々負っていた債務)のほか、利息、違約金損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含するとされている。例えば、借家人の保証人は、借家人が滞納した家賃だけでなく、明渡しに際しての原状回復などについても責任を負うことになる。

人的担保は、保証人に予期しない負担を負わせ、大きな被害を与える可能性がある。そこで、民法(債権関係)改正(施行は2020年4月1日から)によって、保証人の保護を強化するべく、次の規定が定められた。
1)個人の保証人については、保証契約時に債務額が確定しない保証(信用保証、身元保証、賃貸借上げ保証など)の場合にはその限度額を定めなければならず、その額を限度に履行責任を負うこと(限度額を定めなければ保証契約は無効となる)
2)事業用の融資に係る経営者以外の保証人については、公証人による意思確認手続が必要であること
3)保証人に対し、主たる債務者の財産等の状況(事業用の融資に係る場合)、主たる債務の履行状況及び期限の利益の喪失に関する情報を提供すべきこと

補償保険契約(所得~)

病気やケガによって就業不能となった場合に、所得額に応じて保険金を支払うことを内容とする保険契約。就業不能による所得の損失を補償する役割を果たす。

支払われる保険金額は、通常、過去12ヵ月の平均月間所得額に一定の保険金額割合を乗じた金額とされている。

保証料

債務の返済を保証する機関(保証会社など)に支払う金銭。例えば、保証機関が、住宅ローンの返済や賃貸住宅の家賃等の支払いを保証する場合は、保証を受ける者は、保証機関に保証料を支払うことになる。

ローンの返済や家賃等の支払いが滞ったときには、保証機関は債務者に代わって弁済する。このとき、立て替えた金銭について、債務者に対する求償権が発生する。

なお、債務保証の要否は契約によって定める。例えば、フラット35のように保証が不要な住宅ローンがある。また、賃貸住宅を借りるときに必ずしも保証が必要になるとは限らない。

補助人

被補助人に対して、補助開始の審判のときに、家庭裁判所が職権で選任する補助人のことである(民法876の7条)。

補助人は、家庭裁判所が必要と判断した場合には、特定の重要な財産行為について同意する権限を持ち、代理する権限を持つ(民法16・120条・876条の9)。

ホステル

低予算で宿泊でき、宿泊室を共用する場合が多い宿泊施設。厳密な定義はないが、旅館業法では、簡易宿所営業(宿泊する場所を多数人で共用する構造および設備での営業)に分類されている。

英語のhostelは、もともと旅行者用の滞在施設をさす言葉である。しかし、1920年代ごろから、ドイツを中心に、青年が徒歩や自転車で旅行することを推奨する運動が組織され、そのための非営利の宿泊所として、宿泊室を共用して相互の交流を図る「ユースホステル(Youth Hostel)」が整備された。そして、その広まりとともに、ユースホステル形態の宿泊施設を一般にホステルというようになった。

補正(不動産登記における~)

不動産登記の申請後において、申請情報・添付情報に不備があったことが判明した場合に、登記官は、申請人に電話等で連絡して不備を直すように指示することができる。このようにして申請後に申請人が不備を直すことを「補正」という。

オンライン申請の場合には、補正もオンラインで行なうこととされている(窓口に出頭しても補正できない)。
書面申請のまたは郵送申請の場合には、登記所の窓口に出頭して補正することとされている。
なお、郵送申請の場合には、補正を郵送ですることはできず、必ず登記所の窓口に出頭して補正する必要がある。

保全措置(手付金等の〜)

不動産売買において、物件の引渡し前に買主が支払う手付金内金中間金を保全する措置。宅地建物取引業法に基づく措置で、「手付金等の保全」ともいわれる。

保全措置は、物件の工事完了の前後に応じて、次のように行なわなければならない。
(1)工事完了前
・手付金等の金額が代金の5%または1,000万円を超えるときに保全する。
・保全の方法は、「銀行等による保証」「保険事業者による保証保険」のいずれかによる。
(2)工事完了後
・手付金等の金額が代金の10%または1,000万円を超えるときに保全する。
・保全の方法は、「銀行等による保証」「保険事業者による保証保険」「指定保管機関による保管」のいずれかによる。

舗装(土壌汚染対策法の~)

汚染土壌について、土壌の直接摂取による健康被害の恐れがある場合における土壌汚染の除去等の措置の一つ。

汚染土壌との接触を遮断するため、汚染土地に厚さ10cm以上のコンクリート舗装または厚さ3cm以上のアスファルト舗装などを施すことである(環境省の「土壌汚染対策法ガイドライン」を参考とした)。

保存登記

所有権の保存の登記のことで、初めてする所有権の登記のこと。登記記録上では、権利部甲区に「所有権保存 所有者A」のように記載される。

所有権の保存の登記をすることができるのは、原則として、表題部所有者である(不動産登記法第74条)。

ほふり

有価証券の取引を行なう場合の権利の振替を実施する組織。「(株)証券保管振替機構」の略称。

有価証券を特定の機関に集中保管し、その引渡しを帳簿上の記帳によって行なうしくみ(「保管振替制度」という)は、1984年に「株券等の保管及び振替に関する法律」に基づいて創設され、同年、その実施機関として、(財)証券保管振替機構が設立された。これが「ほふり」である。

「ほふり」が実施する保管振替事業は、1991年に一部の銘柄について開始され、1992年には全面的に実施されるに至った。これによって、上場株券等の保管・受渡しの合理化が急速に進展した。

2002年には「(株)証券保管振替機構」が設立され、保管振替事業が財団から会社に譲渡されるとともに、財団は解散した。「ほふり」が株式会社化された。

また、2002年に「社債、株式等の振替に関する法律」が施行された。同法によって、社債、株式等が電子化され、株券等の書面は廃止された。株主等の権利の管理(発生、移転および消滅)は、口座において電子的に行なうこととされたのである。

これに伴い、株式等の取引は口座間の振替として行なうことになったが、「ほふり」は、同法に基づく振替処理等を行なう機関(振替機関)に唯一指定され、業務を実施している。

保養所

休養し健康を保つための施設。

企業の福利事業として運営されるもの、健康保険組合などが組合員のために運営するもの、地方公共団体が住民のために設置するものなど、施設の目的や運営主体はさまざまであるが、原則として営利を目的としていない。

保留床

市街地再開発事業において、権利変換後に事業施行者に帰属することとなる事業によって建築された建物(施設建築物)の敷地・床をいう。

市街地再開発事業では、事業前に存在する権利の所有者に対しては、原則としてその権利に応じて施設建築物の敷地・床(権利床)が与えられるが(これを「権利変換」という)、保留床は、権利者に与えられずに残された敷地・床である。

保留床は、いわば事業によって新しく生み出された不動産価値が具体的な形になったものであると考えることができる。
事業施行者は、帰属した保留床を処分して事業資金に充当することが一般的である。

保留地

土地区画整理事業を実施した際に、事業主体が取得する宅地のことを「保留地」という。

土地区画整理事業では、事業が施行される区域内のすべての宅地は、従来の宅地所有者に交付される新しい宅地(換地)となるのが原則である。
しかし、事業にかかる費用を捻出する等の目的のために、施行区域内の一部の宅地は換地とせず、その土地を事業主体が取得することができるとされている。このような土地を「保留地」という(土地区画整理法第96条)。

保留地は、将来的には事業主体が一般人に売却して、その売却代金を事業費用に充てることが多い。

ホルムアルデヒド

揮発性有機化合物VOC)の一つで、アルデヒド基(-CHO)を持つ化合物の代表とされる。化学式はCH2O。メタナールまたは酸化メチレンともいう。

無色で刺激臭のある気体で、毒性が強く、水に溶けたものはホルマリンといわれる。フェノール樹脂、尿素樹脂などの原料となるほか、安価なために、接着剤、塗料、防腐剤などとして広く用いられている。

建材や家具に使用されるホルムアルデヒドが原因となってシックハウス症候群を発症することがあるため、その濃度について指針がある他、建築物への使用が規制されている。例えば、ホルムアルデヒドを含む建材の使用面積が制限されている。また、家具や建材からのホルムアルデヒドの発散に対応するため、マンションなど特に気密性の高い住宅においては、原則として常時換気が可能な構造の機械換気設備等の設置が義務付けられている。 

ホワイエ

劇場の談話室、休憩室を表すフランス語。ホテルなどではラウンジ、ロビーと称するが、ホワイエも同意である。

ホワイトアッシュ

北米産の樹木。英語のwhite ash。モクセイ科トネリコ属の広葉樹で、アメリカタモ、アメリカトネリコともいわれる。

ホワイトアッシュの木材は、加工しやすいが堅さと耐久力がある。家具、建築合板などの用材として利用されている。

本下水

下水道が完備されている区域を「下水道の処理区域」という。

下水道の処理区域では、汚水を各住戸の浄化槽で浄化する必要がなく、汚水をそのまま公共の下水道管(汚水管)へと放流することができる。
このことを不動産業界では、公共の下水道管(汚水管)が完備しているという意味で、「本下水」と呼んでいる。

ただし、不動産販売のパンフレット等では「下水:公共下水道へ直接放流」のように表記するほうが一般に理解しやすいと思われる。

本間(京間)

建築の基準尺で、主に近畿・中国・四国・九州で使用される単位。「京間」「関西間」「本間間(ほんけんま)」も同じ意味である。

本間の尺度は、畳寸法を基準とする畳割においては、6尺3寸×3尺1寸5分(約1.91m×約0.955m)のを用いる。また、柱の心々間を基準とする柱割においては、1間を6尺5寸(約1.97m)とする。

本間で用いられる畳の大きさは、田舎間(江戸間)や中京間などよりも広い規格である。

なお、住宅の居室等の広さを畳数で表示する場合においては、畳1枚当たりの広さは1.62平方メートル(各室の壁心面積を畳数で除した数値)以上の広さがあるという意味で用いることとされている(不動産の表示に関する公正競争規約施行規則)。

ホームインスペクション

ホームエレベーター

個人の住宅に設置する乗用エレベーター。英語のhome elevator。昇降機の一種であるが、厳密な定義はない。

設置する場合には、建築基準法上の昇降機として建築確認を受けなければならず、また、資格者による定期的な点検が必要である。

ホームステージング

売却予定の建物の円滑な売却に資するべく、部屋にインテリア等を配置するなどしてその物件に魅力を付加するサービスをいう。英語のHome staging。

ホームステージングに使われるインテリアは、家具、照明器具、カーテン、小物類が中心で、主要なスペースに限って配置する場合もある。

ホームセキュリティ

住宅の安全を確保するためのサービス。和製英語。

警備会社が提供する有料のサービスで、設置したセンサーなどによって、外部からの侵入、火災やガス漏れの発生などを感知し、自動的に通報してガードマンが駆けつけて対応するしくみである。

ホーム・エクイティー・コンバージョン・モーゲージ

米国の住宅都市開発省(HUD)が1989年に開発したリバースモーゲージ商品のこと。住宅資産転換融資と訳される。また頭文字を取ってHECMと略称される。

HECMでは、融資主体は各民間金融機関であり、連邦政府は高齢者の返済を保証するなどの形で融資契約に関与している。

民間金融機関にとっては、リバースモーゲージを高齢者に対して行なう際には、一括返済の最終的な期限が高齢者の死亡時とされるので、高齢者が長生きをすれば、その長い年月において担保不動産の価格が下落し、一部返済不能に陥る危険性が高くなる。

