空き家の放置で生じる多くのデメリット

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近年、日本では空き家が増加しており社会問題となっていることをご存じでしょうか?
実は空き家の放置は多くの危険が伴い、大きなトラブルへと発展する可能性があるのです。
この記事では「空き家を放置することで生じるデメリット」と「空き家の対処法」について解説します。

空き家を放置することで発生するデメリット

空き家を放置し続けた結果、高額なお金を支払うことになってしまうケースがあります。
そういったことを避けるためにも、空き家を放置することで生じるデメリットについてしっかり理解しておきましょう。

老朽化が進む

人が住まなくなった家は換気不足によって湿気が溜まり、カビの発生やシロアリが繁殖するなどして、急速に劣化が進んでいきます。
さらには屋根や外壁の塗装が劣化し家の防水機能が失われると、家全体の腐食が進み、いずれは朽ち果ててしまいます。
こまめな換気や適切な修繕をおこなっている場合を除き、空き家は放置すればするほどボロボロになってしまうのです。

近隣トラブル

空き家を放置したままでいると、近隣住民にも悪影響が出てしまいます。
場合によっては、裁判に発展してしまうような大きな事故を起こしてしまう危険性もあるのです。
空き家を放置することで起こる近隣トラブルとはどのようなことか、以下を参考にご覧ください。

●害虫・動物が住み着き、近隣の家にまで被害が及ぶ
●雑草が伸びきり隣の敷地に入り込む
●犯罪の拠点にされ治安が悪化する
●放火の現場として狙われやすくなり、近隣の建物にまで燃え移る
●地震や台風などで建物が倒壊し、近隣の建物に損害を与える
●不法投棄などにより異臭問題が起きる


上記に挙げた例だけ見ても、空き家の放置は大変危険なことであると分かります。

資産価値が下がる

戸建ての資産価値とは「建物の価値」と「土地の価値」のことを指し、資産価値は年々下がっていきます。
さらに建物の痛み具合も関係しており、空き家の老朽化が進んでいると、売却時にあまり利益を得られない、または解体せざるを得ないといった可能性もあるのです。
その他にも「特定空き家に指定されてしまうと固定資産税が6倍になる」といった税金面でのデメリットがありますが、以下で詳しく解説します。

空き家を放置していると税金が6倍になる?

先ほど空き家を放置するデメリットとして「固定資産税が6倍になる」と少しだけご紹介しましたが、一体どんな仕組みなのでしょうか?
ここでは空き家にかかる税金と「特定空き家」の仕組みについて解説します。

空き家にかかる税金

不動産を所有していると「固定資産税」「都市計画税」といった税金がかかります。
それは人が住んでいない空き家も同じで、居住者の有無に関係なく支払わなければなりません。
固定資産税と都市計画税は「固定資産税評価額×1.4%(都市計画税は0.3%)」で算出できます。
なお、これらの固定資産税と都市計画税には以下のような「減額の特例」が設けられています。

小規模住宅用地(200㎡以下の部分)
固定資産税:評価額×1/6
都市計画税:評価額×1/3

一般住宅用地(200㎡を超える部分)
固定資産税:評価額×1/3
都市計画税:評価額×2/3
この減額の特例は住宅用地に対してのみであるため、空き家を解体して更地にした場合は適用されなくなってしまいます。
これが「更地にすると税金が高くなる」といわれている原因です。

「特定空き家」とは?

全国的に空き家が増え社会的な問題となっていることから、国は「空き家等対策の推進に関する特別措置法」を施行しました。
この法律では、適切に管理されていない空き家を「特定空き家」に指定することができます。
特定空き家に指定されてしまった場合、先ほど説明した減額の特例が適用されず、実質6倍もの金額を支払うことになります。
これが「空き家を放置すると税金が6倍になる」という言葉の意味です。
具体的には、以下のような条件の空き家が「特定空き家」に指定されます。

●倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
●著しく衛生上有害となるおそれのある状態
●適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
●その他周辺の生活環境の保全を図るために、放置することが不適切である状態


仮に指定されてしまった場合、まず自治体からの「助言・指導」が行われます。
それにより状況が改善すると指定は解除されますが、改善されなかった場合には「勧告」がなされ、この頃から固定資産税などが大幅に増加します。
それでも改善されない場合は「命令」に切り替わり、50万円以下の罰金、最終的には自治体が空き家を取り壊し、解体費用を請求する「行政代執行」になってしまうのです。

空き家は放置せず早めの売却がおすすめ

ここまでの解説で、空き家の放置は大変危険だということが認識できたのではないでしょうか。
そうはいっても「定期的な管理ができない」「放置するしか方法がない」といった場合もあるかと思います。
そんなときは空き家を売却することを考えてみてはいかがでしょうか?
空き家を売却することで、まとまった資金を得ることができ、さらには定期的な管理や維持費も必要なくなるといったメリットがあります。
なお空き家の売却には2つの方法があります。

「古家付き土地」として売却

「古家付き土地」とは古い家が建ったままの土地のことで、おもに土地を探している方に向けた広告表現です。
「中古住宅」として住宅をメインで売るか、古家付き土地として「土地」をメインで売るかに、明確なルールはありません。
しかし木造住宅の法定耐用年数が22年であるため、20年以上経過した住宅は古家として扱うことが多いようです。
古家付き土地として売却する際には、以下のようなメリットがあります。

●取り壊し費用の負担がない
●固定資産税が安くなる


古家付き土地として売却する場合、解体費用がかからないため、出費を抑えて販売できる点が魅力です。
また古屋が建っていることによって「住宅用地の軽減措置特例」が適用され、更地で土地を持つよりも固定資産税が安くなります。
一方、以下のようなデメリットも存在します。

●相場より安くなる可能性がある
●買い手が付きにくい


古家付き土地を購入する方は、取壊し費用を見込んで購入する場合が多いため、その分、販売価格が安くなりがちです。
より高い価格で売りたいのであれば、解体工事をおこなったうえでの売却を検討すると良いでしょう。
また建物が建っていることで土地の用途が限定されてしまい、更地よりも売れにくいというデメリットもあります。

「更地」にして売却

空き家を解体し、更地にした状態で売却する方法です。
更地にして売却すると、以下のようなメリットが得られます。

●買主が見つかりやすい
●土地の状態が確認しやすい


更地は購入者が解体費用を負担することなく、購入後すぐに建物を建設できることから、古家付き土地よりも売れやすいといったメリットがあります。
また空き家を解体した土地は地盤調査などがしやすい状態です。
地盤改良が必要となった場合費用はかかりますが、地盤調査済みの土地とそうでない土地では、買い手の安心感も違うでしょう。
しかしメリットもあれば、以下のようなデメリットもあります。

●解体費用が必要
●古家付きと比べ固定資産税が高い


更地にして売却するには解体工事が必要となり、その費用は売主が準備しなければなりません。
建物の解体費用は木造住宅で8~13万円/坪、 RC住宅で15~25万円/坪ほどといわれています。
また更地にすると、家が建っているときと比べ固定資産税が高くなってしまうため、売れない期間が長くなるほど負担も大きくなってしまいます。

まとめ

空き家を放置し続けると税金が高くなる他、近隣住民に迷惑をかけるなど多くのデメリットが生じます。
場合によっては損害賠償を請求される可能性もあるのです。
大きなトラブルに発展してしまう前に、古家付き土地や更地にするなどして売却することをおすすめします。

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