HECMでは、このような民間金融機関の抱える不動産値下がりによる損失の可能性をなくすために、国が高齢者に代わって返済不能部分の返済を肩代わりするという保険の仕組みが設けられている。この保険は、FHA(連邦住宅庁)保険と呼ばれている。
このFHA保険などによってHECMは最も安全なリバースモーゲージ商品となり、米国のリバースモーゲージの利用者全体の約3分の2がこのHECMの利用者となっている。

ホールダウン金物

布基礎にあらかじめ埋め込んでおく棒状の金物で、アンカーボルトよりも長い。
ホールダウン金物は、1階の床組の水平材(これを土台という)にあけておいた穴にとおして、柱の側面にボルトで締めて緊結する。つまりホールダウン金物は、柱と布基礎を緊結するものである。

特に3階建て住宅などでは、水平方向の力がかかるときに柱が土台から浮き上がることがあるが、ホールダウン金物はこの浮き上がりを防止する効果がある。

ボイド

意識的につくられた構造物がない空間をいい、例えば建物吹抜けがこれに当たる。

ボイドを設けることは、建築デザインにおける技法の一つであり、ビルディングだけでなく、戸建て住宅でも採用されることがある。

ボイドのある建物は開放感があるが、一方で空調や照明に特別の注意が必要であるとされる。

ボウウィンドウ

ベイウィンドウの形状の一つで、弓形のものをボウウィンドウという。bowとは弓(弓形)のこと。

防音工事

建物内外の音の伝搬を遮断するための工事。二重窓や防音ガラスの設置、壁面への防音材の付加、床材の遮音化などがある。また、防音室を設置する方法もある。

防音サッシ

遮音効果が高いサッシ。

遮音の性能は音響透過損失(遮蔽物を透過するときに減少する音量)で測るが、JISは、遮音性能を低い順にT-1からT-4までの4つの等級に分けている。防音サッシは、少なくともT-1の等級(中高周波数帯で25dBの音響透過損失があるレベル)を満たしている。

なお、遮音性能T-1及びT-2のレベルは単板ガラスや複層ガラスの一重サッシで対応でき、T-3のレベルは防音合わせガラスの一重サッシまたは二重サッシで、T-4のレベルは二重サッシで対応できるとされている。

防音室

遮音性が高い部屋。室外への音の伝達を防ぐために、密閉して空気振動の漏れを遮断すること、壁や床を加工して振動の伝播を押さえることなどの対策が施されている。一方で、室内の音環境を良好に保つ設計が要求される場合もある。

防音室のタイプには、部屋全体を防音化したものと、ユニット化して移動できるものの2種類がある。

防火構造

建物の外壁や軒裏について、建物の周囲で火災が発生した場合に、外壁や軒裏が延焼を抑制するために一定の防火性能を持つような構造のことである(建築基準法2条8号)。
このため、防火構造は一般に「外壁・軒裏防火構造」と呼ばれることも多い。

よく似た言葉として「耐火構造」「準耐火構造」があるが、「耐火構造」「準耐火構造」は建物内部で火災が起きた際にも、当該建物自体の倒壊や周囲への延焼を防ぐような構造を指している。
これに対して、防火構造は、建物の周囲で火災が起きたときに、当該建物が火災に巻き込まれないために必要とされる外壁や軒裏の構造のことである。

具体的には、防火構造の詳しい内容は告示(平成12年建設省告示1359号)で規定されている。例えば木造建築物の場合には、その外壁において屋外側を鉄網モルタル塗り、屋内側を石膏ボード張りとすることにより、防火構造とすることができる。

建築物を防火構造としなければならないのは次のようなケースである。

1.防火地域の一定の付属建築物
防火地域で、平屋建ての付属建築物(延べ面積が50平方メートル以下のものに限る)を建てる場合は、耐火建築物準耐火建築物にしないことが可能である。しかしこの場合には、当該建築物は防火構造とする必要がある(建築基準法61条)。

2.準防火地域の地上1階または地上2階の建築物
準防火地域では、地上1階または地上2階の建築物(延べ面積が500平方メートル以下のものに限る)は、耐火建築物や準耐火建築物にしないことが可能である。
しかし、そうした場合でも、その地上1階または地上2階の建築物が木造等である場合には、外壁・軒裏を防火構造としなければならない(建築基準法62条2項)。

3.準防火地域の3階建て建築物
準防火地域では、3階建ての建築物(延べ面積が500平方メートル以下のものに限る)は、耐火建築物や準耐火建築物にしないことが可能である。
しかし、そうした場合には「3階建て建築物の技術的基準」に適合する必要があるとされている(建築基準法施行令136条の2)。
この「3階建て建築物の技術的基準」では、3階建て建築物の外壁と軒裏は必ず防火構造としなければならないとされている。

防火シャッター

火災の侵入を防ぎ、延焼を防止するために建物に設置されるシャッター。高い耐火性能を備えていなければならない。

防火区画(耐火壁で囲われた区画)の開口部、階段等の吹き抜け部分の周囲、外壁の開口部などに設置され、火災時には閉まって耐火壁となる。

なお、一定の建物の防火シャッターについては、定期的な点検が義務付けられている。

防火設備

火災の延焼、拡大を防止するため建物に設置される設備。耐火・遮炎性能を備えていなければならない。

建築基準で定められている防火設備には、次の2種類がある。

・特定防火設備:防火区画・防火壁・外壁の開口部、避難階段の出入口部分などに設置し、1時間以上の耐火・遮炎性能がある防火戸、防火シャッターなど
・防火設備:外壁・防火区画の開口部に設置し、20分以上の耐火・遮炎性能がある網入りガラス、そで壁など

建築基準では、防火地域および準防火地域内の建築物について、その外壁開口部で延焼のおそれのある部分に、防火設備を設置しなければならないとしている。

なお、広い意味では、防火戸、防火シャッター等のほか、火災報知設備や消火設備を含めて「防火設備」ということもある。

防火地域

防火地域は、都市計画で指定される地域であり、火災を防止するため特に厳しい建築制限が行なわれる地域である(建築基準法61条)。

防火地域での建築規制は次の通りである。

1.すべての建築物は少なくとも「準耐火建築物」としなければならない。

2.次の1)または2)の建築物は必ず「耐火建築物」としなければならない。
1)階数が3以上の建築物
2)延べ面積が100平方メートルを超える建築物
ここで「階数が3以上」とは、地下の階数も含む。従って、防火地域内の地上2階地下1階の建物は耐火建築物とする必要がある。
延べ面積が100平方メートルちょうどであれば、上記2.には該当しないことにも注意したい。

なお、建築基準法61条では、防火地域であっても次の建築物は「準耐火建築物」としなくてもよいという緩和措置を設けている。

ア.平屋建ての付属建築物で、延べ面積が50平方メートル以下のもの。
イ.門、塀
ただし上記ア.に関しては、外壁・軒裏を防火構造とし(建築基準法61条)、屋根を不燃材料でふき(建築基準法63 条)、開口部に防火設備を設ける(建築基準法64条)ことが必要とされている。

防火壁

火事の延焼を防ぐために建物に設置される耐火構造の壁。

建築基準法に基づき一定規模を超える木造建築物について設置が義務づけられている。設置しなければならない防火壁は、耐火構造であって、自立でき、建物の外壁面・屋根面から突出していなければならないとされている。

防火壁の設置は、建物を垂直面で区画して延焼を防ぐ方法であるが、そのほかに、防火床を設置して水平面で区画し内部延焼を防止する方法も認められている。

防災街区整備事業

都市計画に定める市街地開発事業の一つで、密集市街地において防災機能を確保することを目的に実施される事業をいう。

都市計画で定められた特定防災街区整備地区内の土地など一定の要件を満たす区域において、耐火性に劣る建築物の除却、防災機能を備えた建築物やオープンスペースの整備などによって、建築基準を満たさない建物が密集した地区の防災機能を高める役割を担う。

事業手法としては、原則として、従前の権利を、事業により新たに建設された防災性能が高い建物(防災施設建築物)に対する相応の権利に変換する方法(権利変換方式)を用い、例外的に、整備後の土地への権利変換を認めることとされている。
従前の権利が輻輳(ふくそう)している場合が多いので、事業推進のためには柔軟な権利変換によって対応する必要があるからである。

なお、事業の仕組みは「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律」に規定されている。

防災街区整備地区計画

都市計画法第12条の4に規定する「地区計画等」の一つ。密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律に従い、都市計画によって定められる。

防災街区整備地区計画は、火事・地震が発生した場合に延焼防止・避難確保のために支障をきたしている地区について、公共施設などの防災機能を整備しようとする計画である。

防災街区整備地区計画を定めるための条件は、特定防災機能(火事または地震が発生した場合に延焼防止・避難確保のために必要とされる機能)を確保するだけの公共施設がないこと、特定防災機能に支障をきたしていること、用途地域が定められていること、である。

防災集団移転促進事業

災害が発生した地域や災害危険区域のうち、居住に適当でないと認められる
区域内にある住居を集団的に移転する事業をいう。原則として市町村が移転促進区域を設定し、移転先住宅地の用地取得と造成、移転者の住宅建設・土地購入に対する助成、住宅団地の公共施設の整備、移転促進区域内の農地等の買い取りなどを行なうが、その費用の一部に対して国が補助することとされている。

なお、東日本大震災復興のための防災集団移転促進事業については、事業経費の全額が事業施行者に交付されることになっている。

防水パン

洗濯機を置くための皿状の台のこと。洗濯機パンともいう。

防犯カメラ

防犯のための監視に用いるビデオカメラ。撮影のためのカメラをいうが、映像の伝送、画像の処理、記録保管などの機能を含めた装置全体を指す場合もある。

防犯カメラは、警察が繁華街などに設置しているほか、鉄道、銀行、店舗、学校、マンションなどにおいても設置されている場合がある。

防犯カメラの映像記録によって出来事を確認できるほか、犯罪抑止効果が期待できるとされている。一方で、監視によるプライバシーの侵害、記録の目的外使用などの恐れが指摘されている。

防犯ガラス

破壊が難しく、侵入を防ぐ効果の高いガラス。2枚のガラスの間に外力への抵抗性が大きい特殊フィルムが挟み込むことで、割れにくく、破るために時間を要する構造となっている。

防犯効果は、挟まれている特殊フィルムの厚さや材質によって異なるが、割るのに5分以上を要する抵抗性能が必要と考えられている。

防犯シャッター

電動シャッター」を参照。

ボラティリティ

金融商品などの価格変動の程度をいう。英語のvolatility。

金融商品が帯びているリスクの程度とおおむね正比例の関係にある。従って、オプション取引においては、ボラティリティが大きいほどオプション価格が高くなる。

ボラティリティの算定方法には、過去の相場の値動きから推定する方法と、現に取引されているオプション価格から推計する方法がある。

ボンエルフ

歩行者の快適性を考慮しながら、歩行速度程度の自転車や低速自動車の通行を可能にした歩車融合型のコミュニティ道路。車の速度を歩行者と同じ程度まで低下させるために、通行部分の蛇行やハンプ(路上の凹凸)を設置している。オランダ語で「生活の庭」の意。

ボーリング調査

地盤の状態を明らかにするため、地面に深い穴を掘って調査すること。ボーリングは英語のboringで、和語で「試鑽」「試錐」とも言う。

ボーリング調査で明らかになるのは、土質・地質、層序、地盤強度(N値等)、杭の支持層深度、地下水位などである。サンプリングによって地盤の状態を詳細に調査できるため、建物の基礎工事、地下構造物工事などのほか、土壌汚染や液状化リスクの判定などのためにも利用される。

なお、地盤の状態を調査する方法には、ボーリング調査のほか、貫入試験、載荷試験、物理探査などがある。

POM(ポリアセタール)

ポリアセタールpolyacetal。金属を代替するプラスチックの一種である。単位となっている分子構造はオキシメチレンで、POMは、その重合体を意味するポリオキシメチレンpolyoxymethyleneの略語である。

力学的な性質や耐熱、耐久性が金属に似ていて、機械部品、電気部品、住宅用材などとして幅広く使われている。このような金属を代替するプラスチックを「エンジニアリングプラスチック」というが、ポリアセタールはその代表的なもののである。

ポータブルトイレ

仮設の排泄物処理設備。英語のportable toilet。排泄物を一時的に貯留し処理する設備で、災害避難所、イベント会場、工事現場など、便所が常設されていない場所で使われる。また、移動困難な人の介護、キャンプ、非常時などに用いる簡易な排泄物処理器具もポータブルトイレである。

ポータブルトイレの排泄物処理方式には、洗浄水を備えてタンクに貯蔵するもの、凝固剤を用いるもの、排泄物を薬剤で分解するものなどがある。

ポータルサイト

インターネットの入り口となるWebサイトをいう。

そのサイトでは、通常、各種情報源へのリンクが設定されているほか、検索エンジン、各種の情報提供、Webメールなどの付帯的なサービスが提供されることが多い。インターネットは各サイトが網の目のように連結されているため、必要なサイトに直接アクセスすることは困難で、一般的には、アクセスのためにポータルサイトを経由することとなる。

ポータルサイトは、利用者数が増えるほど、広告や電子商取引サービスなどによる収入が期待できるため、付帯的なサービスの向上を競っている。一方、Webを活用した顧客獲得などのためには、そのWebサイトへのアクセスを用意することが有効であるから、ポータルサイトでの露出度を高めるような工夫が必要である。不動産の販売や不動産サービスの広告にもWebサイトが活用されているが、そのサイトへのアクセスの大部分はポータルサイトを経由したものと考えてよい。

ポータルサイトとして有名なものは「Google」や「Yahoo!」であるが、これらはポータルサイトの持つ可能性を切り開き、Webを活用したビジネスを先導してきた検索エンジン系のサイトである。

ポーチ

建物の入り口部分で、建物の屋根とは別の庇(ひさし)を持ち、建物の外壁から突き出している部分を「ポーチ」という(建築用語では庇型ポーチという)。

ただし、建物の外壁に大きなくぼんだ空間を造り、そのくぼみの内側に玄関ドアを設けた場合もその空間を「ポーチ」ということがある(建築用語では寄り付き型ポーチという)。

ポーチの面積

一戸建て住宅の場合、ポーチの面積は、建築基準法では次のように扱われる。

1.床面積の計算
庇型ポーチ、寄り付き型ポーチのどちらでも、主に通行専用の用途である限りは、建築基準法上の「床面積」に含まないこととされている。
しかしポーチが通行専用ではなく、例えば車庫や作業場として使用される場合には、建築基準法上の「床面積」に含める必要がある。

2.建築面積(いわゆる建坪)の計算
庇型ポーチ、寄り付き型ポーチのどちらでも、建築面積に含める必要がある。

ただし庇型ポーチで、庇を支える柱がない場合には、庇が外壁から突き出した長さが1m以下であれば建築面積から除外される。

ポートフォリオ(Portfolio)

投資家が保有する投資資産の集合をいう。

株式、債券、投資信託、不動産などはいずれも投資資産であり、投資家はこれらを全体として管理する。

リスクとリターンはトレードオフ関係にあるから、性格の異なった複数の資産や銘柄に分散して投資することによって安定的で高い収益を上げることができるとされている。

このように、投資資産の組合せに配慮した運用をポートフォリオ運用と呼ぶ。

ま行

埋蔵文化財

埋蔵文化財とは「土地に埋蔵されている文化財」のことである(文化財保護法第92条)。
例えば、石器・土器などの遺物や、貝塚・古墳・住居跡などの遺跡であって、土中に埋もれているものがこれに該当する。

埋蔵文化財については、周知の埋蔵文化財包蔵地を土木工事等のため発掘する場合には文化庁長官に対して事前の届出が義務付けられている(同法第93条)。

また、国・都道府県・市町村は、周知の埋蔵文化財包蔵地について、その周知徹底を図るため、遺跡地図遺跡台帳の整備などに努めている。

なお、出土品の出土等により、土地の所有者・占有者が、貝塚・古墳・住居跡などの遺跡と認められるものを発見した場合には、その現状を変更することなく、遅滞なく文化庁長官に対して届出を行なわなければならないとされている(同法第96条)。

前家賃(前払家賃)

建物の賃貸契約の際に支払う翌月分の家賃。ほとんどの家賃は月払いであるが、契約時には、契約月の家賃を日割り計算して支払い、さらに、前家賃として翌月分の家賃を加えて支払うことが多い。

なお、家賃が発生する日付は、契約日とする場合が多いが、入居日からとする場合もある。

薪ストーブ

薪を燃料とするストーブ。煙を排出するための煙突が付いている。

一般のストーブと同様に暖房や調理に使われるほか、薪が燃える炎をインテリアとして活かす用途もある。また、燃焼に際してファンを用いないため音が静かである。

膜構造建築物

膜材料と圧縮部材を組み合わせて構成された建築物。膜材料は圧縮力に耐えないので圧縮部材と組み合わせる必要がある。その組み合わせ方によって、吊構造、空気膜構造などの形式がある。

膜材料には主に人工繊維が使われるが、防水性、耐火性、気密性などが要求される。

膜構造建築物は比較的低いコストで大空間を確保できる、柔軟にデザインできるなどの特徴がある一方、断熱・防音・遮音性能に劣る、加重に弱いなどの弱点がある。

間口

土地と道路が接する長さのこと。

マグニチュード

地震の規模を表す量。地震波として放出されるエネルギーの量に基づいて算定され、観測地点とは無関係に定まる。一方、「震度」は、観測地点での地震動の強さを表す指標である。

マグニチュードの算定方法は、算定に用いる地震波の種類や周期などに応じて、表面波マグニチュード、実体波マグニチュード、気象庁マグニチュード、モーメントマグニチュードなどがあるが、いずれも地震波のエネルギー量を示すことは共通である。

例えば、観測史上最大の地震であるチリ地震(1960年)のマグニチュードは9.5、関東南東部地震(関東大震災、1923年)は7.9、兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災、1995年)は7.3、三陸沖地震(東日本大震災、2011年)は9.0であった(『理科年表』)。

間仕切り壁

建築物の内部空間を仕切るための内壁のことであり、室と室とを区画する壁のことである。

間仕切り壁は、耐力壁(地震力、風圧力に対抗する壁)である場合もあれば、そうでない場合もある。

マスキングテープ

表面を保護する場合に用いる粘着テープ。英語のmasking tape。

塗装作業において塗装しない部分を保護するために開発され、粘着力が弱く剥がし易いのが特徴である。塗装作業のときに作業箇所以外の場所を汚さないために用いられるほか、識別、装飾、ラッピングなどにも利用されている。

マスタープラン

他の計画の上位に位置付けられる総合的な計画のこと。英語のmaster plan。

都市計画法では「都市計画区域の整備、開発、保全の方針」及び「市町村の都市計画に関する基本的な方針」の二つを指している。両方をあわせて「都市計画マスタープラン」という。

詳しくは、「全体計画」を参照。

マスターリース

商業用不動産を賃貸する場合に、建物を一括して賃貸し、その賃借人が実際の賃借人にさらに賃貸する方法がある。マスターリースは、この場合の一括の賃貸借をいう。また、マスターリースによって賃借した者が実際の賃借人に賃貸することを「サブリース」という。

マスターリースによって、不動産所有者は賃貸業務をアウトソーシングし、賃借人はサブリースによって不動産の賃貸経営を行なうことになる。

なお、不動産の証券化において、もとの不動産産所有者(オリジネーター)が証券化の対象となる不動産(所有権はオリジネーターから信託会社、特定目的会社などに移転する)をそのまま賃借することもマスターリースである。

マスティンバー

大体積の木質集成材。英語のmass timber。これを構造材として用いる建築工法が「マスティンバー工法」である。

木板を積層・接着して成形した大型の建材で、圧縮・張力強度が高く、品質が安定している。主に建築構造体として用いられ、CLT、LVL等の種類がある。

なお、木材は、鉄やコンクリートに比べて、強度重量比が小さく(軽い割に強い)、生産・製造や廃棄・再利用に伴う環境負荷が少ないなどの特性がある。一方で、耐火性、耐久性(虫害や湿気に弱い)、消音性に劣るなどとされる。これらの性質は、マスティンバーも同様である。

町家

店舗(商業等の空間)を併設する市街地住宅。一般に、通りに面して店舗があり、その奥に居住空間が設けられている。通りに面する間口は狭く奥に長い空間構成で、通りに面して均等に建ち並ぶことが多い。

町家は、伝統的な構法による木造建築物であることが多く、またまち並みを形成する場合もあり、その再生、活用によって都市再生や地域の活性化を図る取り組みが進められている。

町家再生

商人や職人が営業し居住していた建物(町家)を改修して活かすこと。主として歴史的に形成・維持されてきた市街地において行なわれている。

町家は、伝統的な工法で建築され、地域の歴史、気候、風土等を反映した建物である。その持っている可能性を活かすべく手を加えることによって価値が顕在化するだけでなく、そのことが市街地の再生・活性化にも資すると考えられている。

町家再生に当たっては、その持てる良さを残しまたは活かすように改修すること、建物の空間的、デザイン的、構造的な特性と居住等の利便との調整を図ること、耐震性、耐火性などを確保することが重要である。また、建築基準法上、まち並みに調和した建築形態規制の緩和などの措置がある。

抹消登記

登記の記載を抹消する登記のこと。
抹消登記を申請するためには、その抹消によって登記上利害関係を有する者がいる場合にはその者の承諾(その者の承諾が得られない場合には承諾に代わる裁判の謄本)が必要である。

マットレス

寝台(ベッド)を使うときに弾力性のある下敷きとする寝具。英語のmattress。和室で敷き布団の下敷きとして用いるものもマットレスという。

厚みと弾力性が必要で、その材質・構造は、スプリングを内蔵し繊維類を詰めたものが一般的であるが、ウレタンフォームやフォームラバーを詰めたものもある。

採光換気のために建物の外壁などに設ける開口部。

一般に、ガラス板、ガラス板を固定する框(かまち)、窓枠、鍵・開閉器具等によって構成されている。開口面に、ガラス板ではなく、障子紙などを用いる窓もある。

窓の種類は、開閉の方法や設置のかたちによって分類される。開閉の方法には、屋外に向かって開く「開き窓」、横方向にスライドする「引き違い窓」、縦方向にスライドする「上げ下げ窓」、上端または下端を倒す「倒し窓」などがあるほか、固定し開閉しない「はめ殺し窓(FIX窓)」もある。設置のかたちとしては、屋根面から突出し垂直に設置する「屋根窓 (ドーマーウインドー)」、壁から外に突き出た「出窓」、床に接し大きく開く「掃き出し窓」などがある。

なお、建築基準は、居室には、採光及び換気のため、一定面積以上の窓等の開口部を設置しなければならないとしている。

窓先空地

共同住宅における火災時の避難を容易にするために、共同住宅の敷地のうち、1階の住戸の窓に直面する敷地部分において、幅員数mの空地を設け、その空地を避難経路として利用できるようにしたものである(空地とは建築物を建てられていない土地という意味である)。

この窓先空地の制度は、東京都や横浜市など一部の自治体でのみ実施されている制度である。根拠法令は建築基準法第40条と、同条に基づき地方自治体が独自に制定する地方自治体の条例である(この条例の名称は「建築安全条例」「建築基準条例」などであり、地方自治体により異なる)。

最も厳しい窓先空地制度を実施している東京都では、東京都建築安全条例においておよそ次の1.から3.のようなルールを設けており、このルールを満たさない共同住宅は建築確認を取得することができない(以下は東京都建築安全条例第19条より要約)。

1.共同住宅の住戸には、住戸の床面積の合計に応じて、次の数値以上の幅員を持つ「窓先空地」に直接面するような窓を設けなければならない。
1)耐火建築物の場合
200平方メートル以下のもの:窓先空地の幅員が1.5m
200平方メートルを超え、600平方メートル以下のもの:窓先空地の幅員が2m
600平方メートルを超え、1,000平方メートル以下のもの:窓先空地の幅員が3m
1,000平方メートルを超えるもの:窓先空地の幅員が4m
2)耐火建築物ではない建築物の場合
100平方メートル以下のもの:窓先空地の幅員が1.5m
100平方メートルを超え、300平方メートル以下のもの:窓先空地の幅員が2m
300平方メートルを超え、500平方メートル以下のもの:窓先空地の幅員が3m
500平方メートルを超えるもの:窓先空地の幅員が4m

2.窓先空地から道路・公園・広場等までを幅員2m(住戸の床面積の合計が200平方メートル以下の場合には幅員1.5m)以上の通路で避難上有効に連絡させなければならない。

3.上記1.2.の住戸の床面積の合計には、道路に直接面する窓を有する共同住宅の住戸は算入しないものとする(例えば、1階の全住戸を道路に面する窓を持つ構造とすれば、1.2.の規制は適用されない)。

間取り

部屋の配置。居間、寝室、台所、浴室などの位置関係や、それぞれの部屋のかたち・広さによって示される。

間取りを図面化したものを「間取図」といい、通常は方位、縮尺が示されている。

なお、「◯LDK」のような表示は、部屋の位置関係が不明であって、間取りを示すものではない。

マネー・ロンダリング(マネー・ローンダリング)

犯罪の収益をあたかも合法な金銭や資産に見えるものに転換させる過程をいう。原語は、Money laundering。これを取り締まる制度においては、金融犯罪、テロ資金供与、課税回避などと融合した用語として使われることもある。

マネー・ロンダリングを防止するための制度(犯罪収益移転防止法)においては、特定の事業者は取引における一定事項の確認が義務づけられているが、宅地建物取引業者もその特定の事業者とされ、宅地建物売買契約の締結またはその代理若しくは媒介をする場合について適用されている(「取引時確認」を参照)。

なお、マネー・ロンダリングを防止する上で特に留意すべき取引(ハイリスク取引)として、なりすましの疑いがある場合、確認事項を偽っている疑いがある場合、特定国に居住・所在する顧客の場合が指定され、これらの場合には、厳格な方法で取引時確認を行なう必要がある。

マネー・ローンダリング

マネー・ロンダリングを参照のこと。

マホガニー

家具などの材料として使われる銘木(美しく趣がある木材)のひとつ。mahoganyは英語名で、和名は「桃花心木」である。

マホガニーは、加工しやすく、狂いが小さく、耐久性に優れる。木目が美しいため、古くから、家具材、彫刻材、楽器、模型、内部装飾材などとして使われている。

樹木としてのマホガニーは、センダン科マホガニー属に属する常緑高木で、キューバン・マホガニー、ホンジュラス・マホガニー(オオバ・マホガニー)、メキシカン・マホガニーの3種に分類されている。これらの樹木は、資源保護のため、ワシントン条約によって天然木の取引が制限されている。

マリオン

建物の開口部に設ける垂直な部材。英語のmullionで、和語の「方立(ほうだて)」と同じ意味である。

建物荷重を支える構造材ではなく、開口部の横架材を支えるとともに、開口部を縦に区切る役割を担っている。一般的に、高層建築のカーテンウォールを構成する部材の一つとされ、素材は、アルミニウムが多い。

丸太組工法

建物工法の一つで、丸太材などを水平に積み重ねて壁をつくっていく工法をいう。

校倉造りは丸太組工法そのものであり、ログハウスはこの工法による建物である。

メンテナンス次第で半永久的な耐久性が期待でき、耐震性や断熱性・遮音性に優れているとされる一方、他の木造系工法に比べてコストが高く、工期が長くなりやすい、開口部の大きさが制約されやすいなどともいわれている。

マルチハビテーション

住居を複数化した居住スタイルをいう。

都心と田舎との両方を居住地とする住生活が一般的である。セカンドハウスはそのための住宅としても利用される。

マルチメディアコンセント

電源コード、電話回線、LANケーブル、テレビ受信ケーブルなどを配線と接続するための受け口(コンセント)が一つにまとめられた接続器具。和製英語である。

異なる用途のコード・ケーブル類を一箇所で接続することができる。

マルティプル・リスティング(Multiple Listing)

不動産取引の仲介人が、顧客からの注文情報等を他の仲介人と共有する仕組みをいう。

売買・賃貸借の注文を受けた仲介人は、注文物件の登録等により仲介人グループ内で情報をプールし、グループ内の他の仲介人が取引の相手方を発見・紹介するという手法である。

この仕組みにより、迅速で広範な取引が円滑に実現するとされる。同時に、仲介人グループは、共通の倫理規定を遵守するなどによって取引の秩序を維持する役割を果たす。

広告との違いは、仲介人という専門化集団が情報を共有して共同で取引の成立に努力することであり、不動産流通において市場機能を充実・発展させるための仕組みとしての役割を果たしている。

もともとNAR(全米リアルター協会)において形成・活用されてきた仕組みであるが、その考え方は日本にも導入され、1980年代後半に「流通機構」として整備されてきた。それが発展したのが指定流通機構である。

廻り縁

建物において、二つの面が接する部位に連続的に取り付けられた細長い建材。主に天井と壁面とが接する位置に取り付けられ、室内を装飾する。


廻り縁の表面には文様が施されることが多く、モールディング(刳形)の一つである。 

マンション

日本におけるマンションは、一般的には、鉄骨コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造で、3階建て以上の分譲共同住宅・賃貸共同住宅を指している。ただし、賃貸共同住宅の場合にはPC造重量鉄骨造であっても、マンションと呼ばれることがある。

本来、マンションは英語では「大邸宅」を指す。日本におけるマンションは、欧米では「アパートメント」と呼ばれている。

マンション維持修繕技術者

マンションの維持・修繕に関して一定水準の知識技術を有していると認められた者。任意の資格で、(一社)マンション管理業協会が実施する試験に合格し、登録することにより得る。

マンション維持修繕技術者は、一般的に、区分所有管理士や管理業務主任者と連携して、マンションの修繕等の実務面を担う。

マンション管理業

マンションの管理の適正化の推進に関する法律では、マンション管理業とは「管理組合から委託を受けて、業として分譲マンションの「管理事務」を行なうこと」であると定義している(同法第2条)。

ここでいう「管理事務」とは、「基幹事務」を含む場合だけを指すものとされている(基幹事務とは「管理組合の会計および出納」や「維持または修繕に関する企画等」をいう)。

このため、単に建物管理員業務や清掃業務だけを行なう場合は、上記の「基幹事務」を行なわないので、「管理事務」に該当しない。従って、マンション管理法上はマンション管理業に該当しないことになる。

なお、マンション管理業を行なう場合には、国土交通大臣への登録を行なう義務がある。この登録をしないでマンション管理業を行なった場合には、1年以下の懲役または10万円以下の罰金の対象となる。

マンション管理業者

マンション管理業を行なう者であって、国土交通大臣の登録を受け、マンション管理業者名簿に登録された者を「マンション管理業者」という(マンション管理適正化法第2条第8号)。

マンション管理業者は、その事務所ごとに、30の管理組合の事務を委託されるごとに1名の割合で、専任の管理業務主任者を置く義務がある(マンション管理適正化法第56条)。

マンション管理業者は、管理組合と管理委託契約を締結する際には、契約締結前の重要事項説明を管理業務主任者に行なわせる義務がある(マンション管理適正化法第72条)。

また契約成立時に交付する書面(通常は管理委託契約書を指す)には、管理業務主任者が記名押印する必要がある(マンション管理適正化法第73条)。

なお、マンション管理業者は毎年、管理組合等に報告を行なう義務がある(マンション管理適正化法第77条)。

マンション管理士

マンション管理法にもとづき、国土交通大臣が毎年実施する「マンション管理士試験」に合格し、登録の手続きを終えて、マンション管理士登録証の交付を受けた者のこと(マンション管理適正化法第2条、第31条、第8条など)。

マンション管理士は、管理組合区分所有者の相談を受け、助言・指導を行なうことができる(マンションの管理の適正化の推進に関する法律第2条)。

マンションギャラリー

マンションを展示・紹介する場所。特定のマンションを展示するだけでなく、複数のマンションを比較できるようにしている場合もある。マンションの構造や設備を説明し、モデルルームを展示するほか、周辺環境や生活スタイルなどを紹介し、マンションの魅力を訴える場所となっていることが多い。

マンション経営

マンションの一室などを所有して賃貸する事業をいう。不動産投資として実施されることがある。

マンション経営は不動産賃貸業であるから、事業を行なうことについては宅地建物取引業法の適用はない。ただし、経営するマンションの仲介、マンション経営者の委任を受けて行なう賃借人の募集などの業務については、同法の適用がある。

マンション敷地売却制度

マンション敷地を一括して買受人に売却する仕組みをいう。「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」に基づく制度である。

マンション敷地売却制度の概要は次のとおりである。
1)対象となるのは、耐震性が不足している旨の認定を特定行政庁から受けたマンション(要除去認定マンション)に限られる。
2)敷地の売却は、マンション敷地売却決議によって実施する。決議には、区分所有者、議決権および敷地利用権の持分価格の 各5分の4以上の同意が必要。
3)敷地の売却を実施する主体として、マンション敷地売却組合を設立する。
4)マンション敷地売却組合は、マンション敷地の権利を取得し、買受人(敷地の買受計画について都道府県知事等の認定を受け、敷地のディベロッパーとなる者)にその権利を売却する。また、同組合は、マンション敷地売却決議の不同意者からの敷地の買収、「分配金取得計画」に基づく区分所有者等に対する分配金の支払いなどの業務を担う。

マンション敷地売却制度による事業は、権利変換によるマンション建替え事業などと違って、建物除去後の土地利用については自由であり、敷地の売却価額は、敷地の最有効使用を想定して算定することとなる。一方で、買受人は、代替住居の提供や斡旋の計画について都道府県知事等の認定を受けなければならないとされている。

マンション建替え円滑化法

マンション建替組合

マンション建替え決議区分所有法第62条第1項)が決議された場合に、決議に合意した者のうちのの4分の3以上の同意により設立される、マンションの建替えを目的とする組合のこと(マンション建替え円滑化法第9条)。
この組合の設立が同意されたときは、建替え決議の合意者は全員がこの組合員となる(円滑化法第16条)。また、ディベロッパーがこの組合に参加することもできる(円滑化法第17条)。
(マンション建替組合の役割について詳しくはマンション建替え円滑化法へ)

マンション建替え減税

マンションの建て替えのために敷地等を取得、売却、分割する場合に、それに伴う課税を免除・軽減する措置。その概要は次のとおりである。

(1)マンション建替え組合が特定要除却認定マンションおよびその敷地を取得する場合には、不動産取得税を非課税にする。

(2)区分所有者がマンション敷地をマンション建替え組合に売却するなどの場合には、長期譲渡所得の税率を軽減するなどの特例を適用する。

(3)敷地権利変換を受けて区分所有者が敷地等を取得するなど場合には、従前資産の譲渡がなかったものとみなすなどの特例を適用する。

マンション建替え法

マンションの管理の適正化の推進に関する法律

略称は「マンション管理適正化法」。マンションの管理を適正に行なうための仕組みを規定している法律。2001(平成13)年に公布・施行された。

この法律で規定されているのは、

1.管理組合の運営などマンションの管理に関して、管理組合の管理者やマンションの区分所有者等に対して助言、指導その他の援助を行なう専門家の資格を定めること(マンション管理士制度)

2.マンションの管理業務を受託する者の登録を義務づけること(マンション管理業の登録制度)

3.マンション管理業務を行なうに際して、一定の資格者を置くことを義務付けること(管理業務主任者制度)

などである。

原則的に、マンションの管理はその所有者が責任を負うのであるが、1.によって所有者に対して直接に支援する仕組みを、2.および3.によってマンション管理業務を受託する者が適正に業務を実施する仕組みを、それぞれ整えることにより、良好なマンション居住環境を確保することをめざしている。

マンションの建替えの円滑化等に関する法律

マンションの建て替えを円滑に進めるための仕組みを定める法律。2002(平成14)年に公布・施行された。

マンションの建て替えや除去は、原則として区分所有法に基づいて進めるのであるが、この法律は、そのための合意形成や権利調整について特別の措置を定めている。

主な規定は次の通りである。

1. 法人格を持つ組合を設立して建替事業を施行する制度を創設すること(マンション建替組合
2. 建替事業において、従前のマンションの所有権敷地利用権借家権を再建マンションの各権利に変換するための手続きを定めること(権利変換制度)
3. 耐震性が不足していると認定されたマンション(要除却認定マンション)についてその敷地を売却するための手続きを定めること(除却する必要のあるマンションに係る特別の措置)
4. 法人格を持つ組合を設立してマンション敷地を売却する事業を実施する制度を創設すること(マンション敷地売却事業)

マンション標準管理委託契約書

マンション管理委託契約について、その標準的な契約指針として策定された契約書の雛形をいう。2003(平成15)年4月に公表された。

従来用いられてきた「中高層共同住宅標準管理委託契約書」(1982(昭和57)年策定)に代えて策定されたもので、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」(2000(平成12)年施行)などに照らして消費者保護の充実、管理業務の範囲・内容の明確化などが図られている。

主な内容として、善管注意義務、守秘義務、契約更新の手続き、事務管理業務区分、出納業務における財産の分別管理(収納口座保管口座、収納・保管口座による分別)、修繕積立金の保証契約、免責事項などについて定められている。また、長期修繕計画案の作成業務等は、管理委託業務から除外することとされている。

マンション標準管理規約

分譲マンションなどの区分所有建物における管理規約について一定のガイドラインを示すために、国土交通省(旧・建設省)が作成したマンション管理規約のモデルのこと。

当初は「中高層共同住宅標準管理規約」という名称であったが、2004(平成16)年1月に見直され、現在の名称となっている。

その経緯と主な内容は次の通りである。

1.中高層共同住宅標準管理規約の制定
建設省(現・国土交通省)の審議会である住宅宅地審議会は、区分所有法の1983(昭和58)年の大改正に対応するため、1982(昭和57)年に「中高層共同住宅標準管理規約」を答申し、建設省はその周知と普及を推進してきた。この「中高層共同住宅標準管理規約」の主な内容は次の通りである。

1)敷地建物、付属施設の範囲
2)専有部分の範囲、共用部分の範囲
3)敷地・付属施設・共用部分に関する各区分所有者の持つ共有持分の割合
4)専用使用権の範囲
5)使用細則(使用に関する詳細な規則)の設定
6)管理、管理組合集会理事会、会計等に関する事項

2.中高層共同住宅標準管理規約の大改正
その後、分譲マンションが急激に普及したことにより、この「中高層共同住宅標準管理規約」は1997(平成9)年2月に建設省より改正・告示された。1997(平成9)年の主要な改正点は次の通り。

1)大規模修繕を円滑に進めていく上での前提となる長期修繕計画の作成を、管理組合の業務として明確に位置付け。
2)駐車場の使用に関するトラブルを防止するため、駐車場の使用に関する諸規定を整備。
3)専有部分のリフォームをめぐるトラブルを防止するため、専有部分のリフォーム工事の手続規定を整備。
4)専有部分である設備のうち共用部分と一体となった部分(例えば配管の枝管)の管理については、共用部分の管理と一体として行なうことが適当な場合が多いので、管理組合が一体として管理を行なう規定を設けた。
5)団地形式や店舗併用形式のマンションが増えてきていることから、団地型と複合用途型の標準管理規約を新たに作成、追加した(これにより単棟型・団地型・複合用途型の3タイプが設けられた)。

3.マンション標準管理規約の制定
その後、「マンション管理適正化法」の施行(2001(平成13)年8月)、「マンション建替え円滑化法」の施行(2002(平成14)年12月)というマンション法制度の大きな変化に対応するため、2004(平成16)年1月に「中高層共同住宅標準管理規約」は改正された。このとき名称も「マンション標準管理規約」へと変更された。

4.規約の見直し 
近年のマンション管理に関する課題に対処するため、2016(平成28)年に規約が見直された。それによって、理事長を含む理事および監事について外部の専門家を就任可能とすること、コミュニティ条項について防災・防犯、美化・清掃などのコミュニティ活動が可能であることを明確にすることが定められたほか、 暴力団等の排除規定、災害時等における応急的補修や緊急避難措置の規定などが追加された。

マンションリフォームマネジャー

マンションの住戸等をリフォームすることに関して専門的な知識・技能を有すると認められた者。任意の資格で、(公財)住宅リフォーム・紛争処理支援センターが実施する試験に合格することにより資格を得る。

マンションリフォームマネジャーは、マンション住戸の所有者やマンション管理組合を支援するなどの役割を果たすことができると考えられている。

マンスリーマンション

おおむね1ヵ月単位で賃貸借される住宅。一般に、家具や基本的な生活品が備えられ、簡易な手続きで入居できる。

長期滞在型ホテルまたは短期賃貸住宅として経営されているケースが多いが、その区別の基準は明確ではない。一応の目安として、賃貸期間が1ヵ月を超えていればホテルではないと考えられている。

ホテル経営であれば旅館業法が適用されるが、賃貸住宅の経営であれば一般の不動産賃貸と同様に特別の法規制はない。ただし、所有・賃借する住宅をマンスリーマンションとして経営する場合には、マンション管理規約等に適合する必要があるほか、賃貸借の仲介業務については宅地建物取引業法が適用される。

MaaS

多様な交通サービスを統合して利用することのできる仕組み。英語のmobility as a service(モビリティ アズ ア サービス)の略語である。

ひと続きの移動ニーズに対して、情報通信技術を活用して、バス、電車、タクシー、レンタカー、カーシェア、シェアサイクルなどのさまざまなかたちの交通サービスを切れ目なく提供するシステムである。その具体化は途上にあるが、公共交通機関の運行情報等の提供、オンデマンドによる移動サービスの提供、各種交通サービスを包括した運賃・料金の設定と決済などは、MaaSの例である。

御影石

花崗岩(かこうがん)のこと。
かつて兵庫県の御影で花崗岩が多く採れたことから、花崗岩を御影石とも呼ぶようになった。

未完成物件の売買の制限

宅地建物取引業者が、未完成物件を売ることを原則的に禁止するという規制のこと。これは、一般消費者を保護するための措置である(宅地建物取引業法第33条の2)。

1.概要
宅地建物取引業者が自ら売主になって、未完成の宅地または建物を、造成中または工事中の段階で販売することは、原則的に禁止されている(法第32条の2本文)。これは、売買取引に精通していない一般の買主を保護するための規定である。

2.未完成物件の売買が許される場合
しかし、造成中の宅地の分譲や、工事中の建物の分譲がまったく行なえないことになっては不動産実務上、非常に不便であることは明らかである。
そこで、法第33条の2第2号では、「未完成物件に関する手付金等の保全措置」を講じることを要件として、未完成物件の売買を許すこととした。
具体的には、「未完成物件に関する手付金等の保全措置」が行なわれている未完成物件については、造成中・工事中であっても、未完成物件の売買契約予約を含む)を締結してよいこととした。

ここで「未完成物件に関する手付金等の保全措置」とは、法第41条第1項に規定されている「工事完了前の売買に係る手付金等の保全措置」のことである。
これは、工事完了前に買主が交付する手付金等について、銀行が保証し(保証委託契約)または保険会社が保証保険を付する(保証保険契約)という保全措置である。

3.手付金等保全措置が不要な未完成物件の場合
なお、手付金等の額が代金の5%以下でかつ1,000万円以下であれば、法第41条第1項の「工事完了前の売買に係る手付金等の保全措置」を講じなくてよいとされている。
このような手付金等保全措置が不要な未完成物件については、手付金等保全措置を行なわないままで、未完成物件の売買契約(予約を含む)を締結してよい、とされている。

4.適用範囲
この「未完成物件の売買の制限」(法第33条の2)は、消費者を保護するための規定である。
従って、宅地建物取引業者同士の売買については、未完成物件であっても、手付金等保全措置をまったく講じないで売買することができる(法第78条第2項)。

MR(Mixed Reality)

仮想の空間と現実の空間とを融合し、両者を重ねて体験できる技術。和訳は「複合現実」である。

MR に類似する用語として、VR(Virtual Reality、仮想現実)とAR(Augmented Reality、拡張現実)がある。VRは現実に似た仮想の空間をつくり出す技術、ARは現実空間に仮想を加える技術であるのに対して、MRは、仮想の空間に現実の情報を付加して、仮想を現実化する技術である。いずれの技術も、人工的な情報システムと人間の感覚とを相互に作用させることによって、人間の感覚を操作する技術であることは共通している。

ミストサウナ

湯を霧状に噴出する方式の蒸し風呂(サウナ)。通常のサウナは高温の蒸気浴であるが、ミストサウナはそれよりも低温で入浴できる。

自ら売主制限(8種制限)(宅地建物取引業法における~)

宅地建物取引業者が、自ら宅地建物の売主となる場合に課せられる8種類の制限をいう。

その制限は、次のとおりである。

1.自己所有に属しない物件の売買契約を締結してはならない(ただし、将来自己所有となることが確実な他人物の売買、および、手付金等の保全措置を講じた未完成物件の売買については例外)(自己の所有に属しない宅地又は建物の売買契約締結の制限)。

2.事務所等以外の場所において、申込み・売買契約を締結した買主は、一定の期間内等において、当該買受けの申込みの撤回または当該売買契約の解除を行なうことができる。この場合、宅地建物取引業者は、申込みの撤回等に伴う損害賠償または違約金の支払いを請求することができない(クーリングオフの適用)。

3.債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償額の予定または違約金を定める場合に、その額は合算して代金額の10分の2を超えてはならず、超える部分は無効とする(損害賠償額の予定等の制限)。

4.代金の10分の2を超える額の手付を受領することができない。また、手付を受領したときには、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主は手付放棄によって、売主はその倍額の償還によって契約を解除できる(手付額の制限等)。

5.瑕疵担保責任について、民法の原則よりも買主に不利な特約は無効とする(ただし、引渡しから2年以上となる特約を除く)(瑕疵担保責任の特約の制限)。

6.保全措置を講じた後でなければ買主から手付金等を受領してはならず、買主は、保全措置が講じられない場合には手付金等を支払う必要はない(ただし、所有権移転の登記がなされたとき、手付金等の額が代金の5%以下等であるときなどは例外)(手付金等の保全措置)。

7.割賦販売契約において割賦金の支払いがない場合に、30日以上の期間を定めて書面により支払いを催告してこの期間内に支払いがないときでなければ、契約の解除および残りの割賦金を請求することができない(割賦販売契約の解除等の制限)。

8.所有権留保による売買契約をしてはならず、引渡しまでに登記の移転等をしなければならない。また、引渡し後に担保目的でそれを譲り受けること(譲渡担保)をしてはならない(ただし、いずれについても、受領した額が代金額の10分の3以下である場合等においては例外)(所有権留保等の禁止)。

水循環基本法

健全な水循環を維持・回復するための施策を包括的に推進することを定めた法律で、2014(平成26)年に制定された。

同法は、1)水利用に当たっては水循環に及ぼす影響を回避・最小とすべきこと、水循環は流域として総合的かつ一体的に管理されなければならないことなどの基本理念を定めるとともに、2)水循環基本計画の作成、3)雨水浸透能力や水源涵養(かんよう)能力を有する森林、河川、農地、都市施設等の整備による流域における水の貯留・涵養機能の維持・向上、水量の増減や水質の悪化等水循環に対する影響を及ぼす水の利用等に対する規制措置などの施策の推進、4)水循環政策本部の設置、などを定めている。

水回り

給排水のための設備が設置されている区画。台所、洗面所、浴室などが該当する。

水回りの維持管理に当たっては、水漏れ、水詰まり、水たまりなどについて注意しなければならない。

水屋

家屋において、水を扱うための用具を備え置く場所や設備。例えば、茶器や食器を収納する棚を備えた箪笥(茶箪笥)の別称として使われる。

また、社寺境内において、手や口を清め濯ぐための水鉢を備えた場所、茶室に隣接し、茶事の準備・片付けや茶道具を収納する場所を指す用語でもある。

あるいは、洪水の際に避難するため、土盛りの上に建てられた小屋を言う場合もある。

未成年後見人

死別等により親権者がいない場合や、親がいても親権喪失等により親権を行なうことができない場合には、最後の親権者の指定(民法第839条)または家庭裁判所の職権による選任(民法第840条)によって、未成年者を後見する(保護する)者を置くことができる。
これを「未成年後見人」という。

未成年後見人は、未成年者の財産を管理し、法律行為を代理する権限を持つ(民法第859条)。

未成年者

民法上、満20歳の誕生日を迎える前の者をいう。ただし、2022年4月1日からは「満18歳」に達していない者に改正される。 

未成年者が契約をなすには、親権者または未成年後見人(「法定代理人」と総称する)がその契約に同意することが必要である。この同意を得ないで未成年者が契約をした場合には、未成年者はこの契約を取り消すことができる。

なお、2022年3月31日までは、婚姻をした者は、満20歳未満であっても「未成年者」でなくなるとされている(成年擬制)。

未線引き区域

市街化区域市街化調整区域とに区分されていない都市計画区域のこと。

都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域に区分することを「区域区分」と呼び、この「区域区分」がされていない都市計画区域のことを「未線引き区域」という。
ただしこの「未線引き区域」という名称は、都市計画法の改正に伴い2000(平成12)年5月以降廃止されており、現在では一般に「非線引き区域」と呼ばれている。

また、法律上の名称は「区域区分が定められていない都市計画区域」である(詳しくは区域区分が定められていない都市計画区域へ)。

みぞかき補償

同一の土地所有者に属する一団の土地の一部を収用することで、収用されない残地に、通路、みぞ、かき、さく、その他の工作物の新築、改築、増築、修繕、盛り土切り土をする必要が発生する場合がある。
このとき起業者は、これに要する費用を損失補償しなければならない。これを一般的に「みぞかき補償」と呼んでいる(土地収用法第75条)。

この「みぞかき補償」は、起業者自らが工事を代行することがある。

見積書

取り引きの交渉に当たって、取引条件や取り引きに要する費用の概要を記載して交付する書面。取り引きするかどうかを判断するためのもので、取り引きの過程を示す証拠となる。

見積書の様式は任意であるが、少なくとも、宛先・発行者の名称、取引の内容、費用の費目と根拠、履行期限を記載すべきとされている。

工事の受発注や不動産の賃貸借においても、受注者や仲介業者は、契約前に見積書を交付するのが通例である。

なお、取り引きは、一般に、見積り→契約(注文)→納品→検収→代金請求→代金支払→代金領収の順に進行するが、契約書(注文書)のほか、取引の段階ごとに、見積書、納品書、請求書、領収書などを交付することになる。

認印

個人の印鑑であって、市区町村長に対してあらかじめ印鑑登録を行なった印鑑(実印)ではない印鑑のこと。

緑の基本計画

緑地の保全や緑化の推進に関する計画。「都市緑地法」に基づき市町村が定める。

緑の基本計画の目的は、主として都市計画区域内において、緑地の適正な保全及び緑化の推進に関する措置を総合的かつ計画的に実施することである。

計画の策定に当たっては、公聴会の開催など住民の意見を反映するために必要な措置を講ずるよう努めなければならず、策定した計画は公表される。
計画の主要な内容は次の通りである。
・緑地の保全および緑化の目標
・緑地の保全および緑化の推進のための施策に関する事項
特別緑地保全地区内における施設の整備、土地の買入れ、管理協定、市民緑地契約などの緑地の保全に関する事項
・緑化地域における緑化の推進に関する事項

みなし道路

幅が4m未満の道路であって、建築基準法第42条第2項の規定により、道路であるものと「みなす」ことにされた道路のこと。

その法律の条項の名称を取って「2項道路」と呼ばれることが多い。

建築基準法第43条では、建築物敷地は「建築基準法上の道路」に2m以上の長さで接していなければならないと定めている。

ここでいう「建築基準法上の道路」は、原則として幅が4m以上あることが必要とされている(建築基準法第42条第1項)。

しかしながら、わが国の現況では、幅が4m未満の道が多数存在しているため、次の1.~3.の条件を満たせば、その道を「建築基準法上の道路とみなす」という救済措置が設けられている(建築基準法第42条第2項)。

1.幅が4m未満の道であること
2.建築基準法が適用された際にその道に現に建築物が立ち並んでいたこと
3.特定行政庁(知事や市長)の指定を受けたことでの救済措置による道路のこと

これらを、その条文名をとって「2項道路」と呼んでいるのである。

こうした2項道路に面している土地については、道路中心線から2m以内には建築ができないという制限(セットバック)があるので特に注意したい。

ミニマリスト

できるだけ物を持たないライフスタイルで暮らす人。英語のminimalistで、minimal(最小限)に人を表す接尾辞を付けた言葉である。

過剰・余分なものを持たないことによって、簡素でゆったりした生活を送ることができるとしている。

身元保証人

雇用契約において、雇われた人(被用者)が雇った人(使用者)に損害を与えたときに、その損害を担保する第三者。損害を担保する第三者が「身元保証人」であるが、使用者に対して損害を担保することを「身元保証」、被用者が使用者に与えた損害を身元保証人が賠償する契約を「身元保証契約」という。

身元保証の内容は、担保する事柄に応じてさまざまであるが、「身元保証ニ関スル法律」によって、身元保証契約の存続期間(原則3年間)、使用者の通知義務、保証責任の限度などが定められていて、その規定に反する特約で身元保証人の不利益となるものは無効である。

なお、賃貸住宅の入居者に対して、

その信用を担保するために人的保証を求める場合には、保証する人は「身元保証人」ではなく「連帯保証人」である。

宮大工

神社、寺院などの伝統的な木造建築物の建築を専門とする大工。資格を得るための制度はないが、長い経験を必要とする職能である。

宮大工として仕事をするためには、木組み(材木に切れ目を入れて組み合うようにする技法)などの伝統的な技術に長けている必要があるほか、材木を手作業で加工する技能や指矩(さしがね)を使う規矩術も必須とされている。

民家

貴族・武士階級に属さない庶民の住宅。農業、商業などの生業に密着した造りとなっていることが多い。その様式には地域差がある。

民家は、地域の歴史や風土を色濃く反映していることが多く、地域の活性化のためにその保存や活用を図る取り組みが進められている。

なお、人の住む家を一般に「民家」ということもある。

民間都市開発推進機構(民都機構)

略称は「民都機構」。民間事業者による都市開発事業を推進するための業務を行なうために設立された財団法人で、1987(昭和62)年10月に設立され、同月に「民間都市開発の推進に関する特別措置法」にもとづく業務を行なう法人としての指定を受けた。

その主要業務は、民間事業者が行なう一定の都市開発事業について、その事業に参加することおよびその事業に要する長期で低利の資金を融資することである。

また、都市再生事業に投資する法人やまちづくりのための団体に対する出資も業務としている。なお、同機構に対しては、政府から無利子資金が貸付られるなど特別の措置が講じられている。

民間非営利組織

英語の「Non Profit Organization」を日本語に翻訳したものが「民間非営利組織」である。

民間非営利組織は、略称で「NPO(エヌ・ピー・オー)」と呼ばれるものであり、福祉・医療・教育などの問題に取り組む民間の非営利的な団体のことである。

民間非営利組織はつい最近まで「権利能力なき社団」として活動せざるを得なかったが、「特定非営利活動促進法」が98年12月に施行されたことにより、正式な法人格を取得することが可能となった。

法人格を取得した民間非営利組織は「特定非営利活動法人」と呼ばれる。

民間非政府組織

「Non Governmental Organization」を日本語に訳した言葉であり、国連に協力する政府以外の非営利の民間団体を指す言葉である(国連憲章第71条)。

一般的には、環境問題や平和問題などに取り組んでいる大規模な非営利の民間団体のことを、「民間非政府組織(NGO)」と呼んでいる。

ミングル

一つの住戸に、家族ではない人が半ば共同で居住するかたちをいう。シェアハウスによる居住形態の一種。ミングルは英語のmingleであるが、和製英語として使われる。

ミングルでの居住は、それぞれの居室は独立しているが、台所や浴室は共同で利用することとなる。

民俗文化財

民俗文化財とは、わが国の国民の生活の推移の理解のために欠くことのできないものであって、次のいずれかに該当するものをいう(文化財保護法第2条)。

1.衣食住・生業・信仰・年中行事等に関する「風俗慣習」
2.衣食住・生業・信仰・年中行事等に関する「民俗芸能」
3.上記1.または2.に用いられる衣服・器具・家屋・その他の物件など

国は、重要な民俗文化財を「重要有形民俗文化財」「重要無形民俗文化財」として指定している(文化財保護法第78条)。

民泊

旅行者等が一般の住宅に宿泊すること。

この場合に、有償で反復継続して宿泊を提供すれば、宿泊営業に該当し、旅館業法の許可を得なければならない(「簡易宿所営業」「下宿営業」)。そして許可を得るには、一定の設備の設置等が必要となる。

一方、賃借人が部屋等を自ら管理し、「生活の本拠」とする場合(期間は1ヵ月以上とされる)は、部屋等の賃貸は貸室業であって、旅館業法の宿泊営業には該当しない。 

このように、民泊を営業することについては規制がある。しかしながら、民泊を仲介する情報サービスの出現、安価なホテルの不足、観光客の宿泊需要への的確な対応の要請などを背景に、民泊を広く活用するための規制緩和が必要であるとの意見がある。他方、良好な住宅街での営業や、マンションなどの部屋を民泊に利用することは、悪用の可能性、治安上の不安、居住マナーの悪化などの恐れがあるとして、緩和を危惧する意見も強い。

そこで、両方の意見を参酌して「住宅宿泊事業法(民泊新法)」が制定され、民泊の営業等について規制を緩和するとともに、業務のルールが定められた(2018年6月15日施行)。

住宅宿泊事業法が定める主なルールは、1)住宅宿泊事業に関する規制、2)住宅宿泊管理業に対する規制、3)住宅宿泊仲介業に対する規制である。たとえば、年間提供日数が180日を限度とする民泊の営業(条例で、区域を定めて営業実施期間をより短く制限することができる)については、旅館業の許可は不要であるとする一方、都道府県知事等への届出を必要とし、一定の衛生・安全の確保、宿泊者名簿の備え付け、標識の掲示などの義務を負うこととされている。

なお、農山漁村で体験民宿を営む(農家民宿)場合は、別途、旅館業法の規制が緩和されている。

民泊管理業

民泊を営む上で必要な管理業務を受託して実施する営業をいう。

この業務は基本的には自由に実施できるが、住宅宿泊事業のために一定の業務を実施する場合には、住宅宿泊管理業者として国土交通大臣に登録しなければならない。

民法第94条第2項の類推適用

本人が相手方と通じて、虚偽の意思表示をすることを虚偽表示といい、民法では虚偽表示にもとづく法律行為を原則として無効としている(民法第94条第1項)。
それと同時に、民法第94条第2項では、このような虚偽表示にもとづく法律行為の無効は、善意の(=事情を知らない)第三者に対しては主張することができないものとされている。
(詳しくは虚偽表示における第三者保護へ)

このように、相手方との通謀(つうぼう)でなされた虚偽の意思表示は原則として無効であるが、実際には相手方との「通謀」が存在するとはいえないような事例も多く見られる。判例では、このような通謀性に欠けるケースであっても、できるだけ94条を類推適用し、善意(かつ無過失)の第三者を保護しようとしている。

例えば、

1.本人Aが相手方Bの承諾なく、AB間の売買を仮装した場合
例えば、本人Aが相手方Bに知らせないまま、仮装の土地売買契約を行ない、それをもとに土地の登記名義をBに移転したところ、後からこれを知ったBが登記名義を利用して、その土地を第三者Cに売却したという場合である。
この場合、本来ならば通謀がないので民法94条は適用できないが、判例では、仮装の登記名義を作り出したAに責任があり、事情を知らない(=善意の)第三者であるCがその登記名義を信頼したことを保護する必要があるので、第94条第2項を類推適用し、AはCに対してAB間の土地売買契約の無効を主張できないとした(なおこの場合、Cは信じたことについて無過失であることまでは要求されない)。

2.相手方Bが本人Aの承諾なく、AB間の売買を仮装した場合
これは上記1.と反対に、Bが勝手にAの土地を購入したかのような土地売買契約書を作り、それをもとに土地の登記名義をBに移転してしまい、さらにBがこの土地をCに転売するというようなケースである。
この場合、虚偽の登記名義を作り出すことについてAは責任がないので、基本的には民法94条を類推適用せず、Aを保護すべきである。しかし、Aが虚偽の登記がなされたことに気付きながら、それを黙認していた場合には、Aに責任があるといえる。
そこで、判例ではAが虚偽の登記を黙認していた場合には、Aは、善意かつ無過失のCに対して、AB間売買契約の無効を主張できないとしている。

3.本人Aと相手方Bが仮装の仮登記をしていたところ、相手方Bが本人の承諾を得ないまま仮登記を本登記にあらため、Bが登記名義を取得してしまった場合
これはAB間で「仮登記」については通謀があったが、本登記についてはBが勝手に行なったというケースである。
このようなケースについて判例では、虚偽の本登記を作り出すことについて、本人Aはその基礎となる仮登記の作出について責任があることを重視し、Aは、善意かつ無過失のCに対して、AB間売買契約の無効を主張できないとしている。
(なおこの場合に、Bがあたかも与えられた権限を超えた代理人のように行動していることから、判例では民法第110条(権限踰越の表見代理)の趣旨も加えてこのような結論に至ったとしている(昭和43年10月17日最高裁判決))

民法第110条の類推適用

民法第110条は、権限踰越の表見代理を定めた規定である。権限踰越の表見代理とは、代理人が本人から与えられた基本権限の範囲を超えて、基本権限外の行為をした場合に、相手方が基本権限内の行為であると信じ、そう信じることについて正当の理由があるときは、代理人と相手方との取引の効果を本人に帰属させるという制度である。
このように、民法第110条は本人と代理人(正確には表見代理人)との関係に関する規定であるが、法人と代表機関(理事など)との関係にもこの民法第110条が類推適用される場合がある。具体的には次のとおりである。

1.理事の代表権の制限について
理事の代表権は定款などにより制限することが可能である(民法第53条但書)が、法人と取引をする相手方が、理事の代表権が定款等によって制限されていることを知らない場合(=善意である場合)には、法人は理事の代表権が定款などで制限されていると主張することができない(民法第54条)。
しかし、相手方が善意とはいえないような場合には、相手方は民法第54条による保護を受けることができない。そこで判例では、このような事例について民法第110条を類推適用することとしている。

例えば法人Aの理事Bが、本来は定款により土地の処分には理事会の承認が必要であるのに、この理事会の承認があったと偽って、相手方Cに土地を売却してしまったとする。このときCは理事会の承認が必要という「定款による代表権の制限」を知っていたのであるから、もはや民法第54条の保護を受けることはできない。
そこで判例では、法人Aと理事Bとの関係が、本人と表見代理人との関係と同一の構造を持っていることに着目し、この場合に民法第110条を類推適用する。

具体的には、相手方Cは、理事Bが、理事会の承認を得たことにより土地を売却するという正当な権限を持っているものと信じ、そう信じるにつき過失がない(つまりCが善意無過失)のであれば、Cは民法第110条の「正当な理由」を具備したことになり、民法第110条により保護される(昭和60年11月29日最高裁判決など)。

2.理事の代表権の法令による制限について
上記1.とは異なり、理事の代表権が法令で制限されている場合には、民法第54条を適用する可能性が初めから存在しない。
〔法令による代表権の制限がある場合には、その制限を超えて、理事が代表行為を行なうことが法律上初めから不可能だからである〕
そこでこうした場合にも、判例は民法第110条の類推適用によって相手方を救済することを認めている。例えば、地方自治体Dの首長Eが、自分の借金返済にあてるため、法律上必要な手続を経ないままに、自治体名義でFから金銭を借り入れたとする。相手方Fは、首長Eが法律上必要な手続を正式に経ていると信じ、そう信じるにつき過失がない(つまりFが善意無過失)のであれば、Fは民法第110条の「正当な理由」を具備したことになり、民法第110条により保護される。

無過失責任

私法上の概念で、損害の発生について故意・過失がなくても損害賠償の責任を負うことをいう。

民法の一般原則では、損害賠償責任を負わなければならないのは故意・過失がある場合に限るとされているが(過失責任主義、この場合その立証責任は被害者が負う)、一定の場合には無過失による損害発生について賠償責任を負わなければならないとされている。例えば、工作物の設置・保存の瑕疵についての所有者責任、鉱害や原子力災害に対する事業者責任、大気汚染・水質汚濁についての事業者責任、製造物責任などは無過失責任である。

無過失責任を求める背景には、社会に対して危険をつくり出している者は、危険を防止する能力を有していることなどから、それによって生じる損害に対して重い責任を負わなければならないという考え方(危険責任)、利益を上げる過程で損害を与えた者は、利益あるところに損失も帰すべきだから、利益から賠償しなければならないという考え方(報償責任)の2つがある。

なお、無過失責任に近い責任として「中間的責任」があるが、これは、損害発生について無過失であることの立証責任を加害者に求めるもので(立証責任の転換)、例えば、工作物占有者の責任、使用者責任、責任無能力者の監督者責任などがこれに該当する。

無垢材

製材したままで用いる木材。一本の樹木から切り出される。

樹木の性質がそのまま保たれ、湿度を調節する性能(調湿性)や感触の良さに優れているとされる。床材、天井材などのほか、構造材としても使われる。

無垢材に対して、複数の板・角材を集成・接着して作った木材が「集成材」である。

無形文化財

演劇・音楽・工芸技術などの無形の文化的所産で、わが国にとって歴史上または芸術上価値の高いものを「無形文化財」という(文化財保護法第2条)。

具体的には、歌舞伎・能楽・文楽などの芸能、陶芸・染織などの工芸技術がこれに該当する。

無形文化財のうち重要なものは、重要無形文化財に指定されている(文化財保護法第71条)。

無権代理

代理とは、「他人の行為の効果が本人に帰属する」という法制度である。この代理が成立する根拠は、本人と他人との間に、代理権を発生させるという合意(すなわち代理権授与行為)が存在することであるとするのが判例・通説である(詳しくは他人効へ)。

従って、代理人に代理権が存在しない場合や、代理人が代理権の範囲を超えて行動した場合には、その代理人の行為はもはや正当化することができないので、代理としての効果を失うことになる。その結果、その代理人の行為は、代理人自身のために行なった行為となり、代理人自身が全面的に責任を負うことになる(詳しくは無権代理人の責任へ)。このような権限のない代理人の行為を「無権代理」と呼んでいる。

無権代理は、本人に対する関係では無効であるから、本来は本人に対して無権代理が何らかの効果を及ぼすことはあり得ないはずである。しかし民法では、取引の相手方を保護するために、次の2つの場合には、例外的に無権代理を本人に対する関係で有効にするという規定を設けている。

1.本人による追認
無権代理による取引を、本人が後から追認した場合には、その取引は原則としてはじめから有効であったものとなる(民法第117条、第116条)。本来は無効な行為を、本人の意思により有効にすることができるという規定である。
なおこの場合、取引の相手方は本人に追認を催告すること等ができる。
(詳しくは無権代理の相手方の催告権無権代理の相手方の取消権へ)

2.表見代理
無権代理による取引の相手方が、無権代理人を真実の代理人だと誤信したことについて、何らかの正当な事情があった場合には、その取引を有効なものとすることができる。この制度を表見代理という。
(詳しくは代理権授与表示による表見代理代理権消滅後の表見代理権限踰越の表見代理へ)

無権代理人の責任

無権代理による取引(権限のない代理人が行なった契約など)は、有効な代理行為ではないので、本人に対する関係では当然に無効であるだけでなく、無権代理人に対する関係でも無効となるはずである。しかし、仮に無権代理による取引が常に無効であるとするならば、取引の相手方の保護に欠け、代理制度そのものへの信頼が失われかねない。

そこで民法では、無権代理による行為が本人に対する関係で無効と判断された場合には、無権代理人自身が取引を履行し、または相手方の損害を賠償しなければならないと定めている(民法第117条)。これは、法律によって無権代理人に特に重い責任を負わせたものであるということができる。

具体的には、本人が無権代理人の行為を追認せず、かつ無権代理人が正当な代理権の存在を立証できない場合には、取引の相手方は、取引を履行し、または損害を賠償することを無権代理人に要求することができる(民法第117条第1項)。このような無権代理人の履行責任・損害賠償責任は無過失責任である(つまり、無権代理人に何ら落ち度がなくて無権代理人として行動したとしても、これらの責任を負わなければならない)。

このような重い責任を無権代理人に負わせる反面として、取引の相手方は、善意無過失であることが必要とされる。つまり、代理権限がないことを知っていたか、または不注意により知らなかったような相手方は、無権代理人の履行責任・損害賠償責任を追及することはできない(民法第117条第2項)。
(この点につき、取引の相手方は軽過失があっても無権代理人の責任を追及できるという学説があるが、判例は取引の相手方には無過失を必要としている)

なお、上記のような民法第117条の無権代理人の責任は、不法行為責任を排除するものではない。従って、無権代理人が故意または過失により無権代理人として行動し、相手方に損害を与えた場合には、相手方は民法第117条の無権代理人の責任と民法第709条の不法行為責任のどちらでも追及することができる。

無権代理の相手方の催告権

無権代理による取引は、本人に対する関係では本来無効であるが、本人がこの取引を追認した場合には、その取引は初めから有効であったものとなる(民法第117条、第116条)。

この場合において、無権代理人と取引を行なった相手方は、本人に対して、無権代理人の行為を追認するか否かを答えるように催告することができる(民法第114条)。この催告は、相手方が悪意(=無権代理であること知っていた)であっても行なうことができる。法律関係の早期安定を図るための規定である。

なお本人が返答しないときは、追認を拒絶したものとみなされる(つまり、本人に対する関係では無権代理による取引は無効に確定する。このとき相手方は無権代理人の責任を追及するほかない(民法第117条))。

無権代理の相手方の取消権

無権代理による取引は、本人に対する関係では本来無効であるが、本人がこの取引を追認した場合には、その取引ははじめから有効であったものとなる(民法第117条、第116条)。

このため、取引の相手方は、本人が追認するか否かが判明するまでの期間は、取引が確定的に無効であるか否かが定まらないという不安定な状態に置かれる。

そこで民法では、取引の相手方は、無権代理による取引を取り消すことができるという規定を設けている(民法第115条)。取引の相手方がこの取消権を行使すれば、本人はもはや追認することができなくなり、無権代理による取引は無効なものとして確定する。

なお、この取消権を行使できるのは、善意の(=無権代理であることを知らなかった)相手方に限られる。また取消権を行使した場合には、相手方は、無権代理人の責任を追及する(民法第117条)こともできなくなる。

無限責任中間法人

中間法人法にもとづいて設立された中間法人であって、中間法人の債務について社員が連帯責任を負う法人をいう。

無限責任中間法人は、「構成員(社員)に共通する利益を図る」ことを目的とし、構成員(社員)に利益(剰余金)を配当せず、中間法人の債務について構成員(社員)が個人財産で連帯責任を負うという特徴がある。

しかし、2008(平成20)年12月1日に「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」が施行され、中間法人法は廃止となった。それに伴い、現在の無限責任中間法人は、2009年11月までに、一定の手続きによって一般社団法人に移行する必要がある。

無効

法律行為がなされたときに、当事者が表示した意思のようには法律効果が生じないことをいう。

意思はあってもそもそも効果が生じないのであるから、法律行為は追認や時の経過によっても有効とはならない。また、原則として誰でも誰に対しても無効を主張できる。

無効となる法律行為としては、

1.公の秩序または善良の風俗に反する事項を目的とする行為(公序良俗違反)

2.法律によって効果が生じないとされている行為(強行規定違反)

3.虚偽の意思表示錯誤による行為

などがある。ただし、虚偽の意思表示による無効については善意の第三者に対抗できないし、錯誤による無効については重大な過失があれば無効にならないなど、一定の例外がある。

例えば売買契約が無効であれば、当事者に請求権は発生せず(代金の支払いや目的物を引き渡す義務はない)、すでに事実行為がなされているときには、その回復を請求できる(不当利得として代金や目的物の返還を求めることができる)。もっとも、契約無効の原因が公序良俗違反であるときの代金の支払い等については、不法な原因による給付であるとして不当利得の返還を請求できないとされるなど、無効の原因や契約の事情に応じて不当利得の取扱いに違いがある。

無指定

都市計画区域の外側にある土地のことを「無指定」や「無指定区域」などと呼ぶことがあるが、これはあくまで通称である。

また、「非線引きの都市計画区域(非線引き区域)」においては、中心部には「用途地域」が指定されているが、中心部以外には「用途地域」が指定されていないことが多い。
そこで、「非線引きの都市計画区域」で「用途地域」がない土地のことを「無指定」と呼ぶこともある。

無主物の帰属

所有者のないモノに対する所有権の定め。民法の規定である。

所有者のない「不動産」は国庫に帰属する。例えば、自然現象によって海底から隆起した土地は国有地となる。

これに対して、所有者のない「動産」は、所有の意思をもって占有することによって、その占有者が所有権を取得する。例えば、捕獲した野生動物は捕獲者の所有に帰す。

無電柱化

道路上から電柱をなくすること。電柱類地中化ともいう。

無電柱化により、良好な景観の形成、幅員が広がることによる通行空間の安全性確保、大規模災害時での電柱倒壊等による通行障害の発生防止などを図ることができる。

無電柱化の方法には、道路の地下空間を活用して電力線、通信線等をまとめて収容する手法(電線共同溝方式)、通りの脇道に電柱を配置し、そこから引き込む電線を沿道家屋の軒下または軒先に配置する手法(軒下配線方式)、主要な通りの裏通り等に電線類を配置し、主要な通りの沿道建物への引き込みを裏通りから行なう手法(裏配線方式)等がある。

なお、緊急輸送道路については、区域指定の告示によって新設電柱の道路占用が禁止されている。

棟木

屋根の最高部に、桁と平行に配される部材をいう。

「むねき」「むねぎ」とも。

これを組むことで建物の骨組みが完成するので、その際に「上棟式」(その主催者は棟梁である)を行なって工事の無事完了を祈る慣習がある。

棟上げ

棟木を納めること、もしくはそのときに行なう儀式のこと。
新築への祝福と神の守護に感謝を示し、同時に無事建設されることを祈願する。建築工事の着工と完了の中間にあり、建物の形態がおおよそ整った時点を指す。

無名契約・有名契約

私法上の概念で、法律に名称や内容が規定されている契約類型を有名契約(または典型契約、民法に規定されているものは13種類ある)、それ以外の契約類型を無名契約(または非典型契約)という。

契約の内容をどのように定めるかは当事者の自由であるため(契約自由の原則)、さまざまな契約類型(無名契約)が存在するが、その解釈・適用に当たっては、契約の実態、取引の慣行、契約趣旨などに十分配慮すべきとされている。

無免許営業等の禁止

宅地建物取引業免許を受けないで、宅地建物取引業の営業(または表示行為・広告行為)を行なうことは、法律上禁止されている(宅地建物取引業法第12条)。これを無免許営業等の禁止という。

具体的には次のとおり。

1.無免許営業の禁止(法第12条第1項)
宅地建物取引業を無免許で営むことは、宅地建物取引業法の免許制度の根本をゆるがす重大な違反行為である。
そのため、無免許の営業を行なった者には、宅地建物取引業法上の最も重い罰則として、3年以下の懲役または100万円以下の罰金(または両者の併科)が予定されている(法第79条第2号)。

2.無免許の表示行為・広告行為の禁止(法第12条第2項)
無免許の者が実際に営業を行なわない場合(または営業が事後的に立証できない場合)であっても、無免許の者が看板等において宅地建物取引業者である旨を表示した場合(表示行為)や、無免許の者が宅地建物取引業を営む目的で広告をした場合(広告行為)については、そうした表示行為・広告行為そのものが宅地建物取引業法上の処罰対象とされる。

具体的には、そうした無免許の表示行為・無免許の広告行為を行なった者に対しては、30万円以下の罰金が予定されている(法第82条第2号)。

名義貸しの禁止

宅地建物取引業者が他人に名義を貸して営業(または表示行為・広告行為)を行なわせることは、法律上禁止されている(宅地建物取引業法第13条)。これを名義貸しの禁止という。

具体的には次のとおり。

1.名義貸しによる営業の禁止
名義を貸して他人に営業させることは、宅地建物取引業法の免許制度の根本をゆるがす重大な違反行為である。
そのため、名義を貸した側には「名義貸しの禁止」の規定が適用され(法第13条第1項)、3年以下の懲役または100万円以下の罰金(または両者の併科)という重い罰則が予定されている(法第79条第3号)。

2.名義貸しによる表示行為・広告行為の禁止
名義貸しによる営業については上記1)の罰則が適用されるが、実際に営業を行なわない場合(または営業が事後的に立証できない場合)であっても、看板における名義の使用(表示行為)や広告における名義の使用(広告行為)という事実があれば、そうした名